篠田節子さんは、SF、ミステリ、ホラーからヒューマンドラマまで、多彩なジャンルで読者を惹きつける作家です。細部まで緻密に作り込まれた世界観と深い人間描写で、世代を超えて多くの支持を集めています。
この記事では、篠田節子さんのおすすめ作品を紹介します。選書のポイントも解説しますので、あわせてご参照ください。
目次
篠田節子とは?人物と来歴
篠田節子さんは、1955年東京都出身の作家です。市役所に勤務していた経歴を持ち、35歳の時に「絹の変容」で作家としてデビューしました。1997年には「女たちのジハード」で直木賞を受賞し、その後も多くの文学賞を獲得。2020年には紫綬褒章を受章されています。
社会問題や医学、宗教、芸術、家族のかたちなど多様なテーマを描き続け、現在も数多くの著書を刊行している作家です。
篠田節子の選書のポイント
多くの作品を執筆している篠田節子さん。選書に迷った場合は、以下のポイントを参照ください。
受賞歴のある作品から選ぶ
どの作品を読むか迷ったら、受賞歴のある代表作から選んでみましょう。
1990年 小説すばる新人賞 「絹の変容」
1997年 山本周五郎賞 「ゴサインタン」
1997年 直木賞 「女たちのジハード」
2009年 柴田錬三郎賞 「仮想儀礼」
2011年 芸術選奨文部科学大臣賞 「スターバト・マーテル」
2015年 中央公論文芸賞 「インドクリスタル」
2019年 吉川英治文学賞 「鏡の背面」
興味のあるジャンルから選ぶ
多くのジャンルを手掛けている篠田節子さん。SF、ミステリー、社会派、ホラー、コメディなど、自分の興味のあるテーマを選んで、気になるものから気軽に手に取ってみてください。
篠田節子のおすすめ作品
篠田節子さんのおすすめ作品を紹介します。
『絹の変容』
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篠田節子さんのデビュー作品です。小説すばる新人賞を受賞しています。
祖母の形見の美しい絹糸に取り憑かれた主人公・長谷。技術者の芳乃と手を組み特殊な蚕の人工繁殖に成功しますが、それは凶暴化する蚕の大発生と人々の死亡を招く悲劇の始まりでした。人間の欲望とその果てに巻き起こる混乱を描く、バイオホラーSFの傑作です。
『ロブスター』
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2024年に刊行されたSF作品です。
灼熱の砂漠で取材中の女性ジャーナリスト・寿美佳は、強制労働の噂を聞き鉱山へ潜入することに。しかし、そこにいた人々は「ここに留まりたい」とみずから望む者ばかりでした。ほんとうの幸せとは?人生の本質とは?絶望と希望が同居する地で、自由の意味を問いかける新感覚ディストピア小説です。
『弥勒』
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1998年に刊行された長編小説です。
独自の仏教文化を持つヒマラヤの小国・パスキム。新聞社の永岡は、政変で閉ざされたその国に潜入しますが、目にしたのは僧侶の虐殺と容赦ない革命の現実でした──…。やがて彼自身も革命軍に囚われ、過酷な生活を強いられることに。理想と暴力、救済とは何か?人間の内面を鋭くえぐる、超大作巨編です。
『女たちのジハード』
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直木賞を受賞した、篠田節子さんの代表作です。1997年にテレビドラマ化されています。
結婚、出産、仕事……異なる立場で生きる5人の女性たちが、それぞれの「ジハード(聖戦)」を抱えて奮闘する群像劇です。すれ違いながらも、互いに前を向いて進もうとする現代女性の姿がいきいきと描かれています。現代社会に生きるすべての人に寄り添う、力強くも繊細な作品です。初めて篠田節子さんの作品を読む方にもおすすめ。
『介護のうしろから「がん」が来た!』
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2019年に刊行された、闘病と介護を綴ったエッセイです。
認知症の母を二十年介護し、ようやく施設入所でほっとした矢先に乳がんが発覚した著者。検査・手術・再建、そして自身の執筆活動と、治療と介護が同時進行する日々をユーモアを交えて綴っています。重いテーマながら、軽やかな語り口で描かれている等身大の介護・闘病記録です。勇気をもらいたい人におすすめの作品。
『冬の光』
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2015年に刊行された長編小説です。
四国遍路を終え、冬の海に消えた父。家庭を支えてきた彼が命を絶った理由とは?父の足跡を辿るうちに、次女・碧はとある真実に辿り着き──…。父娘それぞれの視点で、家族、男女関係、人生の儚さを浮かび上がらせる傑作長編です。
『鏡の背面』
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2018年に刊行された長編サスペンスです。
薬物依存やDVの被害者らが暮らす女性シェルター、新アグネス寮。その創設者である「先生」が火災で死去する事故が発生しますが、遺体はまったくの別人でした。先生は何者なのか?「1994年」に何が起こったのか?社会の救済と人間の闇を鋭く描く、圧巻の心理サスペンス小説です。
『セカンドチャンス』
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2022年に刊行された新感覚のスポ根ドラマです。
長年にわたる母の介護を終えた51歳の麻里。医師から運動を勧められながらもなかなか踏み出せずにいましたが、親友のひと声で水泳に挑戦することに。「人生、まだまだ捨てたもんじゃない」……50代に訪れた“セカンドチャンス”を、ユーモアと温かさで描く爽快な感動作です。
篠田節子の多彩な作品からお気に入りを見つけよう
幅広いテーマを取り扱う篠田節子さん。どの作品も読みやすい文体で、世界観やストーリーに自然と没頭してしまう魅力があります。興味のある作品からぜひ手に取ってみてください。