コアウェブバイタル(Core Web Vitals)の改善方法とは、Googleが定めた3つのUX指標(LCP・INP・CLS)のスコアを向上させ、Webサイトの表示速度・操作性・視覚的安定性を高めるための施策です。
本記事では、自社サイトのコアウェブバイタルを改善してSEO評価やユーザー体験の向上につなげたいWeb担当者・サイト運営者の方に向けて、各指標の確認方法から具体的な改善手順までを体系的に解説しています。
- コアウェブバイタルの3指標(LCP・INP・CLS)の定義と基準値
- 各指標の確認・計測に使えるツールとその使い方
- 改善に着手する際の優先順位のつけ方
- LCP・INP・CLSそれぞれの具体的な改善方法
- WordPress・Shopifyなど主要CMS別の対策ポイント
読み終えれば、自社サイトのどの指標に問題があるかを正確に把握し、優先度の高い施策から実行に移せるようになります。
コアウェブバイタルとは?改善前に押さえるべき基礎知識

コアウェブバイタル(Core Web Vitals)は、Googleが2020年に発表したWebサイトのユーザー体験を評価する3つの指標の総称です。具体的には、ページの「読み込み速度」「操作への応答性」「視覚的な安定性」の3点からサイトの快適さを数値化します。
このセクションでは、以下の内容を解説します。
- コアウェブバイタルを構成するLCP・INP・CLSの定義と基準値
- SEO検索順位への影響度
- 改善に取り組むことで得られるビジネス上のメリット
コアウェブバイタルを構成する3つの指標(LCP・INP・CLS)
コアウェブバイタルは、以下の3つの指標で構成されています。それぞれの指標には「良好」「改善が必要」「不良」の3段階の基準値が設定されており、75パーセンタイル値(アクセスしたユーザーの75%が基準をクリアしているかどうか)で判定されます。
| 指標 | 正式名称 | 計測内容 | 良好 | 改善が必要 | 不良 |
|---|---|---|---|---|---|
| LCP | Largest Contentful Paint | ページ内の最大コンテンツが表示されるまでの時間 | 2.5秒以下 | 2.5〜4.0秒 | 4.0秒超 |
| INP | Interaction to Next Paint | ユーザー操作に対するページの応答時間 | 200ms以下 | 200〜500ms | 500ms超 |
| CLS | Cumulative Layout Shift | ページの視覚的な安定性(レイアウトのずれの度合い) | 0.1以下 | 0.1〜0.25 | 0.25超 |
なお、INPは2024年3月12日に、それまで使われていたFID(First Input Delay)に代わって正式にコアウェブバイタルの指標に組み込まれました。FIDがユーザーの「最初の操作」に対する応答時間のみを計測していたのに対し、INPはページ滞在中に行われた各操作を対象として最も遅い応答時間を評価するため、より実態に即したユーザー体験の計測が可能になっています。
3つの指標が示す具体的な体験を分かりやすく整理すると、LCPは「ページが表示されるまで待たされるストレス」、INPは「ボタンを押しても反応しないストレス」、CLSは「読んでいる途中に画面がずれるストレス」をそれぞれ定量化したものと理解できます。
コアウェブバイタルがSEO検索順位に与える影響
コアウェブバイタルは、2021年6月のページエクスペリエンスアップデートにより、Googleの検索ランキング要因のひとつに組み込まれました。モバイル版は2021年6月に、PC版は2022年3月にそれぞれ導入が完了しています。
ただし、Googleはコアウェブバイタルの位置づけについて、コンテンツの質が最も重要であることを明確にしています。Google検索セントラルでは、ページエクスペリエンスが優れていてもコンテンツの質が優れたページを上回ることはないとした上で、関連性が同程度のページが複数存在する場合にはページエクスペリエンスが重要になる旨を説明しています。
つまり、コアウェブバイタルの改善だけで検索順位が劇的に上がるわけではありませんが、競合と同程度のコンテンツ品質を持つ場合には差別化の要因となり得ます。コンテンツの質を高める施策と並行して取り組むことで、相乗的な効果が期待できます。
コアウェブバイタルの改善がもたらすビジネス上のメリット
コアウェブバイタルの改善は、SEO順位の向上だけでなく、ビジネス成果にもつながる複数のメリットが期待できます。
