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山村美紗ミステリーおすすめ10選!作風なども紹介!
テレビのサスペンスドラマなど映像化がされている山村美紗の小説。生き生きとしている登場人物に魅力を感じて、没後も根強いファンが多いのが特徴です。本記事では山村美紗の作風や略歴、おすすめの小説についても簡単に紹介していきます。
山村美紗略歴
京都市出身で、幼少の頃は教職の父が校長になり、朝鮮府京城(第二次世界大戦当時)に赴任に伴い転居。戦後に帰国し京都に住みました。中学校で国語教師をしながら作品を書くようになります。結婚後は教職を辞め、本格的に執筆へ。1974年、『マラッカの海に消えた』で推理小説家としてデビュー。1983年、『消えた相続人』で日本文芸大賞に選出されます。
山村美紗のミステリーの特徴と作風
女性の推理小説作家という立場から、『ミステリーの女王』、『日本のアガサ・クリスティー』と評されることもある山村美紗。小説の特徴や作風について詳しく見ていきましょう。
京都を舞台にしたミステリー
京都在住の地の利を生かし、京都の著名な寺社や観光地などを舞台にしたミステリーを書き上げます。京都独自の文化にも精通し、作品に盛り込むことも。華道も茶道も日本舞踊も師範の免状を持っていました。元国語教師の知識を生かし、『源氏物語』『百人一首』などをモチーフにした作品も見られます。
山村美紗の各作品には、探偵役に事件を依頼する京都府警の『狩矢警部』と『橋口警部補』が登場。柔和な人柄で物腰が柔らかく、読者にも人気です。映像化された作品にも多く登場します。『検視官シリーズ』で、探偵役の『江夏冬子』は狩矢警部と橋口警部補の同じ京都府警に勤務している設定です。
職業を持つ女性が探偵役
探偵役は女性が圧倒的で、恋人や親しい男性がワトスン役を担うのが多数。専門職に就いている登場人物が多いですが、恋や仕事、自分の生き方に悩みつつ、前向きに人生を謳歌する等身大の姿が描かれています。長女で俳優の山村紅葉には、『女性が成功するために、男性の3倍は努力が必要』と伝えていたとのこと。
山村美紗が活躍した1970~90年代は、まだ女性の本格的な社会進出が難しい頃。探偵役の女性には、作者が応援するような目線が感じられ、登場人物に共感した読者もいるかもしれませんね。
読者人気の高い探偵シリーズ
- キャサリン…アメリカ出身の写真家で政治家の父を持つキャサリン・ターナー。政治家の身内で大学教員の一郎が恋人。日本文化に興味を持ち来日。好奇心旺盛で人懐っこく味方も多いが、目立つため嫉妬されることもある。
- 葬儀屋明子…父の急逝で、不本意ながら葬儀屋の家業を継ぐ石原明子。東京在住の医師で大学教員、黒沢秋彦と遠距離恋愛中。葬儀屋の経営が結婚の妨げになるのではと悩む。依頼先で不審死に遭遇し、事件に巻き込まれる。
- 祇園舞妓小菊…一人前の芸妓を目指している舞妓の小菊。画家の沢木はパトロンで恋人。先輩の芸妓との人間関係や、仕事にやりがいを感じていても制約の多さに悩むこともある様子。お座敷や客先で事件に遭遇する。
※その他『看護師戸田鮎子』『ニュースキャスター矢村麻沙子』『不倫調査員片山由美』のシリーズもあり。
西村京太郎との関係
山村美紗は同じく推理小説家の西村京太郎のファンでした。著作を読んだ山村美紗がファンレターを送り、交際が始まります。夫がいましたが、おしゃれで可愛らしいところを西村京太郎が気に入っていたようです。山村美紗は1996年に執筆中に急逝。西村京太郎は彼女の死を悼み、山村美紗をモデルにした小説を書いたり、絶筆となった作品の補筆をしたりしています。
山村美紗のおすすめミステリー10選
