大学生が読むべき本を選ぶ基準は、①考え方をつくる本 ②学び方・作業効率を上げる本 ③大学生活と就活を扱った小説の3種類をそろえることです。1つのジャンルに寄せるより、この3方向から取ることで、レポート・就活・日々の判断のどれにも効きます。
本記事では、その3分類で大学生におすすめの本10冊を紹介します。あわせて、目的別の選び方と、読書が続かないときの対処もまとめました。
全国大学生活協同組合連合会の「第59回学生生活実態調査」(2023年10〜11月実施・2024年3月公表)によると、1日の読書時間が「0分」の大学生は47.4%、全体の平均読書時間は1日30.6分でした。半数近くがまったく読んでいないので、月に1〜2冊読むだけでも同学年のなかでは上位に入ります。
大学生におすすめの本10選【早見表】

先に一覧です。目的が決まっている人は、右列から選んでください。
| 分類 | 書名 | 著者 | こんな目的に |
|---|---|---|---|
| 考え方 | 20代にしておきたい17のこと | 本田健 | この4年間の使い方を決めたい |
| 考え方 | 嫌われる勇気 | 岸見一郎・古賀史健 | 人間関係の悩みを整理したい |
| 考え方 | アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書 | アンドリュー・O・スミス | お金の基礎を一通り知りたい |
| 考え方 | 精神科医が見つけた 3つの幸福 | 樺沢紫苑 | 生活習慣から整えたい |
| 学び方 | ヤバい集中力 | 鈴木祐 | 勉強に集中できない |
| 学び方 | 理科系の読書術 | 鎌田浩毅 | 本や論文を読み切れない |
| 学び方 | ゼロ秒思考 | 赤羽雄二 | 考えを言葉にするのが遅い |
| 小説 | 君たちはどう生きるか | 吉野源三郎 | 教養の土台をつくりたい |
| 小説 | 夜は短し歩けよ乙女 | 森見登美彦 | 大学生活そのものを楽しみたい |
| 小説 | シューカツ! | 石田衣良 | 就活の空気を先に知りたい |
考え方をつくる4冊|将来の判断材料になる本
進路・お金・人間関係のように、大学生のうちに一度立ち止まって考えておくと後が楽になるテーマの本です。答えが書いてあるわけではありませんが、判断の物差しが増えます。
20代にしておきたい17のこと|本田健
『ユダヤ人大富豪の教え』で知られる本田健の著書(だいわ文庫)です。20代のうちにやっておきたいことを17項目に整理しています。
1項目が短く区切られているので、通学時間に1つずつ読める構成です。「何から考えればいいか分からない」段階の人が最初に開くのに向いています。
嫌われる勇気|岸見一郎・古賀史健
著者は岸見一郎と古賀史健で、2013年12月にダイヤモンド社から刊行されました。アルフレッド・アドラーはこの本の著者ではなく、本書が解説の対象としている心理学者です(フロイト・ユングと並ぶ「心理学の三大巨頭」とされます)。
内容は、アドラー心理学の考え方を哲人と青年の対話篇という形式で解き明かすものです。「人間の悩みはすべて対人関係の悩みである」という前提から、他人の評価にどう向き合うかを扱います。サークル・ゼミ・バイトと人間関係が一気に増える大学生の時期に効く1冊です。
アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書|アンドリュー・O・スミス
アンドリュー・O・スミス著/桜田直美訳(SBクリエイティブ)。アメリカの高校で使われている金融教育の教科書を訳したものです。
扱う範囲は、お金の計画・キャリア設計・就職・貯金・信用と借金・投資・金融詐欺・保険・税金・老後資産と広く、体系的に一周できます。日本でも2022年度から高校の家庭科で資産形成に関する内容が扱われるようになりましたが、それ以前に高校を卒業した学生にとっては空白を埋める役割になります。
精神科医が見つけた 3つの幸福|樺沢紫苑
『ストレスフリー超大全』などの著書がある精神科医・樺沢紫苑の本です。幸福を脳内物質の働きから3種類に分けて整理し、それぞれをどう満たすかを解説しています。