表示速度の改善は直帰率の低下につながりやすい傾向があります。Googleの調査によれば、ページの読み込み時間が1秒から3秒に増えると直帰率は32%増加し、5秒になると90%増加するとされています。こうしたデータを踏まえると、LCPを改善して表示速度を短縮することで、サイトに留まるユーザーの割合を高められる可能性があります。
また、操作の応答性が向上すれば、フォーム入力やボタンクリックなどのアクションがスムーズになり、コンバージョン率(CVR)の改善にもつながる可能性があります。表示速度の高速化によってCVRが向上したという事例も複数報告されています。
レイアウトシフトの防止は、ユーザーの誤タップや誤クリックを減らし、意図した操作を正確に完了しやすい環境を提供します。結果として、ユーザー満足度の向上やリピート率の改善にもつながることが期待されます。
コアウェブバイタルの確認・計測方法

コアウェブバイタルを改善するためには、まず自社サイトの現状スコアを正確に把握することが出発点です。問題のある指標やページを特定できなければ、効果的な改善施策を打つことができません。
このセクションでは、以下のツールと使い方を解説します。
- PageSpeed Insightsでの個別ページ計測
- Google Search Consoleでのサイト全体の一括確認
- Lighthouseをはじめとする補助ツール
PageSpeed Insightsでの計測手順
PageSpeed Insights(https://pagespeed.web.dev/)は、Googleが無料で提供するWebページのパフォーマンス計測ツールです。URLを入力するだけで、モバイル・PC両方のコアウェブバイタルスコアと改善提案を確認できます。
計測結果には2種類のデータが表示されます。「フィールドデータ」は、Chrome ユーザーエクスペリエンスレポート(CrUX)から取得した過去28日間の実ユーザーデータです。一方、「ラボデータ」は固定のネットワーク条件でシミュレートした計測結果であり、計測のたびに値が変動します。
SEOに反映されるのはフィールドデータのため、改善の進捗確認にはフィールドデータを基準にすることが重要です。ただし、フィールドデータは一定のアクセス数がなければ表示されないため、アクセスが少ないページではラボデータを参考にします。
画面下部に表示される「診断」セクションでは、パフォーマンスの低下原因と具体的な改善提案が影響度の大きい順に表示されます。「LCP」「CLS」「TBT(INPと相関する指標)」でフィルタリングすることで、各指標の改善に集中できます。
計測を行う際のポイントとして、モバイルとPCの両方で計測することを忘れないでください。Googleはモバイルファーストインデックスを採用しているため、モバイルのスコアが特に重要です。また、サイトの主要なページ(トップページ、カテゴリページ、主要な記事ページなど)を複数計測し、サイト全体の傾向を把握することが効果的な改善計画につながります。
Google Search Consoleでの一括確認
Google Search Console(以下、サーチコンソール)の「ウェブに関する主な指標」レポートでは、サイト全体のコアウェブバイタルの状況をモバイル・PC別に一括確認できます。
このレポートでは、各ページが「良好」「改善が必要」「不良」の3段階で分類されるとともに、LCP・INP・CLSのどの指標に問題があるかが表示されます。問題のあるURLグループをクリックすると、該当するページの一覧を確認できるため、改善対象の絞り込みに役立ちます。
サーチコンソールの利点は、個別ページではなくサイト全体の傾向を俯瞰できる点にあります。PageSpeed Insightsで1ページずつ確認するのは現実的ではないため、まずサーチコンソールで問題のあるページ群を特定し、その後にPageSpeed Insightsで詳細を分析するという流れが効率的です。
Lighthouseとその他の計測ツール
Lighthouse は、Chrome DevTools に内蔵されたパフォーマンス計測ツールです。Chrome ブラウザで対象ページを開き、DevTools の「Lighthouse」タブから計測を実行できます。PageSpeed Insightsのラボデータと同じエンジンを使用しているため、開発中のページや公開前のステージング環境での確認に適しています。
