どんでん返し・伏線回収がすごい小説10選|4つのパターン別に紹介

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どんでん返しが面白い小説を10作紹介します。1冊目に選ぶなら綾辻行人『十角館の殺人』(1987年)です。「映像化不可能」と言われながら2024年3月にHuluで実写ドラマ化され、原作の仕掛けが改めて話題になった作品です。

どんでん返しの仕掛けは、大きく4つのパターンに分かれます。叙述トリック型・時系列トリック型・視点移動型・逆転劇型。以下ではパターン別に10作を並べ、結末に触れない範囲で「どこが仕掛けなのか」を整理します。

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目次

どんでん返しの4パターン|仕掛けの種類で選ぶ

「どんでん返し」とは、物語の終盤で前提がひっくり返り、それまでの内容が別の意味に読み替わる仕掛けのことです。そのための手がかりをあらかじめ本文に置いておくのが「伏線」、置かれた手がかりが後で意味を持つことを「伏線回収」と呼びます。

パターン何がひっくり返るかこの記事で紹介する作品
叙述トリック型地の文が読者にだけ事実を伏せている(人物像・関係・場所など)十角館の殺人/葉桜の季節に君を想うということ/イニシエーション・ラブ/殺戮にいたる病/ハサミ男
時系列トリック型並行して進む2つの話の時間関係アヒルと鴨のコインロッカー/七回死んだ男
視点移動型語り手が変わることで同じ出来事の意味白ゆき姫殺人事件
逆転劇型仕掛ける側と仕掛けられる側の立場カラスの親指/AX

初めて読むなら叙述トリック型がおすすめです。「読み終えた瞬間に最初のページへ戻りたくなる」という体験が最もはっきり出るためです。慣れてきたら、伏線の張り方が別方向の時系列トリック型や視点移動型に広げていくと飽きません。

どんでん返し・伏線回収がすごい小説10選

スマホを読んで困る日本人女性(驚く)

パターン別に10作を紹介します。結末には触れていないので、未読でも安心して読み進めてください。

【叙述トリック型】地の文が読者に事実を伏せる

十角館の殺人(綾辻行人/1987年)

大学ミステリー研究会の7人が、十角形の奇妙な館が建つ孤島を訪れます。館を建てた建築家は半年前に屋敷の火事で亡くなったとされていました。滞在が始まると、学生たちは連続殺人に巻き込まれていきます。

アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』を下敷きにした作品で、「館シリーズ」の第1作にあたります。長く映像化不可能と言われてきましたが、2024年3月にHuluで実写ドラマが配信されました

葉桜の季節に君を想うということ(歌野晶午/2003年)

「何でもやってやろう屋」を名乗り気ままに暮らす主人公が、知り合いの祖父の不審死と悪質な商売を続ける会社を調べるうち、自殺しようとしていた女性と出会います。ハードボイルドな探偵小説として進みますが、終盤で見えていた景色が変わります。

第57回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)と第4回本格ミステリ大賞を受賞し、「このミステリーがすごい!」2004年版の国内編でも1位を獲得した作品です。

イニシエーション・ラブ(乾くるみ/2004年)

理系の大学生が、人数合わせで呼ばれた合コンで歯科衛生士の女性と出会います。デートを重ねて距離が縮まっていく、甘い青春小説として物語は進みます。ところが最後の数行で、それまで読んできた物語がまったく別の姿を見せます。

「必ず2回読みたくなる」という評判で広まった一冊です。2015年に映画化されました。小さな違和感が全編に置かれているため、2周目の読み方が変わります。

殺戮にいたる病(我孫子武丸/1992年)

東京の繁華街で猟奇的な殺人を繰り返す人物が現れます。物語は殺人者の行動、その家族、事件を追う元刑事という3つの視点を行き来しながら進みます。

叙述トリックの代表例としてよく挙がる作品です。グロテスクな描写が続くため、苦手な人は注意してください。

ハサミ男(殊能将之/1999年)

少女を殺し、首にハサミを突き立てる連続殺人犯「ハサミ男」。次の標的を調べていたところ、その相手が自分と同じ手口で殺害されてしまいます。先を越された「ハサミ男」は、自分を模倣した犯人を探し始めます。

第13回メフィスト賞を受賞した殊能将之のデビュー作です。2005年に映画化されました。犯人側の視点から物語が進む構成になっています。

【時系列トリック型】2つの時間が終盤で接続する

アヒルと鴨のコインロッカー(伊坂幸太郎/2003年)

引っ越してきた大学生が、隣室の青年と知り合います。そして、なぜか書店を襲って広辞苑を手に入れるという計画に加わることになります。物語は現在の主人公の話と、2年前の隣人の元恋人の話が交互に進みます。

第25回吉川英治文学新人賞の受賞作で、2007年に映画化されました。2つの時間軸が終盤でつながる構成が特徴です。動物虐待の描写があるため、苦手な人は注意してください。

七回死んだ男(西澤保彦/1995年)

同じ一日を何度も繰り返してしまう体質の少年が、繰り返しのなかで祖父の死に何度も立ち会うことになります。少年は繰り返しを使って祖父を救おうとしますが、うまくいきません。

SFの設定を推理小説の枠に持ち込んだ作品です。軽い文体で読みやすく、コメディと青春小説の要素もあります。

【視点移動型】語り手が変わると事実が変わる

白ゆき姫殺人事件(湊かなえ/2012年)

