ミステリー小説が苦手な人におすすめの15選|人が死なない・短い順に紹介

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ミステリー小説が苦手な人の最初の1冊は、米澤穂信『氷菓』か加納朋子『ななつのこ』です。どちらも人が死なない「日常の謎」を扱う短い連作で、登場人物が少なく、殺伐とした描写がありません。

ミステリーが苦手になる原因は、たいてい「残酷な描写」「分厚さ」「登場人物の多さ」のどれかです。この記事ではおすすめのミステリー小説15冊を、人が死なない・短い・軽い順に並べ直して紹介します。苦手意識の種類から逆引きできる選び方も先に整理しました。

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目次

ミステリー小説おすすめ15選【苦手な人向けの一覧表】

15冊を「重さ」の軽い順に並べました。上から順に試せば、苦手な要素にぶつかる前に止められます。

段階書名著者形式人が死ぬか向いている人
軽い氷菓米澤穂信連作短編死なない初めての1冊
軽いななつのこ加納朋子連作短編死なないやさしい雰囲気が好き
軽い謎解きはディナーのあとで東川篤哉短編集事件あり(描写は軽い)会話で読みたい
軽い黒後家蜘蛛の会アイザック・アシモフ短編集ほぼ死なない謎解きだけ楽しみたい
軽いシャーロック・ホームズの冒険コナン・ドイル短編集作品による古典を1冊だけ
軽いヘラクレスの冒険アガサ・クリスティ短編集少ないポアロを短く
軽いエラリー・クイーンの冒険エラリー・クイーン短編集作品による論理パズルが好き
元彼の遺言状新川帆立長編死ぬ(描写は軽い)テンポよく読みたい
笑うマトリョーシカ早見和真長編死ぬ(描写は少ない)ドラマから入りたい
Wの悲劇夏樹静子長編死ぬ古典的な本格が読みたい
容疑者Xの献身東野圭吾長編死ぬ映像で知っている
重いレベル7宮部みゆき長編(長い)死ぬ長くても止まらない話がいい
重い十角館の殺人綾辻行人長編複数死ぬ仕掛けに驚きたい
重い犬神家の一族横溝正史長編複数死ぬ映像で知っている
重い告白湊かなえ長編死ぬ(後味が重い)イヤミスを試したい

「ミステリー=殺人」ではありません。上の7冊はほとんど人が死なず、謎を解く面白さだけを取り出せます。苦手意識があるなら、この7冊のどれかから始めてください。

ミステリーが苦手になる原因は4つ。原因別に避け方が違う

本とコーヒー

「ミステリーが苦手」と一口にいっても、つまずいている場所は人によって違います。原因がわかれば避け方も決まります。

苦手の原因よくある感想避け方本記事の該当作
残酷な描写事件の場面がつらい人が死なない「日常の謎」を選ぶ氷菓/ななつのこ/黒後家蜘蛛の会
分厚さ上下巻で読み切れない短編集から入るホームズの冒険/ヘラクレスの冒険/謎解きはディナーのあとで
登場人物の多さ誰が誰かわからなくなる探偵役が固定された連作を選ぶ黒後家蜘蛛の会/氷菓/謎解きはディナーのあとで
犯人が当てられない推理に参加できず置いていかれる当てることを目的にしない本を選ぶ容疑者Xの献身/告白/笑うマトリョーシカ

4つ目の「犯人が当てられない」は、ミステリーが苦手だと感じる人の多くが抱えています。ただし、読者が犯人を当てることを前提に書かれたミステリーは一部です。『容疑者Xの献身』のように犯人が最初からわかっている型や、『告白』のように語り手ごとに見え方が変わる型なら、当てられなくても読む楽しさは減りません。

苦手な人のミステリー小説の選び方は4つ

人が死なない「日常の謎」から入る

日常の謎とは、殺人や犯罪ではなく、身のまわりの小さな不思議を解く型のミステリーです。「なぜあの人は毎週同じ本を借りるのか」「この手紙の差出人は誰か」といった謎を、論理で解いていきます。残酷な場面が一切ないため、苦手意識の最初の壁を避けられます。日常の謎ミステリーのまとめも参考にしてください。

