山岡荘八のおすすめ歴史小説12選!作風や大河ドラマの原作も紹介

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山岡荘八は、鎌倉期から江戸時代にかけて武将や武士、知識人を題材にした歴史小説の書き手で有名です。本記事では山岡荘八のおすすめの歴史小説と、作風などについて解説していきます。

目次

山岡荘八の作風とは?

山岡荘八の作風とは?

山岡荘八は劇作家の長谷川伸に師事したこともあり、話の展開が早く読者を飽きさせることがありません。長編の小説が多くても読了する人が多いということです。作風について詳しく説明します。

評価が高い歴史小説

第二次世界大戦の際には従軍記者として参加した山岡荘八。鎌倉時代から戦後まで、多くの歴史小説を発表しました。読みやすい文章であるとともに、登場人物の心理状態を丁寧に描写していて評価が高いです。多くの著名な文化人や政治家との交流を通し、『日本を守る会』を設立。平和を願う姿が登場人物と重なります。

大河ドラマの原作にも使用

山岡荘八の小説は登場人物が多いのが特徴。ただ、主役や主要人物、脇役に至るまでそれぞれの人となりが際立っているため、長編を読んでも理解しやすいです。1年をかけて歴史上の人物を描いていく大河ドラマで原作が使われる機会も少なくありません(その他のドラマや映画などの原作にも使用)。大河ドラマの原作となった小説は以下の通り。

  • 『春の坂道』1971年…柳生宗矩が主人公
  • 『徳川家康』1983年
  • 『独眼竜正宗』1987年…伊達政宗が主人公

山岡荘八のおすすめ小説12選を紹介

山岡荘八のおすすめ小説12選を紹介

山岡荘八のおすすめ小説を紹介します。歴史小説が初めてという人にも読みやすい作品です。

『徳川家康』

徳川家康の生まれる前から大御所となってこの世を去るまで、生涯を描いた作品。全巻(文庫版)26巻と非常に長い作品ではあっても、戦国武将が次々と特徴をとらえて飽きずに読めるといわれています。国内外の人に広く読まれ、大河ドラマの人気とともに評価する声も多数。徳川家康は従来『老獪な狸親父』というイメージですが、小説では天下を平定して、平和な国づくりを目指した人物と解釈されています。

『伊達政宗』

大河ドラマ『独眼竜正宗』の原作。文庫版で8巻と比較的長いですが、戦国時代の動乱の時代を生き抜いた伊達政宗の生涯が魅力的で人気です。伊達政宗は他の戦国武将と比較して生まれが遅いことから、天下統一とは少し関わりが少ないように感じられますね。しかし、東北の地を平定し、ピンチに見舞われながらも豊臣家や徳川家と渡り合う強さが魅力的に描かれています。

『柳生宗矩』(『春の坂道』改題)

本作は徳川家康、秀忠、家光3代にわたって将軍家の兵法指南役を務めた柳生宗矩の生涯を書いた全4巻の長編小説です。柳生宗矩は、柳生新陰流を継承した随一の剣術の使い手。父の石舟斎に入門した徳川家康を目の当たりにし平和を目指して剣術の道を確立しようと決意する様子、長男の柳生十兵衛との確執など苦労をしながらも大成していく主人公に共感する読者も多いようです。

『柳生石舟斎』

柳生石舟斎とは、前項で紹介した柳生宗矩の父。柳生新陰流の流派を確立するまでの半生を描いています。腕前を慢心していた自分を恥ずかしく感じ、上泉伊勢守秀綱に弟子入りしてひたすら厳しく修行を続ける様子が印象的。『無刀取り』を極めていく姿を丁寧に表現しています。

『織田信長』

織田信長の幼少期から本能寺の変で生涯を終えるまでを書いた小説。長編ドラマの原作にも使われています。味方や敵を欺くために奇妙な振る舞いをして『うつけもの』と陰口をきかれながらも、知恵や戦略を活かして天下人までのし上がる信長。主人公の活躍や信頼した周囲との温かい関わり方など、信長を魅力的に書かれています。全5巻でも飽きさせません。