なお、以前はChrome拡張機能「Web Vitals」で手軽にリアルタイム計測ができましたが、2025年1月にDevToolsのパフォーマンスタブに統合されました。現在は、DevToolsのパフォーマンスタブからLCPやCLSの値をリアルタイムで確認できます。
その他、CrUXダッシュボード(Googleが提供するBigQueryベースのレポート)や、SpeedCurve等の有料ツールを使えば、長期的なスコアの推移をモニタリングすることも可能です。継続的に改善の効果を検証する場合には、これらのツールの併用を検討してみてください。
改善の優先順位のつけ方

コアウェブバイタルの3指標にはそれぞれ異なる低下原因と改善方法があるため、やみくもに着手するのではなく、優先順位を定めて効率的に改善を進めることが重要です。
このセクションでは、以下の観点から優先順位の考え方を整理します。
- 指標別の影響度と対応難易度の比較
- 不良ページの特定と改善計画の立て方
指標別の影響度と対応難易度
一般的には、以下の順序で改善に着手することが推奨されます。
| 優先度 | 指標 | 影響度 | 対応難易度 | 推奨する理由 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | LCP | 高 | 中 | 表示速度は体感品質に直結し、改善効果が数値に表れやすい |
| 2 | CLS | 中 | 低〜中 | width/height指定等の比較的シンプルな対策で改善できることが多い |
| 3 | INP | 中 | 高 | JavaScript最適化が中心のため、エンジニアとの連携が重要 |
ただし、これはあくまで一般論です。サーチコンソールやPageSpeed Insightsで自社サイトの実態を確認し、「不良」判定を受けている指標から優先して着手するのが原則です。たとえば、LCPは良好だがCLSが不良のサイトであれば、CLSの改善を最優先にすべきです。
不良ページの特定と改善計画の立て方
効率的に改善を進めるためには、「影響範囲の大きいページ」から着手する考え方が有効です。
サーチコンソールの「ウェブに関する主な指標」レポートでは、同じ原因で不良判定を受けているページがグループ化して表示されます。たとえば「CLS に関する問題: 0.25 超」というグループに100ページが含まれている場合、そのグループの原因を特定して修正すれば、一度の対応で100ページの問題を同時に解消できる可能性があります。
改善計画を立てる際は、以下のステップで進めると効果的です。
- サーチコンソールで「不良」判定のグループを確認し、影響ページ数が多い順にリストアップする
- 各グループの代表的なURLをPageSpeed Insightsで詳細分析し、低下原因を特定する
- 原因に対応する改善施策を実行し、改善後にPageSpeed Insightsで効果を検証する
- フィールドデータに反映されるまで(通常28日程度)を待ち、サーチコンソールで改善を確認する
LCP(読み込み速度)の改善方法

LCP(Largest Contentful Paint)は、ページ内で最も大きなコンテンツ要素(メイン画像やテキストブロックなど)が表示されるまでの時間を計測する指標です。目標値は2.5秒以下であり、ユーザーが「ページが表示された」と感じるまでのスピードを直接的に表しています。
このセクションでは、以下のLCP改善施策を解説します。
- 画像の最適化(フォーマット変換・圧縮・サイズ指定)
- サーバー応答時間(TTFB)の短縮
- レンダリングを妨げるリソースの排除
- 遅延読み込み(Lazy Load)の活用
画像の最適化(フォーマット変換・圧縮・サイズ指定)
LCPの低下原因として多く見られるのが、画像ファイルの容量過多です。特にメインビジュアルやアイキャッチ画像がLCPの対象要素となるケースが多いため、画像の最適化はLCP改善において優先度の高い施策といえます。
まず取り組むべきは、画像フォーマットの変換です。従来のJPEGやPNGに比べ、WebP形式は同等の画質で25〜35%程度ファイルサイズを削減できるとされています。さらに圧縮率の高いAVIF形式も主要ブラウザでのサポートが進んでいるため、対応環境であれば活用を検討しましょう。
画像の圧縮は、TinyPNG、Squoosh(Googleが提供する無料ツール)、ShortPixelなどのツールを使うことで簡単に実行できます。目安として、1枚あたり200KB以下を意識すると、表示速度への影響を最小限に抑えられます。WordPressを使用している場合は、SmushやShortPixelなどのプラグインを導入すれば、アップロード時に自動圧縮する設定も可能です。既に公開済みの画像も一括で圧縮できるため、既存コンテンツの改善にも活用できます。
