現実から離れ、本の世界に思い切り没入できる「長編小説」には、名作と呼ばれる作品が数多くあります。休日や寝る前の読書時間に「長編小説」を読んで、たっぷりと世界観に浸ってみませんか?
この記事では、おすすめの名作長編小説を紹介します。本の選び方についてもポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
長編小説とは?
「長編小説」を定義する明確な字数やページ数は決められていませんが、一般的には原稿用紙200~300枚程度、文字数で10万字以上になる作品を位置づける場合が多いようです。長編小説はボリュームがある分、世界観が凝っている、登場人物が多く登場する、人間関係の複雑な描写や展開の詳細が緻密に綴られている等の特徴があります。
長編小説の選び方
初めて長編小説を読む方や、何を読めばいいか迷ってしまうという方向けに、選書のポイントをご紹介します。
作者で選ぶ
長い小説を読み慣れていない場合は、自分の好きな作家が長編モノやシリーズ作品を執筆していないか調べてみましょう。長編小説は通常の作品に比べ読む量が多いため、「読みやすい文体」でないと読了できない可能性があります。短編や中編で読んだことのある作者の作品であれば、初心者の方でも気軽に手に取れるでのはないでしょうか。
もちろん、「今まで読んだことのない作家に挑戦したい」「有名作家の作品だから読んでみたい」といった選び方もおすすめです。同じボリュームの本でも、作者によってまったく内容が変わります。ぜひその違いを楽しんでください。
ジャンルで選ぶ
「恋愛」「ミステリー」「SF」「伝記」など、長編小説にはさまざまなジャンルが存在します。なかには世界観や人間関係が複雑に絡みあって、複数のジャンルについて綴られているという作品も。ぜひ自分の好きなジャンルから気になる一冊を見つけてみてください。長編小説なら、そのジャンルの魅力にどっぷりと浸れますよ。
長編小説のおすすめ作品
長編小説のおすすめ作品を紹介します。
『白夜行』東野圭吾
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1999年に刊行された、東野圭吾の代表作のひとつです。2006年にテレビドラマ化、2011年に映画化されています。
とある未解決事件に関係する二人の男女。まったく別の人生を歩む二人の周りでは次々と不可解な事象が現れますが、どれも決定的な「証拠」はなく─…。二十年という物語の壮大なスケールと、作中に幾重にも張り巡らされた伏線の数々に圧倒される作品です。叙事詩的に描かれた傑作ミステリーとも言われています。
『図書館戦争』有川浩
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2006年に刊行されて以降、多くのファンに愛されているシリーズ作品です。実写映画やテレビアニメ、コミカライズなど、さまざまな媒体でメディア化されています。
「本」を守るため闘う人々を描いた本作は、SF小説でありながら恋愛要素やヒューマンドラマ的な側面が盛り込まれているのが特徴です。登場人物のいきいきとした描写が魅力的で、思わず感情移入してしまうという声も。巻数が多いため、長く楽しめる作品です。
『海辺のカフカ』村上春樹
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2002年に発行されたこの作品は、村上春樹の10作目の長編小説です。上下に分冊で刊行されています。
主人公は15歳の「僕」こと、カフカ。父親からの呪いから逃れるために家出をし、自己探求の旅へ出ます。辿り着いた先で次々と奇妙な試練に遭遇するカフカと、猫と会話ができる不思議な老人ナカタの物語を中心に、現実と幻想が交錯した不思議なストーリーが本作の見どころ。村上春樹の著書でも読みやすくわかりやすい作品なので、初心者の方にもおすすめです。
『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー
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ロシアの文学者、ドストエフスキーが残した最後の長編小説とされる作品です。「世界の十大小説」のひとつに挙げられており、著者の最高傑作とも謳われています。
カラマーゾフ家の三兄弟を中心に、「父親殺し」の謎を巡る本作。推理小説的な本筋でありながら、宗教問題、貧困、恋愛、人間関係などさまざまなテーマを含んでいます。古典文学に興味のある方や、歴史に残る名著を読みたいという方はぜひ手に取ってみてください。
『十二国記』小野不由美
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1992年に初刊が刊行されたファンタジー作品です。完結しておらず、現在もシリーズが継続しています。
舞台は、神仙や妖魔の存在する中国風の異世界。幾何学的に配置された十二の国が存在し、そこで織り成される壮大なストーリーを単行本ごとに別の主人公、別の時間軸、別の国の視点からそれぞれ描いています。「生きることの難しさといかに対峙していくか」を訴える本シリーズは、物語の世界観に思い切り没入できる名作です。
『レ・ミゼラブル』ヴィクトル・ユゴー
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フランスの作家、ヴィクトル・ユゴーの代表作です。出版当時である1860年代のフランスの社会情勢が色濃く反映されており、時代背景や民衆の様子に触れられます。
貧しさから1斤のパンを盗んでしまった罪で、理不尽にも19年間服役していた主人公。とある司教との出逢いをきっかけに、正しく生きようと懸命に人生を切り拓いていく様子が描かれています。原文を忠実に翻訳した完訳版や部分的に翻訳して読みやすく編集した抄訳版などさまざまな様式で発行されいるので、自分に合った訳本を選んでください。
『太陽は動かない』吉田修一
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2012年に刊行された作品です。「AN通信エージェント・鷹野一彦」シリーズの第1作です。2021年に映画化されました。
産業スパイとして諜報活動を行う主人公・鷹野と、その相棒・田岡。国際的なエネルギー政策の裏で暗躍する二人を臨場感たっぷりに描いています。スリリングな展開と次々に起こるアクションに読む手が止まらないという声も。スパイ活劇やハラハラドキドキのエンターテインメント作品が好きな方におすすめの作品です。
『ビブリア古書堂の事件手帖』三上延
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2011年から続いている、ライトミステリー小説です。映画、漫画、テレビドラマなど多様な媒体でメディアミックスしており、それぞれ話題となりました。
鎌倉の古本屋「ビブリア古書堂」の女店主・栞子と、本作の主人公であり語り手の大輔が、古書に関するさまざまな「謎」と対峙する様子が描かれています。非常に読みやすい作品ですので、「推理小説に馴染みがない」 「長編シリーズに慣れていない」という方もぜひ手に取ってみてください。
長編小説を読んで壮大な世界観に浸ろう
長編小説には、その作品にしかない唯一無二の世界観があります。隙間時間に少しずつ読み進めたり、休日にゆっくり熟読したりと、自分の読書スタイルに合わせて楽しみましょう。日常から少しだけ離れて、ぜひ物語の魅力に浸ってみてください。