近年世界的に注目を集めている韓国文学は日本でも多くの作品が翻訳され人気を博しています。『82年生まれ、キム・ジヨン』や『菜食主義者』など社会現象を起こした作品から絵本まで幅広いジャンルで楽しめます。
この記事では、韓国文学のおすすめ作品10選を見ていきましょう。
目次
韓国文学とは
韓国文学は社会問題や人間関係の機微を繊細に描き出す文学として世界で高い評価を受けています。2018年以降「K文学」として注目を集め多くの作品が各国語に翻訳されています。
まずは、韓国文学の特徴と魅力について見てきましょう。
特徴
韓国文学は現代社会が抱える問題を鋭く描写することで知られています。女性の社会進出や世代間格差などをテーマにした作品が多く社会への問題提起も含んでいます。また心理描写が緻密で登場人物の内面に深く切り込んでいくのも特徴です。
魅力
普遍的なテーマを扱いながらも独自の世界観で物語を展開する点が韓国文学の魅力です。フェミニズムやSFファンタジーなど多彩なジャンルの作品があり映像化される作品も増えています。また近年は短編集や絵本なども充実し初心者でも親しみやすい環境が整っています。
韓国文学の選び方とは
韓国文学はさまざまなジャンルや長さの作品があり選び方に迷うことも多いものです。ここでは、初めて韓国文学を読む方向けの効果的な作品の選び方について解説します。
ジャンルで選ぶ
韓国文学は社会派小説からファンタジー、ミステリー、恋愛小説まで幅広いジャンルがあります。フェミニズム文学として知られる『82年生まれ、キム・ジヨン』や心理サスペンスの『殺人者の記憶法』など興味のあるジャンルから選ぶと親しみやすいでしょう。絵本や児童書も充実しています。
人気作品や有名作品から選ぶ
世界的な文学賞を受賞した作品や映像化された作品から選ぶのも良い方法です。『菜食主義者』はマン・ブッカー賞を受賞し『アーモンド』は日本の本屋大賞翻訳小説部門で第1位に輝くなど評価の高い作品が目安になります。
長編か短編かで選ぶ
初めて韓国文学を読む方は短編集から始めるのがおすすめです。『フィフティ・ピープル』などの短編集は一編ずつ読みやすく世界観に慣れていけます。慣れてきたら『誘拐の日』などの長編小説に挑戦してみましょう。
入門者向け韓国文学おすすめ作品10選
韓国文学には小説から絵本まで幅広いジャンルの作品があり初心者でも楽しめる入門作が数多くあります。世界的な賞を受賞した名作から映像化された人気作品までさまざまな作品が日本語に翻訳されています。
ここでは、韓国文学を始めたい方におすすめの10作品を厳選して解説します。
82年生まれ、キム・ジヨン
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チョ・ナムジュによる、韓国で社会現象を巻き起こした代表的なフェミニズム小説です。
33歳の主婦キム・ジヨンが突如別人格のような症状を見せ始め精神科を受診するところから物語は始まります。女性の人生における不条理や差別を繊細に描き出し多くの共感を集めた作品として知られています。
フィフティ・ピープル
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チョン・セランが描く50人以上の登場人物が織りなす連作短編集です。
ある大学病院を舞台にさまざまな人生模様が絡み合いながら展開していく物語は読者を魅了します。韓国社会を多角的に描き出した意欵作として韓国日報文学賞を受賞しています。
殺人者の記憶法
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キム・ヨンハが手がけた認知症を患い始めた元連続殺人犯の物語です。
現在は獣医として平穏に暮らす主人公が別の殺人鬼と対峙することになる展開は緊迫感に満ちています。第4回日本翻訳大賞を受賞し映画化もされた人気作品です。
となりのヨンヒさん
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チョン・ソヨンによるSFの要素を取り入れながらマイノリティや差別の問題を描いた短編集です。
異星人や並行世界といった設定を通して現代社会の課題を浮き彫りにしています。独特な世界観とメッセージ性の高さが魅力的な作品集となっています。
菜食主義者
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ハン・ガンによる2016年にマン・ブッカー賞国際部門を受賞した韓国文学の代表作です。
夢をきっかけに菜食主義者となった女性を3つの視点から描く連作短編で人間の本質や狂気に迫る傑作として評価されています。
誘拐の日
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チョン・へヨンが描く娘の手術費用を稼ぐために誘拐を企てた男性が11歳の天才少女と出会うことから始まる物語です。
予期せぬ展開とともにミステリアスな要素も含んだ物語は緊張感とユーモアが絶妙なバランスで描かれています。
私は私のままで生きることにした
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キム・スヒョンによる日本でも大きな反響を呼んだベストセラーエッセイです。
生きづらさを感じている人々へ向けた70のメッセージが収録されており心温まる言葉と美しいイラストで読者を励まします。
アンダー、サンダー、テンダー
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チョン・セランが手がけた十代の頃を共に過ごした6人の物語を現在と過去を行き来しながら描く青春小説です。
群像劇としての完成度が高く心理描写も繊細な作品として評価されています。
ようこそ、ヒュナム洞書店へ
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ファン・ボルムによる小さな本屋を舞台に人々の交流を描いた心温まる物語です。
書店主と来店客たちの日常を通して人生の機微や希望を優しく描き出しています。本を愛する人におすすめの1冊です。
3人のママと3つのおべんとう
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クク・チスンが描いた子育てに奮闘する3人のママの物語を描いた絵本です。
幼稚園の遠足に向けておべんとう作りに励む様子を通して家族の絆や愛情を描き出しています。韓国の日常生活も垣間見える作品です。
韓国文学のおすすめ作品でK文学の世界へ
韓国文学は社会派からファンタジーまで幅広いジャンルで楽しめる魅力的な作品が揃っています。初めは短編集や絵本から始めて徐々に長編小説に挑戦するなど自分のペースで読み進めてみましょう。この記事で紹介した作品を入り口に豊かな韓国文学の世界を堪能してください。