今村翔吾のおすすめ作品10選|直木賞受賞作と読む順番を刊行年つきで紹介

今村翔吾おすすめ作品10選!歴史小説の新鋭が描く感動の物語
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今村翔吾の代表作は、第166回直木三十五賞を受けた『塞王の楯』(2021年10月・集英社)です。デビュー作は江戸の火消を描いた『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(2017年3月・祥伝社文庫)で、シリーズ作品と単発の長編を並行して書き続けています。

この記事では、今村翔吾のおすすめ作品10冊を刊行年・出版社・扱う時代つきで紹介します。文庫で始まるシリーズも多いので、最初の1冊の選び方も目的別に整理しました。

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目次

今村翔吾とは|1984年生まれ・直木賞作家で書店経営者でもある小説家

今村翔吾とは

今村翔吾(いまむら しょうご)は、1984年6月18日生まれ・京都府木津川市(旧・相楽郡加茂町)出身の小説家です。ダンスインストラクターや作曲家、滋賀県守山市の埋蔵文化財調査員を経て、2017年に『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビューし、2018年から専業作家になりました。

2022年1月に『塞王の楯』で第166回直木三十五賞を受賞しています。作家業と並行して書店経営にも取り組んでおり、2021年に大阪・箕面の「きのしたブックセンター」、2023年に「佐賀之書店」を引き継いで運営しています。

今村翔吾の受賞歴一覧

対象作
2018年第10回 角川春樹小説賞『童の神』
2020年第41回 吉川英治文学新人賞『八本目の槍』
2020年第11回 山田風太郎賞『じんかん』
2021年第6回 吉川英治文庫賞『羽州ぼろ鳶組』シリーズ
2022年第166回 直木三十五賞『塞王の楯』

今村翔吾の作品が読みやすい3つの理由

今村翔吾の魅力

歴史小説と聞いて身構える人でも入りやすいのは、次の3点が理由です。

  • 無名の人物を主役にする…石垣職人、火消、先住民の少年など、教科書に出てこない立場から時代を描く
  • 古語を使いすぎない…時代の空気は残しつつ、会話は現代の読者が引っかからない語彙でそろえている
  • 文庫から始められる…『火喰鳥』『くらまし屋稼業』『イクサガミ』は文庫書き下ろしで、1冊目の負担が軽い

戦国武将の名前を追う従来型の歴史小説とは入口が違います。司馬遼太郎のおすすめ作品のような大河型を読んでから今村作品に来ると、同じ時代でも視点の置き方がまるで違うことがわかります。

今村翔吾のおすすめ作品10選

今村翔吾おすすめ作品10選

戦国・江戸・平安・明治と、扱う時代を散らして10冊を選びました。まず一覧で刊行年と系統を確認してください。

作品刊行年・出版社時代・系統
『塞王の楯』2021年10月・集英社戦国/直木賞受賞作
『イクサガミ 天』2022年2月・講談社文庫明治/サバイバル
『イクサガミ 地』2023年5月・講談社文庫明治/シリーズ第2作
『じんかん』2020年5月・講談社戦国/松永久秀
『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』2017年3月・祥伝社文庫江戸/シリーズ第1作(デビュー作)
『八本目の槍』2019年7月・新潮社戦国/連作短篇集
『幸村を討て』2022年3月・中央公論新社戦国/大坂の陣
『くらまし屋稼業』2018年7月・ハルキ文庫江戸/シリーズ第1作
『童の神』2018年10月・角川春樹事務所平安/角川春樹小説賞受賞作
『教養としての歴史小説』2023年8月・ダイヤモンド社新書/小説ではない

『塞王の楯』(2021年10月・集英社)

『塞王の楯』は第166回直木三十五賞を受賞した今村翔吾の代表作です。戦国時代末期、石垣を積む職人集団「穴太衆(あのうしゅう)」の若き匡介が主人公です。

幼いころに戦で家族を失った匡介は、師の飛田源斎のもとで腕を磨き、どんな攻めにも崩れない「最強の楯」を築けば戦は終わると信じます。対するのは鉄砲職人集団「国友衆」の彦九郎で、こちらは誰も敵わない「至高の矛」があれば戦は起きないと考えます。二人の信念は大津城で正面からぶつかります。

職人の技術論がそのまま思想の対決になっている構成で、合戦シーンより石を積む場面のほうが緊張します。今村作品を1冊だけ読むならここが基準になります。

『イクサガミ 天』(2022年2月・講談社文庫)

『イクサガミ 天』は、明治11年(1878年)を舞台にしたサバイバル時代小説で、三部作の第1作です。2025年11月13日にはNetflixシリーズ「イクサガミ」(英題 Last Samurai Standing)として全6話が世界配信され、岡田准一が主演しました。

