大学生が読むべき本を1冊目から選ぶなら、教養の全体像をつかむ池上彰『おとなの教養』(2014年)、お金の基礎を学ぶ両@リベ大学長『本当の自由を手に入れる お金の大学』(改訂版2024年)、本を読む力そのものを鍛える齋藤孝『読書力』(2002年)の3冊が入口になります。そこに『高慢と偏見』や『舟を編む』のような長く読まれてきた小説を1冊加えると、教養・実用・物語のバランスがとれます。
- 大学生におすすめの本8冊の一覧(分野・刊行年・出版社)
- 大学生の読書時間の実態(2025年の全国調査)
- 大学生が本を読むメリットと、テーマ・読みやすさでの選び方
- 古書店の販売記録から考える、読書リストの組み方
- 大学生の本選びでよくある質問
ここで紹介する8冊は、自己啓発・お金・教養・読書論の4冊と、SF・古典の恋愛小説・現代小説・ショートショートの4冊です。読書に慣れていない人でも手に取りやすいように、短い話を集めた本や新書も入れています。
大学生におすすめの本8冊の一覧|分野・刊行年・出版社
8冊の書誌情報と、どんな人に向いているかを一覧にまとめました。翻訳書は原著の刊行年と、紹介している日本語版の訳者・出版社を載せています。
| 書名 | 著者(訳者) | 刊行年・出版社 | 分野 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 『20代にしておきたい17のこと』 | 本田健 | 2010年・だいわ文庫(大和書房) | 自己啓発 | 20代の過ごし方を考えたい人 |
| 『本当の自由を手に入れる お金の大学』 | 両@リベ大学長 | 2020年・朝日新聞出版(改訂版2024年) | お金 | 社会に出る前にお金の基礎を学びたい人 |
| 『おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?』 | 池上彰 | 2014年・NHK出版新書 | 教養 | 宗教・宇宙・経済・歴史を広く知りたい人 |
| 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』 | アンディ・ウィアー(小野田和子訳) | 原著2021年/邦訳2021年・早川書房 | SF小説(第53回星雲賞 海外長編部門) | 長編小説をじっくり楽しみたい人 |
| 『高慢と偏見』 | ジェイン・オースティン(大島一彦訳) | 原著1813年/2017年・中公文庫 | 恋愛小説・古典 | 古典文学を1冊読んでみたい人 |
| 『舟を編む』 | 三浦しをん | 2011年・光文社(2015年 光文社文庫) | 小説(第9回本屋大賞) | 仕事や言葉について考えたい人 |
| 『ボッコちゃん』 | 星新一 | 1971年・新潮文庫 | ショートショート(50編) | 読書に慣れていない人・すき間時間に読みたい人 |
| 『読書力』 | 齋藤孝 | 2002年・岩波新書 | 読書論 | これから読書量を増やしたい人 |
大学生の読書時間の実態|2025年の調査で「1日0分」が51.5%
全国大学生活協同組合連合会の「第61回学生生活実態調査 概要報告」(2026年2月公表)によると、2025年10〜11月に回答した全国の学部生13,277人のうち、1日の読書時間が「0分」の学生は51.5%でした。
- 1日の読書時間が「0分」の学生:51.5%(2025年)
- 本を読む学生の1日の平均読書時間:56分(2022年の65分をピークに低下)
- 読書の範囲:電子書籍を含み、読書の定義は限定していない
同報告は、アルバイト時間別の分析で、読書を「しない層」と「一定時間確保する層」に二極化している可能性を示しています。大学生の読書は、読む時間の長さよりも、そもそも1冊目を手に取るかどうかで大きく分かれているといえます。この記事の8冊に、短い話を集めた『ボッコちゃん』や、本を読む意味から説く『読書力』を入れているのはそのためです。
大学生が本を読むメリットは「視野・読解力・言語化」の3つ

大学生にとって読書は、知識を増やすだけでなく、講義や日常生活では出会えない他者の人生や視点に触れる手段です。具体的には、次の3つの場面で役に立ちます。
- 視野:専攻以外の分野や、自分と違う価値観に触れられる
- 読解力:レポートや卒業論文で必要になる、長い文章から要点をつかむ練習になる
