クエリファンアウトとは|AIが裏で行う検索の仕組みと実測、SEO対策

クエリファンアウトとは|AIが裏で行う検索の仕組みと実測、SEO対策

クエリファンアウト(query fan-out)は、AIが1つの質問をいくつかの論点に分け、関連する検索を同時に複数行ってから、その結果をまとめて回答する仕組みです。Googleは、AIモードとAI Overviewsの両方がこの方法を使う可能性があると説明しています。ただしAIはいつも検索するわけではなく、書評メディアのテーマで測った3問では、Geminiが検索したのは1問(2本)だけでした。

木の机の上に扇形に広げた白いカードと閉じたノート

株式会社アマノートは2026年10月26日、当社が運営する書評メディア「ブッククランチ」がGoogle検索で上位にいる3つのテーマについて、読者が聞きそうな質問をGeminiに投げ、回答の前に実行された検索語と引用元を、AIの検索過程を記録できるツールで記録しました。同じ質問をGoogle検索に入れたときのAI Overviewsの引用元と、Search Consoleの掲載順位もあわせて照らし合わせています。

この記事でわかること
  • クエリファンアウトの意味とGoogleの公式説明
  • AIが裏で行う検索の確かめ方
  • Geminiが検索した質問と、検索しなかった質問の違い
  • 裏の検索語での順位とAIの引用の関係
  • Googleが示す対策と、避けたいページの作り方
目次

クエリファンアウトとは

クエリファンアウトとは、入力された1つの質問からAIが関連する検索語をいくつも作り、同時に検索して情報を集める方法です。ファンアウト(fan-out)は扇状に広がる様子を指し、1つの問いが複数の検索に枝分かれする動きを表しています。

Googleの公式な説明

Googleは2025年3月にAIモードを発表した公式ブログで、AIモードが論点やデータの出どころをまたいで関連する検索を同時に行い、その結果を1つの回答に仕上げると説明しました。2025年5月のGoogle I/Oの発表では、質問を小さな論点に分けて多数の検索を同時に行う技術として「クエリファンアウト」を紹介し、より深く調べるDeep Searchでは数百回の検索を行うことがあるとしています。

日本では2025年9月9日に、AIモードの日本語での提供が順次始まりました。Google検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」(2025年12月10日更新)には、AI OverviewsとAIモードの両方がクエリファンアウトを使う可能性があると書かれています。

通常の検索との違い

通常の検索とクエリファンアウトの違いは、検索語を誰が決めるかにあります。主な違いを表にまとめました。

項目通常の検索クエリファンアウト
検索語を決めるもの検索する人AI(質問から自動で作る)
1つの質問での検索の数1回質問によって変わる(Deep Searchでは数百回のこともある)
読まれるページ検索した人が選んだページAIが複数の検索結果から選んだページ
結果の見せ方ページの一覧複数のページをまとめた回答と引用元のリンク
Googleの公式説明をもとに整理(2026年10月時点)

検索語をAIが作るため、質問に含まれていない語が検索に足されることもあります。後で紹介する計測でも、その動きが見られました。

Google以外のAIでの同じ動き

質問を検索語に置き換えてから調べる動きは、Google以外のAIにもあります。OpenAIはChatGPTの検索に関するヘルプで、外部の検索サービスを使う際に、質問を1つ以上の絞り込んだ検索語に書き換えて送ると説明しています。GoogleのGemini APIでも、Google検索で根拠を補う機能を使うと、モデルが実行した検索語が応答の情報(groundingMetadataのwebSearchQueries)として返ります。

AIが裏で行う検索(クエリファンアウト)の調べ方

AIが裏で実行した検索語は、Geminiの応答に含まれる検索語の情報を読めば確かめられます。株式会社アマノートは、この情報を表示できる計測ツールを使い、次の順番で記録しました。

  • 読者が実際に聞きそうな自然文の質問を用意する
  • Geminiに質問し、実行された検索語と引用元を記録する
  • 同じ質問をGoogle検索に入れ、AI Overviewsの引用元を記録する
  • 検索語に近い語での自社ページの順位を、Search Consoleで照らし合わせる

同じ質問でも、実行のたびに検索語が変わることがあります。1回の結果で判断せず、日を変えて同じ質問を繰り返し、傾向を見るほうが確かです。AIの回答を続けて記録する方法は、AIの回答の定点観測の方法で紹介しています。

