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川端康成おすすめ作品10選!略歴や作品の魅力も解説!
川端康成は大正~昭和40年代まで活躍した日本を代表する作家の1人です。多くの人に評価され、ノーベル文学賞を受賞しましたが、悲しい最期を遂げました。本記事では川端康成の魅力を伝えるとともに、おすすめの作品を紹介しています。
国内外での評価が高い!川端康成作品の魅力!
ノーベル文学賞を受賞したことでもわかる通り、川端康成は国内外での評価の高い作家。川端康成の略歴や魅力について解説します。
川端康成の略歴とは?
川端康成は大阪府出身で、東京帝国大学国文学科を卒業しました。ヨーロッパの前衛的な芸術を取り入れた『新感覚派』の作家でありますが、同時に日本の伝統的な美しさを溶け合わせた妖しく美しい世界を描き出すようになりました。
岡本かの子や三島由紀夫などの後進の作家を見い出し、後援する活動も熱心に行っています。1968年ノーベル文学賞を受賞。残念ながら1972年に72歳でガス中毒により逝去しました。
美しい文章と表現が見事
川端康成は優れた審美眼の持ち主といわれています。作品では古き良き伝統文化、とくに連歌を感じさせる美しい文章と、色彩豊かな景色や心の動きの細かい描写に魅力があるということです。日本人の心の奥底にある精神性を見事に表現しきった見事さが評価されたのでしょう。
日本人の繊細な感情を描く
ノーベル文学賞を受賞した際に、川端康成は受賞の記念講演をしています。講演は日本語で、アメリカ人の日本学者サイデンステッカーによる同時通訳で行われました。優れた文学を遺した先人の和歌や連歌を挙げて、わびさび、雪月花などの美しさ、心に無限の宇宙を持つ世界観など日本独特の美の感覚について述べ、作品に深く根付いているという印象を与えます。
日本の素晴らしさを伝えるとともに、川端康成の文学者としての心意気を感じさせます。国外の人にも大きな感動を呼びました。著作は下記の通りです。
- 『美しい日本の私』(角川ソフィア文庫)
- 『美しい日本の私 その序説』(講談社現代新書 180)
川端康成のおすすめ作品10選!
川端康成のおすすめの小説を10編紹介します。表現や文章の美しさを堪能しましょう。
『雪国』
汽車がトンネルを抜けた時の無駄のない描写が、印象に残る作品。温泉地で生きる女性たちの姿を、風景の美しさを交えながら描写しています。作者によると、駒子のモデルはいますが、島村は彼女の心を写す鏡のような存在だそうです。
雪深い温泉地に宿泊する島村は、初夏に知り合った駒子という芸者を呼び、一緒に過ごします。彼女には病気の婚約者を養うために芸者になったという噂がありますが、本人に否定されます。葉子という看護の経験がある若い女性が、駒子の婚約者に惚れていて、甲斐甲斐しく面倒を見ているようです。
『伊豆の踊子』
本作品は川端康成の代表作の1つ。学生の時に伊豆を旅芸人と一緒に過ごした経験を元に書かれています。国内で人気があり映画化も多数。若い世代の人にもおすすめです。
20歳の大学生の語り手は、伊豆での一人旅の最中、伊豆大島から来た旅芸人一行と知り合い踊子に魅力を感じます。旅先では差別される旅芸人ですが、身分差を超えて彼らの温かさに触れて心がほぐれる語り手。東京に帰る主人公は別れに寂しさを感じながらも、荒んだ心が澄み渡るような気持ちになりました。
『掌(たなごころ)の小説』
本作品は手のひらほどの短編を集めた小説です。作者が20代の頃から約40年ほど書きためてきた作品で、約130編(未公開作品を含めると140編にもおよびます)ほど。最も長い作品でも原稿用紙で16枚程度ということです。長編小説で挫折した人でも読みやすいでしょう。ちなみに『掌(てのひら)』と読む例もありますが、川端康成は『たなごころ』と名付けています。