- 言語化:就職活動の自己分析や面接で、自分の考えを言葉にする材料が増える
大学生の本の選び方は「テーマ」と「読みやすさ」の2軸

何を読めばいいか迷ったときは、いまの自分の関心(テーマ)と、無理なく読み切れるか(読みやすさ)の2つで絞り込むと選びやすくなります。
いまの関心に合う「テーマ」で選ぶ
大学生の時期は、勉強・就職活動・お金・恋愛・自分の将来と、関心の対象が次々に変わります。「いま知りたいこと」を基準に選ぶと、読んだ内容を生活に結びつけやすくなります。この記事の8冊をテーマ別に分けると、次のとおりです。
- 教養の全体像をつかみたい:『おとなの教養』
- お金の基礎を知りたい:『本当の自由を手に入れる お金の大学』
- 20代の過ごし方を考えたい:『20代にしておきたい17のこと』
- 読書習慣そのものをつけたい:『読書力』
- 物語に没頭したい:『プロジェクト・ヘイル・メアリー』『高慢と偏見』『舟を編む』
- すき間時間に少しずつ読みたい:『ボッコちゃん』
ページ数と形式の「読みやすさ」で選ぶ
名作とされる本でも、いまの自分に長すぎたり難しすぎたりすると途中で手が止まります。同じ8冊でも、形式によって読み切るまでの負担はかなり違います。
- 短い話の集まり:『ボッコちゃん』(ショートショート50編。1編ずつ区切って読める)
- 新書・文庫の1冊:『おとなの教養』『読書力』『20代にしておきたい17のこと』
- 長編・上下巻:『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(単行本は上下巻)、『高慢と偏見』(中公文庫版は672ページ)
読書に慣れていないうちは、短い本で「読み切った」経験を先に作ってから長編に進むと、読書が続きやすくなります。
大学生が読むべきおすすめの本8選|教養書・お金の本・小説

ここからは8冊を1冊ずつ紹介します。前半の4冊は自己啓発・お金・教養・SF、後半の4冊は古典・現代小説・ショートショート・読書論です。
『20代にしておきたい17のこと』本田健(2010年・だいわ文庫)
『ユダヤ人大富豪の教え』などで知られる本田健が、20代のうちに経験しておきたいことを17項目にまとめた自己啓発書です。大和書房の紹介文では、人生の大きな失敗を恐れないこと、本気の恋をすることなどが挙げられています。文庫で読みやすく、自己啓発書を初めて読む大学生でも入りやすい1冊です。
自己啓発書をほかにも比べてから選びたい人は、自己啓発本のおすすめ10選で初心者向けの選び方を紹介しています。
『本当の自由を手に入れる お金の大学』両@リベ大学長(2020年・朝日新聞出版)
YouTubeなどで「お金に困らず、自由に生きられる人を増やす」を掲げて発信する、通称「リベ大」の学長によるお金の入門書です。お金の知識を「貯める・稼ぐ・増やす・守る・使う」の5つに分けて解説しています。2024年11月に朝日新聞出版から改訂版が出ており、新しいNISA制度に合わせた内容の更新や、52ページの増量が行われました。
「社会人になるまでにお金の基礎を押さえておきたい」「何から勉強すればいいかわからない」という大学生に向いています。制度の話が含まれる本なので、読むなら改訂版を選ぶのがおすすめです。
『おとなの教養』池上彰(2014年・NHK出版新書)
元NHK記者でジャーナリストの池上彰が、「私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」という問いを軸に、現代の教養を7つの科目にまとめた新書です。科目は次の7つです。
- 宗教
- 宇宙
- 人類の旅路
- 人間と病気
- 経済学
- 歴史
- 日本と日本人
一見むずかしそうなテーマが並びますが、講義のような語り口で1科目ずつ解説しているため、専攻に関係なく読めます。教養の「地図」を先に手に入れたい大学生の1冊目に向いています。教養書をさらに探したい人は、教養が身につくおすすめの本10選もあわせてどうぞ。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』アンディ・ウィアー(邦訳2021年・早川書房)
『火星の人』で知られるアメリカの作家アンディ・ウィアーのSF長編です。原著は2021年5月、日本語版は同年12月に小野田和子訳で早川書房から上下巻で刊行され、2022年に第53回星雲賞 海外長編部門を受賞しました。
