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松本清張のおすすめ10選とは?作風なども解説!
松本清張は社会派の推理小説や、昭和期に問題となった事件を検証する小説を書いているイメージが強いかもしれません。本記事では松本清張の作風の解説やおすすめの書籍10選を紹介しています。
松本清張の作風について
松本清張の小説は骨太の内容で、重苦しく感じる人もいるでしょう。力強い文体で社会の闇を暴く様子で、興味はあっても読みにくいというイメージがあるかもしれません。
近現代の社会派ミステリーが特徴
松本清張はもともと新聞記者。主に昭和期に社会問題となった事件を丹念に調査し、独自の見解を寄せたミステリーが有名です。人の心の奥に隠している野望や欲、社会的身分の差別などの誰もが直面しそうな問題や日常に潜む危機を小説に盛り込み、現実にあるようなものごとのように感じられます。
初読の人には映像化された作品がおすすめ
話の内容が難しい、少し見て固めの文章が読みにくいという場合、ドラマや映画など映像化された作品がおすすめです。ある程度内容の理解ができるため、とくに初めて松本清張を読む人にはわかりやすいでしょう。ただし、病気や差別問題、社会問題を扱った作品の中には、やむを得ず設定を変更していることもあります。
史実を丹念に追う時代物も高評価
社会派ミステリー小説だけでなく、松本清張の作品は時代物も評価されています。社会派ミステリーでは綿密な取材から執筆。同じように資料を集めて丹念に調査し、史実に沿った内容であるか吟味して書き上げていくところが時代物の高評価につながっています。
松本清張のおすすめ10選!あらすじも紹介!
読者から高い評価をされている、松本清張のおすすめ小説を10選紹介しています。それぞれのあらすじについてもかんたんに記載しました。
『砂の器(上下巻)』
松本清張の名作と評価の高い小説。言葉の手がかりから少しずつ重要な証言が得られ、意外な人物が犯人だと判明。映像化作品の中では差別の助長を防ぐために、容疑者の設定が変更されている場合があります。
蒲田駅で男性の殺害遺体が発見。被害者は東北なまりで『カメダ』の話をしていたと証言が寄せられます。解決せずに捜査本部は解散。しかし、被害者が島根の元巡査と判明します。出雲の言葉は東北なまりと似ていて、近くに『亀嵩(カメダケ)』という駅もありました。被害者が亀嵩で関わりを持っていた、巡礼姿の親子が捜査線上に浮かびます。
『点と線』
本作の舞台は昭和30年代。寝台特急などを使うのが一般的だった頃の話です。電車のトリックでアリバイを成立させたミステリーでもあり、汚職事件を下敷きにした社会派ミステリーでもあります。(後年、飛行機との兼ね合いでトリックに破綻があるという指摘も。)容疑者が早い段階で判明し、刑事の丹念な調査によりアリバイを崩していきます。
福岡県の香椎海岸で2名の毒殺遺体を発見。男は汚職に関わる国家公務員、女は料亭の女中。男の領収証から、所轄の刑事は心中ではないと推測。会社社長の男が料亭の女中2名と一緒に、被害者2人が夜行特急の「あさかぜ」に乗ったと証言。時刻表で駅のホームを見渡せるのはたった4分間しかないと判明し、社長は疑われますが完璧なアリバイがありました。
『けものみち(上下巻)』
本作の表題は、一般的な人がけものみちに入り込んで裏社会を見てしまい、運命が変わってしまう様子を描いたところからつけられたということです。日本国内の裏社会を牛耳る大立者と関わったばかりに、栄華を極めながらも破滅していくところが恐ろしいですね。
病気の夫を抱え、生活費を稼ぐために旅館に住み込み、仲居をする民子。ある日、ホテルの支配人が民子を見初め、もっと楽に生活できるように手助けをすると伝えられます。いじめて喜ぶ夫からの解放を願い、民子は失火に偽装して夫を殺害。旅館を常宿にする弁護士と支配人のツテで、政界や財界に力を持つ鬼頭の愛人になるよう引き合わされます。
『黒革の手帖(上下巻)』
こちらの作品は、1973年に女性銀行員と愛人が起こした『9億円横領事件』を下敷きに作成されたと見られています。社会派ミステリーであるとともに、主な登場人物に一癖も二癖もある悪者が占めているためピカレスク(悪者)サスペンスとも。主人公の転落に、あまり同情する読者は少ないようです。
冴えない銀行員の元子は、誰からも相手にされない地味な女性。脱税者のリストを作り、勤務先の口座から約7,500万円を横領します。銀座で見習いホステスをした後、多額のお金をもとにクラブを開業。お金や権力を得て華やかに振る舞いますが、多くの恨みを買います。身の丈を考えずに、人を騙して欲を出した結果はいかに…。
『日本の黒い霧(上下巻)』
