沼田まほかるのおすすめ6選|ジャンルと映画化された2作・読む順番

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沼田まほかるを初めて読むなら、大藪春彦賞を受けた『ユリゴコロ』(2011年・双葉社)からです。ジャンルは「イヤミス」と呼ばれる読後感の重いミステリーで、ホラーサスペンスと恋愛ミステリーにもまたがります。

映画化されているのは『ユリゴコロ』と『彼女がその名を知らない鳥たち』の2作で、いずれも2017年公開です。この記事では沼田まほかるの代表的な6冊すべてを刊行順に紹介し、ジャンル・読む順番・映画化の状況を整理します。

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目次

沼田まほかるのおすすめ6選【一覧表】

代表的な6冊を刊行順に並べました。すべて独立した作品で、シリーズものはありません。

作品刊行年出版社系統映画化
九月が永遠に続けば2005年新潮社サスペンス(デビュー作)なし
彼女がその名を知らない鳥たち2006年幻冬舎イヤミス2017年
猫鳴り2007年双葉社人と猫の物語なし
アミダサマ2009年新潮社ホラーサスペンスなし
痺れる2010年光文社短編集(9編)なし
ユリゴコロ2011年双葉社恋愛ミステリー2017年

後味の重さがいちばん強いのは『彼女がその名を知らない鳥たち』、逆に読後が救われるのは『猫鳴り』です。イヤミスが苦手な人は『猫鳴り』から入っても構いません。

沼田まほかるとは、56歳でデビューした「イヤミスの女王」の一人

雨の日、窓際に座って読書をする女性

沼田まほかるは、1948年に大阪府で生まれた小説家です。湊かなえ、真梨幸子とともに「イヤミスの三大女王」と呼ばれます。

デビューまでの経歴が変わっていることでも知られています。

  • 若くして結婚し、主婦として過ごす
  • 夫が堺の寺の住職を継いだのを機に得度して僧侶になる
  • 中年期に知人と建設コンサルタント会社を設立するが、約10年で行き詰まる
  • 50歳ではじめての長編小説を書く
  • 56歳のとき『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞(2004年)

デビュー後もしばらくは大きな話題にならず、評価が一気に広がったのは2012年に『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞してからです。同作は2012年の本屋大賞にもノミネートされました。

沼田まほかるのジャンルはイヤミス・ホラーサスペンス・恋愛ミステリー

座って読書をする女性

沼田まほかるのジャンルは、一言でいえば「イヤミス」です。イヤミスとは、読み終えたあとに嫌な気持ちが残るミステリーを指す呼び方で、湊かなえや真梨幸子の作品と同じ系統に置かれます。

ただし6冊の中身を見ると、作品ごとに軸足が違います。

  • イヤミス:『彼女がその名を知らない鳥たち』…不快感がもっとも強く、代表的な1冊
  • ホラーサスペンス:『九月が永遠に続けば』『アミダサマ』…不吉な出来事が積み重なる型
  • 恋愛ミステリー:『ユリゴコロ』…殺意と愛情が同じ場所から出てくる構造
  • 短編集:『痺れる』…日常に潜む恐怖を9編で切り取る
  • 例外:『猫鳴り』…人と猫の時間を描き、後味は重くない

共通しているのは、猟奇的な事件そのものより、普通に見える人物の内側が少しずつずれていく過程を書く点です。同じように人間の暗部を掘る作家では、篠田節子の作品も近い読み心地があります。

沼田まほかるを初めて読む順番は3ステップ

シリーズものがないため、どこから読んでも構いません。迷う場合は次の順番です。

  1. 1冊目:『ユリゴコロ』。ミステリーとしての仕掛けがはっきりしていて読み進めやすい
  2. 2冊目:『彼女がその名を知らない鳥たち』。沼田まほかるの不快感がもっとも濃い一冊
  3. 3冊目以降:ホラー寄りなら『アミダサマ』、短編で試すなら『痺れる』、重さから離れたいなら『猫鳴り』

沼田まほかるのおすすめ6選

ペンを持ち閃いた女性

九月が永遠に続けば|ホラーサスペンス大賞を受けたデビュー作(2005年)

第5回ホラーサスペンス大賞を受賞した長編で、沼田まほかるのデビュー作です。息子の失踪、愛人の事故死、元夫の娘の自殺と、身のまわりで不幸が立て続けに起こります。

調べていくうちに元夫の過去が浮かび上がり、何が偶然で何がそうでないのかが分からなくなっていきます。デビュー作の時点で作風がすでに固まっている一冊です。

彼女がその名を知らない鳥たち|不快感がもっとも強い代表作(2006年)

過去の恋人・黒崎に未練を残す十和子と、彼女と暮らす年上の男・陣治の日々を描いた長編です。黒崎が行方不明だと知った十和子は、陣治への疑いを深めていきます。

登場人物に感情移入しにくい状態が最後まで続きますが、その居心地の悪さこそが読ませる力になっています。2017年に白石和彌監督、蒼井優・阿部サダヲの出演で映画化されました。

猫鳴り|捨て猫の一生を3部構成で描く(2007年)

捨てられていた一匹の猫を軸に、子猫の時期から生涯の終わりまでを3部構成で描いた長編です。猫の時間と並行して、その猫と関わる人間の側の事情も描かれます。

沼田まほかるの作品の中では例外的に、読後が重くなりません。終盤で老いた猫の時間が静かに閉じていく場面は、イヤミスを期待して読んだ人ほど不意を突かれるはずです。

アミダサマ|寺の集落で起きる連続した怪異(2009年)

