時代小説や家族愛を描いた小説など、数々の小説を生みだした人気作家「浅田次郎」。映像化された作品も多く、日本を代表する作家の一人です。
この記事では、浅田次郎のおすすめ作品10選を紹介するほか、来歴や作品の魅力にも迫ります。ぜひ最後までご覧ください。
目次
作家・浅田次郎の来歴
浅田次郎は1951年東京都生まれの作家です。高校卒業後は自衛隊に入隊し、その後アパレル会社での営業や自営業を経験しました。幼少期から小説への情熱を持ち続け、仕事の傍ら執筆活動を続け、40歳でデビューを果たします。
1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞を受賞後、『鉄道員』で直木賞、『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞など、数々の文学賞を受賞しました。2015年には「蒼穹の昴シリーズ」などの功績により紫綬褒章を受章しています。
浅田次郎作品の魅力
「小説の大衆食堂」を自称し、「平成の泣かせ屋」として知られる浅田次郎。くすっと笑えるストーリーや人情味あふれる作風が特徴です。自衛隊での経験を活かした『歩兵の本領』や、武家の血を引く自身のルーツから着想を得た『壬生義士伝』などの時代小説も手掛けています。
生粋の東京人として新宿を舞台にした作品も多いものの、過去を振り捨てて発展する東京の在り方には疑問を抱いている作品も。アウトローな人物たちをユーモアとペーソスを交えながら肯定的に描くのも、人気の秘密かもしれません。
浅田次郎のおすすめ小説10選
数多くの作品の中から、とっておきの10作品を紹介していきます。
『壬生義士伝』
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主人公の吉村貫一郎は、盛岡南部藩の脱藩浪士で新選組隊士。妻子への仕送りのために守銭奴と呼ばれながらも、飢えた人には握り飯を施す人情味あふれる男でした。”浅田次郎版新撰組”と呼ばれ、日本人の「義」を問いかける作品として、時代小説ファン以外にも支持されています。
浅田次郎の時代小説デビュー作です。2000年に柴田錬三郎賞を受賞し、後にドラマ化・映画化もされました。
『蒼穹の昴』
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極貧の少年・春児は、占い師から天下の財宝を手中にするという予言を受けます。科挙試験のために上京する幼なじみの地主の息子・文秀に同行し、それぞれの道を歩み始めます。
続編に『珍妃の井戸』『中原の虹』などがあり、シリーズ累計450万部を突破した人気作品で、中国史ファンにも支持されています。『蒼穹の昴シリーズ』の第1巻で、日中合同でドラマ化もされた歴史小説です。
『お腹召しませ』
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表題作では、婿養子に公金を持ち出された高津又兵衛が、お家を守るため切腹を求められる姿を描きます。武士の本義が薄れゆく幕末期、仕事と家庭と世の中の狭間で苦悩する又兵衛を通して、男としての生き方を問い直す物語。笑いと涙を交えながら侍たちの葛藤を描いた、男女問わず楽しめる作品です。
司馬遼太郎賞と中央公論文芸賞を受賞した時代小説短編集です。
『鉄道員(ぽっぽや)』
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かつて炭鉱の町として栄えた幌舞駅を舞台に、愛する娘と妻を失いながらも駅長として職務を全うし続けた男に訪れる奇跡を描いています。『ラブ・レター』『角筈にて』など全8作品を収録した短編集で、心温まる人情味あふれる物語が詰まっています。
第117回直木賞を受賞した短編集で、表題作『鉄道員』は映画化・コミック化された人気作品です。
『終わらざる夏』
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1945年の敗戦間近、沖縄陥落後の本土決戦に向けた動員計画の中、45歳の片岡ら3人の男たちに召集令状が届きます。アメリカ移住の夢を抱いていた片岡とその家族を軸に、日本とソ連の兵士たち、そして市民の姿を通して、終戦直後の知られざる戦いと戦争の理不尽さを描いた歴史小説です。
戦争をテーマとした長編小説で、第64回毎日出版文化賞を受賞しました。
『プリズンホテル』
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極道小説の売れっ子作家・木戸孝之介の身内であるヤクザの親分・仲蔵が、任侠団体専用の温泉リゾートホテルのオーナーとなることから物語は始まります。「プリズンホテル」と呼ばれる特殊な施設を舞台に、奇妙な人々の人間模様を笑いと涙を交えて描いた作品で、四季をテーマにしたシリーズ作品も展開されています。
『プリズンホテルシリーズ』の第1作目となる任侠小説です。
『一路』
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文久2年、江戸で育った小野寺一路は、失火で父を亡くし、急遽西美濃田名部郡の供頭を継ぐことになります。7500石の交代寄合表御礼衆・蒔坂左京大夫の参勤交代を取り仕切る重責を担うものの、経験も知識もない一路は、230年前の古文書から古式の作法を復活させようと試みます。
第3回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞作品です。
『地下鉄に乗って』
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主人公の真次は永田町の地下鉄駅で30年前の世界にタイムスリップし、自殺した兄の命日に戻ります。懐かしい街並みの中で兄の姿を見つけた真次は、兄の運命を変えようと決意します。
吉川英治文学新人賞受賞作で、映画化・舞台化もされた人気ファンタジー小説。地下鉄を舞台に、人生の奇跡に触れる心温まるストーリーで、鉄道ファンにも支持されている作品です。
『椿山課長の七日間』
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主人公の椿山和昭は、突如あの世の入り口で目覚めます。7日間の期限付きで美女の姿となって現世に戻る機会を得ますが、復讐の禁止や正体を明かさないことなどの条件付き。遺された想いを果たすため奮闘する姿を、ユーモアを交えながら描いた作品です。
2006年に映画化、2009年にドラマ化された、死後の世界を描いたファンタジー小説です。
『夕映え天使』
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さびれた商店街にある父子二人の中華料理店を舞台に、突如現れた純子という女性が残した儚い思い出を描く表題作「夕映え天使」をはじめ、6つの短編を収録した作品集です。日常の中に潜む特別な瞬間や、普通の一日に起きる心動かされる出来事を通して、人生のさまざまなドラマを温かな視点で描き出しています。
浅田次郎の世界に浸ってみては
浅田次郎の作品は、どれも人情味あふれ、心を動かされる感動的な物語です。さまざまなジャンルの作品があるので、手に取りやすいものから読んでみてはいかがでしょうか。浅田次郎の世界をぜひ楽しんでください。