どんでん返しミステリー小説のおすすめ16選|国内8冊・海外8冊をネタバレなしで

忍び寄る影 
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どんでん返しのミステリー小説を1冊だけ選ぶなら、国内は殊能将之『ハサミ男』、海外はアンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』です。前者は読み終えた瞬間に最初から読み返したくなる叙述の仕掛け、後者は上巻を読み終えたところで物語の枠組みそのものが変わる構成で知られています。

この記事では、どんでん返しで評価の高いミステリー小説16冊を、国内8冊・海外8冊に分けて紹介します。犯人や仕掛けの正体には一切触れません。あらすじは導入部で止め、どんな種類の驚きが待っているかだけを書いています。

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目次

どんでん返しミステリー16選【一覧表】

16冊を「どんでん返しの型」で分けました。仕掛けの種類がわかれば、自分が驚きたい方向で選べます。

国内/海外書名著者刊行年どんでん返しの型
国内ハサミ男殊能将之1999年叙述の仕掛け
国内イニシエーション・ラブ乾くるみ2004年叙述の仕掛け(最後の数行)
国内medium 霊媒探偵城塚翡翠相沢沙呼2019年連作全体を覆す
国内硝子の塔の殺人知念実希人2021年倒叙+館もの
国内りら荘事件鮎川哲也1958年二転三転する犯人像
国内悪魔の手毬唄横溝正史1957〜59年見立て殺人の真相
国内魔術師江戸川乱歩1930〜31年正体の反転
国内乱歩殺人事件「悪霊」ふたたび江戸川乱歩/芦辺拓2019年未完作の補筆
海外カササギ殺人事件アンソニー・ホロヴィッツ2016年(邦訳2018年)作中作の枠が変わる
海外ABC殺人事件アガサ・クリスティ1936年動機の反転
海外災厄の町エラリー・クイーン1942年証言の意味の反転
海外火刑法廷ジョン・ディクスン・カー1937年結末の二重性
海外第四の扉ポール・アルテ1987年密室+作中作
海外だれがコマドリを殺したのか?イーデン・フィルポッツ1924年叙述の仕掛け
海外ウォッチメイカージェフリー・ディーヴァー2006年(邦訳2007年)連続するどんでん返し
海外奇岩城モーリス・ルブラン1909年冒険活劇の反転

「叙述の仕掛け」は語り方そのものに仕掛けがある型で、読み終えてから再読したくなります。「正体の反転」「動機の反転」は犯人や動機についての見え方が変わる型で、1回で驚きが完結します。

どんでん返しミステリーが読まれる理由は3つ

人物と吹き出し
  • 意外な犯人に納得できる:手がかりがすべて読者に示されたうえで予想外の結末に着地すると、驚きと納得が同時に来る。唐突なだけの結末は評価されない
  • 展開が速い:どんでん返しを用意している作品は、終盤に向けて場面転換が増える。読み進める速度が落ちにくい
  • 再読で別の本になる:伏線の張り方、証言のずれ、仕掛けのタイミングを2回目に確かめられる。叙述の仕掛けがある作品は特にこの性格が強い

一方で、どんでん返しは読む前に知ってしまうと効果が消えます。この記事のあらすじは導入部で止めているので、安心して読み進めてください。ミステリーそのものが苦手な場合は、ミステリーが苦手な人向けのおすすめから入るほうが向いています。

どんでん返しがすごい国内ミステリー8選

電話で話す仮面の男

ハサミ男|読み終えた瞬間に再読したくなる(殊能将之・1999年)

女子高生を狙い、喉にハサミを突き立てる連続殺人犯「ハサミ男」。3人目の標的を定めて下見に行くと、その少女はすでに同じ手口で殺されていた——ハサミ男自身が、自分の模倣犯を探しはじめる物語です。

1999年に第13回メフィスト賞を受賞した殊能将之のデビュー作で、同年の『このミステリーがすごい!』で9位に入りました。叙述の仕掛けを代表する作品として繰り返し名前が挙がり、1回目は騙され、2回目は仕掛けを確かめるために読まれます。

イニシエーション・ラブ|最後の数行で読み直しが始まる(乾くるみ・2004年)

1980年代の静岡を舞台に、大学生の鈴木と繭子の出会いから、就職後の関係までを描いた恋愛小説です。カセットテープになぞらえて前半が「Side-A」、後半が「Side-B」に分かれ、各章の題名は当時のヒット曲から取られています。