『みづうみ』
みづうみで亡くなった主人公の父がモチーフとなり、距離を置かれる主人公一家。彼は教え子や道端で出会った女性を追跡する趣味があります。ある女性の目の中のみづうみで泳いでみたいという願望が芽生えます。
有識者の中にも嫌悪感を示す人は多数。女性への気持ちを幻想的に描いて、理想の女性の象徴としてみづうみを描くところが見事といわれています。本作品は現代(2024年12月現在)の感覚でいえば、主人公の男性はストーカー気質のある危険人物のように考えられるかもしれません。
『山の音』
本作品は老年を迎え死を意識した男性が主人公。山の音とは、主人公の死期を予告する象徴です。戦地から戻った息子の未亡人と浮気する堕落した姿、夫に浮気されて離婚して実家に戻った娘に不愉快に。主人公を気遣う息子の妻に淡い恋をして、心を寄せる姿も。
鎌倉の美しい自然を感じつつも、敗戦で戦前の古き良き時代が崩壊する悲しみや儚い美しさを表現。国内外で高く評価されています。
『乙女の港』
川端康成が加筆修正と執筆の指導をした、新人作家の中里恒子との共著の少女小説。ミッションスクールの女学生の交友関係、上級生や下級生に慕われる主人公と友人たちとの生活、嫉妬や対立と仲直りの様子などを描いています。少女雑誌に連載された長編小説で、中里恒子が構成を考え、川端康成が話の筋の肉付けをしたようです。
『眠れる美女』
本作品は高齢者の男性の性癖が描かれて退廃的な雰囲気。とくに海外で高く評価され、映画化もされています。主人公の江口は友人の木賀に誘われて『秘密くらぶ』に入会。『秘密くらぶ』は2階建ての館で、鍵付きの部屋があり眠らされた若い女性と一緒に休める場所があります。その密室の中で、江口は女性を見ながら今まで出会った過去の恋人や娘、母のことが頭に浮かびました。
『千羽鶴』
虜になった女性を美しい志野焼の茶碗にたとえ、茶の湯のどろどろとした世界を対比させた作品です。作者の古美術への造形の深さが見られます。
主人公の父が終生愛した魅力的な女性。彼女は父親の面影を残す主人公と惹かれ合います。敵対関係にあるお茶の師匠は、彼の縁談の邪魔をしないようにと、女性を威圧。彼女は亡くなり、その娘から母の遺品として志野焼の茶碗を贈られます。
『舞姫』
本作品は一休禅師が語った『魔界』(人を惑わせて乱すもの)をモチーフにしているといわれています。戦後の日本社会の変化により、人間関係が崩れていく様子を描いているかのようです。
かつてバレリーナだった波子はバレエ教室を開き、娘の品子に同じ夢を託すように。夫と息子にはとっくに愛想をつかし、プラトニックな関係でありながら優柔不断な実業家と愛人を続けています。一枚岩だと感じた品子には、密かに好意を寄せている相手がいました。
『名人』
囲碁(21世本因坊秀哉名人の引退時の勝負)の観戦記を元に、小説として書かれた作品。川端康成は病に見舞われながら、10年以上の改作を得て上梓されました。囲碁の勝負を観戦した記者の視点から、名人の死を賭した迫力ある熱戦を書いています。
名人の死をもって、江戸時代から続いてきた本因坊の名跡は断絶しました。(後継の弟子は若くして病没)作者は、名人への哀惜の気持ち、断絶する名跡を悼んでいるかのようです。
川端康成のおすすめポイント!格調高い文章と美しい表現を堪能できる!
川端康成の小説は、日本の古典のような流麗な表現と、日本人の美意識を感じられる格調高い文章を味わいたい人におすすめです。現代の感覚からすると、女性への描写の仕方に納得できない部分があるかもしれません。文語的で堅い文章と敬遠するのはもったいないこと。映像化されている『伊豆の踊子』、人気がある『雪国』などから読んでみてはいかがでしょうか。