読書感想文の本選びで最も大事なのは、子どもが楽しく読める本を選ぶことです。名作である必要も、厚い本である必要もありません。青少年読書感想文全国コンクールの応募要項でも、指定されているのは字数の上限だけで、選ぶ本の種類に条件はありません。
この記事では、書きやすい本の選び方を6つ紹介し、あわせてやりがちだが避けたほうがよい選び方を2つ挙げます。
読書感想文の字数は部門ごとに上限が決まっている
本を選ぶ前に、書く分量を把握しておくと選びやすくなります。公益社団法人全国学校図書館協議会と毎日新聞社が主催する青少年読書感想文全国コンクールの応募要項(第72回)では、字数の上限が次のように決まっています。
| 部門 | 字数の上限 |
|---|---|
| 小学校低学年(1・2年生) | 800字以内 |
| 小学校中学年(3・4年生) | 1,200字以内 |
| 小学校高学年(5・6年生) | 1,200字以内 |
| 中学校 | 2,000字以内 |
| 高等学校 | 2,000字以内 |
原稿用紙の大きさや字詰めに規定はありません。低学年なら800字=400字詰め原稿用紙で2枚程度です。この分量を埋めるために、分厚い本を読む必要はありません。
※学校独自のコンクールや宿題では、これと別の指定がある場合があります。応募先の要項を確認してください。
読書感想文が書きやすくなる本の選び方6つ

先に一覧で示します。上にあるものほど、読む時間を減らせる方法です。
| 選び方 | 効果 | 向いている子 |
|---|---|---|
| 過去に読んで面白かった本 | 読む時間をほぼゼロにできる | 時間がない |
| 映像化作品の原作 | 筋を知っているので読みやすい | 本より映像が好き |
| 興味のあるジャンルの本 | 書くことが自然に浮かぶ | 好きなものがはっきりしている |
| 自分と重ねられる本 | 自分の体験を書き足せる | 書く内容が思いつかない |
| とにかく面白い本 | 面白かった点を並べるだけで埋まる | 読書に苦手意識がある |
| 選書サービスや司書に選んでもらう | 選ぶ手間を任せられる | 何を選べばいいか分からない |
過去に読んで面白かった本
読書感想文で一番時間がかかるのは、本を読む工程です。すでに読んだ本を使えば、この工程をほぼ省けます。
内容を忘れていても、読み返せば思い出せます。感想文のために新しい本を探す必要はありません。まず「面白かった本」を思い出すところから始めてください。
映像化作品の原作
本は苦手でも映画やアニメは好き、という子は少なくありません。その場合は、観たことのある作品の原作を選ぶ方法があります。
筋と登場人物を先に知っていると、文章を頭の中で映像に変換する負担が小さくなります。さらに、原作と映像で違う場面を見つけて書くという書き方もできるため、書く材料が増えます。
興味のあるジャンルの本
サッカーが好きならサッカーの本、生き物が好きなら動物の本というように、その子が熱く語れる題材の本を選んでください。
好きな題材なら、読んでいる途中から書きたいことが浮かびます。感想文が進まない原因の多くは、書くことが思いつかないことなので、ここで差がつきます。
自分と重ねられる本
主人公が自分と似た立場に置かれている本を選ぶと、感情移入しやすくなり、読むスピードも上がります。
この選び方の利点は、主人公の体験と自分の体験を並べて書けることです。「自分だったらどうしたか」を書けるようになるので、あらすじの要約だけで終わらない感想文になります。
とにかく面白い本
読書感想文には真面目な本を選ばなければ、と考えがちですが、そうした決まりはありません。声を出して笑えるような本のほうが、最後まで読み切れます。
面白かった場面を挙げて、なぜ面白かったのかを書き足していけば、低学年の800字はそれで埋まります。
選書サービスや司書に選んでもらう
本の選び方そのものが難しいという場合は、人に選んでもらう方法があります。
- 学校図書館・公立図書館の司書に相談する…学年と興味を伝えれば候補を出してもらえる。費用がかからない
