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叙述トリックとは?おすすめの名作8選も紹介
叙述トリックは、読者を騙すようなイメージがありますね。現在ではミステリー小説の1つのジャンルとして認める人も多いでしょう。本記事では、叙述トリックを使ったおすすめの名作も紹介しています。
叙述トリックは読者の目を錯覚させる仕掛け
叙述トリックは、なんらかの手段で読者の目を逸らさせたり、錯覚を起こさせるたりする仕掛けのこと。具体的にはどのようなトリックが挙げられるでしょうか。
作者が意図的に真相をわかりにくく描写
言い方が悪いかもしれませんが、叙述トリックは、文字だけで伝える小説の形を利用して、真相をわざと読者にわかりにくく描写して騙す仕掛けのことをいいます。映像化する際は、叙述トリックをそのまま使うのは難しい場合があるでしょう。
よく使われる叙述トリックの例
- 事件の起こった時系列をずらす
- 地の文、会話のやり取りなどで性別や年齢を間違えやすくする
- 登場人物同士でなんらかの関係があることを明らかにしない
- 証拠品や証言を誤解させるような表現にしている
非難を浴びた『アクロイド殺し』
エルキュール・ポアロが活躍する『アクロイド殺し』(アガサ・クリスティ作)は、1926年の出版当時、ミステリー小説の愛好家を大いに騒がせました。資産家の殺人事件の証拠品について、叙述トリックを使い、読者の目から隠そうとしたからです。
読者にすべての手がかりを明かしていないため、熱心な愛読者が『読者に対してアンフェア。手の内を見せないのはずるいのでは?』と非難。『アクロイド殺し』はフェアかアンフェアかで大きな論争を生みました。ただ、現在でも『アクロイド殺し』は人気があり、叙述トリックを利用した代表的なミステリー小説に挙げられています。
叙述トリックを使ったおすすめの作品8選
叙述トリックを使ったミステリー小説の名作について、おすすめの作品を8選紹介します。読者の目を逸らすために、うまく使われていると感心する人もいるかもしれません。何度が読み返すと、裏の意味がわかり、作者の緻密な仕掛けに驚かされるでしょう。
『不連続殺人事件』(坂口安吾)
『不連続殺人事件』は財閥の屋敷やその集落で事件が起こるクローズドサークルものです。しかし、作者の叙述トリックが冴えわたり、真犯人のアリバイや動機がうまく隠されています。
終戦後の1947年、財閥一族の地元が舞台。当主の長男夫妻に招かれ、語り手の小説家と妻、友人の探偵とともに誘いに応じます。疎開したまま当地に居座る親族や、偽の招待状をもらった主人夫妻と微妙な関係にある客も勢揃い。ついに連続殺人事件の幕が上がります。
『ある閉ざされた雪の山荘で』(東野圭吾)
『ある閉ざされた雪の山荘で』は、雪の中の山荘で事件が起こる設定の劇のオーディションが舞台です。クローズドサークルのように見えますが、あくまでも作中のシナリオに過ぎません。本当に犯罪が行われているのか主人公たちもわからず困惑しています。
地の文に、叙述トリックがうまく使われ、犯人を隠すのに効果的。演技をしている劇団員の視点であるのか、犯人側の視点であるのか、場を操る第三者がいるのかどうかわかりにくいですね。
『R.P.G.』(宮部みゆき)
『R.P.G.』は、インターネットの仮想世界と実際の生活との落差をからめたミステリー小説です。作中の設定が最後にまったく異なる叙述トリックにも通じます。なぜ『R.P.G.』のタイトルが使われたのか理解できるでしょう。
建築中の住宅の中で男性の遺体が発見されます。被害者はインターネット上で、父(被害者)、母、娘、息子の設定で、家族として4人で交流していました。事件解決のため、被害者の娘の女子高生を警察署に呼び出し、仮想空間の家族たちの取り調べを見学させます。
『迷路館の殺人』(綾辻行人)
『迷路館の殺人』は館シリーズの3作め。ミステリー作家、鹿谷門実のデビューの作品が作中の話として書かれています。鹿谷門実の謎と、作中の人物の描写などに叙述トリックが使われ、連続殺人事件の真犯人を当てるのは非常に難しいです。
推理作家の巨匠により『迷路館』に招かれた作家や編集者、評論家などの客人は、大御所の自殺に遭遇します。迷路館を題材に、5日間以内に優れた小説を書いた者に遺産を半分相続する権利を渡すという遺書を知らされた面々は、欲をかいて執筆活動に取り掛かることに。
『夜歩く』(横溝正史)
『夜歩く』は、探偵の金田一耕助が没落した主家と力を持った家臣の家で起こる因縁の連続殺人事件。家臣の系統の息子の友人が、事件の記録役です。複雑な家系と陰鬱な雰囲気で事件の禍々しさを強調しています。
タイトルと、顔のない遺体は、叙述トリックが使われ、裏を返すと犯人にとって重大な意味を持つでしょう。ある人物に疑いをかけるための重大な仕掛けとなり、真犯人の恨みや悲しみがこもっているかのようです。
『死の接吻』(アイラ・レヴィン)
『死の接吻』は、犯人である主人公が語り手の倒叙ミステリー小説です。資産家の娘、三姉妹をたぶらかして、美貌に自信がある犯人自身が財産目当てで取り入り殺人事件を起こすという内容。途中の部分で、話の進行が伏せられているため、誰が犯人の男性であるかわからずに緊張感があります。
全般的にスリルに満ちていて、犯人の名前が語られていないことも忘れるほどです(後半部でようやく明かされます)。
『そして誰もいなくなった』(アガサ・クリスティ)
絶海の孤島で起こる連続殺人事件を描いた『そして誰もいなくなった』は、クローズドサークルのミステリー小説で有名な存在です。孤島に招かれた男女と使用人は、10人の小さな兵隊さんの童歌になぞらえて、次々に殺されていきます。しかし、最後の犠牲者は、招待者ではありません。
招待した人物は客と一緒に孤島にいるはずで、犠牲者のうちの誰かに扮していたはずです。叙述トリックが使われていて、読者に直接見えない部分に手がかりがあります。一度読んだだけでは気がつきにくいでしょう。
『十日間の不思議』(エラリー・クイーン)
『十日間の不思議』は、探偵エラリー・クイーンが登場するシリーズの1つです。事件の解決までを1日目~10日目と章のタイトル名がついています。パズルのような難事件を一気に理詰めで解決する探偵の姿ではなく、非常に重苦しい結末を迎えます。探偵自身も叙述トリックに引っかかり、読者も裏切られた気分になるかもしれません。
血まみれのまま宿で目を覚ました男は、記憶喪失になることがあり自分が何か事件を起こしているのではと不安にかられます。友人のエラリーに相談し、故郷のライツヴィルまで同道してもらいます。息子を可愛がっている養父は何も知らないようですが、男は継母と不倫関係にあるという悩みを抱えていました。
叙述トリックは騙されても楽しめる読者におすすめ
叙述トリックは、事件の真相から眼をくらますための仕掛けをいいます。人によっては、アンフェアで話がわかりにくいと感じる場合がありますね。叙述トリックのミステリーがおすすめの人は、作者から騙されていても内容を楽しめる読者です。再読して楽しむという鑑賞の仕方もできるため、試しに読んでみてはいかがでしょうか。