三島由紀夫のおすすめ15選!初めてでも読みやすい小説を中心に紹介!

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三島由紀夫の作品は文章や表現が美しいことが特徴です。ただ、主義や思想などの面から本の内容についていけないのではと不安になる人も。本記事では三島由紀夫の作品を初めて手に取る人にも読みやすい作品を中心に紹介しています。

目次

三島由紀夫は国内外で人気

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三島由紀夫の作品の魅力を詳しく紹介します。日本国内だけでなく海外にも熱心な読者がいて、ノーベル賞の候補に選出されたことも。彼の早逝がなければ、どのような結果になったでしょうか。

美しい表現と文章が魅力

多くの文学作品には、日本人の感性を大切にした描写が端々に見られます。祖母の影響で詩や俳句、歌舞伎など日本の伝統的な作品に親しんだこともあり、日常の話し言葉で使われない語句が多用され、端正な文章であるのが特徴。

日本独特の世界観で、海外の人をも魅了しました。ほかに、華やかな戯曲や、温かくも厳しい視線が感じられる通俗的な小説やエッセイなどもあり、親しみやすい作品も多く残しています。

政治活動と思想が印象的

1970年(昭和45年)11月25日『三島事件』が起こります。自衛隊市ヶ谷駐屯地で演説をした後、三島由紀夫が割腹をして自決。当時のニュースでショックを受けた人も少なくありません。国の防衛や将来を憂い、自衛隊に決起を促したといわれています。

国などの公的な機関に属している人や同業の作家の中でも、政治的な活動と思想には賛否両論。一部理解を示す意見もありますが、『生きて国の将来を考えてほしかった』と無念に感じたり、『過激で受け入れられない』と断じたりしています。愛読者の多くは、事件と素晴らしい著作を切り離して冷静に評価しているようです。

三島由紀夫初めて読む人におすすめの小説15選!

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三島由紀夫の作品を初めて読む人にも親しみやすい作品、映像化された小説を中心に紹介しています。読者人気の高い作品も紹介していますが、2~3冊読んでから挑戦してみるといいかもしれませんね。

『金閣寺』

国内外で、近代の日本文学を代表すると高く評価された作品。1950年に実際に起った『金閣寺放火事件』から着想を得て、作者が人物像や心の動きを肉付けしたといわれています。主人公は金閣寺の美しさに惚れ込んだ若い僧侶。金閣寺へのこだわりと呪いの相反する気持ちを抑えきれずに、ついには放火をする様子を丁寧に描いています。

『仮面の告白』

本作品は三島由紀夫の生まれてから、戦後すぐの20代前半頃の時期を書いた自伝的な小説。中学から高校くらいまで同性愛的な嗜好に悩んだ主人公。友人の妹に淡い恋心を抱いたが満足せずに、異性を受け入れられないことを自覚したということ。三島由紀夫に強いイメージを持つ人もいるでしょうが、とても繊細な印象を受けます。

『三島由紀夫レター教室』

全編にわたり5人の男女が送り合う手紙だけで書かれ、覗き込んで見ているような作品。ユーモアと皮肉がきいています。章に『~の手紙』『見舞い状』などと入り、巻末に三島由紀夫本人の手紙の要点が記されています。連作の短編小説のような構成で、飽きずに読みたい人におすすめ。堅い雰囲気ではなく、嫉妬したり騙されたりの恋の駆け引きが楽しめます。

『不道徳教育講座』

江戸時代の作家、井原西鶴の『本朝二十不孝』に影響を受けて書かれたパロディ作品。エッセイでもあり、評論といえる内容で、軽妙な文体で好評です。三島由紀夫といえば純文学というイメージの人が読むと驚くかもしれません。世間一般の常識、道理に反することを章のタイトルにして、ユーモアたっぷりに書いています。

ただし、あとがきによると、作者本人は偽善に溢れた社会を打破するために書かれた作品だということ。読者はただ楽しんで読んでくれればいいとも書かれています。

『美しい星』

本作は三島由紀夫には珍しいSF小説。世界を2分する冷戦による核兵器の不安が背景にあります。埼玉県に住む裕福な大杉家の一家四人。宇宙船との交信で、自分たちがそれぞれ、火星、金星、水星、木星出身の宇宙人だと気づきました。人間の不完全なところに希望を感じ、核開発による地球人の滅亡を救おうと奮闘。しかし、宇宙へ帰還する日が近づいて…。

『サド侯爵夫人・わが友ヒットラー』

中編の戯曲集。評論家の中でも三島由紀夫の小説は苦手でも、戯曲は素晴らしいと褒めることもあるようです。小説で挫折した人におすすめします。『サド侯爵夫人』は、侯爵夫人ルネの視点の話。公序良俗に違反した侯爵が18年経過して釈放されることに。しかし、夫人は修道院へ。彼女の心の動きが丁寧に描写されています。

『わが友ヒットラー』は、『レーム事件(長いナイフの夜)』(ヒトラーがナチス党の安定のため、突撃隊幕僚長のレームたちを粛清した事件)を下敷きにした戯曲。ヒトラーに友情を抱いていたレームの視点から描かれています。三島由紀夫は、日本的な心情(友を裏切らない)から、レームに心を寄せて書いたとのことです。

『鹿鳴館』

本作は映像化や舞台化もされている有名な戯曲。明治期に西洋文化を取り入れるため造られた鹿鳴館を舞台に、政治的な陰謀と恋愛、親子の断絶などを描き、勲功華族(明治維新で貢献があった新興の華族)の姿を揶揄しています。