加えて、HTMLのimg要素には幅(width)と高さ(height)の属性を指定してください。これにより、ブラウザが画像の読み込み前にレイアウト領域を確保できるようになり、LCPだけでなくCLSの改善にも効果があります。
サーバー応答時間(TTFB)の短縮
TTFB(Time to First Byte)とは、ブラウザがサーバーにリクエストを送信してから、最初のバイトを受信するまでの時間を指します。TTFBが長いと、フロントエンドの最適化だけではLCPの改善効果が限定的になります。
TTFBの短縮に有効な施策は、主に以下の3つです。
1つ目は、CDN(Content Delivery Network)の導入です。CloudflareやAWS CloudFrontなどのCDNを利用することで、ユーザーに物理的に近いサーバーからコンテンツを配信でき、応答時間の短縮が期待できます。
2つ目は、サーバーサイドキャッシュの活用です。WordPressであればWP Super CacheやW3 Total Cacheなどのプラグインにより、PHPの処理結果をキャッシュし、リクエストごとの処理負荷を軽減できます。
3つ目は、サーバースペックの見直しです。共有サーバーを利用している場合、アクセスが集中する時間帯にTTFBが悪化しやすい傾向があります。サイトの規模やアクセス数に見合ったサーバー環境を選択することが重要です。VPS(仮想専用サーバー)やクラウドサーバーへの移行により、レスポンス速度の安定化が見込めます。
PageSpeed Insightsの診断で「サーバーの応答時間が長い(TTFB)」と指摘されている場合は、上記の3つの施策を組み合わせて対応しましょう。TTFBの目標値は800ミリ秒以下が目安とされています。
レンダリングを妨げるリソースの排除
ブラウザがページをレンダリングする際、CSSとJavaScriptの読み込み・実行がボトルネックとなるケースがあります。PageSpeed Insightsの診断で「レンダリングを妨げるリソースの除外」が指摘されている場合は、以下の対策を検討してください。
CSSについては、ファーストビュー(画面の最初に表示される領域)に必要な最低限のスタイルをHTMLにインライン記述し、残りのCSSは非同期で読み込む方法が効果的です。これにより、ブラウザが外部CSSファイルの読み込み完了を待たずにレンダリングを開始できます。
JavaScriptについては、defer属性またはasync属性を活用します。defer属性を付けたスクリプトはHTMLの解析完了後に実行されるため、ページの表示を妨げません。async属性はスクリプトのダウンロードが完了次第実行されますが、実行順序が保証されない点に注意が必要です。
また、使用していないプラグインや不要なスクリプトを定期的に棚卸しして削除することも、レンダリング速度の向上に効果があります。特にWordPressサイトでは、プラグインを無効化しただけではCSSやJSファイルの読み込みが残っている場合があるため、削除(アンインストール)まで行うことを推奨します。
なお、CSSやJavaScriptの最適化は、テーマやプラグインとの互換性に影響を与える場合があります。本番環境に適用する前に、ステージング環境でテストし、レイアウトの崩れや機能の不具合が発生しないかを検証してから公開することが安全です。
遅延読み込み(Lazy Load)の活用
遅延読み込み(Lazy Load)とは、ユーザーの画面に表示されるタイミングで画像や動画を読み込む手法です。ファーストビュー外のコンテンツを後から読み込むことで、初期表示に必要なデータ量を削減し、LCPの改善につなげられます。
実装は比較的簡単で、HTMLのimg要素にloading=”lazy”属性を追加するだけで主要ブラウザでネイティブ対応できます。JavaScriptによるライブラリの導入は不要です。
ただし、LCPの対象となる要素(メインビジュアルやファーストビュー内の大きな画像)にはloading=”lazy”を適用しないでください。LCP対象の画像を遅延読み込みにすると、逆にLCPスコアが悪化する可能性があります。ファーストビュー内の画像はloading=”eager”(デフォルト)のままにし、スクロールしないと見えない画像にのみloading=”lazy”を適用するのが正しい使い方です。
