住野よるの代表作は、2015年のデビュー作『君の膵臓をたべたい』と、2018年の『青くて痛くて脆い』です。どちらも実写映画化されており、初めて読むなら『君の膵臓をたべたい』が入口として確実です。若さゆえの葛藤やほろ苦さを、会話のテンポよく描くのが持ち味で、普段あまり本を読まない人でも進めやすい作風です。この記事ではおすすめ10作品を刊行年つきで紹介します。
住野よるとは

住野よるにはどんな魅力があるのでしょうか。
住野よるの作風
住野よるは、大阪府在住の男性作家です。2015年に『君の膵臓をたべたい』でデビューし、『青くて痛くて脆い』などの代表作を発表してきました。中性的なタッチで描かれる青春物語が多いのが特徴で、作品は映画化・アニメ化・漫画化と、小説以外の形でも広がっています。
20代前後の若者や学生はもちろん、かつて青春を過ごした大人の心にも届くさわやかなストーリーが魅力です。
住野よるの魅力
見かけると、どんな内容なんだろうと気になってしまうタイトルが魅力のひとつ。漫画の表紙のような、かわいくてさわやかなイラストの表紙が多いのも特徴です。つい手に取りたくなり、一度読み始めると、続きが気になりどんどん読み進めてしまいます。
住野よるのおすすめ作品10選

10作品を刊行年の古い順に並べました。映像化の有無もあわせて確認できます。
| 作品 | 刊行年 | 出版社 | 映像化など |
|---|---|---|---|
| 君の膵臓をたべたい | 2015年 | 双葉社 | 実写映画・アニメ映画 |
| また、同じ夢を見ていた | 2016年 | 双葉社 | ― |
| よるのばけもの | 2016年 | 双葉社 | ― |
| か「」く「」し「」ご「」と | 2017年 | 新潮社 | ― |
| 青くて痛くて脆い | 2018年 | KADOKAWA | 実写映画 |
| 麦本三歩の好きなもの | 2019年 | 幻冬舎 | 漫画化/第三集まで刊行 |
| この気持ちもいつか忘れる | 2020年 | 新潮社 | THE BACK HORNとのコラボ |
| 腹を割ったら血が出るだけさ | 2022年 | 双葉社 | ― |
| 恋とそれとあと全部 | 2023年 | 文藝春秋 | ― |
| 告白撃 | 2024年 | KADOKAWA | ― |
1作だけ選ぶならデビュー作『君の膵臓をたべたい』、映像を先に観たいなら『青くて痛くて脆い』が入口になります。
『君の膵臓をたべたい』(2015年・双葉社)
クラスメイトの桜良が書いた闘病日記を見つけた「僕」。一緒に過ごす時間が増え、お互いにとって必要な存在になっていきます。気になるタイトルとその意味、想像をくつがえす意外な展開に、読書好きな大人もひきこまれ涙する1冊。
自分で選んで生きること、人と出会うことの尊さを感じます。2015年に双葉社から刊行された住野よるのデビュー作で、浜辺美波・北村匠海主演で実写映画化され、その後アニメ映画にもなりました。
『また、同じ夢を見ていた』(2016年・双葉社)
「人生とは〇〇のようなもの」が口癖の小学生、奈ノ花。同級生はほとんど馬鹿だと思っており、クラスに友達はいません。
猫の「彼女」をきっかけに、知性ある風俗嬢の「アバズレさん」、手首に傷のある「南」さん、お菓子作りが得意な「おばあちゃん」と出会います。
それぞれの視点から「幸せとは何か」を教わり、考える主人公。読み進めるうちに、そういうことだったのか、とハッとさせられる1冊です。
このような年齢を問わず深く考えさせられる物語や、子どもから大人まで長年親しまれている物語に興味がある方は、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
児童文学おすすめについては、下記の記事で詳しく解説しています。

『青くて痛くて脆い』(2018年・KADOKAWA)
人と距離を取る楓と、理想に燃える秋好は大学でサークル「モアイ」を結成。「世界を変える」を目標にした「モアイ」は二人にとって大切な居場所となっていきます。ところが2人は少しずつすれ違い始め、「モアイ」の活動は意識高い系の就職サークルへと変貌。