影山伯爵夫人の朝子は花柳界出身。身分差別を受けることなく、気さくで美しく華族の女性の憧れの存在。以前の恋人やその間に生まれた息子が、その夜の鹿鳴館の舞踏会に来場して、暴動を起こすという情報が入ります。朝子は二人を守ろうと計画を巡らし…。

『潮騒』

本作品は、何度か映画化されるほど人気の高い作品です。三重県の伊勢湾に浮かぶ歌島(現在では『神島』)が舞台。周囲の恋のライバルたちの妨害にもめげず、若い漁師と海女の男女が恋を実らせようとする物語です。恋愛小説が好きな人におすすめで、若い世代にも読みやすいでしょう。古代ギリシャの作品『ダフニスとクロエ』から、作者が着想を得て書いたということです。

『命売ります』

ハードボイルド調の通俗的な作品です。世の中が無意味に思えた男は、自殺に失敗。助かっても人生に意味を見いだせず、『命売ります』と新聞広告を載せます。主人公は何度も危険な目に遭いながら命拾いし、かえって生きることに執着しだすという皮肉な話です。国際的な組織に狙われるなど話が大きくなっていき、あっけない結末から主人公のその後が気になります。

『肉体の学校』

本作は第二次世界大戦が終わった頃を舞台にした通俗小説。窮屈な旧華族の世界と決別した主人公を含む、3人の女学校時代の友人同士を軸に話が進められていきます。年齢をある程度重ねていても、仕事をしてたくましく生きる女性たちの姿は魅力的。標題は主人公がジゴロの若い男性との付き合いを象徴する言葉で、女性を踏み台にしてのし上がる男性の姿に幻滅して別れた様子を学校の卒業という言葉にたとえています。

『花盛りの森・憂国』

三島由紀夫の自選集に入った短編小説。『花盛りの森』は三島由紀夫が16歳で同人誌に上梓した作品。主人公の祖先への憧れを詩的な表現で振り返り、断片的なエピソードが続き、夢のような儚げな雰囲気で書かれています。

『憂国』は二・二六事件が下敷き。新婚という理由で事件の決起に誘われなかった中尉。かつての仲間を捕らえなくてはいけなくなった現実に悩み、軍人としての意義、天皇への忠義を背景に夫婦である結論に達します。後の三島由紀夫の事件につながるようにも見えるでしょう。

『葉隠入門』

本作品は、江戸時代中期頃に成立した『葉隠』の評論。『葉隠』は武士道の心得を説いた書物で、作者は感銘を受けたということです。現代ではどのように『葉隠』を読むべきか、どのようにその考え方を活かせるか、読み手に案内している内容。作者の美意識、死ぬということについて独特の考え方を述べています。

『夏子の冒険』

主人公は良家の娘の夏子、生き生きとして魅力的です。自身の考えを主張できる彼女に親しみを覚える人もいるでしょう。20歳になった夏子の元に上流階級の若者から結婚の申し込みが相次ぎます。しかし、どの男性も命がけで人を愛することもない凡庸な人間ばかり。彼女は結婚に望みを持てず、北海道の修道院へ。函館への道中で、恋人の仇を打つために熊を狙う猟銃を背負った男性と出会いますが…。

『若きサムライのために』

本作は若い世代の男性を『若きサムライ』になぞらえて、日常生活の心得を説いた評論。政治学者や国会議員、文芸評論家との対談も収録されています。

昭和40年代に平和ボケをして現状維持に甘んじる若者の姿勢に批判的で、日本社会が悪い方向に変わっていくのを警告していたとのこと。政治的な立場から受け入れられないと感じる人も少なくありません。ただ、日本はどうあるべきか、文化や生き方について真剣に問いかける側面も含んでいます。

『豊饒の海』(1~4巻)

『豊饒の海』は長編の4部作で、初めて作者の作品に触れる人には読み進めるのが難しいでしょう。何作か読んでから挑戦することをおすすめします。テーマは輪廻転生で、2部作以降のそれぞれの主役は生まれ変わりをした人物。1部の主人公で天皇の婚約者を妊娠させた松枝清顕の友人、本多繁邦が副主人公で全編に登場し、話を進めていく役割を担います。

それぞれの1部から4部までの書名は以下の通り。

  • 『第一巻 春の雪』
  • 『第二巻 奔馬』
  • 『第三巻 暁の寺』
  • 『第四巻 天人五衰』

三島由紀夫は生き方に迷う人におすすめ!

三島由紀夫の作品は美しい描写や文章を鑑賞したい人だけでなく、自らの生き方に迷う人にもおすすめです。もちろん、政治的な思想、信条に共感できない部分もあるでしょう。生と死をテーマに生き方を指南する評論、小説を通じて現状に満足せずに現状をより良い方向へ、停滞する状況を打破する大切さを説いています。

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この記事を書いた人

海辺のつばくろのアバター 海辺のつばくろ ライター・監修者

『乳がん闘病マニュアル: 乳がんステージ4 はじめての乳がん治療「はじめてのがん治療」第1巻(Kindle版)』(ペンネーム:芹澤絵里子名義)を出版しました。治療経験を生かし、治療や抗がん剤の副作用などについて書いています。文学部日本文学科を卒業し、『平家物語』について卒業論文を作成しました。『平家物語』に関連して『保元物語』『平治物語』などの軍記物も読んだ経験があります。現在は、『吾妻鏡』や『太平記』も読み進めています。

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