質問の種類で変わったクエリファンアウトの本数(実測)

株式会社アマノートの計測では、Geminiが裏で検索した本数は、質問によって0本から6本まで差がありました。書評メディアの3問のうち2問は検索をせず、学習済みの知識だけで回答しています。

質問の種類計測日検索の本数実行された検索語
現代作家の作品を読む順番2026年10月26日2本「小野寺史宜 代表作 三部作 ひと まち いえ」「小野寺史宜 読む順番 おすすめ」
近代文学の名作のあらすじと結末の解釈2026年10月26日0本検索なし
外国文学を初めて読む人へのおすすめ2026年10月26日0本検索なし
LLMO対策の依頼先の推薦2026年10月9日6本一般の語3本と社名3本
LLMO対策の始め方2026年10月9日2本一般の語2本(うち1本は英語)
LLMOコンサルの費用相場と選び方2026年10月9日6本一般の語6本
Geminiに各1回質問した結果。検索語は実行のたびに変わることがある

10月9日の3問は、LLMO対策の依頼を考える企業が聞きそうな質問です。検索語と引用元の詳しい内訳は、当社のnote「AIは会社をおすすめする前に何を検索するのか」にまとめています。

Geminiが検索しなかった質問の共通点

検索しなかったのは、芥川龍之介『藪の中』のあらすじと結末の解釈、イタリア文学を初めて読む人へのおすすめの2問です。どちらも作品や評価が長く定まっている題材で、Geminiは学習済みの知識で答えられると判断した可能性があります。

一方で、同じ2問をGoogle検索に入れると、AI Overviewsは検索結果から6件ずつ引用していました。Geminiが検索しない質問でも、Google検索のAI Overviewsでは検索上位のページが根拠として使われていたことになります。

Geminiが検索した質問の共通点

検索したのは、小野寺史宜の作品を読む順番の質問と、10月9日のLLMO対策の3問です。シリーズの続きが出ている現役作家や、会社・料金・まだ新しい分野の手法のように変わりやすい情報が答えに要る質問で、検索が行われていました。

実行された検索語には、質問に無い語も入っていました。読む順番の質問では「代表作」「三部作」「ひと まち いえ」をGeminiが自分で足しており、知っている作品名を確かめに行くような検索語でした。会社の推薦では、一般の語で比較記事を探したあと、そこで見つけた社名で個別に検索する2段階の動きでした。

クエリファンアウトの検索語で上位のページはAIに引用されていた

株式会社アマノートが運営するブッククランチでは、Geminiが実行した2本の検索語に近い語で上位にあった記事が、Geminiの回答とAI Overviewsの両方に引用されていました。1問だけの観測なので因果までは言えませんが、裏の検索語で上位にいることが、引用される入口になっている可能性があります。

Geminiが実行した検索語Search Consoleで見た近い語当該記事の平均掲載順位
小野寺史宜 読む順番 おすすめ小野寺史宜 読む順番2.2位
小野寺史宜 読む順番 おすすめ小野寺史宜 おすすめ8.9位
小野寺史宜 代表作 三部作 ひと まち いえ小野寺史宜 ひと まち いえ4.3位
Search Consoleの平均掲載順位(2026年9月26日〜10月23日)

引用された小野寺史宜のおすすめと読む順番の記事は、代表作3作の紹介と読む順番を1ページで扱っています。Geminiの2本の検索語はどちらもこのページの内容に当てはまり、別々のページを用意しなくても、両方の検索で同じ記事が上位にいた形です。

Geminiの回答に並んだ引用元は10件で、本の紹介サイト、個人や団体のブログ、出版社のページ、質問サイトなどが混ざっていました。

Geminiが検索しなかった2問でも、AI Overviewsはブッククランチの記事を引用していました。『藪の中』のあらすじの記事は「藪の中 あらすじ」で3.3位、イタリア文学のおすすめの記事は「イタリア文学」で3.3位にあります(同じ期間の平均掲載順位)。

クエリファンアウトを踏まえたSEO対策

Googleは「AI機能とウェブサイト」で、AI OverviewsやAIモードに表示されるための追加の条件や特別な最適化は無く、通常のSEOのベストプラクティスがそのまま有効だとしています。そのうえで、公式の指針と今回の計測から、対策を3つに分けて整理します。