青くて痛いほどにまっすぐで、簡単に崩れてしまうほど脆い理想や思想。自分の間違いや弱さ、他人との違いを受け入れられるようになるまで、不器用でいびつな方法で戦います。吉沢亮と杉咲花主演で映画化された作品です。
『か「」く「」し「」ご「」と』(2017年・新潮社)
高校のクラスメイト5人にはそれぞれ変わった「かくしごと」が。それは他人の感情が記号や数字、矢印などで見えてしまう能力。お互いの能力は知らず、自分の能力もうまく使いこなせないことも。
見えるもの見えないものがありながらも、それぞれの方法でお互いの心情を大切にし合う5人。青春の繊細な心模様や登場人物の関係性が、さわやかなタッチで描かれています。
『よるのばけもの』(2016年・双葉社)
夜になると化け物の姿になってしまうあっちー。夜、誰もいないはずの教室にはクラスでいじめにあっている矢野さつきが。彼女には化け物があっちーだとバレてしまいます。
夜は化け物として交流する2人ですが、昼間の教室ではいじめられる矢野といじめに加担するあっちーという関係性。閉鎖的な学校の環境と、いじめ、教室での空気感などリアルに描かれています。読後に残る余韻の中で、この本が伝えたいことは何なのかを深く考えさせられる1冊です。
『腹を割ったら血が出るだけさ』(2022年・双葉社)
「愛されたい」という感情に支配されたように生きる高校生の茜寧。相手によって、態度を変化させ、計算し、愛されるようにふるまいます。ある小説と出会い、自分自身が感じたことよりも、その小説の主人公だったらという視点で生きるように。
小説の登場人物にそっくりな<あい>に出会い、<あい>が自分のまま生きている姿を目の当たりにすることで、茜寧はこれからどう生きていったらいいのかを自分に問い始めます。
「普通とは何か」「他人に合わせて生きる息苦しさ」といったテーマに共感する方には、独自の視点で社会の常識を問い直す村田沙耶香の作品もおすすめです。村田沙耶香のおすすめ作品については、下記の記事で詳しく解説しています。

『この気持ちもいつか忘れる』(2020年・新潮社)
退屈な日常に飽きている高校生カヤが異世界の住人チカと出会います。カヤはチカに特別な感情を募らせるようになりますが、チカの世界には<レンアイ>の概念がありません。2人の関係が、記憶の中だけになったあとにも続く物語。
著者が愛するロックバンド「THE BACK HORN」とのコラボレーションした小説です。
『麦本三歩の好きなもの』(2019年・幻冬舎)
図書館勤務の20代女子・麦本三歩はぼうっとしていて、食べすぎ、おっちょこちょい、間抜け。本人は心当たりはあるけれど、周囲の評判に納得はいっていません。そんな三歩の生活を「麦本三歩は〇〇が好き」とテーマごとに描いた短編集。
表紙はBiSH(当時)のモモコグミカンパニーがモデルで登場。シリーズは『第二集』(2021年)、『第三集』(2025年)まで刊行され、漫画版も出ています。
『恋とそれとあと全部』(2023年・文藝春秋)
人と違った考えを持つサブレ。サブレに片思いをするめえめえ。2人は自殺したサブレのおじの家族を訪問し「死」を理解する旅に出ます。相手の嫌いなところを伝え合い、受け止め合う中でお互いへの思いが高まっていきます。
読後、タイトルに納得する読者が多いようです。
『告白撃』(2024年・KADOKAWA)
婚約した千鶴は、自分への片思いを隠し続ける親友の響貴に告白させようと試みます。響貴を振って失恋させれば、自分への片思いから解放できるから。そして友達でいられるから。大人げない作戦は、予想とは違った展開に。
住野よるの近年の作品
2015年のデビュー以降、ほぼ毎年のように新作を発表しています。近年の主な単行本は次のとおりです。
- 恋とそれとあと全部(2023年・文藝春秋)
- 告白撃(2024年・KADOKAWA)
- 歪曲済アイラービュ(2024年・新潮社)
