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内田康夫のおすすめ作品10選とは?探偵役も紹介!
内田康夫の作品は人気が高く、いろいろな俳優が探偵役を務めてドラマ化されています。むごい殺人事件があっても、家族や仕事の関係者とほのぼのとした会話、各地の旅情あふれる光景でほっとするような気持ちになれるところが魅力です。本記事では、内田康夫のおすすめ作品を紹介します。
内田康夫のミステリーの特徴
内田康夫の作品の特徴はどのようなものでしょうか。ミステリーをさらに魅力的に見せる秘密をみていきましょう。
旅の風景の描写が巧み
内田康夫の作品では、取材や調査に向かった旅先の風景を細かく描写されています。小説を書く際に小説に書く地域をきめ細かく調べるということ。まるで読者自身がその地に行っているかのような気分になれます。1999年には、日本全国の都道府県を舞台にした作品を発行しました。
長野県や静岡県を題材にした作品も
作者は生前、長野県の軽井沢町に住んでいる期間が長く、記念館も作られています。長野県に愛着があり、舞台にした作品も多数みられますよ。また、第二次世界大戦中は沼津市に疎開。静岡県で発生した事件の作品も、長野県についで多く登場します。出身地の東京を舞台にした作品もありますよ。
探偵のキャラクターが印象的
主な探偵のシリーズを紹介します。どの探偵もそれぞれ不思議な魅力がありますよ。
浅見光彦…著作の多数を占める人気シリーズ。職業は旅行記事を得意とするフリーのルポライターです。事件が起こると最初は地元の警察に怪しまれます。兄が警視総監だと所轄刑事にわかると、途端に丁寧な態度に変えられるのがお決まりのパターン。浅見から事件の話を聞いた『軽井沢のセンセ』が小説に仕上げる形です。
母には優秀な兄と比べられ、頭が上がりません。良家のお坊ちゃんで鷹揚な性格。『軽井沢のセンセ』は作者本人がモデルです。
竹村岩男(信濃のコロンボ)…ダムのバラバラ殺人から始まる連続殺人事件を解決し、交番勤務から長野県警本部捜査一課の警部まで出世した優秀な人物。執念深く捜査し、しぶとく犯人を追い続ける姿を妻と部下達が見守っています。
信濃のコロンボというあだ名は、交番勤務から刑事になった時に買ったコートが由来。長年着用する姿がコロンボ(『刑事コロンボ』の主役)と似ていたからです。
岡部和雄…もともとは東京都所轄の警部補。バラバラ殺人事件で竹村岩男に協力要請されます。一緒に難事件を解決した功績により、警視庁の捜査一課の警部に出世。持ち前の推理力と洞察力を生かして事件を解決します。
初めて読む人にもおすすめ!内田康夫作品10選を紹介
内田康夫の作品、おすすめの10選を紹介します。テレビドラマや映画でおなじみかもしれませんね。
『天河伝説殺人事件』
探偵役は浅見光彦で、能の家の跡取りを巡る連続殺人事件。浅見は亡父の旧友から『伝統芸能の舞台と史跡を巡る旅』の記事作成の依頼を受けます。実は、父の友人は浅見の母に協力して、能の水上流(すいじょうりゅう)の令嬢と浅見の見合いの席を用意するつもりでいました。水上流の追善能で演者が変死。吉野で取材をした浅見は、令嬢と出会います。
『平家伝説殺人事件』
浅見光彦のシリーズで随一のヒロイン佐和が登場する事件。銀座のホステスの女性が、3年間で1億5千万円の報酬がもらえる仕事があると誘われ、稲田という男と偽装結婚するが、彼は船から転落死。また、仕事を持ちかけた男も2年後に事故死します。事件を調査する浅見は、高知にある平家が隠れ住んだ場所に。そこで出会った末裔の稲田佐和に惹かれて…。
『後鳥羽伝説殺人事件』
浅見祐子は友人と一緒に卒論の準備をするため、隠岐の後鳥羽上皇の経路を巡っていました。宿泊先の旅館で土砂崩れが発生し、祐子は絶命。友人はショックで記憶喪失の状態。8年後友人は祐子の鎮魂と自身の記憶を取り戻すため再度旅に出かけます。過去の事件の手がかりになる書籍を古書店で購入後、広島の三次駅構内で絞殺遺体で発見。連続殺人が起こる中、所轄の野上刑事は捜査のために上京し、祐子の兄の光彦と出会います。
