東川篤哉の小説を読んだことがある人も多いのではないでしょうか。ドラマなどでも視聴した経験がある人もいるかもしれません。本記事では東川篤哉の作風とおすすめの作品を10選紹介します。
目次
東川篤哉の作風とは?
おすすめの作品を紹介する前に、東川篤哉の作風について説明します。本格的なミステリーだけでなく、堅苦しくなく、くすっと笑ってしまうようなライトミステリーまでさまざまです。
ストーリーの展開がおもしろい
作品の雰囲気は、ミステリーでありながらユーモアの感じられるものが多く見られます。とくに、登場人物同士のコミカルな掛け合いが楽しく、シリアスな作品は少なめの印象。話の展開の面白さで支持されています。
ミステリー初心者でも楽しめる
本格的なミステリー作品の中には、登場人物の難解な語りやおどろおどろしい感じの怖い雰囲気のものも少なくありません。ミステリーを敬遠する人のなかには、重苦しい設定を苦手にすることもいるかもしれません。ライトノベルのような軽快な話がよく見られ、中学生や高校生で推理小説を読んでみたいという若い世代の人でも気軽に手に取りやすいでしょう。
東川篤哉のおすすめ小説10編を紹介!
東川篤哉のおすすめの作品を紹介します。本格的なミステリーでも読みやすく、シリーズ化されている作品もありますよ。
『謎解きはディナーのあとで』(小学館)
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事件の内容がわかりやすく、作者の作品を試しに読んでみようとする人におすすめです。刑事になったお金持ちのご令嬢が、彼女の執事に難しい事件の解決策を聞きながら一緒に解決に向かうといった内容です。主人公と慇懃無礼な執事のつっこみが面白く、映像化がされるほどの人気のシリーズです。
『魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?』(文藝春秋)
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『魔法使いシリーズ』一作目、所収の4編とも倒叙もの(犯人が先に判明するミステリー)で犯人視点の作品が好みの人、ファンタジー風の作品を好む人におすすめ。主要キャラ3人の掛け合いがおもしろいです。八王子市警の椿木警部と部下の小山田刑事が挑む事件では、いつも竹箒を持った三つ編みの少女がいます。彼女はマリィと言い、魔法使いで事件の真相を特定できる能力を持つ人物。マリィと小山田は相棒となり事件の解決に向かいます。
『密室の鍵貸します』(光文社)
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『烏賊川市シリーズ』の1つめの作品。本格的な密室殺人事件の解決を、軽快でユニークな文体で楽しみたい人におすすめです。主人公の大学生、戸村はおもいがけない2つの密室殺人に巻き込まれます。1つは恋人が背中を刺されて4階から墜落した事件、2つめは夜に一緒だった先輩が風呂場で刺された事件。戸村は無事に無実を証明できるのでしょうか。
『館島』(東京創元社)
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壮大なトリックが仕掛られたクローズドサークルものの作品。本格ミステリーを好む人におすすめです。長編でも飽きさせません。登場人物同士のコミカルなやり取りが、トリックの重厚さと比べて軽いという評価も見られます。瀬戸内海の孤島の別荘で、建築家が死去。彼の夫人の意向で別荘に事件の関係者が集められます。連続殺人事件が起こり、嵐で警察が到着できない中、女性探偵と刑事は事件の謎を解こうと決心しました。
『仕掛島』(東京創元社)
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『館島』の続編ともいわれる作品で、探偵役の小早川は館島に登場した人物の息子です。前作のクローズドサークルものの壮大なトリック、コミカルな登場人物のやり取りが気に入った人なら楽しめるでしょう。遺言書により瀬戸内海の孤島に集められた遺族たち。相続人の一人が殺されて妙な怪人物の影が見え隠れし始めます。折からの嵐で外界とは隔絶する孤島。探偵の小早川と弁護士の矢野は、事件の謎を追います。
『うまたん ウマ探偵ルイスの大穴推理』(PHP研究所)
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競馬とミステリの融合が魅力的な作品で、競走馬が好きな人でミステリーをあまり読まないという人にもおすすめです。全5篇の連作短編集で、主人公の元競走馬と牧場の娘とのやり取りがユーモラスですよ。探偵役の元競走馬、ロックは乗馬クラブで殺人事件の容疑者にされてしまいます。牧場主の娘、陽子はロックの犯行とは到底納得できず…。コテコテの関西弁で、ロックは彼女に話しかけてきます。
『探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて』(幻冬舎)
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惜しまれつつ3巻でいったん終了した『探偵少女アリサの事件簿シリーズ』の1作目。軽めのミステリーでテンポがよく、気軽に読んでみたい人におすすめ。映像化もされています。『なんでも屋タチバナ』を始めた30代独身の橘良太。子守の依頼を受けた彼は、10歳の美少女有紗(アリサ)。頭の切れる彼女に殺人鬼と疑いをかけられ、事件を2人で捜査する羽目になるが…。
『もう誘拐なんてしない』(文藝春秋)
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ドラマ化されて人気の作品で、映像化されて興味をもった人にもおすすめの作品です。気の強い女子に翻弄されるドタバタ劇で二転三転する展開でありながら、トリックや伏線の回収が見事です。夏休みのバイト中の大学生、翔太郎はヤクザの花園組の娘の絵里香、皐月姉妹と知り合います。彼女たちのために狂言誘拐を手伝わされる翔太郎ですが、殺人事件に巻き込まれてしまい…。
『殺意は必ず三度ある』(光文社)
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『鯉ヶ窪学園シリーズ』で、高校生が主人公。学園ミステリーが好きな人、部活動に打ち込んだ人におすすめです。のんびりとした鯉ヶ窪学園の野球部で、グランドに設置したはずのベースが盗難に。主人公と下級生の3人の探偵部員が調査しますが、謎は解けません。他校との練習試合のさなか、球場で野球部の監督の遺体が発見。探偵部員は事件の解明に挑みます。
『中途半端な密室』(光文社)
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現場に行かず、人の話を聞きながら解決する内容の5編の密室を扱った短編集。論理が破綻していない緻密な安楽椅子探偵ものが好きな人におすすめです。軽やかな文体で謎解きを楽しめます。表題作は、無人のテニスコートで刺殺された遺体の謎。しっかりと鍵をかけ、周囲には高さ4mほどの金網が。話を聞いた探偵は、話を聞いただけで解決に導きます。
ミステリーが苦手な人にこそ!東川篤哉の作品がおすすめ!
ミステリーを食わず嫌いする人は、案外多いといわれています。そのような人にこそ、東川篤哉の小説がおすすめです。スピード感のある話の展開、登場人物同士の会話もユーモアに満ちていて、堅苦しい作風ではありません。どぎつい表現や暴力的な描写もなく、長々しくうんちくを語る探偵もいないため、謎解きに集中して楽しめるでしょう。