『小説太平洋戦争』

作者の従軍記者としての体験を活かして、太平洋戦争を描いた全9巻の作品。第二次世界大戦を日本の立場から見た資料価値の高い小説です。歴史的な人物を扱った他の小説のように目立った英雄は登場しないかもしれません。太平洋戦争に突入する昭和16年の国際情勢、他国との関係などを詳細に表現していて、当事者の視線で深く知りたい人におすすめします。

『毛利元就』

中国地方の覇者でおよそ120万石を有した戦国武将、毛利元就の半生を書いた小説です。周辺の大内氏、尼子氏という大きな勢力に囲まれる小領主であり、10歳で跡を継いだ毛利元就。知恵を絞って戦い、周囲と協調しながら出世していく様子が描かれています。全2巻で、なかなか読書に時間を割けない人にも読みやすいでしょう。

『源頼朝』

日本初の武家政権(鎌倉幕府)の征夷大将軍となった源頼朝を主人公にした作品。頼朝の幼少期、保元と平治の乱から敗戦して伊豆への流刑、将軍となって後白河法皇の命で源義仲を討伐するまでを描いた全3巻の小説です。じっくりと機が熟すまで平家との全面対決を待つ様子、法皇への警戒と立場を利用するなど頼朝の心の動きを丁寧に描写しています。

『高杉晋作』

幕末の長州藩士で、尊王攘夷運動を進めて明治維新に影響をおよぼした高杉晋作の短い一生を描いた作品です。開国をして幕府の政治を続けようとするもの、開国に反対し天皇による新政を期待するものと、2つの意見の中で国の行く末に頭を悩ませる晋作。諸外国との戦いや国内の勢力との戦いで身をすり減らしながら、明治維新のために力を尽くす姿が印象的です。

『吉田松陰』

松下村塾を開校して前項の高杉晋作をはじめ多くの幕末の志士を導き、若くして処刑されるまでの吉田松陰の一生を描いた作品です。全2巻で、国内から海外へ目を向けていく松蔭の描写が見事。明治維新への動きが活発になるよう、黒船に密航するまでの松蔭の環境や心の動きが丁寧にわかりやすく書かれています。幕末の動きを知りたい人におすすめです。

『豊臣秀吉(『異本太閤記』改題)』

農民から織田信長の家臣となり、戦国武将から関白まで立身出世をして天下人となる豊臣秀吉を描いた全8巻の作品。心が優しく機転のきく少年日吉は、庶民の身になり、戦いのない国を作るという意志を強く持ち続けます。苦労しながらも織田信長に重用され、順風満帆の日々のように感じられますが、最終巻で一気に運命が暗転。『徳川家康』と対極の小説で、余裕のある時に読み比べてみるのもおすすめです。

『新太平記』

室町時代に成立した『太平記』を南朝側(主に楠木正成)の視点で書いた全5巻の小説(本来の軍記物語の『太平記』は北朝側、足利尊氏など室町幕府側からの視点で描写)。袂をわかった足利尊氏、直義兄弟との戦いは壮絶を極め、天皇親政を願った後醍醐天皇、天皇に従った楠木正成、新田義貞を個性が際立つように描写しています。

日本の歴史に興味がある人に!山岡荘八の作品をおすすめ!

鎌倉期から昭和20年代に至るまで、日本の歴史に興味を持つ人に山岡荘八の作品がおすすめです。メディア化などで人気のある作品から選ぶのもいいですし、興味のある人物や特定の時代から選択するのもいいでしょう。山岡荘八の独自の見解が楽しめ、易しい文体であまり歴史小説に慣れていない人でも読みやすいです。

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この記事を書いた人

海辺のつばくろのアバター 海辺のつばくろ ライター・監修者

『乳がん闘病マニュアル: 乳がんステージ4 はじめての乳がん治療「はじめてのがん治療」第1巻(Kindle版)』(ペンネーム:芹澤絵里子名義)を出版しました。治療経験を生かし、治療や抗がん剤の副作用などについて書いています。文学部日本文学科を卒業し、『平家物語』について卒業論文を作成しました。『平家物語』に関連して『保元物語』『平治物語』などの軍記物も読んだ経験があります。現在は、『吾妻鏡』や『太平記』も読み進めています。

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