太陽に異常が起き、地球が氷河期に向かいつつある世界で、宇宙船の中でたった一人目を覚ました男が、記憶を取り戻しながら人類を救うミッションに挑む物語です。2026年3月20日にはライアン・ゴズリング主演の映画が日米同時公開されました。上下巻の長編なので、長期休みにじっくり読みたい大学生に向いています。
『高慢と偏見』ジェイン・オースティン(原著1813年・中公文庫)
イギリスの作家ジェイン・オースティン(1775〜1817年)が1813年に発表した恋愛小説です。イギリスの田舎町を舞台に、ベネット家の次女エリザベスと資産家のダーシーが、互いの高慢さと偏見から誤解とすれ違いを重ねていく姿を描いています。
結婚が女性の生活を大きく左右した時代の結婚観や、家族・友人との人間関係が物語の中心にあり、200年以上前の作品でも現代の人間関係に置き換えて読めるのが特徴です。紹介している中公文庫版は、同じ中公文庫でオースティンの『説得』『マンスフィールド・パーク』も訳している大島一彦の訳で、2017年に刊行されました。古典文学を1冊読んでみたい大学生、恋愛小説を探している大学生の両方に向いています。
『舟を編む』三浦しをん(2011年・光文社)
2012年の第9回本屋大賞を受賞した長編小説です。出版社・玄武書房の営業部から辞書編集部に移った馬締光也が、仲間とともに新しい国語辞書『大渡海』を作り上げるまでを描いています。2011年9月に光文社から単行本が出て、2015年に光文社文庫になりました。
2013年に石井裕也監督・松田龍平主演で映画化され、第37回日本アカデミー賞の最優秀作品賞を受賞しています。2016年にはフジテレビ「ノイタミナ」枠でアニメ化、2024年にはNHK BSで池田エライザ主演のドラマ『舟を編む〜私、辞書つくります〜』が放送されました。言葉を扱う仕事の地道さが中心に描かれるので、これから働くことを考える大学生に向いています。ほかの受賞作も読みたい人は、本屋大賞のおすすめ10選と歴代受賞作一覧が参考になります。
『ボッコちゃん』星新一(1971年・新潮文庫)
「ショートショートの神様」と呼ばれるSF作家・星新一が、自作のショートショートから50編を自選した作品集です。新潮社は「SF作家・星新一の入門書」と紹介しています。表題作は、バーで人気の美人店員「ボッコちゃん」に隠された秘密をめぐる話です。
1編が数ページと短く、通学の電車や授業の合間でも区切りよく読めます。「時間がない」「長い文章が苦手」という大学生が、読書の1冊目に選びやすい本です。
『読書力』齋藤孝(2002年・岩波新書)
『声に出して読みたい日本語』で知られる明治大学文学部教授・齋藤孝が、「本を読むことの意味は何か」に答えた新書です。本書は次の3部で構成されています。
- 自分をつくる(自己形成としての読書)
- 自分を鍛える(読書はスポーツだ)
- 自分を広げる(読書はコミュニケーション力の基礎だ)
巻末には著者が選んだ「文庫百選」のブックリストがあり、次に読む本を探す手がかりにもなります。これから読書量を増やしたい大学生が、最初に読書の目的を整理するのに向いた1冊です。
編集長のひとこと:古書店で長く売れ続けた本から考える、大学生の読書リストの組み方
田中寛大2019〜2022年にオンライン古書店「NAUT BOOKS」を運営し、開業から約2年半で8,000冊超の中古書籍を販売しました。同じタイトルが何冊も売れた本を販売記録で見返すと、上位30タイトルの中に、発想法のロングセラー『アイデアのつくり方』(11冊)や、『わかりやすいマーケティング戦略 新版』(有斐閣アルマ)・『入門微分積分』(各5冊)といった専門分野の入門書が入っていました。
購入者がどんな人だったかは記録にないため、大学生が買ったとは言えません。ただ、刊行から年月が経っても中古で探され続ける本がある、ということは販売記録から読み取れます。
そのため大学生の読書リストも、話題の新しい本だけで組むより、長く読まれてきた本を混ぜるほうが偏りにくいと考えています。この記事の8冊でいえば、2021年刊行の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のような新しい本と、1813年の『高慢と偏見』や1971年の『ボッコちゃん』のような読み継がれてきた本を、1冊ずつ交互に選ぶ組み方です。
大学生の本選びでよくある質問

- 大学生が読むべき本は、何から読めばいいですか?