短編集から入る

短編なら1編が数十ページで、登場人物も少なく、複雑なトリックも使われにくくなります。上下巻を買って途中で止まるより、短編集を1冊読み切るほうが次につながります。古典のホームズもクリスティも、短編集から入るほうが失敗しません。

映像で知っている作品を原作で読む

ドラマや映画で筋を知っている作品は、登場人物の整理が済んだ状態で読み始められます。結末を知っていても、原作と映像の違いを追う楽しみが残ります。本記事では『容疑者Xの献身』『犬神家の一族』『元彼の遺言状』『笑うマトリョーシカ』が映像化されています。

レビューで「展開」を確認する

長編を読みたい場合は、ネタバレを避けたレビューで「どんでん返しがある」「容疑者が次々変わる」「テンポが速い」といった表現を探してください。展開が速い本は、苦手意識があっても止まりにくくなります。どんでん返しで選ぶならどんでん返しミステリーのまとめに分けて紹介しています。

人が死なない・短い。苦手な人が最初に読む7冊

葉巻と英文書

氷菓|高校の部活で起きる小さな謎(米澤穂信・2001年)

「やらなくてもいいことなら、やらない」を信条にする高校1年生の折木奉太郎が、姉に言われて入った古典部で、部活にまつわる小さな謎を解いていく連作です。米澤穂信のデビュー作で、第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門の奨励賞を受けました。

人は死にません。33年前に文集『氷菓』に何があったのかという謎が軸になり、結末は少しほろ苦く終わります。アニメ化もされており、ミステリーを初めて読む人の1冊目としてもっとも選びやすい作品です。

ななつのこ|手紙で謎を解く連作(加納朋子・1992年)

短編集『ななつのこ』を気に入った大学生の駒子が、作者にファンレターを送り、自分の身のまわりで起きた不思議な出来事を書き添えると、作者から解答が返ってくる——という往復書簡の形で進む連作です。1992年に第3回鮎川哲也賞を受け、加納朋子のデビュー作になりました。

全編を通して雰囲気がやわらかく、事件らしい事件は起きません。日常の謎の型を代表する一冊で、残酷な描写が苦手な人にもっとも向いています。

謎解きはディナーのあとで|執事が安楽椅子探偵を務める(東川篤哉・2010年)

財閥令嬢で刑事の宝生麗子が持ち帰った事件を、執事の影山が話を聞いただけで解く短編シリーズです。2011年の第8回本屋大賞を受賞しました。

事件は起きますが描写は軽く、影山が麗子をからかう口調の掛け合いで進みます。会話のテンポで読める本なので、ミステリーの重さが苦手な人でも止まりません。

黒後家蜘蛛の会|給仕が推理する安楽椅子探偵もの(アイザック・アシモフ・1974年〜)

ニューヨークのレストランで月に一度開かれる会食で、ゲストが持ち込んだ謎を参加者が議論し、最後に給仕のヘンリーが控えめに正解を出す短編集です。SF作家として知られるアシモフが晩年まで書き続けたシリーズで、1作目は1974年に刊行されました。

扱う謎は盗難や失踪、言葉の解釈など、殺人がほとんどありません。1編ごとに謎と解決が完結するため、登場人物を覚えられないという苦手意識がある人にも向いています。

シャーロック・ホームズの冒険|最初の短編集(コナン・ドイル・1892年)

ホームズものの最初の短編集で、「ボヘミアの醜聞」「赤毛組合」「まだらの紐」など12編を収めています。1892年刊行。文章が平易で、古典のなかではもっとも読みやすい部類です。

殺人を扱う話もありますが描写は淡白で、ホームズの観察と推理が中心です。古典を1冊だけ読むならこの本です。新訳版が出ており、訳文の古さで止まることもありません。

ヘラクレスの冒険|ポアロが12の難事件に挑む(アガサ・クリスティ・1947年)