また、LCP対象の画像については、fetchpriority=”high”属性を追加して読み込み優先度を明示的に高めることも効果的です。
INP(操作の応答性)の改善方法

INP(Interaction to Next Paint)は、ユーザーがページ上で行うクリック・タップ・キーボード入力に対して、ページが次の画面更新(Paint)を行うまでの時間を計測する指標です。目標値は200ミリ秒以下です。
このセクションでは、以下のINP改善施策を解説します。
- 長時間タスクの分割とJavaScriptの最適化
- サードパーティスクリプトの管理
- メインスレッドの負荷軽減
INPの改善はJavaScriptの最適化が中心となるため、エンジニアとの連携が重要になる領域です。Web担当者としては、問題の特定と改善の方向性を把握したうえで、開発チームと協力して進めることが効果的です。
長時間タスクの分割とJavaScriptの最適化
INPが悪化する主な原因のひとつが、ブラウザのメインスレッドを長時間占有するJavaScriptタスク(Long Task)です。メインスレッドがJavaScriptの処理で塞がっている間は、ユーザーの操作に対する応答が遅延します。
Chrome DevToolsの「パフォーマンス」タブでページを記録すると、50ミリ秒を超えるLong Taskが赤い三角マークで表示されます。これらのタスクを特定し、以下の方法で分割・最適化を行います。
まず、大きなJavaScriptファイルを機能単位で分割し、必要なときに必要な部分だけ読み込む「コード分割(Code Splitting)」が有効です。WebpackやViteなどのビルドツールを使用している場合は、動的インポート(dynamic import)を活用して実装できます。
次に、ページの動作に不要なJavaScriptコードの削除です。Chrome DevToolsの「カバレッジ」タブを使うと、ページ上で実際に使用されているコードの割合を確認できます。使用率が低いファイルは、読み込みの遅延や削除を検討してください。
サードパーティスクリプトの管理
広告タグ、アクセス解析ツール、チャットウィジェット、SNSボタンなどのサードパーティスクリプトは、自社で直接コントロールしづらい一方で、INPに大きな影響を与えることがあります。
まず、Chrome DevToolsの「ネットワーク」タブで、サードパーティドメインから読み込まれるリソースの数とサイズを確認しましょう。不要なスクリプトが残っていないか、重複して読み込まれているものがないかをチェックします。
効果的な対策としては、サードパーティスクリプトのdefer読み込みやasync読み込みの適用、ユーザーの操作やスクロールをトリガーにした遅延読み込みの導入が挙げられます。たとえば、チャットウィジェットをページ読み込み時ではなく、ユーザーが一定時間滞在した後に初めて読み込む実装にすることで、初期の応答性を改善できます。
また、Google Tag Manager(GTM)を使用している場合は、GTM内のタグのトリガー条件を見直し、ページ表示時にまとめて発火するタグを整理することでINPの改善が期待できます。具体的には、「ページビュー」トリガーで一斉に発火しているタグを、「DOM Ready」や「ウィンドウの読み込み」トリガーに変更する、あるいはカスタムイベントトリガーでユーザーの操作に応じて段階的に発火させるなどの工夫が有効です。
INPの改善においては、「どのスクリプトがどれだけメインスレッドを占有しているか」を可視化することが第一歩です。Chrome DevToolsのパフォーマンスタブで記録を取り、ボトルネックとなっているスクリプトを特定してから対策に入ることで、効率的に改善を進められます。
メインスレッドの負荷軽減
ブラウザのメインスレッドは、JavaScriptの実行だけでなく、レイアウト計算やペイント処理など多くの作業を担っています。メインスレッドの負荷が高い状態では、ユーザーの操作に対する応答が遅れるため、負荷を分散させる工夫が必要です。
Web Workerを活用すると、重い計算処理をメインスレッドとは別のスレッドで実行できます。データの変換処理や複雑な計算ロジックなど、UIの更新を伴わない処理はWeb Workerに移行することで、メインスレッドの空き時間を確保できます。
