宮本輝の小説は、『生きるための勇気を与えてくれる』と高く評価されています。若い世代にも親しまれていますね。本記事では、作風とともにおすすめの小説を紹介します。
目次
宮本輝の作風とは?
どのような点で多くの読者に評価されるのか、宮本輝の作風を詳しくみていきます。
感動的な自伝的小説
宮本輝は父の事業失敗による家族内の不和、経済的な苦難などで、幼い頃から非常に苦労の多い人生を送ってきました。そのような厳しい生活に負けずに多くの文学作品を読み作家として成功。家族の状況や自身の経験をふまえて、前向きに生きる大切さ、弱い者を温かく見守る視線、強く生きる勇気を与える感動的な自伝的小説を発表しています。
優れた表現の作品
宮本輝の作品には、その場の情景の描写がありありとわかる、優れた表現が多くみられるのも特徴です。実体験を元に美しい文章で書かれています。宮本輝の随筆や紀行文を好む読者も多いそうです。
人の心の微妙な動きを丁寧に描く
実体験を元にしていることから、登場人物の心の動きを丁寧に描写するのも作品の魅力。その人が何を考えて行動したのか微妙な心の動きが見て取れます。さまざまな小説が映像化され、翻訳されているのは、登場人物の性質や魅力が国内外の人に広く訴えかけるところがあるのかもしれません。
宮本輝のおすすめ作品8選を紹介!
宮本輝のおすすめ小説を8編紹介します。若い世代から歳を重ねた世代の人にも共感できる作品です。
『錦繍(きんしゅう)』
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本作は、以前夫婦だった2人が10年ぶりに会い、文通をして交流を復活させる恋愛ものです。憎しみあって別れたわけではなく、ある事件で離婚せざるをえなかった夫婦。14通の往復の書簡の形式で書かれています。洗練された言葉遣いも魅力的、お互いの手紙で傷ついた心を癒やして、明るい未来が待っている様子にひかれる人も多いかもしれません。
『流転の海 第1部』(シリーズ第1部~第9部)
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こちらの作品は、全9冊からなる壮大なシリーズです。主人公の父、家族を登場させた自伝的な小説。はじまりは敗戦後の日本、最終巻の第9部では高度成長期を迎えた20年間を舞台にしています。わがままで妻にも暴力をふるう反面、人情に厚い男、実業家の熊五が主人公。父と子供の関係を描写しつつ、人生で最も大事なものについて考える切っ掛けになる作品になるかもしれません。
『青が散る』(上下巻)
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テレビドラマ化されて視聴した人も多い、作品ではないでしょうか。放送された頃はテニスサークルに憧れた人もいるとのこと。著者の大学生活が下敷きになっています。大学のテニス部で展開される4年間、友情やライバル心、ヒロインとの出会いなど、甘酸っぱいエピソードが満載。サークル活動を通じて、主人公や仲間達が大きく成長していく姿が描かれています。
『優駿』(上下巻)
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『第21回 吉川英治文学賞』を受賞した作品で、映画化もされています。競馬を愛した作者が、サラブレットのオラシオンと、オラシオンを巡る競馬関係者の人達を、それぞれの目線に立って描写。迫力のあるレースの状況、馬と登場人物との対話をするかのようなところなど、印象的な場面があふれています。あまり競馬に詳しくないという人も夢中になれる小説です。
『螢川・泥の河』
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本作品は教科書に掲載されていて、読んだことのある人もいるかもしれません。『泥の河』はデビュー作で2つの短編を鑑賞できます。『螢川』は戦後の富山が舞台。中学生竜夫が父たちの死を乗り越えて、前向きに生きていく様子を描いた作品。表題はホタルが川をおおいつくして美しく舞う姿からきています。
『泥の河』は大阪の船上で母と姉と生活する貧しい少年貴一が、両親から付き合いを禁じられているという信雄という少年と少しの間交流を持つ姿を書いた作品。出自や過酷な運命であっても、強く生きていかなくてはならないと強烈な印象を受けます。
『人間の幸福』
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作者が神戸で大震災に遭った経験をもとに書いたといわれる本作品。『一体何が人にとっての幸せなのか』問うテーマで、珍しく推理小説のような形式で話が進んでいきます。一軒家に住む主婦が、金属バッドにより殺害される事件がはじまり。被害者は隣に建つマンション住まいの人達と多数のトラブルを起こしていました。人の心は生きている限り善悪両方の部分があるという部分に焦点をあてているのが特徴です。
『ドナウの旅人』(上下巻)
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ドナウ川の岸辺を西ドイツ(1983年、『朝日新聞』連載時、ドイツは統一されていないため)からルーマニア7か国に至るまでが舞台となった作品。ドナウ川の壮大な様子や河辺の自然に影響される、2組のカップルの旅を描いているのも特徴です。夫を捨てた母が年下の恋人を連れ、娘は母を追いながらドイツ人の恋人と再会してドナウ川の旅をしつつ、人との出会いや風景の中で、心境が変化する様子、自分らしく生きる大切さを悟る姿が書かれています。
『異国の窓から』
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この作品は、前項で紹介した『ドナウの旅人』を連載する前に、取材旅行に出向いた様子を書いたエッセイです。それぞれの場所を訪れるだけでなく、作品の背景になるイメージについても細かく見ています。当時の共産圏の国の様子、言葉の通じない国の人に招かれて交流した場面などもあり、旅好きな人、なかなか旅行にいくのが難しい人にもおすすめです。
宮本輝のおすすめポイント!前向きに生きる大切さに触れられる
宮本輝の作品は、読書を通じて前向きに生きる大切さに触れてみたい、生きる勇気がほしいという人におすすめです。作者は大変な苦労を経て作家になったとのこと。登場人物は困難な立場に置かれても、必死で生き抜いて大成する結末を迎えることがほとんど。小学生から中学生、高校生のような若い世代にも生き抜く大切さが伝わるのではないでしょうか。