中学生になると、読書感想文や課題図書で「本に触れる機会」が増えるほか、授業で取り扱われる小説作品も幅広くなります。読解力が身に付いて読書の入り口が広くなる一方で、どんな本を読めばいいのかわからないとお悩みの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、中学生におすすめの小説を8作品紹介します。選書のポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
中学生こそ本を読もう!読書がおすすめの理由
読書が良い習慣であるということはなんとなく理解しているものの、実際にはどのような効果があるか気になる方も多いと思います。十代のうちに多くの本に触れる経験は、新しい世界を知るきっかけになるだけではなく、想像力を広げたり自分や他者の感情に気付けるなど、心を豊かにしてくれます。また、語彙力がつく、思考力が育つ、集中力がつくなど、生きていく上で大切な力が自然と身につくのも読書の魅力。多感な中学生にとって、本との出逢いは一生の財産になり得る経験なのです。
中学生におすすめの小説の選び方
「どうやって本を選べばいいかわからない」という方向けに、中学生におすすめの小説の選び方を紹介します。
メディア化された作品から選ぶ
選書に迷う場合は、映画・アニメ・テレビドラマなど、メディアミックスしている作品から選んでみましょう。話題になった作品は多くのひとから親しまれている分、「おもしろい」「読みやすい」「感動した」など、評価が高い傾向にあります。ぜひ気になったタイトルから気軽に選んでみてください。
好きなジャンルから選ぶ
「推理小説」「恋愛小説」「スポーツ・青春小説」など、興味のあるジャンルから気になる本を見つけてみましょう。自分の好きな分野に関する本を読むことは、専門的な知識を深めてくれるだけではなく、そのジャンルの知らない一面にも気付かせてくれます。また、登場人物に感情移入したり、親近感を持つこともできるでしょう。テーマ性以外にも、「ハッピーエンドの感動小説」「ハラハラドキドキするエンタメ小説」と言ったジャンルの選び方もおすすめです。
中学生におすすめの小説
中学生におすすめの小説を紹介します。
『博士の愛した数式』小川洋子
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2003年に発刊されて以降、多くの賞を受賞した作品です。2006年に映画化されました。
記憶が80分しか持続しない元数学者の「博士」と、彼の新しい家政婦である「私」とその息子「ルート」の交流を描いた本作。さまざまな数式や数学用語になぞらえて、切なくも優しい日々が丁寧に綴られています。心あたたまる美しい文体に触れたいという方におすすめです。
『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦
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2010年に刊行され、日本SF大賞を受賞した作品です。2018年にアニメ化されました。
主人公は小学4年生のアオヤマ。ある日突然、街にペンギンの大群が現れる怪事が起こり始めます。ペンギンの謎を追求していくうちに、アオヤマは歯科医院のお姉さんの「秘密」に辿り着き─…。少年の冒険と初恋を瑞々しく、不思議なタッチで描いた作品です。
『三毛猫ホームズの推理』赤川次郎
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現在もシリーズが続いている人気作品です。テレビドラマ化、漫画化、ゲーム化など、さまざまな媒体とメディアミックスしています。
賢くて思慮深い三毛猫のホームズと、女性恐怖症で血が苦手なダメ刑事・片山のコンビが事件を解決していく推理小説です。軽妙な文体で読みやすいので、ミステリーに馴染みがないという方にもおすすめ。
『植物図鑑』有川浩
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2009年に刊行され、話題となった恋愛小説です。2016年に映画化されました。
ある冬の夜、マンションの前で捨て犬のような青年を拾ったさやか。その日をきっかけに、料理が得意で植物に詳しい不思議な青年・イツキとの同居生活が始まりました。次第に惹かれ合うふたりですが、イツキの素性は謎のまま。そうしているうちに、ある日イツキが消えてしまい─…。ふたりの距離が少しずつ縮まる様子に、胸がキュンとしたという声も。優しくあたたかい恋愛小説が読みたい方におすすめです。
『かぞえきれない星の、その次の星』重松清
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11篇の小説が収録された短編集です。新型コロナが猛威をふるっていた時期に執筆され、現代を生きる十代にリンクする描写が多く盛り込まれています。
感染症の拡大防止で仕事先から帰れなくなり、画面越しで家族と会話する父親や、ミックスルーツゆえにとある悩みを抱える少女。新しい母親に戸惑う少年、いじめを見て見ぬふりをしてしまった中学生など、現代を生きるすべての人に優しく寄り添う珠玉の作品集です。切なくてあたたかい、ちょっと不思議な世界観で綴られています。
『陽だまりの彼女』越谷オサム
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2013年に映画化された人気作品です。発売当時「女子が男子に読んで欲しい恋愛小説No.1」と謳われ、話題になりました。
中学時代にいじめられていた真緒と、それを助けていた浩介。引越しを機に別の人生を歩んでいましたが、社会人となったある日、偶然にも再会を果たします。互いの変わらない姿に自然と惹かれ合い交際を始めるふたりでしたが、真緒には「秘密」があり─…。感動のラストは必読です。
『村上海賊の娘』和田竜
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戦国時代の瀬戸内海を舞台にした歴史小説です。当時実在した「村上水軍」をモデルに執筆されています。
主人公の景(きょう)は、村上水軍の当主・村上武吉の娘。男勝りな性格で、軍船に乗り瀬戸内海の秩序を守る日々を送っていました。武家である毛利家からとある依頼を受けたことをきっかけに、景も戦いに身を投じていくことになります。登場人物がいきいきと描かれており、エンターテイメント性と躍動感が魅力の本作。読書好きの中学生にぜひ読んで欲しい作品です。
『ナルニア国ものがたり』C.S.ルイス
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アイルランドの作家C.S.ルイスが執筆した、名作児童文学です。「ライオンの魔女」から始まる全7編のシリーズ作品になっています。
架空の世界「ナルニア」を舞台に、四兄弟が壮大な冒険に誘われる様子が描かれています。ライオンの創造主や悪い魔女、小人や巨人など、ファンタジー作品に欠かせない魅力的なキャラクターが多く登場するので、空想の世界に浸りたいという方におすすめの作品です。
本との出逢いで世界を広げよう
中学生におすすめの小説を紹介しました。どの作品も、心に響く名作です。ぜひ図書室や書店で探してみてください。
自分にとって特別な一冊を見つけて、世界を広げましょう。