ひとり情シスとは?Web担当が兼務する会社で、情シスを外注する範囲の決め方

ひとり情シスとは?Web担当が兼務する会社で、情シスを外注する範囲の決め方

ひとり情シスとは、パソコンやネットワーク、アカウント、セキュリティといった社内のIT業務を、1人で担っている状態を指す言葉です。中小企業では、ホームページや広告を担当するWeb担当が「パソコンに詳しいから」とこの役割を兼ねていることがあります。Web担当が兼務している場合は、仕事を「社内に残す」「Web制作・運用の会社に任せる」「IT保守の会社に任せる」の3つに分けると、情シスを外注する範囲を決めやすくなります。

株式会社アマノートは、SEO・LLMO(AI検索対策)のコンサルティング会社で、自社サイトの問い合わせフォームやドメイン、計測のアカウントを社内で管理しています。この記事では、IPA(情報処理推進機構)の調査と当社がWeb担当の立場で対応した実例をもとに、ひとり情シスの仕事の仕分け方をまとめます(公式資料は2026年10月25日に確認)。

この記事でわかること
  • ひとり情シスとWeb担当の兼務が起きる理由
  • Web担当が抱えがちな情シスの仕事の一覧
  • 問い合わせフォームが詐欺メールに使われかけた当社の実例
  • 情シスを外注する範囲の決め方と社内に残すもの
  • ひとり情シスが最初に使える無料の仕組み
目次

ひとり情シスとは?Web担当が兼務しやすい理由

ひとり情シスは、IT担当が1人しかいない、あるいは本業のかたわら1人でITを見ている状態を指して使われます。正式な定義があるわけではなく、担当者が1人で抱え込んでいる状況を表す言葉です。

IPAの「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策の実態調査」(4,191社)では、情報セキュリティ対策の体制を「組織的には行っていない(各自の対応)」と答えた企業が69.7%でした。「兼務だが、担当者が任命されている」が21.0%、「専門部署(担当者)がある」は9.3%です。専任の担当を置けている会社は1割に満たないことになります。

Web担当に役割が回りやすいのは、仕事の中身が重なっているからです。ホームページのドメインやサーバー、問い合わせフォーム、広告やGA4のアカウントは、もともとWeb担当が触っています。その延長で、社員のパソコンやメールのアカウント、Wi-Fiの不調まで相談が集まりやすくなります。

Web担当が兼務しているひとり情シスの仕事の一覧

Web担当が兼務している情シスの仕事を、Web集客との重なりの大きさで並べると次のようになります。

仕事例Web担当の仕事との重なり
Webサイトの管理ドメイン・サーバー・SSLの更新、WordPressの更新とバックアップ、問い合わせフォームの安全大きい
アカウントの管理メール・Microsoft 365などの発行と停止、広告・GA4・SNSの管理者大きい
セキュリティウイルス対策、OSの更新、データのバックアップ中くらい
パソコン・周辺機器購入と入れ替え、初期設定、プリンターや複合機小さい
ネットワーク・電話回線、Wi-Fi、ルーター、ビジネスフォン小さい
社内の問い合わせ「つながらない」「印刷できない」「パスワードを忘れた」小さい
Web担当が兼務しやすい情シスの仕事

私たちの見方では、兼務で困るのは作業そのものより、社内の問い合わせで本来のWeb集客の時間が細切れになることです。パソコンの不調は急ぎで割り込んでくるため、記事の更新や広告の見直しのように、まとまった時間が要る仕事から後回しになりがちです。

当社がWeb担当の立場で対応した情シスの仕事

株式会社アマノートは2026年10月12日、他社のWordPressサイトの問い合わせフォームから送られた「控え」のメールを受け取りました。中身は出金の手続きを装う詐欺の文面で、別のサイトへ誘導するものでした。何者かがそのフォームの宛先の欄に当社のアドレスを、本文の欄に詐欺の文面を入れ、控えのメールにそのまま載せて送らせたとみられます。

当社のサイトを点検すると、お問い合わせ・採用エントリー・雨音選書の3つのフォームで、入力内容を控えに載せて入力者あてに送る設定になっていました。同じ日に、3つとも控えの本文から入力内容を外し、決まった文面だけを送るように直しました。名前の欄にも文面を入れられるため、名前も控えに載せていません。

放っておくと、自社のドメインから他人あてに詐欺メールが送られ、ドメインの評判が落ちて普段のメールまで迷惑メールに振り分けられやすくなるおそれがありました。こうした「サイトの安全」は、IT保守の会社とWeb制作の会社のどちらとも契約で決めていなければ、誰の担当にもならない仕事です。ひとり情シスの会社では、Web担当が気づいて引き受けることになります。

情シスを外注する範囲の決め方

情シスを外注するときは、すべてを1社に任せるか、すべてを社内に残すかの二択で考えないほうが決めやすくなります。仕事ごとに、社内・Web制作や運用の会社・IT保守の会社のどこが持つかを分けます。