山村美紗の作品には、女性の探偵シリーズが有名で、多くのドラマやゲームなど映像化されたものも。ノンシリーズの作品も多く、著作の中から読者人気が高い作品を中心に10選紹介します。
『花の棺』
キャサリンシリーズの第一作目。まだ来日したばかりのキャサリンと一郎はぎこちない関係です。ドロドロした人間関係の描写と、茶室の密室トリックは見事です。
アメリカのターナー副大統領と令嬢のキャサリンが来日。彼女は生け花を習うためそのまま日本に滞在します。大手の三代流派の華道の家元は、それぞれ指導を希望。しかし、キャサリンは護衛役の一郎に『オガワマイコ』という華道家に師事したいと打ち明けました。一郎は彼女を探しますが、遺体となって発見。キャサリンは一郎を助手にして殺人事件の解明をします。
『赤い霊柩車』
2時間ドラマで有名な『赤い霊柩車』シリーズ。連作の短編集です。葬儀社で明子を支える秋山と事務員の良子との掛け合いは、テンポが良くおもしろいです。(小説とは設定や名前が異なる部分あり。)当初はあまり家業に身が入らない明子ですが、徐々に経営者として成長していく過程も描かれています。
表題作は、大学教授の夫人の葬儀について。高名な教授から若く美しい夫人の葬儀の依頼を受けた石原葬儀社。父の死去後、渋々と後を継いだ明子は流感(インフルエンザ)で急死した夫人の遺体を見て、不信感を持ちました。恋人で医師の秋彦の協力を得て事件の真相を追います。
『京都嵯峨野殺人事件』
鍵を使った密室殺人を扱った作品。連続殺人事件よりも『誰が結婚相手に選ばれるか』、登場人物同士の駆け引きの描き方が恐ろしいです。花嫁選びの設定については、『現在(2024年11月)は女性蔑視につながるのでは』と懸念する読者も。本作品はノンシリーズで、事件に巻き込まれた結婚相手候補の女性が探偵役を務めます。
卒業した学生達が、恩師の教授から譲り受けて閑静な竹林の中にある民宿を経営しています。同窓の2人の男性と5人の女性が出資し、男性が2人で経営しています。卒業後3年が経過。約束通りに民宿の利益を分配し、男性が5人の女性から結婚相手を選ぶ話し合いが開催されますが、女性達をターゲットにした連続殺人事件が発生し…。
『百人一首殺人事件』
キャサリンシリーズの2作目で、キャサリンと一郎の距離が徐々に縮まっていきます。本作品を通じて、京都の文化や百人一首の知識を深められると高い評価も。電話のトリックが使われ、当時としては斬新でした。プッシュ式の電話しか知らない人にとっては、戸惑うかもしれませんね。
ある年の大晦日の夜半過ぎ。キャサリンと一郎は八坂神社にお詣りをします。大勢の人が集まり、押されるように境内に向かっていたところ、前の方から大きく騒ぐ声が聞こえてきました。何があったのか、駆けつける2人。悲鳴のした方に行くと、和服姿の若い女性が倒れ、破魔矢で胸を突かれていました。彼女のそばに百人一首の札が落ちています。
『エジプト女王の棺』
京都で開催されたエジプト展と、修学旅行中の女子中学生の死から浮かび上がる連続殺人事件。スピード感のある展開と、緻密な構成で人気です。エジプトや京都の文化をミステリーに織り込むところも、アガサ・クリスティーと似ています。(本作品では、職業に言及する場面など、性差別や国際問題につながりかねない部分があり注意が必要です。)
京都で開かれたエジプト展で、財宝を盗む計画をした男性が薬物中毒で死亡。その事件があった2年後に修学旅行先で女子中学生が謎の墜落死を遂げ、『エジプト、ミイラ』とメッセージを残しました。次々と女生徒が亡くなり、中学生の通っていた私立学校に勤務する女性が、真相解明に向けて活動し始めます。
『消えた相続人』
キャサリンシリーズで、日本文芸大賞を受賞した作品。キャサリンは非常に無茶な方法で誘拐事件の解決を図ろうとします。掟破りのようにも感じられますが、誰が真犯人であるのか、動機は何かが気になる展開です。誘拐に関わった犯人の身勝手さが際立っています。
