島本理生のおすすめ本10選！弱さや繊細さを描く瑞々しい作品をご紹介

人の持つ弱さや繊細さ、美しさを瑞々しく描き出す島本理生。心を揺さぶられる感覚や、誰かを思う切なく温かな気持ちを味わいたい方に、島本理生作品はおすすめです。

島本理生とは

島本理生はどんな小説家なのでしょうか。

島本理生の作風

人の心が揺れ動く様が、繊細に丁寧に描かれる島本理生の小説。複雑な過去に翻弄される苦しみと、その中で見つける希望を表現したストーリーが魅力的です。

島本理生の経歴

小学生の頃から小説を書き始め、15歳で雑誌の小説コンクールに当選。17歳でデビューしたのち、芥川龍之介賞・川端康成文学賞など数多くの賞の候補作となります。『シルエット』が群像新人文学賞の優秀作、『リトル・バイ・リトル』が野間文芸新人賞、『Red』で島清恋愛文学賞、『ファーストラヴ』で直木賞を受賞しています。

島本理生おすすめ作品10選

島本理生の数多くの作品の中から10作品を見ていきましょう。

ナラタージュ

2017年に松本潤、有村架純主演で映画化された作品です。

高校時代に出会い、救ってくれた先生。気持ちを募らせる中、先生の秘密を知り、泉は力になりたいと強く思うように。寄り添うように惹かれ合う二人ですが、運命は単純ではなくて。

忘れることのできない、消えることのない恋を心に持ったままの主人公が、過去を振り返る形で書かれた物語です。

ファーストラヴ

就職活動中の大学生・環菜は面接の帰りに美術学校勤務の父親を刃物で刺殺。なぜ、彼女は父親を殺すに至ったのか。「動機はそちらで見つけてください」と言い放つ環菜。

臨床心理士の真壁由紀は環菜と向き合ううちに、自分の生い立ちや義弟との関係にも向き合っていきます。幼少期に受ける傷や影響、家族の抱える痛みを描き出した今作は直木賞を受賞。映画化、ドラマ化もされています。

リトル・バイ・リトル

主人公ふみは母と小学生の異父妹と３人暮らし。大学に行くお金がなく、アルバイトと家事、妹の世話をしながらの日々を送るふみ。ボクサーの周と出会い、ささやかでしあわせな時間を過ごします。

家族やその周りの人たちとの関係性の中で主人公が日々を歩んでいく様子に、読んでいておだやかであたたかな気持ちになれる作品です。

シルエット

著者17歳のデビュー作。「わたし」は女性に触れられない冠くんとの恋に区切りをつけられないまま、せっちゃんとの交際を始めます。今の自分は誰を求めているのか、思いを確かめていく主人公。繊細で苦しい感情がリアルに描かれます。

文中に登場する雨の描写が美しく、瑞々しい印象が残る作品です。他２篇を収録。

Red

夫の両親と同居しながら、かわいい娘と夫とおだやかな暮らしをしているつもりだったのに。友人の結婚式で再会したかつての恋人によって、封じ込めていた満たされない思いがあふれ始めます。禁断の恋を描いた、著者初の官能小説です。

夏帆、妻夫木聡らのキャストで映画化されています。

あなたの愛人の名前は

孤独を抱えた大人たちが、ひとときを共に過ごすことで一瞬だけ満たされ、またそれぞれの場所へと戻っていきます。同じ夜を過ごしても、お互いの心に残るものは同じではないという切なさを抱えて。

６つの短編は、関係性のある主人公が入れ替わりながら展開。それぞれの視点から、出来事や心情を描きます。間違った恋愛も著者の繊細な文体で、美しく表現されています。

イノセント

函館・仙台・東京を舞台に、シングルマザーの比紗也と会社経営をする真田、神父の如月の三角関係を描いた物語です。複雑な過去を持つ比紗也を、2人は異なる愛で救おうとします。

深い絶望の中から比紗也を本当の意味で救い出せるのは誰なのか。登場人物が苦しみと向き合っていくストーリーは、ラストに希望を見出す読者も多いようです。

よだかの片思い

子供の頃から顔に大きなアザのあるアイコ。恋愛はあきらめ、大学院での研究に打ち込みます。「顔にアザや怪我のある人たちのルポルタージュ」本の取材を受けると、アイコの写真が表紙に使われ、さらには映画化も。

動揺の中、映画監督・飛坂さんと出会います。彼の映画は、傷ついてきたアイコの心を救い出すよう。不器用な初恋をきっかけにコンプレックスと向き合うアイコ。アザへの思いにも変化が。主人公の変化にさわやかな強さをもらえる物語です。

クローバー

男女の双子、華子と冬治が恋を通して成長していく物語です。はっきりしていて周りを振り回す華子と、優しいけれど優柔不断な冬治。姉弟でのやりとりや、大事な人との出会いの中で自分の幸せを見つけていきます。

タイトルの意味は本文の中に。目を引く四葉の表紙はミナペルホネンの素材からデザインされています。

わたしたちは銀のフォークと薬を手にして

仕事に邁進する知世と年上のエンジニア椎名さんは、時々美味しいものを食べに行く関係性。二人の距離が縮まるほどに、椎名さんの抱えた重大な秘密の存在が大きくなります。揺れながらも、お互いを思い合う気持ちは強くなって。

のびのびとした温かな空気感の中で進む、心地の良い大人のラブストーリー。食事や旅のシーンも魅力的な１冊です。

島本理生作品はこんな方におすすめ

複雑な過去や生い立ちのある主人公の、繊細な心理が美しく描かれることの多い島本理生の作品。痛みや後悔を抱えたままで、一歩踏み出していくストーリーに希望を感じられます。この10作品以外にも魅力的な数多くの作品が。苦しくなるほど、美しい大人のラブストーリーを読みたい方はぜひ読んでみてください。