イベントハンドラの最適化も重要なポイントです。スクロールイベントやリサイズイベントに重い処理を紐づけている場合、requestAnimationFrameやdebounce/throttle関数を使って実行頻度を制御しましょう。
requestIdleCallbackを利用すると、ブラウザがアイドル状態のときにのみ処理を実行するよう指定できます。緊急度の低い処理(アナリティクスデータの送信など)をrequestIdleCallbackで実行することで、ユーザー操作への応答に影響を与えずにバックグラウンド処理を進められます。
CLS(視覚的安定性)の改善方法

CLS(Cumulative Layout Shift)は、ページの読み込み中や操作中に発生するレイアウトのずれ(レイアウトシフト)の度合いを計測する指標です。目標値は0.1以下です。レイアウトシフトが頻繁に起きると、ユーザーが意図しないリンクやボタンをクリックしてしまう原因になります。
このセクションでは、以下のCLS改善施策を解説します。
- 画像・動画へのサイズ属性(width/height)の指定
- 広告・埋め込みコンテンツの領域確保
- Webフォントの読み込み最適化
画像・動画へのサイズ属性(width/height)の指定
CLSが発生する代表的な原因のひとつが、画像や動画にwidth属性とheight属性が指定されていないケースです。サイズ属性がない場合、ブラウザは画像の読み込みが完了するまでレイアウト上のスペースを確保できず、画像が表示された瞬間に周囲のコンテンツが押し下げられるレイアウトシフトが発生します。
対策は明確で、HTMLのimg要素にwidth属性とheight属性を記述することです。この属性が指定されていれば、ブラウザは画像の縦横比を事前に計算し、読み込み前にスペースを確保できます。
<img src="image.webp" width="800" height="450" alt="説明テキスト" loading="lazy">
レスポンシブデザインで画像のサイズを可変にしている場合でも、width/height属性は指定してください。CSSでwidthやmax-widthを親要素の幅に合わせる指定をしていれば、ブラウザはwidth/height属性から縦横比を自動計算してスペースを確保します。CSSのaspect-ratioプロパティを併用すれば、より安定的に領域を予約できます。
広告・埋め込みコンテンツの領域確保
広告バナーやYouTubeの埋め込み動画、SNSの埋め込みウィジェットなど、外部から読み込まれるコンテンツは、読み込みタイミングが遅れることでレイアウトシフトの原因になります。
対策として、広告枠や埋め込みコンテンツの表示領域にあらかじめ固定のサイズ(min-heightやmin-width)をCSSで指定しておく方法が効果的です。広告が読み込まれる前から領域が確保されていれば、表示後のレイアウトシフトを防止できます。
広告ネットワークを利用している場合は、広告のサイズが事前に分かるケースも多いため、そのサイズに合わせたコンテナ要素を用意しておきましょう。広告サイズが不定の場合は、最も一般的なサイズでmin-heightを設定し、大きめのスペースを確保しておくことで、シフトの影響を最小限に抑えられます。
動的に挿入されるコンテンツ(ポップアップ、バナー、Cookie同意バーなど)は、既存のコンテンツを押し下げない位置(画面上部の固定領域やオーバーレイ)に配置することもCLS対策として有効です。
特にモバイル環境では、画面が狭いぶん広告や動的要素によるレイアウトシフトの影響がPC以上に顕著になります。モバイルでのCLSスコアが悪化している場合は、モバイル画面での広告表示サイズや挿入位置を重点的に見直してください。
Webフォントの読み込み最適化
カスタムWebフォントを使用している場合、フォントの読み込みが完了するまでテキストが表示されない「FOIT(Flash of Invisible Text)」や、システムフォントからWebフォントに切り替わる際のテキストの再描画「FOUT(Flash of Unstyled Text)」がCLSの原因となることがあります。
代表的な対策として、CSSのfont-displayプロパティにswapを指定する方法があります。font-display: swapを設定すると、Webフォントの読み込みが完了するまでシステムフォントでテキストを表示し、読み込み完了後にWebフォントに切り替わります。テキストが非表示になるFOITを防止できますが、フォントの切り替え時に多少のレイアウトシフトが発生する可能性があります。