睡眠・運動・朝散歩といった、生活の土台にあたる部分から手をつける構成なので、生活リズムが崩れやすい大学生と相性がよい内容です。
学び方を変える3冊|レポートと勉強の効率が上がる本
課題の量が急に増える大学生活では、知識そのものより「処理の仕方」がボトルネックになります。集中・読解・言語化の3点を扱う3冊です。
ヤバい集中力|鈴木祐
『最高の体調』の著者・鈴木祐による本(SBクリエイティブ)で、集中力を高める方法を45項目に整理しています。
それぞれの手法に科学的な根拠が示されているので、なぜ効くのかを納得したうえで試せるのが特徴です。食事・環境・タスク管理と切り口が分かれているため、自分に効きそうなものから拾えます。
理科系の読書術|鎌田浩毅
鎌田浩毅による中公新書(2018年刊)。副題は「インプットからアウトプットまでの28のヒント」です。
「最後まで読まなくていい」「難しいのは著者が悪い」といった前提から入るので、通読しなければという思い込みを外せます。アウトプットを起点に読む本を決める、という考え方は、レポートや卒論の文献読みにそのまま使えます。
ゼロ秒思考|赤羽雄二
赤羽雄二が開発した「メモ書き」というトレーニング方法をまとめた本です。1件1分でA4用紙1枚に書き出す、という手順が具体的に示されています。
やることが1つに絞られているので、読んだ日から実行できるのが強みです。頭のなかで考えがまとまらない、面接で言葉が出てこないという段階の人に向いています。
小説で読む3冊|教養・大学生活・就活
小説は情報の効率では劣りますが、状況をまるごと体験させる力があります。大学生というテーマに近い3作を挙げます。
君たちはどう生きるか|吉野源三郎
吉野源三郎が1937年に発表した作品です。主人公「コペル君」が、身近で起きたいじめや貧困、差別といった出来事について、叔父さんとのやり取りを通じて考えを深めていきます。
2017年8月には羽賀翔一・画の『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)が刊行され、ベストセラーになりました。なお、2023年に公開された宮崎駿監督の同名映画は、本作の映画化ではありません。タイトルを借りた宮崎監督のオリジナル作品で、劇中に本書が登場するという関係です。
こうした教養の土台になる本をもう少し集めたい場合は、教養が身につく本のまとめもあわせてご覧ください。
夜は短し歩けよ乙女|森見登美彦
森見登美彦が2006年に発表した長編で、第20回山本周五郎賞を受賞しています。2017年に湯浅政明監督でアニメ映画化されました。
京都の大学生「先輩」が「黒髪の乙女」を追いかけるという筋立てで、全4章の構成です。古風で装飾的な文体が特徴で、好みは分かれますが、はまると他の作品では代えられません。舞台が京都の大学とその周辺なので、大学生の時期に読むと距離が近く感じられます。
シューカツ!|石田衣良
石田衣良による小説(文春文庫)です。女子大生の主人公が、仲間とプロジェクトチームを組んで就職活動に挑みます。
就活の手順そのものを説明する本ではありませんが、面接や説明会の空気感を先に知っておけるのが利点です。就活対策の実用書と1冊ずつ組み合わせると、心構えと手順の両方がそろいます。
社会に出てから読む本も先に見ておきたい人は、次の記事も参考になります。

大学生が本を読むメリット4つ

読書のメリットは「知識が増える」だけではありません。大学生の時期に限って見ると、次の4つが実際に効いてきます。
- 知識と教養の土台ができる:授業で扱わない分野に触れられるので、判断の材料が増える
- 語彙が増えて文章が書けるようになる:エントリーシート・小論文・レポートは語彙の量がそのまま出る
- 気分転換になる:小説のように別の世界に入るタイプの本は、切り替えの手段として使える
- 読み方の型が身につく:目次から入る・必要な章だけ読む、といった処理の仕方は卒論でも仕事でも使い続ける
なお、読書量と収入の相関を指摘する調査はいくつかありますが、読書が収入を上げるという因果関係が確かめられているわけではありません。関心があれば読書と収入の関係で扱っているので、そちらをご覧ください。
大学生活やキャリアへの影響をもう少し詳しく知りたい方は、次の記事もあわせてどうぞ。

