トリックが目を引く推理小説作家で、アメリカのエラリー・クイーンの愛読者としても有名な法月綸太郎。古典作品に敬意を払うことでも知られている存在です。本記事では法月綸太郎の作風などを解説をするとともに、おすすめの作品をまとめています。
この記事でわかること
- 法月綸太郎の作風やシリーズものを詳しく解説
- 法月綸太郎のおすすめ小説のあらすじを紹介
目次
法月綸太郎の作風について紹介
法月綸太郎の作品には、探偵役と一緒に謎解きをしてわくわくしながら読み進められるものが少なくありません。
作風の特徴を詳しく見ていきます。
謎解きを楽しむ本格推理小説
- 論理的なトリックと大胆なストーリー展開
- はじめて推理小説を読む人にもミステリー愛好家にも楽しめる
- 代表的なシリーズは作者と同名の探偵役が主人公の『法月綸太郎シリーズ』
法月綸太郎の作品には、どのような仕掛けがあるのが考えながら読めます。結末はどうなってしまうのかどきどきしながら楽しみたい人におすすめです。『法月綸太郎』シリーズは、エラリー・クイーンを意識した意欲作。クイーンの読者なら、共通するところを探しながら読むとおもしろいかもしれません。
著名な推理小説の作家へのオマージュ作品も
- エラリー・クイーン(『Yの悲劇』より)…『イコールYの悲劇』
- アガサ・クリスティ(『ABC殺人事件』より)…『ABCD包囲網』
- ロナルド・ノックス(『ノックスの十戒』より)…『ノックス・マシン』
『ノックスの十戒』を下敷きにした法月綸太郎の『ノックス・マシン』はSFとミステリーを融合させた作品として高く評価されています。(注:『ノックスの十戒』…ノックス自身が、推理小説を書く際に守るべき原則を十項目にまとめたもの)
法月綸太郎のおすすめ作品8選のあらすじと特徴を紹介
法月綸太郎のおすすめ作品を読者人気の高いものから8作品選び、あらすじと特徴を紹介していきます。
| 作品名 | 特徴 |
|---|
| 『一の悲劇』 | 誘拐事件と密室トリック |
| 『ノックス・マシン』 | 『ノックスの十戒』をモチーフにしたSFミステリー |
| 『生首に聞いてみろ』 | 首を切られた彫刻を巡り謎が謎を呼ぶ展開 |
| 『キングを探せ』 | 交換殺人と探偵役の戦いを描いた倒叙ミステリー |
| 『雪密室』 | 雪深い信州の別荘での密室殺人事件 |
| 『頼子のために』 | 娘のため復讐を誓う父の手記の矛盾を暴くイヤミス |
| 『密閉教室』 | 学園もの。密室殺人の謎解き |
| 『法月綸太郎の新冒険』 | 5編の中編集。本格推理小説でも趣向を変えている |
『一の悲劇』
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探偵自らを証人にさせたアリバイ崩しと密室トリックが効果的な作品です。資産家宅に子どもが誘拐されたとの連絡が入りますが、誤って同級生が連れ去られてしまいました。身代金の受け渡しに失敗したことで同級生は殺されてしまいます。真犯人は巧妙に正体を隠した意外な人物でした。
『ノックス・マシン』
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SFとミステリーを融合させ、『ノックスの十戒』をからめた話題作です。中国の大学で『ノックスの十戒』についての論文を発表した主人公は、国家科学技術局から出頭要請を受けました。論文について確認したいところがあるという説明でしたが、予想外の提案をされます。
『生首に聞いてみろ』
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つぶさに解決方法を探して、わずかな可能性さぐりながら犯人にたどり着く作品です。彫刻家が病死する前に、完成したはずの彫刻像の首が切り取られているのを発見。彼の娘をモデルにした作品が壊され、姪の生死を案じる叔父(彫刻家の実弟)が、法月綸太郎に調査を依頼します。
『キングを探せ』
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犯人側からの視点で描いた倒叙ミステリーです。カラオケボックスに集まった、互いに素性を知らぬ四人の男は、それぞれ殺意を抱いていました。トランプのカードを引き、めいめいのターゲットを交換しながら、狙う相手を決めていきます。
『雪密室』
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雪深い山荘と施錠された部屋、二つの密室状態を解く殺人事件を扱った作品。法月綸太郎の父である警視が山荘に招かれた夜、家主の女性の遺体が施錠された離れの部屋で発見されました。雪の上には発見者の足跡しかありません。密室トリックを疑う警視は息子とともに捜査を始め、二重のトリックを明かそうと奮闘します。
『頼子のために』
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後味が悪いのになぜか引き込まれるイヤミスのような作品。頼子という十七歳の愛娘を殺された父の手記が残されました。通り魔事件で解決させようとした警察に反発し、犯人を突き止めて仕返しをして自ら死を選ぶという内容です。手記を読んだ法月綸太郎は、真相の解明に向けて調査に乗り出します。
『密閉教室』
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高校を舞台にした学園もので、密室やどんでん返しの結末が用意された作品。推理マニアの高校三年生の主人公の身に起こる不思議な事件がありました。教室にあった机と椅子が消え去り、代わりに遺書のコピーと親友の遺体だけが残されている状況。主人公は苦労して真相に迫ろうとします。
『法月綸太郎の新冒険』
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『法月綸太郎の冒険』に続く全五編の中編集です。趣向を変えた作品が多く、鉄道ミステリーやオカルト風の作品、法月綸太郎本人が登場しない小説もあります。緻密なプロットで、中編でも本格推理小説を楽しめると高評価です。
法月綸太郎のおすすめ作品を読む際によくある質問(Q&A)
- 法月綸太郎シリーズでエラリー・クイーンの愛読者だとわかる特徴は何ですか?
-
エラリー・クイーンの作品をもじって作品名にし、探偵役と作者が同名で父が警視というのが特徴です。
- 法月綸太郎の代表作は何でしょうか?
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愛読者の間では、『ノックス・マシン』『生首に聞いてみろ』が人気です。
本格推理小説が苦手な人にも!法月綸太郎がおすすめ!
法月綸太郎の作品は本格推理小説が苦手な人や推理小説を始めて読む人におすすめです。探偵が理屈をこねて偉ぶる様子があまり見られないため、すんなりと没頭できる楽しみもあります。密室トリックやアリバイ崩し、犯人との頭脳比べ、叙述トリック、SFとの融合など調査をして解決に導く話などいろいろな捜査方法があり、初心者でも安心して謎解きを楽しめるでしょう。