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教養の全体像をつかむなら池上彰『おとなの教養』(2014年・NHK出版新書)、読書に慣れていないなら星新一『ボッコちゃん』(1971年・新潮文庫)から始めるのがおすすめです。前者は宗教・宇宙・経済・歴史など7科目を1冊で見渡せ、後者は50編のショートショートなので1編ずつ区切って読めます。
- 大学生の必読書はありますか?
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すべての大学生に共通する公式の必読書リストはありません。専攻の授業で指定される本を除けば、自分の関心に合わせて選んでかまいません。
自分なりの必読書リストを作りたい場合は、齋藤孝『読書力』(2002年・岩波新書)の巻末にある「文庫百選」が手がかりになります。
- 大学生が教養を身につけるには、どんな本を読めばいいですか?
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まず分野を横断して見渡せる入門書を1冊読み、そこから興味を持った分野の本に進むのがおすすめです。池上彰『おとなの教養』は、宗教・宇宙・人類の旅路・人間と病気・経済学・歴史・日本と日本人の7科目を1冊で扱っています。
- 大学生におすすめの恋愛小説はありますか?
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古典から選ぶなら、ジェイン・オースティン『高慢と偏見』(1813年)がおすすめです。エリザベスとダーシーが誤解とすれ違いを重ねる物語で、結婚観や家族・友人との関係まで描かれているため、恋愛小説としても人間関係の小説としても読めます。
- 読書経験が少ないのですが、難しい本は避けたほうがいいですか?
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はい、最初から難しい本を選ぶ必要はありません。1編が短い『ボッコちゃん』のような本で読み切る経験を作ってから、新書や長編に進むほうが読書は続きやすくなります。
文章がわかりやすく、ストーリー展開の早い小説から入りたい人は、中学生向けに選ばれた小説を手に取るのも方法の一つです。中学生におすすめの小説は、下記の記事で紹介しています。
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中学生におすすめの小説8選|恋愛・ミステリー・ファンタジーから選ぶ 読書に慣れていない中学生の1冊目には、短編集の『かぞえきれない星の、その次の星』(重松清)が向いています。1篇が数十ページで完結するため、途中で間があいても筋... - 大学生は1日にどれくらい本を読んでいますか?
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2025年の全国調査では、1日の読書時間が「0分」の大学生が51.5%で、本を読む学生に限った平均は1日56分でした。全国大学生活協同組合連合会「第61回学生生活実態調査 概要報告」(2026年2月公表・学部生13,277人が回答)の数値です。
まとめ:大学生の読書は「教養・実用・物語」を1冊ずつ組み合わせると偏らない
大学生におすすめの8冊を、組み合わせの例として整理します。
- 教養:『おとなの教養』(2014年)、『読書力』(2002年)
- 実用:『本当の自由を手に入れる お金の大学』(改訂版2024年)、『20代にしておきたい17のこと』(2010年)
- 物語:『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(2021年)、『高慢と偏見』(1813年)、『舟を編む』(2011年)、『ボッコちゃん』(1971年)
3つのグループから1冊ずつ選べば、知識・生活・物語の読書がそろいます。読書に慣れていない人は、まず『ボッコちゃん』のような短い本から始めて、少しずつ長い本に広げていきましょう。