ほぼ全編が普通の恋愛小説として進み、最後の数行で物語の見え方が変わります。「最後から2行目で全てがひっくり返る」という宣伝文句で知られ、2015年に映画化されました。ミステリーを読み慣れていない人ほど効く仕掛けです。

medium 霊媒探偵城塚翡翠|連作の最後に全体が覆る(相沢沙呼・2019年)

死者の声を聞けるという霊媒の城塚翡翠と、推理作家の香月史郎が組んで事件を解決していく連作です。各話のあいだに、連続殺人犯の視点による短い「インタールード」が挟まれ、最終話へつながります。

2019年刊行。『このミステリーがすごい!』2020年版と『本格ミステリ・ベスト10』2020年版でともに国内1位となり、第20回本格ミステリ大賞も受賞しました。1話ずつ読める形式ですが、最終話まで読んではじめて1冊の仕掛けがわかる構成です。

硝子の塔の殺人|語り手が犯人の館もの(知念実希人・2021年)

ミステリー愛好家の大富豪が建てた地上11階の硝子の館に、刑事・霊能力者・作家・料理人らが集められ、当主が殺されます。語り手である主治医は冒頭で自分が犯人だと明かし、そのあと続けて起きる殺人の「別の犯人」を探すことになります。

2021年7月に実業之日本社から刊行され、2022年の本屋大賞にノミネートされました。登場人物がミステリーの約束事を語り合う場面が多く、古典を知らなくても、この1冊のなかで「館もの」「倒叙」の型を学びながら読めます。

りら荘事件|二転三転する容疑者(鮎川哲也・1958年)

避暑地の学生寮「りら荘」を訪れた音大生の一行を、連続殺人が襲います。現場には順番に並んだトランプが残され、警察は素人探偵の星影龍三に協力を求めます。

1958年刊行。文体は時代を感じさせますが、容疑者が入れ替わり続ける展開は今も古びていません。探偵が登場してから一気に解決へ向かう構成で、本格ミステリーの骨格を1冊で味わえます。

悪魔の手毬唄|手毬唄どおりに人が死ぬ(横溝正史・1957〜59年)

岡山の山村で、土地に伝わる手毬唄の歌詞になぞらえて若い女性が次々に殺されていく、金田一耕助シリーズの長編です。静養に訪れた金田一が、戦前の未解決事件と現在の殺人をつないでいきます。

見立て殺人の型を代表する作品で、犯人の正体が明かされる場面は金田一ものの中でも劇的な部類に入ります。何度も映像化されています。

魔術師|明智小五郎と復讐者の攻防(江戸川乱歩・1930〜31年)

静養先で宝石商の令嬢と知り合った明智小五郎が、その一家を狙う「魔術師」を名乗る復讐者と対決する長編です。次々に起きる事件と脱出劇が続き、冒険小説の趣があります。

1930年から31年にかけて連載されました。終盤に明かされる人物関係の反転が、乱歩の通俗長編のなかでも印象に残るものです。古典ですが筋は追いやすく、乱歩を初めて読む1冊としても選べます。

乱歩殺人事件「悪霊」ふたたび|未完作を補筆した一冊(江戸川乱歩/芦辺拓・2019年)

江戸川乱歩が雑誌連載の途中で中断した長編『悪霊』を、芦辺拓が補筆して完成させた作品です。乱歩が残した冒頭部分はそのまま活かされ、続きの部分では乱歩自身が登場人物として事件に関わります。

2019年刊行。原作のおどろおどろしい雰囲気を保ちながら、なぜ乱歩が未完のままにしたのかという問いにも答える形で構成されています。乱歩作品を読んだことがあるほど、仕掛けが効く一冊です。

どんでん返しがすごい海外ミステリー8選

謎の文字をルーペで見る

カササギ殺人事件|上巻の終わりで物語の枠が変わる(アンソニー・ホロヴィッツ・2016年)

上巻は、人気作家アラン・コンウェイが書いた探偵小説『カササギ殺人事件』そのものです。下巻に入ると、その原稿を読んでいた編集者の視点に切り替わり、原稿の最終章が欠けていることがわかります。そこから原稿と作家をめぐる別の謎が始まります。