- 書店員に相談する…その年に売れている児童書を把握している
- 選書サービスを使う…質問に答えると、好みに合わせて本を選んでもらえる
図書館の司書に相談するのが最も手軽です。読書感想文の時期は、課題図書や定番の候補をまとめて紹介してもらえることもあります。
読書感想文の本選びで避けたい2つのこと

親が自分の好きな本を押しつける
子どもの読書感想文に力が入るほど起きやすいのが、親が読んで面白かった本を選んでしまうことです。
親が好きな本を、子どもも好きだとは限りません。面白いと思えない本を読むだけでも負担なのに、その感想を書くとなると、読書感想文そのものが嫌いになります。選ぶ主体は子どものほうに置いてください。
「まともな本を選びなさい」と条件をつける
名作や課題図書でなければいけない、という決まりはありません。前述のとおり、コンクールの応募要項で決まっているのは字数の上限です。
絵が好きな子なら絵本を選んで、絵の感想を書いても構いません。写真が好きなら写真集でも成立します。学年に対して易しい本を選んでも問題ありません。本の裏表紙にある対象年齢の表示も、目安であって条件ではありません。
感想文の書き方そのものに迷っている場合は、読書感想文の書き方をまとめた記事もあわせて参考にしてください。
監修者の視点:厚い本を読むこと自体は評価されない
田中寛大読書感想文の本選びで迷ったら、分量ではなく、その子が最後まで読めるかどうかで決めてください。コンクールの規定でも、小学校低学年の部は800字以内です。厚い本を選んだから評価が上がるという仕組みにはなっていません。
オンライン古書店を運営していた時期(2019〜2022年)に、開業から約2年半で8,000冊超の中古書籍を扱いました。6,951タイトルのうち959タイトル(13.8%)が2冊以上売れていて、繰り返し選ばれるのは刊行から年数が経っても手に取られ続けている本でした。
長く読まれてきた作品は、書くべきことが見つけやすい構造をしていることが多いという傾向は見受けられます。ただしそれ以上に優先すべきは、その子が面白いと思えるかどうかです。面白ければ、感想は自然に出てきます。
よくある質問
- 読書感想文は何文字書けばいいですか?
-
青少年読書感想文全国コンクールの応募要項では、小学校低学年が800字以内、小学校中学年・高学年が1,200字以内、中学校・高等学校が2,000字以内と決まっています。原稿用紙の大きさや字詰めに規定はありません。学校独自の宿題では別の指定がある場合があるため、応募先の要項を確認してください。
- 読書感想文に絵本や写真集を選んでもいいですか?
-
問題ありません。コンクールの応募要項で決まっているのは字数の上限で、選ぶ本の種類に条件はありません。絵の感想や写真の感想を書くことも立派な読書感想文です。
- 学年より易しい本を選んでも大丈夫ですか?
-
大丈夫です。本の裏表紙にある対象年齢は目安であって条件ではありません。高学年の子が低学年向けの本を選んでも構いません。最後まで読めることのほうが優先されます。
- 読書感想文の本が決まらないときはどうすればいいですか?
-
学校図書館や公立図書館の司書に相談してください。学年と興味のある題材を伝えれば候補を出してもらえます。費用もかかりません。書店員に聞く、選書サービスを使うという方法もあります。
- すでに読んだことのある本を選んでもいいですか?
-
選べます。読み直す時間を大幅に減らせるうえ、内容を覚えている分だけ感想も出やすくなります。過去に面白いと感じた本があれば、まずそこから検討してください。
まとめ:楽しく読める本なら、感想文も進む
読書感想文の本選びで優先すべきは、その子が楽しく読める本かどうかです。字数の上限は低学年で800字、中学生以上でも2,000字なので、分厚い本を読む必要はありません。
すでに読んだ本、映像で知っている作品、好きな題材の本。この3つのどれかから選べば、読む時間も書く時間も短くできます。