『漂泊の楽人』
浅見光彦が詐欺組織に対して、復讐の感情を露わにした作品。浅見の友人が実家のある沼津の千本松原の海岸で溺死体となって発見。友人の妹の肇子が、兄から『自分が死んだら、手紙を渡してほしい』と頼まれ、浅見宛ての手紙を持って直接渡します。その留守中に母親が胸を刺されて死亡しました。浅見は彼女に協力を申し出、友人の無念を晴らそうとします。母のダイイングメッセージと遺品から、出身地の新潟に関係していることが判明します。
『死者の木霊』
本作は内田康夫のデビュー作で、初稿は自費出版とのこと。信濃のコロンボこと竹村岩男と東京の所轄の岡部和雄刑事がタッグと組む作品です。
長野県の松川ダムでバラバラ死体が発見。遺体を運んだかもしれないと東京のタクシー運転手が申し出ます。東京の岡部刑事は客を乗せた住所地で血まみれの室内を発見。被害者をバラバラにし、借金を抱えた甥夫婦が心中したと見え、解決の兆しを見せます。しかし、長野の竹村刑事は納得できずに捜査を進めます。
『「萩原朔太郎」の亡霊』
警視庁捜査一課に異動した岡部和雄警部が探偵役。詩の内容を遺体で表現した見立て殺人ものです。(小説中に一部グロテスクな表現があります。)
東京都の畑で萩原朔太郎の詩をイメージさせる死体が発見。元刑事は30年前に群馬県で起こった殺人と似ていることに気づきます。岡部警部も過去の事件と酷似することに注目。関連している部分に目を向けて捜査をします。そのうち、神奈川県内のゴルフ場で、また萩原朔太郎の作品を連想させる首吊りの遺体が発見され…。
『追分殺人事件』
長野の竹村警部、東京の岡部警部が協力して解決する事件。追分は、道の分岐を表す言葉です。
長野の信濃追分の土産物店の前。冬の夜に紛れて、店主の女性が見知らぬ男性の遺体を発見。竹村警部が捜査を始めます。同時期に東京の本郷追分と呼ばれた場所、『八百屋お七のお墓』で同じく男性の遺体が置かれていました。追分がキーワードとなり、竹村と岡部は捜査を進めると、被害者の2人は北海道の夕張炭鉱で働いていたということが判明。二人の警部は北海道に急行します。
『軽井沢殺人事件』
竹村警部と浅見光彦コラボした作品ですが、浅見光彦がメイン(女性の相手役はなし)です。ただし、2人のからみは少なく、推理対決という感じはしないかもしれません。
詐欺商法で有名になった会社の幹部社員の男性が、南青山で交通事故死しました。ダイイングメッセージに『ホトケノオデコ』、女性の名士が残されます。その女性は現在政界に大きな力を持つ実力者と妻となっています。同時期に、公安部員が軽井沢大橋で亡くなりました。どうやら40年くらい前に起きた事件が関係している様子で…。
『白鳥殺人事件』
実際にあった、製菓会社を巡る未解決の事件をモチーフにした小説。丁寧に事件を追って解いていく浅見の姿勢を好む人もいます。
製菓業界紙の社長が刺殺され、新潟のホテルで『白鳥の』と書かれた血文字のダイイングメッセージが残されていました。死体の発見者は浅見。宿泊先で怪しい人物がいましたが、静岡県熱海で溺死体となり発見。メッセージは瓢湖にいる白鳥か、特急の名前なのかわからない中、浅見は推理を展開します。
『高千穂伝説殺人事件』
バイオリニストの令嬢の千恵子との見合いを兼ねて、彼女の父からコンサートに誘われた浅見光彦。父親は留守電になぞの言葉を残して失踪します。千恵子は浅見に助力を求めて、伝言のあった宮崎県の高千穂峡に向かいました。宮崎で殺人事件に巻き込まれ、兄の協力で開放される浅見。失踪には大きな犯罪が隠されているようです。
内田康夫作品のおすすめポイント!旅と探偵の描写が見事!
内田康夫の小説はミステリーと旅情を楽しみたい人におすすめです。綿密に取材され、頭の中に映像が描けるほどの旅の情景が浮かんでくるのも魅力。各地域を自分が旅に出ているような気持ちになれます。軽やかな作風を楽しむなら浅見光彦シリーズ、骨太で地道に足で捜査をするのが好みなら、信濃のコロンボシリーズがおすすめです。