塩野七生の作品を読む順番を紹介!未読の人にわかりやすく解説!

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イタリアを舞台にした歴史小説といえば、塩野七生の作品を挙げる人は少なくありません。ただ、古代ローマや中世の地中海地方の歴史に明るくない場合、作風がわからなかったり、作品を読む順番に戸惑ったりすることもあるでしょう。本記事では塩野七生の作風とおすすめの読む順番について解説します。

目次

塩野七生の作風とは?

塩野七生の作風とは?

塩野七生が目指す作家は『司馬遼太郎』。さまざまな参考文献を読み込み、古代から中世のイタリアの歴史の流れにそって丹念に書かれています。著作には、地図や表が載せられ、その時代に活躍した人物、政治や経済の状況、建造物や宗教などについても詳しい説明があり、読者への配慮もされていますよ。

読む順番はまず長編の歴史小説から!

読む順番はまず長編の歴史小説から!

塩野七生の小説を読むには、どのような順番がよいでしょうか。未読の人におすすめの読み方を紹介します。

エッセイを先に読まないほうがいい?

読書好きの人の中には、『作者の人となりを知りたい』と感じることもあるでしょう。ただ、塩野七生のエッセイは辛口な部分があり、海外の人と比較して日本人の短所を鋭く指摘していることもあるようです。読み手によっては、気分が悪くなり、他の作品を読む気にならなくなってしまうことも。できればエッセイは後回しにしたほうがいいかもしれません。

『ローマ人の物語』シリーズ

塩野七生の小説では、最も古い時代から描いたローマの歴史。まず苦難の末にローマの建国を果たした『ローマは一日にして成らず』の上下巻を読むのがおすすめ。

『ローマ人の物語』は、最盛期のギリシアを参考にして建国したローマの始まり、カエサルとその血筋を引く皇帝達の時代、最盛期からキリスト教の台頭で衰退する時期、東西にローマ帝国が分裂した後に消滅するところまで書かれています。文庫本で43巻と写真付きのガイドブック1冊と結構なボリュームで全巻読むのは大変です。

『ローマ人の物語』(新潮文庫版)

  • ローマ人の物語1 ローマは一日にして成らず(上)
  • ローマ人の物語2 ローマは一日にして成らず(下)以下略

『ローマ亡き後の地中海世界』シリーズ

東ローマ帝国がなくなり、西ローマ帝国が滅んだ後の小説のシリーズ。コーランを携えたイスラム系の海賊が乱暴狼藉をはたらきます。海賊の荒々しさに、キリスト教が浸透した地中海の覇権を狙う国々が驚愕。イスラムの勢力に乗っ取られたシチリアはどうなってしまうのかが描かれています。こちらは2冊です。『ローマ人の物語』を読んだ後であれば、状況が理解しやすいでしょう。

『ローマ亡き後の地中海世界』(新潮文庫版)

  • ローマ亡き後の地中海世界(1~2) 海賊、そして海軍

『海の都の物語』シリーズ

ローマ帝国が滅んだ後のヴェネチアが舞台のシリーズ。イタリア半島の都市ヴェネツィア共和国の1000年にわたる物語です。他国からの侵略や干渉があっても、独立国家を守り抜くところが印象的。時代の流れに逆らえずにフランス革命後、ナポレオンの攻勢を受けて国が倒されるところまで書かれています。少し長いですが、最初から順に読むのがおすすめ。

『海の都の物語』(新潮文庫版)

  • 海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年(1~6)

ページ数が比較的少ない小説と読む順番!

ページ数が比較的少ない小説と読む順番!

塩野七生の小説は、長編を順に読むとローマやイタリアの歴史がわかりやすいです。しかし、『40巻ほどの本を読むのは時間がなくて大変』『本を置くスペースがない』などの理由で難しいという人もいるということ。独立した長編小説や短編集のうち、おすすめの読む順番はあるのでしょうか。

『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』

まず、独立した長編の『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』がおすすめ。教皇の息子チェーザレがイタリアを統一し、キリスト教会の勢力やフランス国王を利用して建国しようとして失敗する物語。冷酷非情に振る舞いながら、魅力的なチェーザレの姿が描かれています。もし、イタリア統一が成功していたら、どのような世の中になったのか気になる人もいるかもしれません。

『サロメの乳母の話』

史実として伝えられている歴史上で有名な人物について、身近な人物や動物が別の角度から見た実像を伝える様子をまとめた短編集。塩野七生の解釈がおもしろいです。表題作は、聖書やオペラで有名なサロメ。預言者ヨハネの首を所望した理由を乳母が推量する話です。

『サロメの乳母の話』表題以外の短編

  • 貞女の言い分
  • ダンテの妻の嘆き
  • 聖フランチェスコの母
  • ユダの母親
  • カリグラ帝の馬
  • 大王の奴隷の話
  • 師から見たブルータス
  • キリストの弟
  • ネロ皇帝の双子の兄
  • 饗宴・地獄篇 第一夜
  • 饗宴・地獄篇 第二夜

『ルネサンスの女たち』

ルネサンス期のヴェネチアの傑物の4人の女性(イザベッラ・デステ、ルクレツィア・ボルジア、カステリーナ・スフォルツァ、カステリーナ・コルネール)を描いた短編集です。政略結婚の駒にされながらも、賢く生き抜いた女性、陰謀に利用されても嫁ぐ女性、真っ向から勝負をする女性などさまざまな女性の生きざまが描かれています。4つの短編のうち、チェーザレ・ボルジアが登場していますよ。

長編小説からがおすすめ!塩野七生の小説を読む順番!

塩野七生の作品を読むおすすめの順番は、長編の歴史小説のシリーズの3作から。イタリア周辺の理解を深められます。古代ローマの建国から消滅、ローマ消滅後のイタリア半島、ヴェネツィア共和国の建国から滅亡までの歴史がわかりやすいです。ただ、シリーズは40巻前後にのぼることもあり、大変な場合は短めの小説から読んでみるといいでしょう。

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この記事を書いた人

海辺のつばくろのアバター 海辺のつばくろ ライター・監修者

『乳がん闘病マニュアル: 乳がんステージ4 はじめての乳がん治療「はじめてのがん治療」第1巻(Kindle版)』(ペンネーム:芹澤絵里子名義)を出版しました。治療経験を生かし、治療や抗がん剤の副作用などについて書いています。文学部日本文学科を卒業し、『平家物語』について卒業論文を作成しました。『平家物語』に関連して『保元物語』『平治物語』などの軍記物も読んだ経験があります。現在は、『吾妻鏡』や『太平記』も読み進めています。

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