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江戸川乱歩は推理小説の作家として有名です。小学生から一般まで愛好する読者も満足できますが、種類が多すぎて度の本を選ぼうか迷ってしまうかもしれません。本記事では人気がある作品を10選と、作風について紹介しています。
多くの人から支持される作品を紹介する前に、江戸川乱歩の作風について紹介します。興味を持った作品から選ぶのがおすすめです。
江戸川乱歩の作品は、緻密で凝ったトリックが人気です。ただ、怪奇趣味のような、恐怖の中にも美しさにこだわった様子が合わさり、不思議で鬼気迫るような世界が描かれています。
海外の作品を元に書かれた作品も多く、元の作品と比較しても遜色ない内容です。ただ、元の作品がネタバレになることもあり、どちらを先に読んだほうがいいのか迷う人もいます。
江戸川乱歩には、悪役や犯人でも魅力的で印象が残る人物が多く出てきています。1度限りの探偵役や主役もいますが、人間くさく、いきいきとして心惹かれる魅力的な人物もいますね。
レギュラーメンバーの中には、探偵の明智小五郎、明智の助手を務める少年探偵団の団長、小林芳雄、明智や小林少年の好敵手のような悪人、怪人二十面相などがいて、高い人気を誇っています。
読者からの注目される、おすすめの江戸川乱歩の作品を紹介します。10選の中から、心惹かれる作品を読んでみましょう。
語り手の箕浦は、30歳よりも若いが髪の毛は白髪、妻の体には大きな傷があり、人から驚かれることも少なくありません。彼は以前巻き込まれた事件を回想します。箕浦は同僚の初代と恋愛関係になり、結婚を考える程に。
ただ、箕浦の先輩の医学者、諸戸が彼の恋を邪魔し、横合いから彼女に求婚し始めます。そのような時期に密室殺人が。恐ろしい事件につながっていきます。トリックが斬新で、恐ろしい雰囲気とスリルに満ちた作品です。
幽霊塔と呼ばれるいわく付きの屋敷を購入した叔父に頼まれ、屋敷を調べに来た北川光雄。その中の時計塔で野末秋子という絶世の美女と出会います。彼女は手袋をして、手を隠している様子。許嫁のわがままな従妹、栄子にどうしても好意を持てない光雄は、凛とした強さを持つ秋子に心惹かれていきます。
幽霊塔では次々と不思議な事件が起こり、叔父は秋子を見て気絶し、栄子がひどい状態で発見。秋子を巡り、過去の事件と時計塔の秘密が明らかになっていきます。本作品は黒岩涙香が翻案して書いた小説を、遺族の許可を取って江戸川乱歩がリライトした作品。
探偵作家と新聞記者は、銀座で脅されている女性を救助。彼女と夫の童話作家は兼ねてから何者かに狙われていて、危険を感じていました。全身緑色の衣服に身を包んだ怪しい人物が浮上し、正体が明らかになり、事態が混迷を極めていきます。
本作はイーデン・フィルポッツ作『赤毛のレドメイン家』を下敷きにした翻案小説。単なるパロディではなく、原作とは違う魅力があり、犯人のこだわりや冷酷さが際立っています。
門野という名士と見合い結婚をした京子。結婚をした時は、憂いを感じるような美男子で妻を大事にする男性というイメージ。京子は嬉しく、夫に夢中になったが、夫は彼女を愛しているふりをしているだけで、本心は異なることに気づきます。
江戸川乱歩が書いた短編小説で、初めて乱歩の作品に触れる人でも読みやすいでしょう。門野が本心から好きな相手は、意外な存在でした。映像化されている有名な作品で、小説での描写が繊細で綺麗です。
D坂の喫茶店にいる語り手の『私』。私の友人の明智小五郎が店内に入り、窓の外を見ながら会話していました。喫茶店の向かいの古本屋の妻が見当たらず、泥棒が入って本を盗んでいきます。おかしいと思った二人は古本屋に出向くと彼女の絞殺遺体を発見。
探偵の明智小五郎が初めて出た作品です。二人が古本屋を『監視』している状態で殺人が行われる、一種の密室トリック。明智はまだ探偵をしているわけではなく、無職の書生といった状態です。
湖畔のホテルで疲れを癒やした明智小五郎は、宝石商の令嬢と親しくなりました。彼女が東京に戻ると親族が殺人事件に巻き込まれ、明智に助けを求めます。しかし、彼は復讐を遂げようとする相手に捕らえられ船の中に幽閉。明智は賊の娘に逃亡を助けられ、宝石商一家を救おうと必死に活動します。しつこく一家を狙う賊は、さらなる残忍な計画を実行。
本作品は緊迫感がある展開で、推理トリックよりも話のスピード感でドキドキさせられます。ラストの賊の味方をおびき寄せる仕掛けが凝っていて、悲哀を感じさせます。
夫に先立たれた美しい倭文子（しずこ）。彼女を巡って、多くの男性が争いを起こします。唇のない怪人が彼女の周囲に出没し、命を落とす人が続出。倭文子の恋人は、名探偵と評判の明智小五郎に事件を解決するように依頼します。
本作では本物の吸血鬼は出ません。ある人物の冷酷さを吸血鬼に例えています。ヒロインの倭文子は、事件を引き起こす原因になりかねないような危なっかしい性格の持ち主です。
美術商のもとに就職した女性やその姉は猟奇的な殺人の犠牲になりました。犯人は美術商の男で、女性を残忍に扱うところから『蜘蛛男』とあだ名を付けられます。本命は人気女優で、帰国した明智小五郎は、彼女をおとりにして犯人を捕まえる計画を立てます。
犯人の捕縛は成功したかのように見えましたが、とんでもない結果に終わりました。『蜘蛛男』は、猟奇的な描写があります。好き嫌いは分かれますが、最後に犯罪で芸術作品を作り上げるところは、妖しい魅力が感じられるでしょう。
東京では、金色の仮面を被った人物が目撃情報が寄せられていました。真珠を盗み、変装して塔の上から逃げおおせるという離れ業をやってのけます。黄金仮面は大富豪の令嬢と恋に落ち、困った大富豪は探偵の明智小五郎に相談。さる国の大使が警護につく中、仏像と一緒に令嬢が誘拐され、明智は何者かに狙撃されてしまいました。
推理小説というよりも、犯人も探偵も次々に変装を重ねて活躍する冒険小説のような内容です。一部、モーリス・ルブランの小説から登場人物を借りて登場させていて、ルブランのファンも楽しめるのではないでしょうか。
怪人二十面相との対決の後で結成された少年探偵団。影のような怪しい人物が現れ、いたずらを仕掛けます。ある団員の家からインドの宝石が盗まれ、その怪人物に関係があるようでした。宝石には呪いがかかり、持ち主に女の子がいると誘拐され殺されるという言い伝えがあり、団長の小林少年は必死で女の子をガードします。
少年探偵団と探偵団を率いる団長の小林芳雄少年が活躍する2作めです。探偵の明智小五郎の調査の補佐したり、怪人二十面相を初めとした怪人との対決で活躍したり、大人顔負けの働きをします。もともとは少年向けの書籍で、若い読者でも楽しめる内容です。
江戸川乱歩の小説は、恐怖に満ちた恐ろしい雰囲気、妖しい美しさと、緻密なトリックを楽しみたい人におすすめです。また、怪人二十面相や少年探偵団のシリーズは、猟奇的な描写が控えめで、冒険心に満ちています。若い世代の読者でも存分に楽しめるでしょう。