持つところ向いている仕事
社内に残す誰にどの権限を渡すかの決定、アカウントと管理者の一覧、顧客や取引先の情報の扱いのルール
Web制作・運用の会社ドメイン・サーバー・SSLの更新、WordPressの更新とバックアップ、フォームの安全、計測の設定
IT保守の会社パソコンの調達・初期設定・保守、ネットワークと防御機器、社員からの問い合わせ窓口(ヘルプデスク)、電話と回線
情シスの仕事の持ち方の例

外注しても社内に残すもの

権限の決定とアカウントの一覧は、外注しても社内に残します。外注先にだけ管理者の権限がある状態だと、契約を終えるときや担当者が替わるときに、自社のアカウントに入れなくなるおそれがあります。管理者を社内に2人以上置く考え方は、パソコン入れ替えでやることで紹介した広告やGA4のアカウントと同じです。

外注先に確かめること

見積もりを比べるときは、月額に含まれる作業の範囲、対応する時間帯、訪問してもらえる地域、パソコン1台あたりの扱い、契約を終えるときの引き継ぎの方法を確かめます。Webサイトの側を頼む会社と社内のITを頼む会社が別になる場合は、ドメインやメールの設定のように両方にまたがる作業を、どちらが受け持つかを先に決めておきます。

ひとり情シスが最初に使える無料の仕組み

外注を決める前に、今の状態を把握するところから始められます。IPAは、中小企業向けに無料で使える仕組みを用意しています。

IPAの「SECURITY ACTION」は、自社の情報セキュリティ対策を宣言する制度です。一つ星は「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」(第4.0版、2026年3月27日公開)の「情報セキュリティ6か条」に取り組むこと、二つ星は「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」で現状を把握したうえで、情報セキュリティ基本方針を定めて外部に公開することが条件で、ロゴマークは無料で使えます。

取引先から対策を求められる場面も増えるとみられます。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」(組織編)では、2位が「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」です。経済産業省が進めるサプライチェーンのセキュリティ対策評価制度は、IPAの案内では2027年3月ごろに★3・★4の申請受付を始める予定です。

先の実態調査では、被害にあった企業の被害額の平均は73万円、復旧までの平均は5.8日で、被害企業の約7割が取引先にも影響が出たと答えています。ひとり情シスの会社ほど、担当者が休むと止まる仕事を減らしておく意味は大きいと私たちは考えています。

ひとり情シス・情シス外注に関するよくある質問

Web担当が情シスを兼務している会社から出てきやすい質問に答えます。

情シスを外注すれば、社内の担当者はいらなくなりますか?

社内の窓口は残ります。誰にどの権限を渡すか、アカウントの管理者を誰にするかは会社が決めることなので、外注しても社内で判断する人が1人は必要です。日々の作業や社員からの問い合わせを外に出すことで、担当者の負担を判断の仕事に絞れます。

ひとり情シスとWeb担当の兼務は、何から整理すればいいですか?

まず、社内で使っているアカウントとその管理者を一覧にし、管理者を2人以上にします。次に、IPAの自社診断で現状を確かめ、社内に残す仕事と外に出す仕事を分けます。

Webサイトの管理も情シスの外注先に任せられますか?

任せられる会社もありますが、ドメインやWordPressの更新、問い合わせフォームの安全はWeb制作や運用の会社が得意な分野です。Webサイトの側をまとめて見直したい場合は、WordPressサイト制作のページもご覧ください。

まとめ:ひとり情シスは仕事を仕分けて、外注する範囲を決める

ひとり情シスの会社で、Web担当がITを兼務しているときは、仕事を「社内に残す」「Web制作・運用の会社」「IT保守の会社」に分けて考えます。権限の決定とアカウントの一覧は社内に残し、パソコンやネットワーク、社内の問い合わせ窓口のように手間のかかる仕事から外に出すと、Web担当が本来の仕事に使える時間を取り戻せます。

株式会社アマノートでは、Webサイトの運用(WordPressの更新、問い合わせフォームの安全、計測のアカウントの整理)のご相談に加えて、パソコンの調達・保守、ネットワーク、ヘルプデスクなど社内のIT環境のご相談も承っています。社内のIT環境は、オフィスのIT環境を専門に扱うパートナー企業をご紹介し、Webまわりと役割を分けて進められるようにお手伝いします。何を外に出すか決まっていない段階でも、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

AMANAUTブログ編集部は株式会社アマノートの運営するブログメディアで、SEOを軸としたコンテンツマーケティングの知見を発信します。一次情報や実務経験に基づく独自性のある記事を通して、読者がすぐに行動へ移せる実践的なノウハウを提供しています。

田中寛大
監修者
一橋大学大学院社会学研究科修了後、政府系法人にてICT専門誌の編集や地方公共団体の情報セキュリティ支援に従事。2019年に株式会社アマノートを設立。SEOを軸としたコンテンツマーケティングの戦略立案・ディレクションを手がけ、これまでに30以上の業種でコンテンツ制作を統括してきた。SEO検定1級取得。近年はLLMO(大規模言語モデル最適化)領域にも注力し、AI検索時代に対応したコンテンツ設計・コンサルティングを提供している。読書メディア「ブッククランチ」や選書サービス「雨音選書」の運営者でもある。
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