京都・天龍寺に「武技に優れた者に金十万円を得る機会を与える」という怪文書がまかれ、腕自慢の292人が集まります。告げられたのは「こどく」という遊びと7つの掟。参加者は木札を奪い合いながら東海道を東へ進み、東京を目指します。

主人公の剣客・嵯峨愁二郎は、戦いを知らない少女・双葉を守りながら進むことになります。章ごとに強敵が現れる構成で、歴史小説というよりアクション小説の速度で読めます。

『イクサガミ 地』(2023年5月・講談社文庫)

『イクサガミ 地』は三部作の第2作です。「こどく」は東海道の半ばに差しかかり、参加者は大きく減っています。

同行していた双葉が連れ去られ、嵯峨愁二郎は自分の過去と向き合わざるを得なくなります。あわせて、この遊戯を仕組んだ側の意図が少しずつ見え始めます。

『天』が個々の戦いの連続だったのに対し、『地』は背後の構図が動きます。三部作は『イクサガミ 人』(2024年11月・講談社文庫)で完結するので、まとめて読むのが向いています。

『じんかん』(2020年5月・講談社)

『じんかん』は戦国武将・松永久秀の生涯を描いた長編で、第11回山田風太郎賞を受賞しました。

主家を乗っ取り、将軍を殺し、東大寺大仏殿を焼いた——そう語り継がれてきた久秀が、なぜその道を選んだのか。織田信長が小姓の狩野又九郎に語り聞かせる形で物語が進みます。

「悪人」の側から時代を見直す構成で、読み終えると久秀の評価がひっくり返ります。人が人を裁くことの危うさが主題になっている一冊です。

『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(2017年3月・祥伝社文庫)

『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』は今村翔吾のデビュー作で、江戸の火消を描いたシリーズの第1作です。シリーズは2021年に第6回吉川英治文庫賞を受賞しました。

「火喰鳥」と呼ばれた江戸随一の火消・松永源吾は、5年前の火事を境に職を離れ、妻と貧しく暮らしていました。そこへ、壊滅状態の新庄藩火消組織を建て直してほしいという依頼が届きます。

予算も人手も足りないなかで寄せ集めの「ぼろ鳶組」を作り、連続放火と大火に立ち向かう話です。1冊が短く文庫なので、今村作品の入口としてはいちばん軽い1冊です。

『八本目の槍』(2019年7月・新潮社)

『八本目の槍』は第41回吉川英治文学新人賞を受賞した連作短篇集です。賤ヶ岳の戦いで名を上げた豊臣秀吉子飼いの七人、いわゆる「賤ヶ岳七本槍」を各篇の主人公にしています。

福島正則や加藤清正ら七人が、それぞれの立場から同じ一人の男を語ります。その男が、同じく秀吉の子飼いだった石田三成です。書名の「八本目の槍」は三成を指しています。

七つの視点が重なるにつれ、関ヶ原で敗れた「嫌われ者」の像が別のものに変わっていきます。連作短篇なので1篇ずつ読み進められ、長編が重い人にも向いています。

『幸村を討て』(2022年3月・中央公論新社)

『幸村を討て』は、大坂の陣を題材にした歴史ミステリーです。

真田信繁(幸村)は家康をあと一歩まで追い詰めながら、なぜ討ち取らなかったのか。徳川方・豊臣方それぞれの武将の視点が入れ替わりながら、「幸村を討て」という声が各所から上がる理由が明らかになっていきます。

合戦小説の形を借りた謎解きで、終盤で構図が反転します。真田一族の物語として読んでも、家をめぐる人間ドラマとして読んでも成立します。

『くらまし屋稼業』(2018年7月・ハルキ文庫)

『くらまし屋稼業』は、江戸で人や物を「くらます(消す)」ことを生業にする裏稼業を描いたシリーズの第1作です。

訳あって町から姿を消したい人を、高額の報酬と引き換えに逃がすのが「くらまし屋」。知恵と変装と剣で追っ手をかわしていきます。依頼人それぞれの事情と、くらまし屋の面々が抱える過去が並行して描かれます。

1冊あたりの分量が抑えめで、人情ものとしても読めます。長く付き合えるシリーズを探している人に向いています。

『童の神』(2018年10月・角川春樹事務所)

『童の神』は第10回角川春樹小説賞を受賞した長編で、平安時代が舞台です。

京の人々から「童(わらべ)」と蔑まれた人々の少年・桜暁丸が主人公。皆既日食の日に生まれ「禍の子」と恐れられた彼は、父と故郷を奪った京人への復讐を誓い、仲間とともに朝廷軍に立ち向かいます。

