児童文学や小説、エッセイなど、さまざまな作品で独自の世界観を描いている梨木香歩さん。代表作「西の魔女が死んだ」は、多くの人々の心に残るベストセラーとなりました。
この記事では、梨木香歩さんのおすすめ作品を紹介します。選書のポイントについても解説しますので、ぜひご参照ください。梨木香歩さんの繊細で優しい作風に触れてみましょう。
目次
梨木香歩の経歴と作風
梨木香歩さんは1959年生まれ、鹿児島県出身の作家です。1994年に「西の魔女が死んだ」でデビューし、日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、第44回小学館文学賞受賞を受賞しました。過去にはイギリスに留学し、児童文学者のベティ・モーガン・ボーエンに師事。自然とファンタジーを基調とした作風で知られています。
児童文学以外にも、小説家、絵本作家、エッセイスト、翻訳家など多岐に渡り活躍している作家です。
梨木香歩作品の選び方
梨木香歩さんの作品を読む前に、選書のポイントを解説します。
人気作品から選ぶ
梨木香歩さんは、多くの名作小説を手掛ける作家です。代表作「西の魔女が死んだ」をはじめ、複数の受賞歴を持っています。読む順番に迷ったら、まずは評価の高い人気作から手に取ってみてください。
「西の魔女が死んだ」 日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、小学館文学賞
「裏庭」 児童文学ファンタジー大賞
「家守綺譚」 本屋大賞3位
「沼地のある森を抜けて」 センス・オブ・ジェンダー賞大賞、紫式部文学賞
「渡りの足跡」 読売文学賞(随筆・紀行部)
作品のジャンルで選ぶ
さまざまな分野で活躍している梨木香歩さん。ジャンルごとに違った魅力を持っています。心に響く小説作品や家族で親しめる児童小説など、読みやすいジャンルから選んでみてください。
梨木香歩のおすすめ小説
梨木香歩さんのおすすめ小説を紹介します。
西の魔女が死んだ
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1994年に刊行されたデビュー作です。日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、第44回小学館文学賞受賞を受賞しました。2008年には映画化されています。
繊細な性格で生きづらさを感じている少女・まいは、中学校に入学してまもなく学校に行けなくなってしまいました。田舎で暮らす西の魔女こと祖母のもとで過ごすうちに、まいは自分と向き合うようになり……
人間の生と死をテーマに、「自分の人生」を歩むことの大切さを教えてくれる作品です。
やがて満ちてくる光の
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2019年に刊行されたエッセイ集です。
「作家として、旅行者として、そして生活者として日々を送るなかで、感じ、考えてきたこと」を綴ったとされる本作。自然を尊重し、人の歩む未来を危惧する真摯な姿勢が描かれています。梨木香歩さんの世界観がどのようにして築き上げられたのかを感じ取ることができる一冊です。
エンジェル エンジェル エンジェル
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認知症の祖母と孫娘の交流を描いた作品です。主人公たちが生きる現在と、祖母の過去のエピソードが交互に綴られています。
熱帯魚の飼育をきっかけに、祖母の過去に触れるようになった主人公のコウコ。かつて少女だった祖母が犯した罪や、罪悪感で揺れる心情を丁寧に描いています。文庫版と書籍版でラストの表現が大きく異なっていますので、気になる方はぜひご一読ください。
裏庭
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1996年に刊行されました。第1回児童文学ファンタジー大賞を受賞しています。
荒れ果てた洋館の庭で遊んでいた主人公の照美は、ある日「裏庭」へ迷い込んだことをきっかけに、心の傷と向き合う旅を始めます。少女の成長を描いた、傑作児童小説です。かつて「子ども」だったすべての人におすすめできる名作です。
沼地のある森を抜けて
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命の繋がりを壮大なスケールで描いた長編小説です。
先祖伝来の「ぬか床」が起こす奇妙な出来事に導かれ、主人公の久美は故郷の島へと進み入ります。そこでは命の繋がりを感じさせる不思議な連鎖が渦巻いていました。久美が感じた命の秘密とは一体──
梨木香歩さんの死生観を感じる作品です。
からくりからくさ
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1999年に刊行された、人々の「縁」を描いた長編小説です。同年に刊行された「りかさん」の続編に当たります。
不思議な縁に導かれ共同生活を送る4人の女性の暮らしを丁寧に描いています。ファンタジー的要素がありながら、血族関係の複雑さや因縁についてなど、現実的な問題にも触れている作品です。自然や文化、手仕事に対する繊細な描写を楽しめます。
家守奇譚
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全28編からなる連作短編集です。約100年前を舞台に、主人公の青年が経験した不思議な1年間を描いています。
小説家志望の「私」は、とあるきっかけで親友の実家の家守になりました。そこでは河童や桜鬼など、天地自然の「気」たちが日常的に暮らしていたのです。どこか懐かしさを感じるようなエモーショナルな雰囲気を楽しめる作品です。
冬虫夏草
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「家守奇譚」の続編にあたる作品です。主人公の綿貫が愛犬を探すため鈴鹿の山に赴く様子が描かれています。
自然の美しさや命の躍動をゆったりと表現している本作は、前作よりもさらに色濃い世界観を楽しめます。梨木香歩さんの紡ぐ壮大で不思議なストーリーに、思わず没入してしまったという声も。現実を離れて自然に癒されたい方におすすめです。
梨木香歩が描く丁寧な世界観に触れよう
梨木香歩さんは、繊細で瑞々しい文体が特徴の作家です。梨木香歩さんの作品で、日常とファンタジーの融合を楽しみましょう。