大学生の本の選び方は3つの軸で決まる

読み切れるかどうかは、意志より選び方で決まります。目的・長さ・形式の3軸を先に決めてから探すと外れにくくなります。
| 軸 | 決めること | 目安 |
|---|---|---|
| 目的 | 何のために読むか | 学びたい→ビジネス書・新書/息抜き→小説・エッセイ/進路を考える→伝記・自己啓発 |
| 長さ | 1回に取れる時間 | 通学の20分・寝る前だけ→短編や項目立ての本/まとまった時間が取れる→長編・専門書 |
| 形式 | 読む場所と姿勢 | 紙/電子書籍(移動が多い)/オーディオブック(手がふさがる時間が長い) |
偉人や著名人の生き方から学びたい場合は、伝記というジャンルもあります。

監修者の視点:大学生のうちに「通読しない読み方」を覚えておく
田中寛大一橋大学大学院で学術書や専門書を読んでいた時期は、1冊を頭から通読しようとして挫折することが多くありました。目次と結論から入って必要な章だけ深く読む形に切り替えてから、ようやく分量に負けなくなりました。この読み方は大学生のうちに覚えておくと、レポートでも卒論でも効きます。
オンライン古書店のNAUT BOOKSを2019年から2022年にかけて運営していた経験からいうと、売れ筋の中心はビジネス・自己啓発・実用書・専門書で、文芸はごく少数でした。扱った6,951タイトルのうち2冊以上売れたのは959タイトル(13.8%)で、繰り返し買われたのは刊行から時間が経ったロングセラーです。
10冊を選ぶなら、話題の新刊だけで固めず、長く読まれ続けている本を混ぜたほうが外れが少ない傾向が見受けられます。予算を抑えたい場合は、コンディション表記が「非常に良い」以上の中古を選べば読書体験は新品とほとんど変わりません。
よくある質問
- 大学生は年間何冊くらい本を読むべきですか?
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冊数の正解はありませんが、月1〜2冊で十分に上位に入ります。全国大学生協連の「第59回学生生活実態調査」(2023年10〜11月実施・2024年3月公表)では1日の読書時間が0分の学生が47.4%、全体平均は1日30.6分でした。まず「0分の日を減らす」ほうが、冊数の目標より続きます。
- 大学生が読むべき本は自己啓発書と小説のどちらですか?
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両方を混ぜるのが現実的です。自己啓発書は判断の物差しを増やし、小説は状況をまるごと体験させます。目的が「レポートや就活に効かせる」なら新書・ビジネス書を厚めに、「読書を習慣にする」なら小説を厚めにしてください。
- 教養を身につけたい大学生には何がおすすめですか?
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吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(1937年刊)です。扱う題材はいじめ・貧困・差別と重いのですが、中学生の主人公と叔父の対話という形式なので入口が低く、教養書の前段として機能します。
- 本を買うお金がない場合はどうすればいいですか?
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大学図書館と中古を組み合わせてください。授業で使う専門書は図書館、繰り返し読みたい本は中古で購入するのが効率的です。中古はコンディション表記が「非常に良い」以上を選べば、読書体験は新品とほとんど変わりません。
- 読んでもすぐ忘れてしまいます。どうすればいいですか?
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アウトプットを先に決めてから読むと残りやすくなります。鎌田浩毅『理科系の読書術』は、この「アウトプット起点で読む本と読む範囲を決める」考え方を扱っています。読み終えてから要約するのではなく、何に使うかを決めてから開くのが順序です。

