ロシア文学の金字塔として知られるレフ・トルストイの作品は、時代を超えて多くの人に愛され続けています。しかし、内容が難しく、初めて読む人には少し敷居が高いと感じられるかもしれません。
本記事では、初心者でも読みやすいトルストイの作品を10作品厳選してご紹介します。
目次
トルストイとは
19世紀のロシア文学を代表する作家レフ・トルストイは、思想家としても大きな功績を残した人物です。彼の作品は現在も世界中で読み継がれており、初めてロシア文学に触れる人にとって、重要な存在です。
ここでは、トルストイの生涯と彼の残した影響力について解説します。
経歴
トルストイは1828年、ロシアのヤースナヤ・ポリャーナで地主貴族の四男として生まれました。カザン大学に入学しますが、遊興にふけり中退。その後、軍人として従軍し、この経験が後の作家活動に大きな影響を与えることになります。
1862年に結婚後、代表作『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』を執筆。晩年は思想家として、非暴力主義や原始キリスト教の考えを説きました。1910年、82歳で波乱の生涯を閉じるまで、創作活動と思想活動を続けました。
ロシア文学の魅力
ロシア文学は、人間の内面を深く掘り下げる心理描写と壮大なスケールで知られています。
19世紀から20世紀にかけて黄金期を迎え、トルストイやドストエフスキーといった世界的な作家を輩出しました。その特徴は、人間の心の機微を繊細に描き出す表現力、社会や人生の本質を探究する哲学的な深み、そして複雑な人間関係や社会構造を描く壮大な物語展開にあります。
読者は作品を通じて、普遍的な人間の真実に触れ、新たな視点や気づきを得られます。
トルストイのおすすめ小説10選
トルストイは長編小説から短編、童話まで多岐にわたる作品を残しました。前期は写実的な作品が多く、後期は宗教的・思想的な色彩が強い作品を手がけています。ここでは初めてトルストイに触れる人でも読みやすい10作品について解説します。
戦争と平和
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『戦争と平和』は、ナポレオン戦争を背景に、貴族の若者たちの成長と恋愛を壮大なスケールで描いた長編小説です。500人を超える登場人物が登場し、戦争という非常時における人間の在り方を深く掘り下げた作品です。
1869年に完成したこの作品は、ロシア貴族から農民まで、さまざまな立場の人々の生き様を描き、平和な日常と戦争という非日常を対比的に表現しています。全6巻という長さがありますが、物語は読者を飽きさせることなく展開します。
人生論
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『人生論』は、トルストイが人生の意味について深く考察した哲学的な作品です。1889年に発表されたこの作品では、人間の幸福とは何か、どのように生きるべきかという普遍的な問いについて考察しています。
理性を重視し、自己愛を捨て去ることで真の幸福に近づけるというトルストイの思想が色濃く反映され、現代を生きる私たちにも響く内容といえるでしょう。
イワン・イリッチの死
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『イワン・イリッチの死』は、平凡な官吏が不治の病に冒され、死と向き合う過程を描いた中編小説です。主人公が死を目前にして自分の人生を振り返り、その意味を問い直していく様子が克明に描かれた作品。
1886年に発表されたこの小説は、死という避けられない事実に向き合う人間の姿を通して、私たちに「どう生きるべきか」という問いを投げかけています。
アンナ・カレーニナ
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『アンナ・カレーニナ』は、1870年代に発表された恋愛小説の傑作です。既婚者のアンナが若い将校と恋に落ち、社会的な制約と情熱の間で苦悩する姿を描いた物語です。
この作品は、身分制度や宗教、当時の社会規範などが絡み合い、登場人物たちの心情が丁寧に描写されています。読者は作品を通じて、愛とは何か、幸せとは何かという深い問いを突きつけられるでしょう。
光あるうち光の中を歩め
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『光あるうち光の中を歩め』は、トルストイの思想が色濃く反映された小説です。古代ローマ帝国を舞台に、対照的な生き方を選んだ二人の若者の人生を通して、真の幸福とは何かを問いかけています。
1887年に発表されたこの物語は、物質的な豊かさを追求する生き方と精神的な充実を求める生き方を対比的に描いています。
復活
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『復活』は、トルストイ晩年の代表作として高い評価を受けている小説です。
貴族の青年が、かつて自分が誘惑し捨てた娼婦と再会することから物語は始まります。主人公が良心の呵責に苦しみながら、自己の過ちと向き合っていく過程を描き、人間の道徳的な復活をテーマに、社会の不正や人間の救済について深く考察した作品です。
イワンの馬鹿
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『イワンの馬鹿』は、トルストイが民話をもとに書いた物語です。純朴な農民イワンと、欲に目がくらんだ兄弟たちの対比を通して、本当の幸せとは何かを問いかけます。
悪魔の誘惑にも屈しない主人公の姿を通じて、物質的な豊かさよりも心の豊かさを大切にするトルストイの思想が表現された作品です。
幼年時代
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『幼年時代』は、トルストイの自伝的小説として1852年に発表されたデビュー作です。
貴族の子どもとして過ごした幼少期の思い出を生き生きと描いています。母との別れや、家族との絆、友との関わりなど、何気ない日常の描写を通して、作家としてのトルストイの原点を知ることが可能です。
人はなんで生きるか
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『人はなんで生きるか』は、トルストイ晩年の短編小説集に収められた代表的な作品です。
人間の生きる意味や目的について、宗教的な観点で書かれています。シンプルな物語の中に、愛や信仰、人生の意味について深い洞察が込められた作品です。
3びきのくま
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『3びきのくま』は、子ども向けの童話として親しまれている作品です。
森の中のくまの家に迷い込んだ少女の物語を通して、思いやりや知恵の大切さを説きます。トルストイの作品の中では比較的読みやすく、ロシア文学入門としても適した一冊です。
トルストイの作品でロシア文学の世界へ
トルストイの作品は、時代や国境を超えて多くの人々に読み継がれてきました。その理由は、人間の本質や生きることの意味を深く掘り下げながらも、読者の心に響く普遍的なテーマを扱っているからです。
初めてロシア文学に触れる人は、ここで紹介した作品から、ご自身の興味に合わせて読み始めてみてはいかがでしょうか。トルストイの世界は、きっと新しい発見と深い感動をもたらしてくれることでしょう。