鬼として記録された人々を人間の側から描き直す構成で、差別と分断が主題になっています。今村作品のなかでもっとも古い時代を扱った1冊です。

『教養としての歴史小説』(2023年8月・ダイヤモンド社)

『教養としての歴史小説』は小説ではなく、歴史小説の読み方と書き方を語った新書です。

史実とフィクションの線引き、時代考証の進め方、作家として何を選び何を捨てるかといった裏側が説明されます。今村自身が影響を受けた作品にも触れられており、次に読む本を探す目的でも使えます。

歴史小説をこれから読み始める人には、作品より先にこの1冊を通しておくと当たりを付けやすくなります。山岡荘八のおすすめ歴史小説のような古典的な大長編に進むときの下地にもなります。

今村翔吾を初めて読むなら『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』か『塞王の楯』から

シリーズと単発が混在しているため、刊行順に読む必要はありません。目的別の入口は次の4つです。

  1. 文庫で軽く始めたい…『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(2017年・祥伝社文庫)。デビュー作でシリーズの第1作
  2. 受賞作から入りたい…『塞王の楯』(2021年・集英社)。直木賞受賞作で単発の長編
  3. 映像から入った…『イクサガミ 天』(2022年・講談社文庫)。Netflixシリーズの原作で、三部作は『人』で完結
  4. 短く読みたい…『八本目の槍』(2019年・新潮社)。1篇ずつ独立した連作短篇集

シリーズものは『羽州ぼろ鳶組』『くらまし屋稼業』『イクサガミ』の3つがあり、いずれも第1作から読むのが前提です。単発の長編は『塞王の楯』『じんかん』『幸村を討て』『童の神』で、どれから読んでも支障はありません。

監修者の視点:シリーズものは1冊目が手に入るかで決める

田中寛大

オンライン古書店を運営していた時期(2019〜2022年)に、開業から約2年半で8,000冊超の中古書籍を扱いました。シリーズものは巻がそろわないまま在庫が残りやすく、途中の巻だけが動かずに滞留する傾向が見受けられます。

読む側から見ると、これは1冊目が手に入りやすいシリーズを選ぶべきだという話になります。今村翔吾の『羽州ぼろ鳶組』『くらまし屋稼業』『イクサガミ』はいずれも文庫で第1作から出ているので、途中で止まっても後から追いやすい構成です。

今村翔吾についてよくある質問

今村翔吾の代表作は何ですか?

『塞王の楯』(2021年10月・集英社)です。2022年1月に第166回直木三十五賞を受賞しました。次に名前が挙がるのは、Netflixで映像化された『イクサガミ』三部作と、デビュー作の『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(2017年)です。

今村翔吾を初めて読むならどれがおすすめですか?

『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(2017年3月・祥伝社文庫)です。文庫書き下ろしで分量が抑えめ、江戸の火消という題材も予備知識が要りません。受賞作から入りたいなら『塞王の楯』を選んでください。

今村翔吾は直木賞をいつ受賞しましたか?

2022年1月、『塞王の楯』で第166回直木三十五賞を受賞しました。それ以前にも、2018年に第10回角川春樹小説賞(『童の神』)、2020年に第41回吉川英治文学新人賞(『八本目の槍』)と第11回山田風太郎賞(『じんかん』)を受賞しています。

『イクサガミ』は何巻ありますか?

『天』『地』『人』の三部作です。『天』(2022年2月)、『地』(2023年5月)、『人』(2024年11月)の順で、いずれも講談社文庫から刊行されています。2025年11月13日からNetflixシリーズ「イクサガミ」全6話が配信されています。

『八本目の槍』の「八本目」とは誰のことですか?

石田三成です。賤ヶ岳の戦いで名を上げた豊臣秀吉子飼いの七人「賤ヶ岳七本槍」がそれぞれの篇の語り手になり、同じく子飼いだった三成の人物像を浮かび上がらせる連作短篇集です。

今村翔吾の文庫で読める作品はどれですか?

シリーズ3作が文庫で始められます。『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(祥伝社文庫)、『くらまし屋稼業』(ハルキ文庫)、『イクサガミ 天』(講談社文庫)です。いずれも文庫書き下ろしなので、単行本を待たずに第1作から読めます。

時代とシリーズの有無で今村翔吾の1冊を選ぶ

今村翔吾は、平安・戦国・江戸・明治と時代を移しながら、名前の残らなかった人々の側から物語を作ってきた作家です。文庫で始まるシリーズと、直木賞受賞作を含む単発の長編がはっきり分かれているので、一覧表の刊行年と系統を見比べて、いま読みたいほうから選んでみてください。

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