『鼻』のあらすじを紹介!芥川龍之介の伝えたいこととは?登場人物・解説・考察も

2022年8月13日

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翠月あくび

25歳兼業ライター 金沢大学の文学部で近代文学を専攻していました。在学中の読書量は、年間約250作品を超えています。好きなジャンルは純文学とイヤミスで、作中から自分独自の解釈を生み出すことが私の読書の楽しみです。

みなさんは自分にコンプレックスを持っていますか。

人から見ればなんてことないようなことでも、一度気になり始めたらなかなか頭から離れないものです。

もしもコンプレックスを解消できるとしたら、ほとんどの人が真っ先に行動にうつすでしょう。

しかし、その先に起こりうるであろうことを想像できる人は少ないかもしれません。

『鼻』は自らのコンプレックスを克服した先で、ある苦悩に直面する人間の物語です。

本記事では芥川龍之介の著書『鼻』のあらすじを中心に紹介します。

『鼻』のあらすじの前にチェック1. 作品概要 今昔物語集が元ネタ?

お坊さんイメージ

『鼻』は、芥川龍之介が1916年に『新思潮』で発表した短編小説です。

『今昔物語集』や『宇治拾遺物語』が元ネタになっているといわれています。

また、『鼻』は芥川龍之介の師匠である夏目漱石が絶賛したことでも知られており、作者も「文章としては1つも気になるところはない。」というほどの自信作であったそうです。

