歌手としての経歴を持つ作家、川上未映子さん。芥川賞をはじめとした多数の賞を受賞しており、国内外で高く評価されています。
この記事では、川上未映子さんのおすすめ作品を紹介します。経歴や選書のコツについてもまとめていますので、ぜひご参照ください。
目次
川上未映子とはどんな人物?
川上未映子さんは1976年、大阪府出身の作家です。2002年に歌手としてデビューしています。2006年に刊行されたエッセイをきっかけに、その後多くの著書を発行しています。
2007年に「乳と卵」で芥川賞を受賞、2022年には初の長編小説「ヘヴン」がブッカー国際賞にノミネートされました。代表作のひとつである「夏物語」は英、米、独、伊などでベストセラーとなり、世界的に高く評価されています。
川上未映子作品の選び方
川上未映子さんの作品の選書のポイントを紹介します。
受賞歴のある作品から選ぶ
多数の受賞歴を持つ川上未映子さん。どの作品を読むか迷ったら、受賞歴のある作品から手に取ってみましょう。
主な受賞作品(一部抜粋)
2007年 「乳と卵」芥川龍之介賞
2010年 「ヘヴン」芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞
2019年 「夏物語」毎日出版文化賞
2023年 「黄色い家」読売文学賞小説賞
作品のテーマから選ぶ
女性の生き方や思春期の心の変化、人間の死生観など、さまざまな視点からテーマに向き合う川上未映子さんの作品。まずは興味のあるテーマの作品から、気軽に手に取ってみてください。どの作品も詩的でリズミカルな独自の文体を楽しめます。
川上未映子のおすすめ作品
川上未映子さんのおすすめ作品を紹介します。
ヘヴン
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2010年に芸術選奨文部科学大臣新人賞と紫式部文学賞を受賞し、話題になった作品です。2022年にはブッカー国際賞の最終候補作にノミネートされました。
斜視が原因で陰湿ないじめを受けている主人公の「僕」。とある手紙をきっかけに、同じくいじめを受けている同級生の「コジマ」と少しずつ友情を育んでいきます。しかし、物語はそれぞれ歪な変化を見せ始め……
「善悪の根源」を問う本作は、多くの人々に衝撃を与えました。忘れられない読書体験になるでしょう。
夏物語
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2019年に毎日出版文化賞を受賞した作品です。世界的なベストセラーとなり、40ヵ国以上で刊行が予定されています。
自分の子供に会いたいと考えた38歳の夏子は、パートナーなしでの妊娠・出産を目指すことに。そこに精子提供で生まれたという逢沢が現れて、夏子の心は揺らぎをみせます。「この世界は、生まれてくるのに値するのだろうか──」生まれてくる意味と向き合い、真摯に描き切った作品です。
乳と卵
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2007年に芥川龍之介賞を受賞した作品です。
豊胸手術を受けるために、思春期の娘を連れて上京してきた巻子。巻子の妹である「私」は2人をアパートに迎え入れ、3日間を共にします。母娘の葛藤、思春期の変化など、デリケートな人間の内側に触れた本作。3人の女性が織り成す、哀切の物語です。
川上未映子さんの作品を初めて読む方にもおすすめです。
黄色い家
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2023年に刊行された、著者初のクライムサスペンス小説です。
十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくために犯罪に手を染めます。楽しさと表裏一体の危ういバランスで成り立っていた共同生活は、段々と変容し始めて……
人はなぜ罪を犯すのか。社会の底辺に潜む闇を映し出す、圧巻のノワール小説です。
すべて真夜中の恋人たち
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2011年に刊行された、初の恋愛長編小説です。
孤独な生活を送っていた冬子の趣味は、誕生日に真夜中に散歩することでした。ある日、カルチャーセンターで知り合った物理教師の男性と交流を深め、少しずつ彼との距離が縮まります。彼に触れたいという思いが高まる冬子には、高校時代に刻みつけられた「とある記憶」がありました。
切なくも優しい恋愛小説です。
きみは赤ちゃん
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川上未映子さん自身の妊娠、出産、育児にまつわるエッセイです。
妊娠から出産、産後の試練までを描いた本作は、つわりやマタニティーブルー、育児と仕事の両立など、女性特有の身体の変化を赤裸々に綴っています。育児を経験した方なら思わず頷いてしまうようなエピソードも。多くの共感を呼んだ、話題の一冊です。
ウィステリアと三人の女たち
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「愛と記憶をめぐる、四編の傑作短編」と謳われた作品です。女性たちの生き方を描いています。
母娘の確執や女性同士の性に関する葛藤など、哀しく切ない孤独を描いた珠玉の短編集です。全編を通して、川上未映子さんらしい詩的で美しい文体を楽しめます。女性にはもちろん、男性にもおすすめの作品です。
川上未映子の作品で世界観を広げよう
川上未映子さんは国内外から多くの支持を集めている作家です。小説作品のほか、短編やエッセイなど幅広いジャンルを手掛けています。川上未映子さんの作品で、唯一無二の世界観を楽しみましょう。