裏の検索語ごとにページを量産しない

Googleが2026年5月に公開した生成AI機能向けの最適化ガイドは、ファンアウトの検索語や、人が検索しそうな言い回しのすべてに別々のページを作ることについて、主に順位やAIの回答を操作する目的であれば、大量生成コンテンツの不正使用(scaled content abuse)に関するスパムポリシーに違反すると明記しています。ページの数を増やしても、サイトの質や読者にとっての関連性は上がらない、という説明も添えられています。

関連する論点を1ページで答える

書評メディアの実測では、読む順番と代表作という2つの論点を1ページで扱っていた記事が、2本の検索語の両方で上位にあり、引用されていました。読者が続けて知りたくなる論点を無理のない範囲で1ページにまとめておくと、AIが分けた検索のいくつかに同じページで応えられると考えられます。

変わりやすい情報を扱うページの順位を確かめる

Geminiが検索したのは、続きが出ている作家や、会社・料金・新しい分野の手法のように変わりやすい情報が要る質問でした。こうした質問では、AIが裏で実行する検索語で上位にいるかどうかが、引用されるかどうかに関わる可能性があります。自社の商品やサービスに関わる質問でAIがどんな語を検索するかを調べ、その語での順位をSearch Consoleで確かめておくと、手を入れるページの順番を決めやすくなります。

クエリファンアウトに関するよくある質問

クエリファンアウトについて、よく聞かれる質問に答えます。

クエリファンアウトとは何ですか?

AIが1つの質問を複数の論点に分け、関連する検索を同時に行ってから回答をまとめる仕組みです。Googleは、AI OverviewsとAIモードの両方がこの方法を使う可能性があると、検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」(2025年12月10日更新)で説明しています。

AIが裏で検索した語は、Search Consoleで見られますか?

Search Consoleでは、AI OverviewsとAIモードに表示されたページの数字は「ウェブ」の検索パフォーマンスに含めて集計されます。ただ、AIが実行した検索語を一覧で見る機能は、2026年10月時点の公式の説明には見当たりません。2026年6月に発表された生成AIのパフォーマンスレポートも、ページ・国・デバイス・日付ごとの表示回数を見るものです。AIが実行した検索語は、Geminiの応答に含まれる検索語の情報から確かめられます。

AIはいつも裏で検索しているのですか?

いつもではありません。株式会社アマノートが2026年10月26日に書評メディアのテーマで測った3問では、Geminiが検索したのは1問だけで、残る2問は学習済みの知識で回答しました。作品や評価が長く定まっている題材ほど、検索せずに答える傾向が見られました。

まとめ:クエリファンアウトは質問しだいで起きる

クエリファンアウトは、AIが質問を論点に分けて複数の検索を同時に行う仕組みで、GoogleのAIモードとAI Overviewsで使われることがあります。株式会社アマノートの計測では、Geminiが検索するかどうか、何本検索するかは質問の種類で変わり、検索した場合は、裏の検索語に近い語で上位にあった自社メディアの記事が引用されていました。

Googleは検索語ごとのページの量産を戒めており、対策の中心は通常のSEOと同じく、読者の問いに1ページでしっかり答えることです。自社の商品やサービスについて、AIがどんな語で検索し、どのページを読んでいるかを確かめたい場合は、LLMOコンサルティングでご相談ください。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

AMANAUTブログ編集部は株式会社アマノートの運営するブログメディアで、SEOを軸としたコンテンツマーケティングの知見を発信します。一次情報や実務経験に基づく独自性のある記事を通して、読者がすぐに行動へ移せる実践的なノウハウを提供しています。

田中寛大
監修者
一橋大学大学院社会学研究科修了後、政府系法人にてICT専門誌の編集や地方公共団体の情報セキュリティ支援に従事。2019年に株式会社アマノートを設立。SEOを軸としたコンテンツマーケティングの戦略立案・ディレクションを手がけ、これまでに30以上の業種でコンテンツ制作を統括してきた。SEO検定1級取得。近年はLLMO(大規模言語モデル最適化)領域にも注力し、AI検索時代に対応したコンテンツ設計・コンサルティングを提供している。読書メディア「ブッククランチ」や選書サービス「雨音選書」の運営者でもある。
目次