数多くの名作恋愛小説を生み出している村山由佳さん。代表作「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズをはじめ、さまざまな恋愛模様を巧みに描いています。
今回の記事では、村山由佳さんのおすすめ作品を紹介します。選び方のポイントも解説しますので、ぜひご参照ください。
目次
村山由佳とは?経歴と作風
村山由佳さんは1964年、東京都生まれの作家です。1993年に「天使の卵―エンジェルス・エッグ」で小説すばる新人賞を受賞しデビューしました。2003年には「星々の舟」で直木賞を受賞。その後も多くの賞を受賞しています。
純愛から官能的な恋愛まで多彩な作品を手掛ける村山由佳さんは、リアルな心理描写で多くの読者から共感を得ています。また、繊細な恋愛模様を描く一方、家族や周囲との関係に悩む人々を綴った物語も多いことが特徴です。
心の機微を深く掘り下げた作品が魅力の作家です。
村山由佳作品の選び方
村山由佳さんの作品選びのポイントを紹介します。
刊行順で選ぶ
著書数が多い村山由佳さんの作品ですが、選書に迷ったら刊行年度で選びましょう。シリーズ作品も手掛けているため、先に出版された作品を読むことでより理解度が深まります。
主人公で選ぶ
純愛ものから官能的な作品まで、幅広いテーマを取り扱う村山由佳さん。共感できそうな主人公や、自分と同じ世代のキャラクターが登場する作品を探してみましょう。感情移入したり、新しい発見をしたりできるかもしれません。
村山由佳のおすすめ小説
村山由佳さんのおすすめ小説を紹介します。
「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズ
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1994年から刊行が開始した大ヒットシリーズ作品です。村山由佳さんの代表作のひとつとされています。
主人公の「勝利」と従姉妹の「かれん」、その弟「丈」の共同生活が描かれている恋愛小説です。勝利とかれんの切なくもどかしい恋模様を、瑞々しく繊細に描いています。初めて村山由佳さんの作品を読むという方にもおすすめの作品です。
天使の卵──エンジェルス・エッグ
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村山由佳さんのデビュー作品です。ラジオドラマ化・映画化され、ミリオンセラーとなりました。
8歳年上の春妃と出会った美大予備校生の歩太。彼女が父親の主治医であり、恋人の実姉だと知ってもなお想いは強くなるばかりで……。進路や恋愛に悩む青年の心を丁寧に綴っています。村山由佳さんの初期の作品に触れたい方はぜひご一読ください。
星々の舟
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2003年に直木賞を受賞した作品です。ひとつの家族を軸に、六章からなる連作短篇で構成されています。
厳格な父と後妻である母、分け隔てなく育てられた4人の子供たち。戦後の複雑な血縁関係や社会動向を背景に、それぞれが苦悩と葛藤を抱える様子が描かれています。一見、平凡で幸せそうな家庭に隠された個々の傷とは一体……
人間の心の内側を丁寧に綴っている作品です。
放蕩記
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村山由佳さんの半自伝的小説です。「親子」という関係性がもたらす複雑な心理が鮮烈に綴られています。
38歳の女流作家・夏帆は、幼い頃から厳しい母に対する葛藤を抱えていました。自身の離婚後、あらためて母娘関係を見つめ直す中で、夏帆は母を赦せるかどうかを模索し始めます。家族の影響と確執を描いた本作は、読み応えのある一冊です。
風よ あらしよ
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2020年に刊行された評伝小説です。2022年にテレビドラマ化されました。
明治から大正にかけてを生き抜いた婦人解放活動家・伊藤野枝の生涯を描いた本作。男尊女卑が根付いている時代に、自由と愛を求めてひたすらに突き進む唯一無二の激しい生き様が描かれています。登場人物の息づかいを感じるような筆致は必読です。ぜひお手に取ってみてください。
翼
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2002年に刊行された長編小説です。一人の女性の魂の再生と自由を描いています。
幼少期から虐待され、心に深い傷を負う主人公の「真冬」。過去のトラウマと闘いながら、辿り着いたアリゾナで新しい人生を歩み始めます。しかし、そこでも耐えがたい現実が真冬を襲うのです。
胸が痛くなるシーンが多いですが、ラストの展開には涙が止まらなかったという声も。勇気をくれる一冊です。
遥かなる水の音
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さまざまな愛の形を描く、大人のロードノベルと謳われた作品です。
若くして亡くなった弟の遺言を叶えるため、モロッコへと旅立った緋沙子。弟の同居人だった中年のゲイと弟の親友だったカップルと共に、サハラ砂漠を目指します。接点のない4人の想いが交錯し、行き着いた先とは……
食事や風景の繊細な描写に、まるでモロッコに来たかのような臨場感を味わえます。心温まる、愛と救いを描いた小説です。
村山由佳の丁寧で繊細な作風を楽しもう
恋愛小説の名手、村山由佳さんの作品を紹介しました。繊細で美しい心理描写はもちろん、激しく濃密な筆致も味わえます。村山由佳さんの作品を読んで、心に残る読書体験をしましょう。