名前が同じギリシャ神話の英雄ヘラクレスにちなみ、探偵エルキュール・ポアロが12の事件を引き受ける短編集です。1947年刊行。

殺人事件は少なく、人助けで終わる話も含まれます。クリスティの長編は登場人物が多いものもあるため、短編から入るならこの1冊です。

エラリー・クイーンの冒険|論理パズルの短編11編(エラリー・クイーン・1934年)

探偵エラリー・クイーンが登場する11編の短編集です。1934年刊行。ダイイングメッセージを扱う「ひげのある女の冒険」など、手がかりから論理で犯人を絞る型の作品がそろっています。

長編のクイーンは理屈っぽいと感じる人もいますが、短編ではその比重が下がります。犯人を当てたい人、論理パズルとしてミステリーを楽しみたい人に向いています。

長編だが読みやすい。次に進む4冊

元彼の遺言状|遺言状をめぐる二転三転(新川帆立・2021年)

「自分を殺した犯人に全財産を譲る」という奇妙な遺言を残して亡くなった製薬会社の御曹司。金に執着する弁護士・剣持麗子が、犯人を名乗り出る人物の代理人になる長編です。2021年の第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2022年に綾瀬はるか主演でドラマ化されました。

人は死にますが、描写は軽く、展開の速さで読ませる本です。長編に進む最初の1冊として選びやすい作品です。

笑うマトリョーシカ|若き官房長官の過去を追う(早見和真・2021年)

官房長官への就任が噂される若手政治家・清家一郎と、その秘書の過去を、新聞記者の道上香苗が追っていく長編です。2021年11月に文藝春秋から刊行され、2024年6〜9月にTBSの金曜ドラマとして水川あさみ主演で放送されました。

誰が誰を操っているのかという謎が中心で、殺人の場面は物語の中心ではありません。結末は読者に考える余地を残す形で終わります。

Wの悲劇|クイーンへのオマージュ(夏樹静子・1982年)

エラリー・クイーンの『Xの悲劇』『Yの悲劇』に倣って書かれた長編です。1982年刊行。正月に大会社の一族が集まった屋敷で、令嬢が「当主を殺した」とナイフを手に現れ、親族が事件を隠そうとする物語です。

限られた人物のなかで起きる事件で、構成は古典的な本格ミステリーです。短編で型に慣れたあと、本格の長編を1冊試すならこの本が入り口になります。

容疑者Xの献身|犯人が最初からわかっている型(東野圭吾・2005年)

数学教師の石神が、隣人の母娘が起こした殺人を隠すために協力を申し出る長編です。ガリレオシリーズの第3作で、2005年8月に文藝春秋から刊行、第134回直木賞を受賞しました。

犯人は最初からわかっています。読者が追うのは「石神がどう隠したか」であり、犯人を当てられないという苦手意識は関係ありません。映画化もされているため、映像から入ることもできます。

ミステリーに慣れてから読む4冊

レベル7|記憶を失った男女の逃走(宮部みゆき・1990年)

目覚めると記憶を失っており、腕に「Level7」と書かれていた男女と、同じ言葉を残して姿を消した女子高生を追うカウンセラー。2つの話が並行して進む長編です。1990年刊行。

分量は多いものの、謎が次々に出てきて止まりにくい作りです。長い本が苦手な人は、短編に慣れたあとに回してください。

十角館の殺人|一行で世界が変わる(綾辻行人・1987年)

大学のミステリ研究会の学生たちが、かつて殺人のあった孤島の十角館で合宿を始め、ひとりずつ殺されていく長編です。1987年刊行。新本格ミステリーの出発点とされる作品です。

複数の人が死にます。終盤の一行で見え方が反転する仕掛けで知られ、ミステリーに慣れた人ほど驚ける構成です。苦手な人の1冊目には向きません。

犬神家の一族|遺言状が引き起こす見立て殺人(横溝正史・1950〜51年)

財界の大物・犬神佐兵衛の遺言をめぐり、3人の娘とその子どもたちが争い、家宝の「斧・琴・菊」になぞらえた殺人が続く長編です。金田一耕助シリーズの代表作で、何度も映像化されています。

