人の機微を巧みに描く作家、井上荒野。恋愛小説をはじめ、エッセイや翻訳の分野でも活躍している女流作家です。
この記事でわかること
- 井上荒野の経歴と代表作
- 選書のポイントとコツ
- 井上荒野のおすすめ小説8選
- 井上荒野の作品選びに関するFAQ
今回の記事では、井上荒野のおすすめ小説を紹介します。初心者向けに選書のポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
井上荒野とは?プロフィールと代表作品
井上荒野は1961年東京都生まれの作家です。1989年に「わたしのヌレエフ」でフェミナ賞を受賞しました。体調不良のために療養していましたが、2004年に「潤一」で島清恋愛文学賞を受賞。2008年には「切羽へ」で直木賞を受賞し、その後も多くの文学賞を受賞しています。
代表作品
1989年「わたしのヌレエフ」フェミナ賞
2004年「潤一」島清恋愛文学賞
2008年「切羽へ」直木賞
2011年「そこへ行くな」中央公論文芸賞
2016年「赤へ」柴田錬三郎賞
2018年「その話は今日はやめておきましょう」織田作之助賞
井上荒野の作品選びに迷ったら
井上荒野の選書のポイントを解説します。
人気作品から読んでみよう
数々の文学賞を受賞している井上荒野。選書に迷ったら、人気の代表作から手に取ってみましょう。
人気作品(一部抜粋)
2004年「潤一」
2008年「切羽へ」
2018年「その話は今日はやめておきましょう」
メディアミックスした作品から読んでみよう
井上荒野の作品は、映画やドラマなどさまざまな媒体で映像化されています。ぜひ原作となった小説をチェックしてみてください。
映画化作品(一部抜粋)
2022年「あちらにいる鬼」
テレビドラマ化作品(一部抜粋)
2019年「潤一」
2025年「照子と瑠衣」
井上荒野のおすすめ小説8選
井上荒野のおすすめ作品を紹介します。
「照子と瑠衣」
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2023年に発売された小説です。2025年にテレビドラマ化されました。
70歳を迎えた照子と瑠衣。中学時代からの幼馴染であるふたりは、自分勝手な夫に見切りをつけ、近隣住民の人間関係に終止符を打ち、自由気ままな逃避行へと踏み出すことに!痛快で笑える、至高のシスターフッド小説です。読みやすいので、読書初心者にもおすすめの作品。
「あちらにいる鬼」
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2019年に刊行されました。2022年に映画化されています。
小説家である長内みはると、社会派の作家・白木篤郎、ふたりの不倫関係を知りながらも気高く生きる篤郎の妻・笙子。長く続いた複雑な三角関係の先にあるものとは……。井上荒野の父・井上光晴と母、そして不倫相手であった瀬戸内寂聴をモデルに書かれた衝撃の長編小説です。
「私たちが轢かなかった鹿」
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2025年刊行の作品です。
女手一つで育てた息子が連れてきた恋人が、なんと自分の親友だった──。衝撃的な展開の表題作から始まる、連作短編集です。ひとつの出来事を複数の視点から語っています。女同士の友情や、親子関係、男と女の機微が描かれた作品です。
「キャベツ炒めに捧ぐ」
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2011年に刊行された作品です。続編である「キャベツ炒めに捧ぐ リターンズ」が井上荒野の最新刊として話題を呼んでいます(2025年12月現在)。
舞台は東京の私鉄沿線にある小さな総菜屋「ここ家」。オーナーの江子、麻津子、郁子の60代3人が、涙あり笑いありの人生を抱きながら今日も楽しくお店を回しています。美味しそうな料理とじんわり沁みる読後感で幸せな気持ちになれる作品です。前向きになりたい方におすすめ。
「切羽へ」
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2008年に刊行された井上荒野の代表作です。直木賞を受賞しています。
離島で養護教諭をしているセイは、画家の夫と穏やかな日常を過ごしていた。しかしある日、職場に石和というひとりの男が赴任してきて……。少しずつ惹かれあう男女の切ない機微を描く、美しくも儚い恋愛小説です。
「あなたならどうする」
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2017年に刊行された短編集です。
昭和の歌謡曲がモチーフの恋愛小説を集めた、十篇の短編集です。どこかノスタルジックな雰囲気と、激しくも切ない男女の関係が全編にわたって感じられます。それぞれが独立した物語なので、歌謡曲に馴染みがない方も楽しめる一冊。サクッと読みたい方におすすめです。
「潤一」
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2003年に刊行された作品です。島清恋愛文学賞を受賞しています。
ふらりと現れては消える男、潤一。漂うように生きる彼と、彼と刹那的な愛を交える9人の女性たちを描いた連作短編集です。各篇が短いため、読書時間が取れない方にもおすすめ。2019年にテレビドラマ化されているので、併せてチェックしてみてください。
「その話は今日はやめておきましょう」
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2018年に刊行された作品です。織田作之助賞を受賞しました。
恵まれた経済状況で穏やかに定年後の生活を送っていた昌平とゆり子。昌平の骨折をきっかけに、夫婦は家事手伝いとしてとある青年を自宅に招きますが……。タイトル通り、現実を直視したくない登場人物たちの様子がひしひしと伝わる作品。自分を取り巻く身近な人間関係について、いま一度考えさせられる作品です。
井上荒野の作品選びのFAQ
- 井上荒野の作品はどんな人におすすめですか?
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繊細な心理描写や、静かな情緒を味わいたい方におすすめです。恋愛や家族といった身近なテーマを深く掘り下げている作品が多いので、人間関係の機微を感じられます。
- 初めて読むならどの作品がよいですか?
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直木賞作品「切羽へ」がおすすめです。長編小説の中で高い評価を得ています。
- 重い作風が多い印象ですが、読みやすい作品はありますか?
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はい。「照子と瑠衣」がおすすめです。展開がわかりやすく、優しい文体で読書に慣れていない方でも楽しめます。また、「キャベツ炒めに捧ぐ」も無理なく読める作品として人気です。
- 受賞歴のある作品はどれですか?
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「わたしのヌレエフ」「潤一」「切羽へ」「そこへ行くな」「赤へ」「その話は今日はやめておきましょう」です(2025年12月時点)。
井上荒野の繊細な心理描写で読書に没頭しよう
人の複雑な心理を静かに淡々と描く作家、井上荒野。恋愛や家族、人間関係といった身近なテーマを扱っているので、ぜひ気軽に手に取ってみてください。