ペーパーレス化が進む昨今。書類だけでなく、本や漫画、雑誌なども電子媒体を使って読むことが増えてきました。そんな中、たびたび論争されているのが「電子書籍と紙の本、どちらがいいのか」という問題です。
「電子書籍で読んだ場合、紙の本より記憶に残らないって聞くけど本当なのか。」「電子書籍と紙の本、どっちがいいのかを知りたい。」という人に向けて、電子書籍が記憶に残りにくいといわれる理由やそれぞれの使い方について、詳しく解説していきます。
この記事を読んで、自分に合うものを探るきっかけにしてください。
目次
電子書籍が記憶に定着しづらい理由
クエスチョンマークと本
電子書籍が記憶に残りにくいといわれる理由は複数ありますが、「物理的な感覚が不足していること」と、「デジタルツールによる影響」に大別されます。それぞれ詳しく説明しましょう。
物理的感覚の欠如
人間の脳は日頃から、情報を視覚や聴覚、触覚などさまざまな感覚を用いて処理しています。とくに記憶として定着させたい場合は、複数の感覚器官を使用した多感覚学習がよいとのこと。
テキストを目で追って読むだけでなく、音読された情報を耳で聞く、文章や図解を手を使って書く、声に出して話すといった方法が挙げられます。
紙の本を読む際は、表紙の質感や本の重み、厚さ、ページをめくる感触といった感覚が得られるため、内容とともに記憶に定着しやすくなります。
たとえば、文章の内容を確認するときに、「本の序盤あたりに書いてあったな」「ページの左上に書いてあったはず」と、イメージとして思い出したことのある人も多いのではないでしょうか。
一方電子書籍では、情報は主に視覚情報として処理され、触覚といった物理的な手がかりが少ないです。これがデジタル情報が「記憶に残りにくい」と感じる理由の一つと考えられています。
デジタルデバイス特有の影響
電子書籍を読む際に、デジタルデバイスが人体に与える弊害や、デジタルデバイスならではの問題についても見ておきましょう。
デジタルデバイスの長時間利用は、眼精疲労や首・肩こりといった原因になりやすく、疲労感から集中して読むことが難しくなることがあります。ブルーライトによって睡眠の質が下がることも報告されているため、就寝前の使用は身体にとってよくありません。
また、画面に表示されるテキスト量には限りがあるため、スクロールやスワイプによってページをざっと読む「斜め読み」が多くなり、内容が記憶に残りにくくなります。
さらに、スマートフォンやタブレットで読んでいる場合、他のアプリの通知などによって、注意力散漫となり、読書以外のことをする傾向が強くなるでしょう。
記憶に残す電子書籍の読み方
本棚とオシャレなホワイトインテリア
電子書籍を効果的に利用するために、どのように使えば記憶に残りやすくなるのか知っておきましょう。
読む環境を整える
読み始める前に行っておきたいことは、集中力を乱されにくい環境を整えることです。たとえば、
- 電子書籍専用端末を使用する
- スマートフォンやタブレットの場合は通知をオフにする
- ブルーライトカットメガネを使用する
- 設定で画面の明るさを調節するなど、ブルーライトカット機能を使用する
といったことが挙げられます。
デジタルデバイスならではの機能を利用する
デジタルデバイスにはさまざまな機能が存在します。付箋や文字検索、アンダーラインやコメントの書き込みが可能かつ、紙の本とは違って書き込みを消すことも容易です。
また、音声読み上げ機能を利用することで、視覚だけでなく聴覚も使って学習することができます。散歩中や通勤途中など、文字を読むことが難しい状況でも使用できるのでおすすめです。
アウトプットする
どの媒体を使って読むかに関わらず、記憶に定着させるうえで重要なのは、インプットした内容をアウトプットすることです。
- 紙に書き出す
- SNSやブログなどで発信する
- 人に話す(教える)
といった機会を作ることで、記憶に残りやすくなることでしょう。
電子書籍と紙の本をどう使い分ける?
電子書籍と紙の本は、どちらの方がいい・悪いといえるものではありません。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自身の好みや読書環境に合わせて選びましょう。以下に両者のメリットを書いているので、参考にしてください。
電子書籍のメリット
- 何冊も一度に持ち運べる
- 保管場所をとらない
- 購入後すぐ読める
- 紙の本より安価なことが多い
紙の本のメリット
- 記憶に残りやすい
- 読書に集中しやすい
- 飛ばし読みや特定のページだけ読むことが容易
- お気に入りの本を手元に残せる
電子書籍と紙の本、それぞれのよさを知って使い分けよう
電子書籍に関する疑問について解説するとともに、紙の本との違いについても触れました。
電子書籍は、月に何十冊も読む人や、小説・漫画など最初から読む前提の作品、冊数の多いシリーズ作品にはとくに便利です。また、ペーパーレス化やミニマリスト化が進む現代には、非常に適したツールといえるでしょう。
一方、古書や技術書は電子書籍化されていないものも少なくありません。
両者の特徴を理解し、シーンに合わせて使い分けることで、より豊かな読書体験を楽しむことができるでしょう。