この影響をさらに軽減するには、フォントファイルのプリロードが有効です。HTMLのhead要素にlink rel=”preload”を記述し、フォントの読み込みを早期に開始させます。フォントファイル自体のサイズが大きい場合は、使用する文字のみを含むサブセット化を行うことで、読み込み時間を短縮できます。
Google Fontsを使用している場合は、font-display: swapがデフォルトで適用されるURLパラメータ(&display=swap)が利用可能です。
CMS別のコアウェブバイタル改善のポイント

コアウェブバイタルの改善方法は、使用しているCMS(コンテンツ管理システム)によって具体的な実装手段が異なります。ここでは、日本で利用シェアの高いWordPressと、ECサイトで広く使われるShopifyの改善ポイントを中心に解説します。
このセクションでは、以下の内容を紹介します。
- WordPressでの改善施策と推奨プラグイン
- Shopify・その他CMSでの改善施策
WordPressでの改善施策
WordPressはプラグインの豊富さが強みですが、プラグインの過剰なインストールがパフォーマンス低下の主因にもなります。まず不要なプラグインを削除し、使用するプラグインを最小限に絞ることが改善の第一歩です。
以下に、コアウェブバイタル改善に役立つ主要なWordPressプラグインを整理します。
| カテゴリ | プラグイン名 | 主な機能 |
|---|---|---|
| キャッシュ | WP Rocket | ページキャッシュ、CSS/JS最適化、遅延読み込み |
| キャッシュ | W3 Total Cache | ページキャッシュ、ブラウザキャッシュ、CDN連携 |
| 画像最適化 | Smush | 画像圧縮、遅延読み込み、WebP変換 |
| 画像最適化 | ShortPixel | 画像圧縮、WebP/AVIF変換 |
| JS/CSS最適化 | Autoptimize | CSS/JSの結合・圧縮・遅延読み込み |
テーマの選定もパフォーマンスに大きく影響します。高速・軽量で知られるテーマ(Astra、GeneratePress、SWELLなど)を選ぶことで、テーマ側の不要なCSSやJavaScriptを減らし、コアウェブバイタルの改善につなげられます。
筆者の経験上、WordPressサイトのLCP悪化は「未最適化の画像」と「プラグインの過剰読み込み」が原因であるケースが多い印象です。技術的に高度な対策に入る前に、この2点を重点的に見直すことで改善につながることも少なくありません。
Shopify・その他CMSでの改善施策
Shopifyは、プラットフォーム側で基本的なパフォーマンス最適化(CDN配信、画像の自動最適化など)が行われているため、WordPressほど自由度が高くない代わりに、ベースラインのパフォーマンスは安定しています。
Shopifyで特に注意すべきは、インストール済みアプリの影響です。各アプリは独自のJavaScriptやCSSを読み込むため、不要なアプリを削除するだけでLCPやINPが改善することがあります。アプリをアンインストールしても、テーマ内にスクリプトが残存しているケースがあるため、テーマのコードエディタで残骸がないか確認することをおすすめします。
Liquidテンプレートの最適化も効果的です。テンプレート内でのforループの回数削減や、不要なセクションの非表示化、画像タグへのloading=”lazy”属性の追加などが具体的な施策となります。
Shopifyでは商品画像が多数掲載されるケースが一般的です。コレクションページや商品一覧ページでは、画像のサイズを統一し、ファーストビュー外の画像にはloading=”lazy”を設定することでLCPの改善効果が得られます。また、Shopifyの管理画面で「速度レポート」を確認すると、テーマやアプリがページ速度に与えている影響をスコア形式で把握できるため、定期的にチェックする習慣をつけましょう。
その他のCMS(Wix、Jimdo、STUDIOなど)を使用している場合は、CMSの管理画面上でできる範囲の画像最適化やフォントの見直しを行いつつ、プラットフォーム側のパフォーマンスアップデートにも注目しておきましょう。CMS自体の制約でフロントエンドの最適化が難しい場合は、CDNの導入やサーバーサイドでの対策を検討します。
よくある質問(FAQ)

- コアウェブバイタルの改善だけでSEO順位は上がりますか?