殺人の描写は相応にあります。映像で筋を知っている人なら原作でも読み進められますが、残酷さが苦手な人は後回しにしてください。

告白|イヤミスの代表作(湊かなえ・2008年)

中学校の終業式で、担任教師が「娘を殺した犯人はこのクラスにいる」と告げるところから始まる長編です。章ごとに語り手が変わり、同じ出来事が別の角度から語り直されます。2008年刊行、2009年の本屋大賞を受賞しました。

読後感が重い「イヤミス」の代表作です。犯人当てではなく、語り手ごとの認識のずれを読む本なので、推理に参加できなくても楽しめますが、後味の重さが苦手な人には向きません。イヤミスを試すならイヤミスのまとめもあわせてどうぞ。

監修者の視点:「ミステリーが苦手」の多くは最初の1冊の選び方

田中寛大

ミステリーは、1冊目に何を選ぶかで印象が決まりやすいジャンルだと考えています。分厚い本格ものや残酷な描写の多い作品が最初だと、その1冊が合わなかっただけなのにジャンルごと合わないと判断しがちです。人が死なない短編から入り直すと、同じミステリーでも印象が変わります。

オンライン古書店を運営していた時期(2019〜2022年)に扱った本を振り返ると、出品した本は1か月強で買い手がつくか、そのまま動かないかに分かれる傾向が見受けられました。ミステリーは読み終えると手放されやすいジャンルですが、『十角館の殺人』のように刊行から30年以上たっても新装版が出る作品は、何度も読み返される側にあると考えています。

ミステリー小説についてよくある質問

ミステリー小説が苦手な人はどれから読めばいいですか?

米澤穂信『氷菓』か加納朋子『ななつのこ』です。どちらも人が死なない「日常の謎」を扱う短い連作で、登場人物が少なく残酷な描写がありません。会話で読みたい場合は東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』が候補です。

人が死なないミステリー小説はありますか?

あります。『氷菓』『ななつのこ』『黒後家蜘蛛の会』は殺人を扱わず、身のまわりの小さな不思議を論理で解く「日常の謎」の型です。ミステリーが苦手になる最大の原因は残酷な描写なので、この型から入ると壁を避けられます。

推理小説で犯人が当てられないのですが、読んでも楽しめますか?

楽しめます。読者が犯人を当てることを前提に書かれたミステリーは一部です。『容疑者Xの献身』のように犯人が最初からわかっている型や、『告白』のように語り手ごとに見え方が変わる型は、当てられなくても読む楽しさが減りません。

ミステリー小説は短編と長編のどちらから読むべきですか?

短編からです。1編が数十ページで登場人物も少なく、複雑なトリックも使われにくいため、最後まで読み切れます。古典のホームズやクリスティも、『シャーロック・ホームズの冒険』『ヘラクレスの冒険』といった短編集から入るほうが失敗しません。

映像化されたミステリーを原作で読む意味はありますか?

あります。筋を知っていると登場人物の整理が済んだ状態で読み始められ、原作と映像の違いを追う楽しみが残ります。本記事では『容疑者Xの献身』『犬神家の一族』『元彼の遺言状』『笑うマトリョーシカ』が映像化されています。

どんでん返しのあるミステリー小説はどう探せばいいですか?

ネタバレを避けたレビューで「ラストで驚いた」「予想を裏切られた」という表現を探してください。本記事の15冊では『十角館の殺人』が代表的で、終盤の一行で見え方が反転します。どんでん返しを軸にした作品は別の記事でまとめています。

まとめ:ミステリーが苦手なら「人が死なない短編」から入り直す

ミステリー小説おすすめ15冊を、苦手な人向けに重さの軽い順で紹介しました。最初の1冊は『氷菓』か『ななつのこ』、長編に進むなら『元彼の遺言状』が選びやすい順番です。

苦手意識の原因は残酷さ・分厚さ・登場人物の多さ・犯人が当てられないことの4つに分かれ、それぞれ避け方が違います。合わなかった1冊でジャンルごと諦めず、原因に合わせて選び直してください。

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