- 麦本三歩の好きなもの 第三集(2025年・幻冬舎)
- 夜想い(2026年・双葉社)
文庫化も進んでおり、『腹を割ったら血が出るだけさ』は2025年8月に双葉文庫、『恋とそれとあと全部』は2025年9月に文春文庫へ収録されました。
監修者の視点:小説を読み慣れていない人の1冊目に向く
田中寛大古書店を運営していた時期(2019〜2022年)に扱った6,951タイトルのうち、2冊以上繰り返し売れたのは959タイトル、全体の13.8%でした。話題になった本より、長く読み継がれてきた本のほうが何度も動きます。
住野よるは、普段あまり小説を読まない人が最初の1冊に選びやすい作家だと思います。会話が多く一文が短いので、読む速度が落ちにくい。まずデビュー作『君の膵臓をたべたい』(2015年)を1冊読み切って、読み終えられた感覚をつくるのに向いています。そこから同じ作家で追うのもいいですし、別の作家に広げる足がかりにもなります。
住野よる作品に関するよくある質問(FAQ)
住野よる作品の世界観をより楽しむためのQ&Aをまとめました。これから読み始める方や、次に読む本を探している方の参考にしてください。
- 『君の膵臓をたべたい』は衝撃的なタイトルですが、怖い話ですか?
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いいえ、怖い話ではありません。タイトルからはホラーやグロテスクな内容を想像するかもしれませんが、実際は闘病中の少女とクラスメイトの少年との交流を描いた、切なくも温かい青春小説です。タイトルの真の意味は物語の終盤で明らかになり、その深い愛情と絆に多くの読者が涙しています。
- 住野よる作品の魅力や特徴は何ですか?
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10代から20代の若者が抱える繊細な心情や葛藤を、中性的なタッチで瑞々しく描く点が最大の特徴です。「自分とは何か」「他人との距離感はどうあるべきか」といった普遍的なテーマを扱いながらも、会話のテンポが良く読みやすいため、普段あまり本を読まない人でも物語の世界に引き込まれやすいです。
- ハッピーエンドの作品が多いですか?
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単純なハッピーエンドとは言い切れない作品が多いです。住野よる作品は、ほろ苦い結末や、簡単には割り切れない人間関係のリアリティを描くことに定評があります。しかし、読後には不思議な爽快感や、前を向くための希望が残るような物語が多く、それが「大人の心にも届く青春ストーリー」として支持される理由となっています。
- 住野よるはどれから読むのがおすすめですか?
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デビュー作『君の膵臓をたべたい』(2015年)です。実写映画とアニメ映画の両方があるため、内容の見当をつけてから読むこともできます。大学生が主人公の話を読みたいなら『青くて痛くて脆い』(2018年)、日常を淡々と描いた作品なら『麦本三歩の好きなもの』(2019年)が向いています。
- 住野よるの新刊には何がありますか?
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2026年7月に『夜想い』(双葉社)が刊行されました。近作では『告白撃』(2024年・KADOKAWA)、『歪曲済アイラービュ』(2024年・新潮社)、『麦本三歩の好きなもの 第三集』(2025年・幻冬舎)があります。
住野よるのおすすめ作品を読んでみよう
思春期や学生時代特有の甘酸っぱさ、他者との関係に思い悩む気持ちが、さわやかに描かれるのが住野よる作品です。最初の1冊はデビュー作『君の膵臓をたべたい』(2015年)から。いま青春の只中にいる人にも、かつて青春を過ごした大人にも届く物語がそろっています。