-
コアウェブバイタルの改善だけで順位が大幅に上がることは、一般的には期待しにくいです。Googleはコンテンツの質を最優先のランキング要因としており、コアウェブバイタルはあくまで補助的な評価指標と位置づけられています。ただし、検索結果で競合サイトとコンテンツ品質が同程度の場合には、コアウェブバイタルのスコアが順位の差を生む要因になり得ます。また、コアウェブバイタルを改善することで直帰率やページ滞在時間などのユーザー行動指標が向上し、それが間接的にSEO評価にプラスの影響を与えるケースもあります。コンテンツの質の向上とコアウェブバイタルの改善を並行して進めることが、SEO成果を最大化するアプローチです。
- コアウェブバイタルのスコアはモバイルとPCで異なりますか?
-
異なります。モバイルとPCでは端末のスペック、ネットワーク速度、画面サイズが違うため、同じページでもスコアに差が生じます。一般的に、モバイルのほうがスコアが厳しくなる傾向があります。スマートフォンはPCに比べてCPU性能が低く、モバイル回線では通信速度が不安定になることが多いためです。Googleはモバイルファーストインデックスを採用しているため、特にモバイルでのスコア改善を優先することを推奨します。
- コアウェブバイタルの改善にはどのくらいの期間がかかりますか?
-
施策の実施自体は数日から数週間で完了するケースが多いですが、フィールドデータへの反映には通常28日程度かかります。フィールドデータはChromeユーザーの過去28日間の実データを集計しているため、改善施策を実施しても即座にスコアに反映されるわけではありません。改善の即時確認にはPageSpeed Insightsのラボデータを活用し、フィールドデータは中長期的なモニタリングとして位置づけるのが実践的です。
- FIDはもう対策しなくてよいのですか?
-
FID(First Input Delay)は2024年3月12日をもってコアウェブバイタルの指標から外れ、INPに置き換えられました。そのため、現在のSEO評価においてFIDを個別に対策する必要はありません。ただし、FIDの改善に有効だった施策(JavaScriptの最適化やサーバー応答時間の短縮など)はINPの改善にも共通して有効です。これまでFID対策として実施してきた取り組みは無駄にはならず、INPの改善にそのまま活かせます。
まとめ:コアウェブバイタルの改善でユーザー体験とSEO評価を同時に高めよう
コアウェブバイタルの改善方法について、3つの指標(LCP・INP・CLS)の基礎知識から、確認ツールの使い方、優先順位のつけ方、指標別の具体的な改善施策、CMS別の対応ポイントまでを解説しました。
改善のポイントを振り返ると、まずサーチコンソールとPageSpeed Insightsで現状を把握し、影響範囲が大きい問題から優先的に対処することが大切です。LCPは画像の最適化とサーバー応答時間の短縮、CLSはサイズ属性の指定と広告領域の確保、INPはJavaScriptの最適化が改善の中心施策となります。
コアウェブバイタルの改善は一度実施すれば終わりではなく、新しいページの追加やサイトの機能変更のたびにスコアが変動する可能性があります。そのため、サーチコンソールのレポートを定期的に確認し、問題が発生した際に速やかに対処できる運用体制を整えておくことが理想的です。
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