来日後、夫人との結婚とともに日本に帰化した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)。日本古来から伝わる怖い話を集めて記した作家というイメージが強いかもしれません。しかし、恐ろしい物語だけではなく、日本の文化や習俗に着目してエッセイを残したことでも知られています。
この記事でわかること
- 小泉八雲の作品のジャンルと特徴
- 小泉八雲の代表作の簡単なあらすじ
小泉八雲の夫人を主人公にしたドラマ化もされ、身近に感じる人もいるでしょう。本記事では、作風の解説とともに、小泉八雲の代表作『怪談』に所収された短編とエッセイ2作品を紹介しています。
目次
小泉八雲の作風と特徴
- 日本に伝わる怖い話を集める
- 日本の文化や風習を世界に発信
小泉八雲の代表作『怪談』や『骨董』などの短編集は、日本に語り伝えられてきた民話を書き記した作品。内容は妖怪や亡霊などが引き起こした怖い話が知られていますが、怖い中にも悲劇的であり、心を揺さぶる物語もあります。随筆は、西洋とは異なる文化や風習を広く発信している内容です。良いところも悪いところも含めて相互に理解を深めようとした工夫が見られます。
『思ひ出の記』(小泉セツ) について
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小泉八雲への理解を深めたいのであれば、セツ夫人から夫との生活を描いた『思ひ出の記』を読むのもおすすめです。小泉八雲が自宅を留守にしている際に夫人を気遣い毎日手紙を送ったエピソードなど、セツ夫人が夫を優しく見守るような温かい雰囲気で満ちあふれています。
小泉八雲の代表作『怪談』から5選を紹介
怖い話を集めた作品の中でも、とくに代表作として知られる『怪談』から、5選紹介します。
| 作品名 | 特徴 |
|---|
| 耳なし芳一 | 琵琶法師の悲劇 |
| 雪女 | 厳しい雪と切ない愛の物語 |
| むじな | どこか人をからかうような妖怪の話 |
| ろくろ首 | 供養で救われる妖怪 |
| 乳母桜 | 奉公先の主人の娘を思う乳母の姿 |
『耳なし芳一』
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平家物語の弾き語りが評判の琵琶法師、目の不自由な芳一(ほういち)を襲った悲劇。ある夏の夜に来訪した者が、『三日間、夜に屋敷に招く。内緒で演奏を聞かせてほしい』と依頼しました。怪しく感じた和尚は寺に仕える男に後をつけさせると、芳一が平家一門の墓の前で弾き語りをするのを目撃。和尚は彼を守ろうと、経典を全身に記しました。
『雪女』
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妖怪の雪女の恐ろしさと、夫への恋心や子どもを案じる切なさが描かれた作品。2人の木こりの男が吹雪で帰れなくなり、山小屋に避難していました。若い男が目を覚ますと全身雪にまみれた美しい女がいて『お前は若くて美しいから生かすことにした。誰かに話したら殺す』と言い放ち姿を消します。老齢の木こりはすでに絶命。数年後、男は美しい女『お雪』と出会い、恋に落ちます。
『むじな』
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妖怪の『のっぺらぼう』が人を驚かしてからかうようなユーモラスな作品です(本来の『むじな』は、人をたぶらかす動物のこと)。人気のない寂しい道に通りかかった商人。若い女性が顔を覆って泣くのを心配し声をかけたところ、振り向いた顔には、目も鼻も口もありません。驚いた商人は逃げ出し、そば屋の屋台に駆け込みます。
『ろくろ首』
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首を自由に飛ばして獲物探しをする『ろくろ首』の退治の話。妖怪でも供養されると、悪事を働かなくなるのがおもしろいです。かつて勇猛な武士だった僧侶が、夜に山中で親切な一家と出会い宿泊させてもらうことになりました。深夜に目を覚ますと家族の胴体だけが残り、妖怪『ろくろ首』の一家だと判明。自分を守るために僧侶は彼らの胴体を隠してしまいます。
『乳母桜』
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感動的な異色作で、不動明王への祈願で生まれた娘と、願掛けをして村長の娘の身代わりになった乳母の話。裕福な村長夫妻は子宝に恵まれず、祈願をしてやっと娘を授かりました。献身的な乳母をつけ、娘は美しく成長します。大病にかかり医者から見放された娘ですが、乳母が自分の命と引き換えに助命を祈願して娘は回復します。乳母は『不動明王に感謝の気持ちとして、桜の木を捧げてほしい』と言い残しました。
小泉八雲の評論とエッセイの代表作2選を紹介
小泉八雲のエッセイの代表作を2つ選び、内容を紹介します。
| 作品名 | 特徴 |
|---|
| 日本の面影(旧題『知られぬ日本の面影』) | 日本人や文化を詳しく描写 |
| 心 | 肩入れしすぎず日本を冷静に観察 |
『日本の面影』(旧題『知られぬ日本の面影』)
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微笑を不思議に感じたり、日本人の精神性に触れたりして、深く観察して独特な本質に触れようとするエッセイ集。小泉八雲の持つ印象を繊細に描き、日本に対する強い想いを伝えようとしています。出雲大社へ昇殿を許されて訪問した際の記録が鮮明でわかりやすいです。現代からは失われつつある、古き良き日本が感じられます。
『心』
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古来から受け継ぐ日本人の信仰の教えや文化を理解を示しつつ、日本人の心情をまっとうに読み解こうとしたエッセイ集。日本びいきの視点ではなく、西洋を礼賛する姿勢もない中立な姿勢で書かれています。もちろん、日本人について耳の痛いこと(社会の制度や日露戦争で勝利に酔いしれるところ)も、冷静な目線で描写しているかのようです。
小泉八雲の代表作についてよくある質問(FAQ)
- 小泉八雲の作品でとくに有名なものは何ですか?
-
『怪談』『日本の面影』『心』をあげる人が多く見られます。
- 『怪談』の中でも、子どもが読みやすい話は何ですか?
-
『雪女』『むじな』『耳なし芳一』などが児童書に収録されています。
日本文化や人を優しくも冷静な視線で描写する!小泉八雲の代表作
小泉八雲の代表作は、怖い話や不思議な話などの伝承をまとめた作品なら『怪談』、エッセイであれば『日本の面影』や『心』を候補にあげる人が多く見られます。小泉八雲はジャンルが異なっていても、日本人の精神性や文化を丁寧で冷静に見極めて理解しようとつとめ、切なさや感動を盛り込むような作品を書いていることが見て取れますね。作者の残した書籍から、失われつつある日本人の美点を再認識させてくれる力が感じられます。