どの順番で読んだらいいのか、『アルセーヌ・ルパン全集』を購入する際に迷ってしまう人も少なくありません。注意しないと、ねたばれしてしまう恐れがあるからです。怪盗紳士のルパンは警察に追われながら、立場の弱い人やフランス国家のために活躍する姿で人気です。本記事ではルパンシリーズの作品を読む順番について解説しています。
目次
基本的には小説を発行した順番でOK!
ルパンの日本語訳は、基本的な作品が揃っている偕成社版(対象読者は中学生以上)を選ぶ人が多くみられます。偕成社の『アルセーヌ・ルパン全集(全25巻)』の1から25巻の数字順に読むとねたばれしにくいです。
※偕成社版の全集について、一部未発行の作品あり。
偕成社『アルセーヌ・ルパン全集』
- 怪盗紳士ルパン
- ルパン対ホームズ
- ルパンの冒険
- 奇岩城
- 813
- 続813
- 水晶の栓
- ルパンの告白
- オルヌカン城の謎
- 金三角
- 三十棺桶島
- 虎の牙(上)
- 虎の牙(下)
- 八点鐘
- カリオストロ伯爵夫人
- 緑の目の令嬢
- バーネット探偵社
- 謎の家
- ジェリコ公爵
- パール・イ・ヴァ荘
- 二つの微笑をもつ女
- 特捜班ビクトール
- 赤い数珠
- カリオストロの復讐
- ルパン最後の事件
『ルパン、最後の恋』について
『ルパン、最後の恋』は偕成社では未発行。ただし、2025年2月現在で入手できるのは、早川書房とポプラ社のみです。(比較的入手しやすいのは早川書房)
小学生を対象にしたアルセーヌルパンの小説について
ルパンに初めて触れたのは、ポプラ社の『怪盗ルパン全集シリーズ』という人も少なくないでしょう。小学生の読者を対象にしているため、複雑で理解しにくい部分に配慮をしています。翻訳者が登場人物の状況や内容などをリライトした場面もあるようです。中学生~一般読者には、ものたりない感じがするかもしれません。
ポプラ社の小説をおすすめする場面
- 推理小説に興味を持ち始めた子にプレゼント
- 子どもと一緒にルパンシリーズを読む
- 読みやすさを重視する
日本語訳の小説が一部未発行の出版社
全集ではありませんが、新潮社と早川書房からもルパンの作品が発行されています。それぞれの特徴は以下の通り。
新潮社『ルパン傑作集』(2025年2月現在入手しやすいもの)
格調高い翻訳が特徴で、ルパンは経験を積んだ大人の紳士という印象です。
- 『813』ルパン傑作集(1)
- 『続813』ルパン傑作集(2)
- 『奇岩城』ルパン傑作集(3)
- 『ルパン対ホームズ』ルパン傑作集(5)
早川書房(発行日順)
新訳が多く、比較的易しい表現で読みやすいイメージです。
- 『怪盗紳士ルパン』
- 『カリオストロ伯爵夫人』
- 『怪盗紳士ルパン』
- 『奇岩城』
- 『ルパン、最後の恋』
- 『水晶の栓』
- 『ルパン対ホームズ』
ねたばれ防止のため注意したい順番
改正社版のルパン全集の発行順に読むのがベストとはいえ、目当ての書籍が品切れになっていることも。また、紙書籍が入手できずに電子書籍のみであったり、その逆のケースもあるでしょう。ねたばれについて、注意したい点を解説します。(書籍名は偕成社版を参考)
『813・続813』は前半に読んでおくのがおすすめ
『813』と『続813』は連続した小説を分冊したもの。他の作品を間に挟まずに一気に読みましょう。できれば全集の前半までに読了するのがおすすめ。ルパンの部下など、初期の作品とつながりがある人物が登場するためです。
作中で語られるために順番を守る
下記の作品の順番どおりに読むと、ねたばれしにくいでしょう。それぞれの小説の中で、登場人物が以前に起こった事件について語るからです。
- 『奇岩城』
- 『813』と『続813』
- 『虎の牙(上・下)』
カリオストロ伯爵夫人が出る2作品の順番
カリオストロ伯爵夫人(ジョゼフィーヌ・バルサモ)は、ルパンと愛憎半ばする謎の女性。ルパンが若い頃から財宝を巡って争う相手です。先を越されたことからルパンを恨むようになり、復讐を考えるように。後の作品で以前の事件を振り返る場面があり、『カリオストロ伯爵夫人』を先に読むのがおすすめ。
ホームズが出る3作品の順番にも注意
イギリスの探偵『エルロック・ショルメ(作者『コナン・ドイル』がホームズの描写に猛抗議して変更)』こと、シャーロック・ホームズ。ルパンの小説では、以下の3作品に登場します。過去の事件について述べる場面があり、順番に読んだほうがねたばれしにくいでしょう。
- 『怪盗紳士ルパン』
- 『ルパン対ホームズ』
- 『奇岩城』
『バーネット探偵社』関連の3作品
『バーネット探偵社』に関連する3作品は、下記の順番どおりに読みましょう。これらにはベシュ刑事が登場するからです。バーネット探偵社の作中ではルパンに批判的ですが、後の作品ではルパンを認めています。違和感なく読み進められるでしょう。
- 『バーネット探偵社』
- 『謎の家』
- 『パール・イヴァ荘』
『ドン・ルイス・ペレンナ』関連の3作品の順番
『ドン・ルイス・ペレンナ』が主役を務める3作品(4冊)。連作のため、順番どおりに読むとねたばれしません。できれば、『続813』の直後に読むのがおすすめです。続813の劇的な終幕とのつながりを連想でき、小説の世界観に没頭できます。
- 『黄金三角』
- 『三十棺桶島』
- 『虎の牙(上・下)』
『ルパン、最後の恋』は最後に読む!
ルパンの最後の冒険を飾る小説『ルパン、最後の恋』は、全集を読み終えてから最後の26番目に読むのがおすすめ。偕成社からは出版されていないため、注意してくださいね。
発行した順番がおすすめ!アルセーヌルパンの小説を楽しむために!
ルパンの推理小説のねたばれ防止や、話のつじつまが合うようにするには、偕成社版の全集に従って読み進めるのがおすすめ。ポプラ社の全集は子供さんと一緒に楽しんで読むと良さそうです。ただし、最終話の『ルパン、最後の恋』については、早川書房やポプラ社のみ刊行されているため注意してくださいね。
※本記事では、2025年2月現在のルパンの作品の発行や在庫などのデータを参考にしています。