化粧品会社の社員が殺された事件を、フリーの記者が追います。取材を進めるうち、被害者の同僚の女性に疑いが集まりますが、関係者から集めた証言はどれも食い違います。

関係者の証言・週刊誌の記事・ネット上の書き込みを並べる形で進む構成です。2014年に映画化されました。同じ出来事が語り手によって別物になる過程が描かれます。

【逆転劇型】仕掛ける側と仕掛けられる側が入れ替わる

カラスの親指(道尾秀介/2008年)

詐欺師の中年2人組の生活に、事情を抱えた同居人が次々と増えていきます。5人と1匹の他人同士の共同生活が始まり、やがて彼らはある計画を企てます。

第62回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞し、2012年に映画化されました。続編に『カエルの小指』(2019年)があります。

AX(伊坂幸太郎/2017年)

超一流の殺し屋でありながら、家では妻に頭が上がらない主人公。息子が生まれた頃に引退を決意し、そのための資金を稼いでいたところ、思わぬ相手から襲撃を受けます。家族は主人公の裏の顔を知りません。

『グラスホッパー』『マリアビートル』に続く「殺し屋」シリーズの第3作です(第4作『777 トリプルセブン』も刊行されています)。前作を読んでいなくても単独で読めます。

どんでん返しの小説をより楽しむ読み方

本棚のたくさんの本

どんでん返しのある小説は、1周目と2周目で別の本になります。2度楽しめるのがこの型の最大の特徴です。

  • 1周目は推理せず素直に読む:作者は読者が引っかかるように文章を設計しています。抵抗せずに乗ったほうが、ひっくり返ったときの落差が大きくなります
  • 違和感のあるページに付箋を貼る:「なんとなく引っかかる」だけで十分。理由は考えなくて構いません
  • 読了後は付箋の箇所だけ読み返す:全編を読み直さなくても、手がかりがどこに置かれていたかは十分に見えます
  • あらすじや感想は先に読まない:この型の小説は、事前情報が少ないほど効果が出ます

同じ「読み出したら止まらない」系統では、歌野晶午の別作品を歌野晶午作品おすすめ10選、意表を突く発想の作品をバカミスとは?おすすめの小説10選、短編で読み切りたい人向けに乙一作品のおすすめ10選でも紹介しています。

監修者の視点:1周目は作者の手に乗ったほうが得

田中寛大

大学院で学術書を読んでいた頃は、結論を先に確かめてから本文に入るのが習慣でした。どんでん返しのある小説では、この読み方が使えません。伏線は読み返して初めて意味がわかる形で置かれているので、1周目に構造を暴こうとすると、いちばん面白い部分だけを取りこぼします。

実際に効いたのは、1周目に違和感を覚えたページへ付箋を貼っておくことでした。読み終えてからその箇所だけ拾い読みすると、手がかりの置き方がはっきり見えます。全編を読み直さなくても2周目の楽しみは十分に取り出せるので、時間がない人にもすすめられる読み方です。

どんでん返し小説についてよくある質問

どんでん返しの小説はどれから読むのがおすすめですか?

綾辻行人『十角館の殺人』(1987年)です。孤島の館で起きる連続殺人という筋書きがわかりやすく、仕掛けの効果もはっきり出ます。長く映像化不可能と言われてきましたが、2024年3月にHuluで実写ドラマが配信されました。ドラマを未視聴のうちに原作を読むほうが体験は強くなります。

どんでん返しと伏線回収は何が違いますか?

どんでん返しは「結果」、伏線回収は「手段」です。物語の前提がひっくり返って読者を驚かせるのがどんでん返し、そのためにあらかじめ本文へ置いた手がかりが後で意味を持つことが伏線回収です。伏線回収があってもどんでん返しにならない作品(回収が予想どおりの場合)もあります。

叙述トリックとは何ですか?

地の文が読者に対してだけ事実を伏せておく技法です。登場人物どうしは事実を知っているのに、書き方の工夫によって読者だけが別の像を思い描いてしまう、という構造をとります。この記事では『十角館の殺人』『葉桜の季節に君を想うということ』『イニシエーション・ラブ』『殺戮にいたる病』『ハサミ男』がこの型にあたります。

2回読む必要はありますか?

必要はありませんが、2周目でこそ気づく箇所があります。全編を読み直さなくても、1周目に違和感を覚えた箇所だけ拾い読みすれば、伏線の置き方は十分に確認できます。『イニシエーション・ラブ』のように「必ず2回読みたくなる」と評判になった作品もあります。

ミステリー以外にもどんでん返しの小説はありますか?

あります。『アヒルと鴨のコインロッカー』は青春小説の形を取りながら時系列の仕掛けを使い、『七回死んだ男』はSFの設定を推理小説に持ち込んだ作品です。『AX』は殺し屋を主人公にしたエンターテインメント小説で、家族小説としても読めます。

まとめ:仕掛けのパターンで選ぶと外れない

どんでん返しは、叙述トリック型・時系列トリック型・視点移動型・逆転劇型の4パターンに大きく分かれます。初めて読むなら効果のはっきりした叙述トリック型、なかでも『十角館の殺人』から始めるのが手堅い選び方です。

読む前にあらすじや感想を調べすぎないこと。それだけで、この型の小説の面白さはかなり守れます。

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