邦訳は2018年9月に東京創元社から刊行され、『このミステリーがすごい!』2019年版海外編、『週刊文春』2018ミステリーベスト10海外部門、『本格ミステリ・ベスト10』2019年版海外篇でいずれも1位になりました。作中作と現実が対応する構成で、上下巻を並べて読み返す楽しみがあります。

ABC殺人事件|予告殺人の動機が反転する(アガサ・クリスティ・1936年)

探偵ポアロのもとに「ABC」と署名された予告状が届き、Aで始まる町でAの頭文字を持つ人物が、次にBの町でBの人物が殺されていきます。現場には鉄道時刻表「ABC」が残されていました。

1936年刊行。アルファベット順に進む連続殺人という設定が有名ですが、本作の驚きは事件の動機の見え方が変わる点にあります。クリスティの長編を1冊だけ読むなら、構成が明快なこの作品が入り口になります。

災厄の町|ある発言の意味が一変する(エラリー・クイーン・1942年)

架空の地方都市ライツヴィルを舞台にした長編です。失踪していた婚約者が3年ぶりに戻り、銀行家の令嬢と結婚しますが、夫が書いた「妻を毒殺する計画」の手紙が見つかり、不穏な空気のなかで実際に毒が盛られます。

1942年刊行。クイーンの後期を代表する作品で、ある登場人物の発言の意味が終盤で反転し、事件全体の見え方が変わります。論理パズルとしての緻密さと、人間ドラマの両方がそろった1冊です。

火刑法廷|結末が二重に読める(ジョン・ディクスン・カー・1937年)

編集者の主人公が、担当作家から見せられた毒殺魔の女性の肖像画が、自分の妻と瓜二つだった——という導入から、隣家で起きた毒殺疑惑と遺体消失事件に巻き込まれていく長編です。

1937年刊行。ミステリーとしての解決が示されたあとに、別の読み方を許す結末が置かれており、読者によって受け取り方が分かれます。密室の巨匠カーの作品の中でも、仕掛けの大きさで知られる一冊です。

第四の扉|密室と作中作(ポール・アルテ・1987年)

幽霊が出ると噂される屋根裏部屋で降霊会が開かれ、密室のなかで殺人が起きる長編です。犯罪学者のツイスト博士が登場するシリーズの1作目で、1987年に発表されました。

フランスの作家アルテは「フランスのカー」と呼ばれる密室ものの書き手です。本作は密室トリックに加えて、物語の枠組みそのものに仕掛けがあり、解決の直前まで何を読んでいたのかが問い直されます。

だれがコマドリを殺したのか?|古典の叙述トリック(イーデン・フィルポッツ・1924年)

資産家の伯父の反対を押し切って結婚した医師と、その妻をめぐる物語です。妻が原因不明のまま亡くなり、医師は再婚の挙式中に毒殺容疑で逮捕されます。友人たちは無実を信じ、探偵に調査を依頼します。

1924年刊行。マザーグースの「だれがコマドリを殺したの」を下敷きにしており、叙述の仕掛けを使った古典として知られています。100年前の作品ですが、仕掛けの効き方は現代の作品と変わりません。

ウォッチメイカー|どんでん返しが連続する(ジェフリー・ディーヴァー・2006年)

現場にアンティークの時計を残していく殺人者「ウォッチメイカー」を、四肢麻痺の犯罪学者リンカーン・ライムと、尋問の専門家キャサリン・ダンスが追う長編です。

リンカーン・ライムシリーズの7作目ですが、単独で読めます。邦訳は2007年。ディーヴァーの作品は終盤に複数回のどんでん返しを重ねる構成で知られ、本作はその中でもシリーズ最高傑作と評されることの多い1冊です。

奇岩城|ルパンと少年探偵の知恵比べ(モーリス・ルブラン・1909年)

怪盗アルセーヌ・ルパンと、高校生の探偵イジドール・ボートルレが、フランス王家の財宝が隠された場所をめぐって知恵比べをする長編です。1909年発表。

絵画の盗難と令嬢の誘拐から始まり、暗号解読と追跡が続く冒険小説の形をとっています。ミステリーの仕掛けというより、追う側と追われる側の立場が何度も入れ替わる展開がどんでん返しとして機能しています。ルパンものを1冊だけ読むならこの作品です。

