ジュール・ヴェルヌはフランスの小説家。SFや冒険をテーマにした作品を出版し、子どもの頃に触れたことのある人も多いのではないでしょうか。本記事では、ジュール・ヴェルヌのおすすめしたい作品や作風について紹介しています。
目次
ジュールヴェルヌの作風とは?
ジュール・ヴェルヌの小説はハッピーエンドが多く『子供でも安心して読ませられる』と考える保護者もいるようです。それゆえに『大人の読者にはものたりないのでは』という印象をもつ人もいます。ジュール・ベルヌの作品は子供向けでしょうか。作風や作品の魅力を解説します。
続きが気になる冒険小説
ジュール・ベルヌの作品では、困難に立ち向かう冒険小説が多くみられるのが特徴。登場人物が自力で現状を打破したり、複数の人達と協力し合ってトラブルを解決したりする状況が描かれています。場面が急展開し、ページをめくるごとに続きが気になることもあるでしょう。長編小説に慣れていない子供でも、昔を懐かしく感じる大人にも楽しく読めます。
『SFの父』と呼ばれる
ベルヌはイギリスの作家、H・G・ウェルズとともに当時のSF小説の優れた書き手として知られていました。『SFの父』と呼ばれたジュール・ベルヌは、活躍した1800年代後半当時の最先端の科学を取り入れて創作しています。2000年の現代では古めかしく感じるかもしれません。
しかし、地底や海底、宇宙の様子などの想像の世界を見事に描写。登場人物の心情などを織り交ぜて、作りごとではない真実味のある作品を書いています。
おすすめのジュールヴェルヌの作品8選を紹介
ジュール・ベルヌの書籍でおすすめの小説を紹介します。冒険小説、SF小説のジャンルで子供から大人まで人気の本は以下の通りです。
『二年間の休暇(十五少年漂流記)』
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ニュージーランドの寄宿生とコックを含む15人の少年が、夏休みの湾岸周遊旅行に出かける前夜に船に泊まり込みます。しかし、なんらかの原因で大人が不在のまま出港し、見知らぬ海岸にたどり着きます。
こちらの作品で主に活躍するのは、15人の少年達。乗船した船が漂流して無人島に着き、子供達が特技や長所を生かして助け合いながら困難を乗り越えていく様子が描かれています。無人島での生活が2年にわたることから、原題は『二年間の休暇』ですが、邦題の『十五少年漂流記』のほうが広く知られています。
『海底二万里』
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世界では、航行する船の底部分に穴が空く事件が多発。フランスの海洋学者アロナックスは、国の要請で助手のコンセイユと銛打ちのランド親方らとともに調査に向かいました。調査中に攻撃され、ノーチラス号という潜水艦が原因と判明。艦内に収容された3人は、ネモ船長という得体のしれない人物と出会います。
この作品では、アロナックスの目を通じて海中の生物や遺跡の様子が丁寧に描写されているのが魅力的。執拗に戦艦や大型の船舶を狙うネモ船長の秘密や葛藤について、含みを持たせるラストになっています。
『神秘の島』
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こちらの作品は『海底二万里』の続編ということです(ただし、年代などに矛盾があり)。海底二万里の登場人物が本作に登場し、秘密が明かされます。
アメリカの南北戦争で南軍に捕らえられていた捕虜のサイラス・スミス達。南軍の気球を奪って脱出を試みますが、地図にない太平洋の無人島に不時着してしまいます。しかし、猛獣が仕留められていたり、海賊が撃退されていたりして、何者かが彼らを守るような動きが見られ…。
『気球に乗って五週間』
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本作は、熱気球を作って打ち上げる計画をしていた写真家に触発されて書かれた長編小説という説があります(逆に小説に着想を得て熱気球を作ったという説もあり)。この書籍の成功でジュール・ベルヌは作家として有名になりました。
イギリスの地理学者ファーガソン博士は、国内の学会で気球を自由に操縦してアフリカを横断すると発表します。ナイル川の水源の謎や、未知のアフリカ大陸の様子を知りたい博士。従僕のジョーと友人のケネディの信頼のおける二人とともに気球に乗って旅立ちます。
『月世界へ行く(月世界旅行)』
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本作は長編の二部作です。日本国内では後半の『月世界へ行く』が『月世界旅行』として翻訳されている例が多いです。大砲をなど火を使った武器を作る専門家の集団『大砲クラブ』が、人間が入った銃弾を月に向かって大砲を打ち込み、月面に行かせようとする内容。
乗組員を希望したアルダンと技術者のバービケーン、ニコール大尉は、砲弾に乗って発射されます。3人は無事に宇宙空間に出ましたが、地球に近づく小さな天体の重力により地球に帰還できない可能性が出てきました。彼らは知恵を絞り、砲弾に備え付けられたロケットに点火。小天体の影響下から抜け出して、月面着陸することにしましたが…。
『地底旅行』
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本作品は、『気球に乗って五週間』の後に書かれて、大人気となったSF小説。不思議な古文書から地底の秘密が解き明かされて、ロマンを感じる人もいるようです。
ドイツの鉱物学者リーデンブロック博士は、古代の文字が書かれた羊皮紙のメモを発見します。博士の甥アクセルが解読に成功し、『アイスランドの山の火口は、地球の中心に繋がっている』と判明。博士と甥、案内人のハンスは地底に下ると、海中にきのこや古代生物がいる場所にたどり着きますが、地上への道がわからずに戸惑ってしまいます。
『八十日間世界一周』
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冒険小説でありながら、スリルあふれる旅の中、外国で出会った女性との恋愛も描いている本作品。一途に恋する主人公とヒロインが魅力的で、大人にも楽しめます。この作品が発表された当時、触発されて世界を旅した人もいるようです。
主人公のフォッグ卿は無類の賭け好き。80日間で世界一周できるという新聞記事を読み、仲間に実現して見せると宣言して、自分の全財産の半分を賭けると約束します。インドでアウダという女性を助ける運命の出会いをし、数々のトラブルや刑事による妨害に合いながらも必死で旅行を続けますが、どのような結末を迎えるでしょうか。
『緑の光線』
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ジュール・ベルヌの小説にしては珍しく、女性が主人公の恋愛小説です。主人公の伯父達は彼女に将来性がありながらも、頑固で気の利いた話もできない鈍感な男と結婚させようとしますが、彼女は運命的な出会いをした男性に心ひかれます。年代や性別によって理想の人に違いが出るのは、今も昔も変わらないのかもしれませんね。
題名は、主人公の女性エレナが緑の光線を探し歩き、伯父達をスコットランドの島々につれ回す様子を描写。緑の光線とは、太陽が水平線に沈む瞬間に緑色に変化するという現象で、実際に見ると人の心の内がわかるようになるという言い伝えをモチーフにしています。
あらゆる世代におすすめ!ジュールベルヌの冒険小説!
ジュール・ベルヌの作品はSFや冒険小説というジャンルから、空想好き、冒険好きな子供から若い世代に向いているかもしれません。読み聞かせをしたり、読書感想文にも選ばれたりすることもありますね。しかし、子供の頃に親しんでいた大人世代でも、久々に読むのも良さそうです。小さい頃のワクワクした気持ちがよみがえったり、昔とは違う感じ方をしたりして新たな発見があるかもしれません。