現代児童文学を代表する作家のひとり、あさのあつこさん。「バッテリー」などの大ヒット作品を手掛け、多くの人から支持を得ています。
今回の記事では、あさのあつこさんのおすすめ小説を紹介します。代表的な児童向け作品から本格時代小説まで幅広く解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
あさのあつことは?経歴や作風
あさのあつこさんは1954年生まれ、岡山県出身の作家です。大学を卒業後、小学校の講師をしていた経歴を持っています。1991年に「ほたる館物語」でデビュー。1997年に「バッテリー」で野間児童文芸賞を受賞したのち、同シリーズをはじめとした多くの作品で評価を得ています。
人々の心情を丁寧に描く作風で、児童文学、一般小説、時代小説など幅広いジャンルで活躍しています。
あさのあつこ作品の選び方
多くの作品を手掛けるあさのあつこさん。作品選びに迷ったときのポイントを紹介します。
ジャンルで選ぶ
「バッテリー」や「No.6」で知られるあさのあつこさんですが、「スポーツ」「SF」「ファンタジー」などの児童向け作品以外にも、「ミステリー」「現代ドラマ」といった数多くのジャンルで小説を執筆しています。どの作品から読むか迷ったときは、興味のあるジャンルから選んでみましょう。
作品の長さで選ぶ
あさのあつこさんの小説は、読み応えのある長編シリーズからサクッと読める短編集までさまざまな作品が揃っています。自分の読書スタイルに合わせて、読みやすい長さの作品を選んでみてください。
あさのあつこのおすすめ小説
あさのあつこさんのおすすめ小説を紹介します。
『バッテリー』
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あさのあつこさんの代表作です。大ヒットシリーズとなり、映画化、漫画化、テレビドラマ化など多様な媒体でメディアミックスしました。
飛びぬけた才能を持つ天才ピッチャーの巧と、巧とバッテリーを組むことになった豪。何よりも大切で真剣になれる「野球」を軸に、家族関係や友情、自身との向き合い方について、それぞれの成長が丁寧に描かれています。未読の方はもちろん、学生の頃に読んだきりという方もぜひ再読して欲しいおすすめの名作小説です。
『彼女が知らない隣人たち』
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2022年に刊行された、社会派ミステリー小説です。
主人公は縫製工場でパート勤務をしている主婦の咏子。ある日偶然、爆発事件を目撃したことをきっかけに、同僚や家族の周りに立ち込める不穏な空気に気が付き─…。外国人技能実習生や難民支援団体など、「知っていたけど知らなかった」問題に向き合う咏子の様子が真摯に描かれています。ネットでの誹謗中傷にも触れている本作。現代を生きる人々に読んで欲しい一冊です。
『No.6』
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2003年に第1巻が発刊された、全9巻に及ぶ長編シリーズ作品です。近未来を舞台にしたSF小説で、漫画化、テレビアニメ化されたほか、2024年にミュージカル化が決定し話題となりました。
すべてが管理された理想都市、「No.6」。エリートとして優遇されていた主人公の紫苑と街の外からやってきたネズミが数奇な出逢いをきっかけに、この理想都市の「謎」と対峙していく物語です。先の読めない展開にハラハラドキドキが止まらないという声も。独特の世界観に没入したい方におすすめです。
『弥勒の月』
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江戸を舞台にした時代小説です。「弥勒シリーズ」として、関連作品が12作品発表されています。
武士の身分を捨て、小間物問屋をしている遠野屋清之介。その同心の木暮信次郎と岡っ引きの伊佐治を軸に、人間の心情に切り込む作品です。重く哀しいテーマを扱いながらも、丁寧で繊細な心理描写と躍動感でぐいぐいと引き込まれてしまいます。
『末ながく、お幸せに』
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とある夫婦の結婚式をベースに語られる連作短編です。8人の招待者のスピーチという形で綴られています。
披露宴で読み上げられる祝辞で、さまざまなエピソードが語られる本作。段々と新郎新婦の人物像が浮かび上がってくる構成と、それに合わせてじわじわと染み入る周囲の人々のあたたかさに、心が優しくなれる作品です。
『The MANZAI』
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全6巻の人気シリーズ作品です。漫画化、ドラマCD化されています。
とある事情を抱えた主人公の瀬田歩。転校した先でクラスメートの秋本から突然「付き合ってくれ」と告白されて─…。ひょんなことから漫才コンビを組むことになったふたりが、中学校を舞台にドタバタながらも懸命に日々を紡ぐ青春ストーリーです。学生にはもちろん、大人にもおすすめの作品です。
『おいち不思議がたり』
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江戸を舞台にした、青春「時代」ミステリーと謳われる作品です。6巻のシリーズが刊行されています。
主人公のおいちは医師を目指す十六歳。亡くなった人の声や姿を感じられる不思議な力を持っています。助けを求める声に応えようと、悩みながらも懸命に救いの道を駆け抜ける瑞々しい姿が描かれた作品です。わかりやすく読みやすい文体なので、時代小説や推理小説に馴染みがない方にもおすすめ。
『アレグロ・ラガッツァ』
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高校の吹奏楽部を舞台にした青春小説です。
とある事情から「もう吹奏楽はやらない」と決めていた美由。しかし入学した高校で出逢った同級生たちをきっかけに、その心は揺れ動いていきます。人と人の繋がりや、自分と向き合うことの大切さを考えさせてくれる作品です。等身大の十代の「成長」と「葛藤」が瑞々しく描かれています。
あさのあつこ作品の多彩な魅力に触れよう
幅広いジャンルで活躍している作家、あさのあつこさん。子どもの頃に作品を読んだという方も、ぜひ大人になった今もう一度手に取ってみてください。あさのあつこさんの作品で、思わず共感してしまうような丁寧な心情描写を味わいましょう。