冷蔵庫の中で死にかけていた幼女ミハルを住職の浄鑑が引き取ったことをきっかけに、寺のある集落で不吉な出来事が続けて起こる長編です。

ミハルが何者なのかがはっきりしないまま、周囲だけが壊れていきます。説明されないことが怖さの中心にあるため、すべての謎に答えを求める読み方には向きません。

痺れる|日常に潜む恐怖を集めた短編集9編(2010年)

9編を収めた短編集です。認知症になった女性が身辺整理をしながら過去の記憶をたどる「林檎曼荼羅」などを収録しています。

長編を読み切る時間が取りにくい場合、この1冊で作風を確かめられます。1編が短いぶん、後味の悪さがまとめて残らないのも利点です。

ユリゴコロ|大藪春彦賞を受けた代表作(2011年)

父の書斎で見つかった「ユリゴコロ」と題された4冊のノートに、殺人に取り憑かれた人間の告白が書き連ねられていた——という設定から始まる長編です。ノートの中身が創作なのか実際の記録なのかが分からないまま進みます。

2012年に第14回大藪春彦賞を受賞し、同年の本屋大賞にもノミネートされました。2017年には熊澤尚人監督、吉高由里子の出演で映画化されています。仕掛けがはっきりしているため、沼田まほかるの1冊目として選びやすい作品です。

映画化されたのは『ユリゴコロ』と『彼女がその名を知らない鳥たち』の2作

沼田まほかるの作品で映像化が確認できるのは、2026年8月時点で次の2作です。いずれも2017年に公開されました。

作品公開監督主な出演
ユリゴコロ2017年9月熊澤尚人吉高由里子
彼女がその名を知らない鳥たち2017年10月白石和彌蒼井優・阿部サダヲ

『九月が永遠に続けば』『猫鳴り』『アミダサマ』『痺れる』については、映画化・ドラマ化の発表はありません。後味の重さが売りの作家なので、原作で読んだほうが持ち味は伝わります。

監修者の視点:後味の重い小説は読む時期を選ぶ

田中寛大

沼田まほかるのような読後感の重い小説は、内容より読む時期の選び方で評価が変わります。気持ちが落ちているときに『彼女がその名を知らない鳥たち』を読むと、作品の力とは別の理由でしんどくなります。先に『ユリゴコロ』のように謎解きの筋が通ったものから入るほうが失敗しません。

オンライン古書店を運営していた時期(2019〜2022年)に扱った本を振り返ると、出品した本は1か月強で買い手がつくか、そのまま動かないかに分かれる傾向が見受けられました。映像化された作品は動きが読みやすく、『ユリゴコロ』のように公開から時間がたっても名前が残る作品は、中古でも探されやすい側にあると考えています。

沼田まほかるの作品についてよくある質問

沼田まほかるの作品のジャンルは何ですか?

「イヤミス」と呼ばれる、読後感の重いミステリーです。湊かなえ、真梨幸子とともに「イヤミスの三大女王」と呼ばれています。作品ごとに軸足は違い、『九月が永遠に続けば』『アミダサマ』はホラーサスペンス、『ユリゴコロ』は恋愛ミステリー、『猫鳴り』は人と猫を描いた例外的に後味のよい作品です。

初めて沼田まほかる作品を読むなら、どれがおすすめですか?

『ユリゴコロ』(2011年・双葉社)です。第14回大藪春彦賞を受賞し、2012年の本屋大賞にもノミネートされた作品で、過去の手記と現在の謎が交錯する構造がはっきりしているため読み進めやすいためです。

沼田まほかるの作品はすべて後味が悪いのですか?

すべてではありません。代表作の多くは人間の狂気を描くイヤミスですが、『猫鳴り』は捨て猫の一生を3部構成で描いた作品で、後味は重くありません。イヤミスが苦手な場合はこの1冊から入る方法もあります。

沼田まほかるの作品で映画化されたものはどれですか?

『ユリゴコロ』と『彼女がその名を知らない鳥たち』の2作です。『ユリゴコロ』は2017年9月公開(熊澤尚人監督・吉高由里子出演)、『彼女がその名を知らない鳥たち』は2017年10月公開(白石和彌監督・蒼井優・阿部サダヲ出演)です。

沼田まほかるはいつデビューしたのですか?

2004年、56歳のときです。『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞し、翌2005年に同作が新潮社から刊行されました。主婦、僧侶、建設コンサルタント会社の経営を経てからの遅いデビューでした。

沼田まほかるの作品にシリーズものはありますか?

ありません。すべて独立した作品なので、どの1冊から読んでも問題ありません。『猫鳴り』だけは1作の中が3部構成になっています。

まとめ:沼田まほかるは『ユリゴコロ』から読むと迷わない

沼田まほかるの代表的な6冊を刊行順に紹介しました。最初の1冊は大藪春彦賞を受けた『ユリゴコロ』、イヤミスの濃さを味わうなら『彼女がその名を知らない鳥たち』が基準になります。

映画化されているのは2017年公開のこの2作のみで、残る4作は原作でしか読めません。ミステリーの仕掛けそのものを楽しみたくなったら、バカミスのような別の方向の作品に寄り道してみるのもおすすめです。

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