国内外で高く支持され、日本を代表する作家のひとりである平野啓一郎さん。京都大学在学中に当時最年少で芥川賞を受賞し、以後多くの名著を発表し続けています。
この記事では、平野啓一郎さんのおすすめ作品を紹介します。初めて読む方向けに選書のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
平野啓一郎とは?
平野啓一郎さんは、1975年愛知県生まれの作家です。北九州市で幼少期を過ごしたのち、京都大学法学部在学中に「日蝕」で芥川賞を受賞しました。以来、作品ごとに多彩なスタイルを見せ、デビューから現在に至るまで国内外で高く評価されています。美術や音楽にも精通しており、日本経済新聞の「アートレビュー」欄を担当するなど、幅広いジャンルで執筆活動を行っている作家です。
平野啓一郎作品の選び方
平野啓一郎さんの作品の選び方を紹介します。
受賞歴のある作品から選ぶ
読む順番に迷ったときは、受賞歴のある代表作品から選んでみましょう。平野啓一郎さんの作風に触れることができます。
1999年「日蝕」芥川龍之介賞
2009年「決壊」芸術選奨文部科学大臣新人賞
2009年「ドーン」Bunkamuraドゥマゴ文学賞
2017年「マチネの終わりに」渡辺淳一文学賞
2018年「ある男」読売文学賞
2023年「三島由紀夫論」小林秀雄賞
興味のあるジャンルで選ぶ
社会派小説や恋愛小説、近未来小説など、幅広いジャンルを手掛ける平野啓一郎さん。興味のあるジャンルから選書してみてはいかがでしょうか。作品テーマの他にも、長編や短編、エッセイなどといった選び方もおすすめです。まずは自分の読みやすそうな作品を手に取ってみてください。
平野啓一郎のおすすめ作品
平野啓一郎さんのおすすめ作品を紹介します。
マチネの終わりに
リンク
累計60万部超のロングセラー作品です。2017年に渡辺淳一文学賞を受賞、2019年には映画化され、大ヒットを記録しました。
出会ってすぐに強く惹かれあった、天才ギタリストの蒔野とジャーナリストの洋子。しかし、洋子には婚約者がいて、やがて蒔野はスランプに。東京、ニューヨーク、パリなどさまざまな都市を舞台に、二人の男女の物語が繰り広げられていきます。
40代という成熟した大人の恋愛模様が描かれている本作。美しく深いテーマ性で、多くの読者を魅了しました。平野啓一郎さんの作品を初めて読む方にもおすすめ。
日蝕 一月物語
リンク
1998年に刊行されたデビュー作品「日蝕」と、続いて発表された「一月物語」が収録された1冊です。23歳という若さで書き上げた「日蝕」は、発表翌年に当時の最年少で芥川賞を受賞しました。
15世紀末のフランスを舞台に、神学僧の聖性体験を描き出した「日蝕」。続く「一月物語」は明治30年、自由民権運動に挫折した青年を主人公とした作品です。一匹の美しい蝶に誘われた先で、夢と現との狭間のような耽美的な体験を描いています。
発表当時、「三島由紀夫の再来」と世間を騒がせた本作。平野啓一郎さんの原点を感じたい方は、ぜひご一読ください。
ある男
リンク
2019年に読売文学賞を受賞した作品です。2022年に映画化され、話題となりました。
バツイチで故郷に帰り、そこで再婚した里枝。しかし、事故で命を落とした夫「大祐」が別人だったことを知り、弁護士の城戸に相談することに。夫婦として共に過ごした「大祐」は何者だったのか、「ある男」の過去に迫ります。
出自や差別、偏見といった重いテーマを含んでいながら、登場人物たちの心情を丁寧に綴った本作。物語に没入したい方におすすめの作品です。
三島由紀夫論
リンク
小林秀雄賞を受賞した作品です。
平野啓一郎さんがもっとも大きな影響を受けた作家のひとりである三島由紀夫の思想を、四部構成で解き明かした作品論です。構想と執筆に23年の期間を費やし、詳細な分析が為されています。三島由紀夫の作品に触れていない方も読んでほしい渾身の作品。三島由紀夫の作品や人生を深く掘り下げた、読み応えのある一冊です。
ドーン
リンク
2009年にBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞し、話題となった作品です。
舞台は2036年の近未来、アメリカで人類初の有人火星探査が成功。宇宙飛行士である佐野は英雄と称賛されますが、ミッション中の「ある出来事」がスキャンダルとなり、アメリカ大統領選に大きな影響を与えることに。未来予測や社会問題がテーマとなる壮大な物語です。SF作品を読みたい方におすすめの作品です。
決壊
リンク
2008年に刊行された長編小説です。
沢野良介はネットの日記に家族への不信感を表し、兄・崇との関係が悪化してしまいます。やがて良介は大阪出張後に行方不明になり、バラバラ遺体で発見。兄の崇に容疑がかかりますが、真犯人は意外な人物で─…。インターネット時代の危険性と家族の崩壊を描いていた衝撃作です。
「カッコいい」とは何か
リンク
表題のとおり、「カッコいい」とは何かをひたすらに追及している作品です。「カッコいい」を考えることで、現代社会の文化や価値観を深く考察しています。歴史的背景や社会構造に着目し、ジャズや映画、文学などの視点から本質を紐解いている本作。読みやすい文体で、エッセイ的な要素も含んでいるおすすめの作品です。
平野啓一郎の作品からお気に入りの一冊を見つけよう
平野啓一郎さんは、国内外で活躍する作家のひとりです。さまざまなジャンルの作品を執筆しているので、興味のある作品から手に取ってみてください。初めて読む方は受賞作品がおすすめです。ぜひご一読ください。