どんでん返しミステリーの選び方とネタバレの避け方

  • 仕掛けの型で選ぶ:再読したいなら叙述の仕掛け(『ハサミ男』『イニシエーション・ラブ』)、1回で驚きたいなら犯人・動機の反転(『ABC殺人事件』『悪魔の手毬唄』)
  • 帯の文句以上は読まない:「ラスト○行で世界が変わる」程度にとどめ、詳しいあらすじやレビューの星の数・批判コメントは見ない
  • 映像化作品は原作を先に:『イニシエーション・ラブ』『悪魔の手毬唄』は映像化されているが、仕掛けの性質上、原作を先に読んだほうが驚きが大きい
  • 古典は新訳版を選ぶ:『災厄の町』『火刑法廷』は新訳版が出ており、訳文の古さで止まることがない

監修者の視点:どんでん返しの本は「2回読まれる本」

田中寛大

どんでん返しのあるミステリーは、1回目と2回目で別の本になります。1回目は騙されるために、2回目は伏線の置き方を確かめるために読むので、読み終えてすぐ手放す本にはなりにくいと考えています。特に叙述の仕掛けがある作品は、再読して初めて書き手の手つきが見えてきます。

オンライン古書店を運営していた時期(2019〜2022年)に扱った本を振り返ると、出品した本は1か月強で買い手がつくか、そのまま動かないかに分かれる傾向が見受けられました。ミステリーは一度読むと手放されやすいジャンルですが、『ハサミ男』や『イニシエーション・ラブ』のように刊行から20年以上たっても版を重ねている作品は、読み返される側にある本だといえます。

どんでん返しミステリーについてよくある質問

どんでん返しのミステリー小説で1冊選ぶならどれですか?

国内なら殊能将之『ハサミ男』、海外ならアンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』です。『ハサミ男』は読み終えた瞬間に再読したくなる叙述の仕掛け、『カササギ殺人事件』は上巻を読み終えたところで物語の枠組みが変わる構成で知られています。

叙述トリックとは何ですか?

語り方そのものに仕掛けがあり、読者が当然だと思い込んでいた前提(人物の性別や年齢、時系列など)が最後に覆される手法です。犯人の正体ではなく、読者の思い込みが仕掛けの対象になります。本記事では『ハサミ男』『イニシエーション・ラブ』『だれがコマドリを殺したのか?』がこの型です。

ネタバレを踏まずにどんでん返しの本を選ぶにはどうすればいいですか?

帯の文句(「ラスト○行で世界が変わる」程度)以上の情報を見ないことです。詳しいあらすじ、レビューの星の数、批判コメントは核心に触れていることがあります。本記事のあらすじは導入部で止めているので、そのまま選んで構いません。

海外のどんでん返しミステリーは翻訳が読みにくくないですか?

新訳版や近年の作品なら国内作品と同じ感覚で読めます。『カササギ殺人事件』は2018年の邦訳、『災厄の町』『火刑法廷』は新訳版が出ています。最初の1冊は構成が明快な『ABC殺人事件』か、現代の『カササギ殺人事件』が入りやすい選択です。

どんでん返しがある小説は2回目も楽しめますか?

楽しめます。2回目は伏線の張り方、証言のずれ、仕掛けのタイミングを確かめる読み方になります。叙述の仕掛けがある作品は特にこの性格が強く、『ハサミ男』は1回目と2回目で別の本として読まれることで知られています。

どんでん返しミステリーの最新作はどう探せばいいですか?

『このミステリーがすごい!』『本格ミステリ・ベスト10』などの年間ランキングの上位から探すのが確実です。本記事では『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(2019年・両ランキング1位)、『硝子の塔の殺人』(2021年・本屋大賞ノミネート)が比較的新しい作品にあたります。

まとめ:どんでん返しミステリーは「仕掛けの型」で選ぶ

どんでん返しミステリー16冊を国内8冊・海外8冊に分け、仕掛けの型つきで紹介しました。再読したいなら『ハサミ男』、構成の大きさで驚きたいなら『カササギ殺人事件』が入り口です。

どんでん返しは知ってしまえば効果が消えます。帯の文句以上の情報を入れずに読み始め、読み終えたら2回目に進んでください。ミステリーそのものに苦手意識があるなら、人が死なない短編から入り直す方法もあります。

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