芥川龍之介は23歳という若さで「羅生門」を発表した翌年、夏目漱石の推奨を受けた『鼻』で文壇を駆け上がっていったのです。

『鼻』のあらすじの前にチェック2. 登場人物

石畳を歩くお坊さん

『鼻』の主な登場人物をご紹介します。

1人目は主人公である「内供(ないぐ)」です。

彼は僧侶で、長さ15センチほどある自分の鼻に悩んでいます。

2人目は「弟子」です。

彼は内供の世話役で、内供の鼻の治療に協力します。

3人目は「中童子(ちゅうどうし)」です。

中童子は内供の長い鼻を笑いものにしています。

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『鼻』のあらすじ

祈りを捧げる僧侶

池の尾で禅智内供の鼻を知らない者はいません。

長さ15センチほどの細長い腸詰のようなものが、ぶらりと顔の真ん中にぶら下がっているのです。

内供はすでに50歳を過ぎており、長年この鼻に悩まされていました。

しかし、周囲の人から鼻を気にしていることを悟られまいと表面上は取り繕って暮らしているのです。

内供が長い鼻を気にするのには理由がありました。

第1に、鼻が長いことが生活面で不便だったからです。

内供が食事をとる際は弟子を向かいに座らせて、板で鼻を持ち上げてもらいました。

内供にとっても弟子にとっても、長い鼻は非常に煩わしい存在だったのです。

しかし、生活面での問題は内供にとってそれほど重要な問題ではありません。

彼にとって最も問題なのは、この長い鼻によって彼の自尊心が傷つけられていることだったのです。

内供は何度か傷つけられた自尊心の回復を試みましたが、鼻は依然として15センチほどの長さを保ったまま、いつまでも顔の真ん中にぶら下がっているのです。

そんなある年の秋、内供の使いで京に行った弟子の僧が、医者から鼻を短くする方法を教わってきました。

内供はいつものように「鼻など気にかけていない」という態度を装って、すぐに治療を試そうとはしません。

しかし、そんな内供の心情を理解している弟子が内供を説得し、ようやく治療を試みる運びになったのです。

その治療法とは、お湯で鼻を茹でて、人に踏ませるというものでした。

内供は早速弟子が用意してくれた熱湯に鼻を浸しました。

指も入れられないような熱い湯でしたが、鼻を入れても不思議と熱くはありません。

しばらくしてお湯から鼻をあげ、内供は弟子に鼻を踏ませました。

弟子は何度も「痛うはござらぬかな」と内供に尋ねましたが、内供は痛いというよりもむしろ気持ちいいくらいでした。

しばらくすると、弟子は毛穴から出てきた脂を毛抜きで抜き始めます。

ある程度抜いたところで、再び熱湯に鼻を浸けました。

2度目に茹でた鼻を出してみると、いつになく短くなっているではありませんか

内供は「これでもう誰も笑う者はないに違いない」と、満足げな顔で目を瞬かせました。

治療から数日経つ頃、内供はあることに気が付きました。

中童子や侍たちが前よりも一層おかしそうな顔をして、自分のことを笑っているのです。

どうやら人間の心には互いに矛盾したふたつの感情があるのだと思い知らされました。

ある夜、内供は床の中で鼻がむず痒いことに気が付きます。

荒療治のせいで病気を患ってしまったのではないかと不安に思いましたが、内供はそのまま眠りにつきました。

しかし、翌朝目を覚ますと、内供の鼻は元の長さに戻っていました

内供は鼻が短くなったときと同じような晴ればれした気持ちになり「かうなれば、もう誰も笑うものはないに違いない」と、心の中で呟くのでした。

『鼻』の解説・考察

旅館で頬杖をつく男性

人間離れした長い鼻を持つ内供は、弟子から教わった方法で短い鼻を手に入れました。

しかし、周囲の嘲笑が止まないことに不快感を覚えた内供は「人間の心にある二つの矛盾した感情」に気が付きます。

ここでは、「二つの矛盾した感情」とは何かについて解説したいと思います。

結論から言うと「二つの矛盾した感情」とは、「相手に同情する心」と「相手を貶めようとする心」です。

「相手に同情する心」は、自分が相手より優位な立場にあることが前提となっています。

長い鼻というコンプレックスを排除した内供でしたが、周囲の人間は内供が劣等感を捨て去って幸せに暮らすことを許してくれませんでした。

なぜなら、短い鼻を手に入れた内供に対して、自分が優位な立場であることを主張できなくなるからです。

内供の鼻が長かろうが短かろうが、周囲の人には何の関係もありません。

しかし、自分が優位な立場に立っていたいという「傍観者の利己主義」によって、内供は苦しみから逃れることができなかったのです。

そして、人間の最大の悪意である「相手を貶めようとする心」が内供を襲います。

一度不幸を乗り越えた内供に対して、周囲の風当たりはますます強くなっていきました。

その結果、内供はやっとの思いで手に入れた短い鼻を恨めしく感じるようになったのです。

物語の終盤で内供の鼻は元の長さに戻り、彼は短い鼻を手に入れたときと同じような晴ればれした気持ちで長い鼻を受け入れました。

長い鼻をコンプレックスに思っていた内供でしたが、鼻が短くなっても周囲の人に笑い者にされることには変わりありませんでした。

むしろ、長い鼻のままである方が周囲の人の本当の悪意に触れずに済んだのです。

内供が本当にほしかったものは短い鼻ではなく、周囲の目を気にしない自分だったのでしょう。

しかし、内供は物語のはじめから終わりまで周囲の目を気にして生きています。

「これでもう誰も笑う者はないに違いない」という彼の言葉が、虚しく感じられる作品でした。

『鼻』のあらすじ:まとめ

芥川龍之介の作品『鼻』のあらすじを中心に紹介しました。

やっとの思いで普通の鼻を手に入れた内供でしたが、周囲の反応は彼の期待と正反対に終わりました。

「長い鼻」を必死に隠そうとした内供が本当に隠したかったのは、長い鼻を気にしている自分自身だったのです。

結果的に内供の鼻は長いままですが、彼の心は晴ればれしています。

しかし、内供の状況は物語の冒頭に戻っただけで、決してよい方向に進んでいるわけではありません。

内供はこれからも人間の悪意に満ちた世界で生き続けていかなければならないのです。

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