キャサリンは写真家兼記者として、また、恋人の一郎に会いに京都にやってきました。一郎は誘拐された教え子の女子大生を心配しています。多額の身代金を支払いましたが、1週間経過しても彼女は戻ってきません。キャサリンは彼女を助けるため、『彼女は巨額の遺産を受け取る権利がある』と嘘の情報を流し、時間を稼ぐことに。女子大生の周辺では殺人事件が起こり、誘拐事件は二転三転します。
『京舞妓殺人事件』
舞妓の小菊が先輩や同僚達の連続殺人の解決に挑む作品。偽ブランド品の問題、密室殺人のトリック、表向きは華やかな花柳界と絡めて、テンポ良く話が進んでいきます。
京都で人気の舞妓といわれる小菊は、恋人の日本画家沢木と一緒に時代祭に出かけます。そこで先輩の芸妓の市加代(いちかよ)が客と一緒にいて、サングラスの女性が尾行するのを目撃。市加代は焼死体で発見されます。同僚の舞妓の豆花の水死、市加代の客の愛人が密室で服毒死など次々に起こる殺人事件。小菊と沢木は真相を探るが、小菊が命を狙われる事態に…。
『殺意のまつり』
ノンシリーズの短編集で表題作と合わせて7篇、1970年代頃に書かれた初期の作品が集められています。ドラマ化された作品やシリーズ物の作品は、登場人物の心理描写を丁寧に描いたサスペンスミステリーが多数。本作品はサスペンスに加えて、トリック(時刻表やアリバイなど)を重視した本格派の作品が見られます。
表題作は、冤罪事件をテーマにした作品。20年前に起きた殺人事件の真犯人を名乗る男が姿を現しました。しかし、事件があった当初に逮捕された男性は、すでに15年服役して出所。依頼を受けた弁護士は調査を進めると、冤罪の証拠が次々に明らかになります。その後、事態は思わぬどんでん返しを迎え…。
『マラッカの海に消えた』
山村美紗がメジャーデビューを果たしたミステリー。会社組織と人間関係が複雑に絡みあった作品で、マラッカ海峡に面するペナン島の歴史や文化にも触れています。話は主人公と警部の視点を交互に変えて進行。
主人公は結婚前に石油会社に勤め、同僚と結婚。実は仮面夫婦で、結婚前に上司との不倫が夫にばれていました。主人公の夫はマレーシアに出張。間違い電話がもとで、憂さ晴らしに指定されたナイトクラブに出向くと、ペナン島にいるはずの夫の姿を見かけ驚愕。翌日に元不倫相手の上司がホテルで殺害され『夫は犯人か』、彼女は不安が募ります。
『在原業平殺人事件』
本作品は、急逝した山村美紗の未完の作品を、途中から西村京太郎によって加筆されたもの。多分、著者本人が最後まで仕上げても犯人は同じだったのではと感じるほど、自然な内容だったのではという感想も見られました。山村美紗と親しい西村京太郎だから、補筆が可能だったのかもしれませんね。在原業平をモデルにした『伊勢物語』に興味がある人におすすめです。
別名『在原業平の寺』と呼ばれる十輪寺で、知識が豊富で端正な容貌の大学の教員の男性と出会った主人公の女性。彼に誘われて多くの学者が集う新年会に出席します。その席で、教授の令嬢との結婚をすると見られていた助手が毒殺、さらに講師も長岡京の跡地で毒死。学閥の問題、学説の行き違い、令嬢を巡る恋愛沙汰、動機が多数あり、主人公は教員に不信感を持ちます。
山村美紗のおすすめポイント!探偵役と恋人の関係性が良いところ!
山村美紗の作品は、女性の社会進出や活躍を描く内容が見られます。また、探偵役の男性と協調し、お互いに尊重しあいながら仲良く事件の調査を進める姿も指示される要因の1つです。展開がおもしろく、テンポがよく気楽に楽しめるミステリーを探している人におすすめです。殺人事件の描写が控えめなものも多く、残虐な場面が苦手な人も読みやすいでしょう。