史実や記録を細かく調べて書かれたノンフィクションの短編作品集です。著作が元で『黒い霧』という言葉が流行。第二次世界大戦後に日本が占領された時期に起こった事件や不祥事を書き、事件の真実を隠すことを『黒い霧』にたとえたといわれています。主な事件は未解決で、作者自身の考察も含めて真実を推量する内容です。諸外国の謀略説に偏るなど有識者からは賛否両論。
書かれている事件を一部紹介します。
- 下山事件…1949年(昭和24年)国鉄総裁が失踪後、轢死体で発見された。
- もく星号墜落事故…1952年(昭和27年)日本航空の旅客機もく星号が伊豆大島に激突して墜落。
- 帝銀事件…1948年(昭和23年)勤務中の銀行員12名を毒殺し、現金などを強奪。
『天保図録(1~4巻)』
本作品は『天保の改革』を元に、老中の水野忠邦、目付の鳥居耀蔵、長崎の役人だった本庄茂平次など実在した人物を軸にして書かれた時代物の作品です。資料を元に登場人物の心の動きを丹念に描いています。悪い人物が結託して勢いを得ますが、最後は互いに醜く裏切り合う姿が印象的です。
大御所(11代将軍、家斉)が亡くなり、12代将軍家慶は自由に政局を運営できるように。家斉派の家来を追放し、老中首座の水野を重んじます。水野は目付の鳥居を利用し、印旛沼開発などに力をいれる天保の改革を進めました。鳥居は力を得よう近づいた本庄を利用して邪魔な人物を次々に追い落とそうとしますが、うまくいくのでしょうか。
『眼の壁(めのかべ)』
この作品は、手形詐欺について書いたもので探偵役は企業の会計次長です。賄賂事件の犯罪に関わった検事から『捜査一課の小説は多いが、二課が扱う詐欺などの経済犯罪をテーマにした探偵小説を書いてみては。』とアドバイスされたことから執筆したといわれています。(本作は、記述の一部分が身分差別を助長するとして問題となりました。)
電機メーカーの会計課の課長は、銀行で詐欺に遭い、3,000万円の手形を犯罪グループに取られてしまいます。会社に莫大な損失を与えた課長は自殺。遺書を見た部下の会計部の次長は、警察に告発しようとしましたが、会社は反対し社外秘扱いに。義憤にかられた次長は友人の新聞記者と調査をはじめます。会社の顧問弁護士が失踪し、殺人事件が発生。代議士など有力者が関わっていることが判明しました。
『西郷札(さいごうさつ)』
松本清張の処女作の短編で、直木賞の候補にも上がりました。文学賞のコンテストで評価は高いですが、第三席とされます。松本清張の勤務先の新聞社が、コンテストの募集をした出版社の子会社に当たり、ほかの応募者に配慮をしたため。『西郷札』とは、明治初期の西南戦争時に薩摩軍(西郷隆盛率いる軍勢)が、軍にかかる資金を集めるために発行した軍用札のことです。
新聞社に勤務する語り手のもとに、勤務先が企画した展覧会の資料が送付されます。資料は西郷札と覚書で、語り手は内容を写して控えを取りました。以下、覚書の内容。士族の樋村は明治の廃藩置県で収入を失い、西南戦争に参加します。父は死去し、継母と義妹は家を戦火に焼き出されて行方不明。樋村は東京で車夫になり生計を立てることに。
『わるいやつら(上下巻)』
犯人が主人公の医師と判明しているピカレスクミステリー。父親は立派な医師で慕われていましたが、主人公はお金のある女性に貢がせる悪党です。彼を結託して追い詰める人間もひどく、作品は文字通り『わるいやつら』ばかりですね。
ある赤字経営の病院長。妻と別居中に、裕福な2人の女性を愛人にしてお金を出させて赤字の補填をしています。弁護士から紹介された、新進気鋭で若く美しいデザイナーに夢中。彼女との結婚を夢見ますが、多額のお金が必要になります。愛人からお金を絞り出して乗り切る計画を立てますが、愛人の1人を殺害するはめに。医師の計画が徐々に狂い始めてしまいます。
『霧の旗』
本作品は、偶然できた事件を利用して復讐をする話。人に無関心であることが、仕返しに結びついたものと考えられます。加害者の家族が生きにくくなるといった問題も描写されています。
教師の男性が金貸しの女性殺害の容疑で逮捕。妹は無実を訴える兄を信じ、高名な弁護士に兄の弁護を依頼。弁護士は高い費用を提示し、時間がないとすげなく追い払います。死刑判決をされた兄は、無実を訴えながらも獄死。妹は弁護士を深く恨み、後ろ指をさされながら郷里を離れ、上京してホステスになります。弁護士の愛人が殺人犯の疑いをかけられ、無実を証明するには獄死した妹に証言をしてもらう必要があり…。
松本清張作品がおすすめ!近現代の闇に興味がある人へ
松本清張の作品をおすすめするのは、昭和の事件や未解決事件が気になる人です。結論が諸外国の妨害とされるものも多いですが、何が起こったのかしっかり考える機会にもなるでしょう。リアリティを感じる小説を探している人で、『文章が堅くて読みにくいのでは』と心配になる場は短編集から、一読すると読みやすく感じるかもしれません。