ミステリー小説のおすすめ30選|6ジャンル別に名作から新作まで

【最新】ミステリーのおすすめ小説30選!本格派や海外作品、初心者向けも
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ミステリー小説のおすすめ30作品を、名作・新作・海外・青春・イヤミス・バカミスの6ジャンルに分けて紹介します。最初の1冊に迷ったら、日本の新本格ミステリーの出発点とされる『十角館の殺人』(綾辻行人/1987年)か、その原点と呼ばれる『占星術殺人事件』(島田荘司/1981年)が基準になります。読みたい雰囲気が決まっている人は、下の一覧から該当するジャンルへ進んでください。

ジャンル収録数向いている人
名作8作まず外れのない1冊から入りたい人
新作4作話題作を追いかけたい人
海外5作古典本格から現代作までを読みたい人
青春6作学園を舞台にした読みやすい作品がよい人
イヤミス4作後味の悪さや心理描写を味わいたい人
バカミス3作ばかばかしさと驚きを同時に楽しみたい人

紹介する30作品の一覧は次のとおりです。

ジャンル作品著者刊行年
名作『十角館の殺人』綾辻行人1987年
名作『占星術殺人事件』島田荘司1981年
名作『オリエント急行の殺人』アガサ・クリスティ1934年
名作『すべてがFになる』森博嗣1996年
名作『カササギ殺人事件』アンソニー・ホロヴィッツ2016年(邦訳2018年)
名作『ハサミ男』殊能将之1999年
名作『方舟』夕木春央2022年
名作『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午2003年
新作『楽園の楽園』伊坂幸太郎2025年
新作『あなたが誰かを殺した』東野圭吾2023年
新作『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光2023年
新作『硝子の塔の殺人』知念実希人2021年
海外『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティ1939年
海外『ゴーン・ガール』ギリアン・フリン2012年
海外『Xの悲劇』エラリー・クイーン1932年
海外『頬に哀しみを刻め』S・A・コスビー邦訳2023年
海外『自由研究には向かない殺人』ホリー・ジャクソン邦訳2021年
青春『地雷グリコ』青崎有吾2023年
青春『氷菓』米澤穂信2001年
青春『教室が、ひとりになるまで』浅倉秋成2019年
青春『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎2003年
青春『冷たい校舎の時は止まる』辻村深月2004年
青春『Another』綾辻行人2009年
イヤミス『告白』湊かなえ2008年
イヤミス『ユリゴコロ』沼田まほかる2011年
イヤミス『ボトルネック』米澤穂信2006年
イヤミス『汚れた手をそこで拭かない』芦沢央2020年
バカミス『六枚のとんかつ』蘇部健一1997年
バカミス『名探偵の掟』東野圭吾1996年
バカミス『○○○○○○○○殺人事件』早坂吝2014年
刊行年は日本語版の初刊年。海外作品は原著刊行年、または邦訳の刊行年を記載しています。

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目次

ミステリー小説の選び方に迷ったら

ミステリー小説の選び方に迷ったら

ミステリー小説の選び方は、大きく2つあります。評価の定まった名著から入るか、読みたい雰囲気に合うジャンルから入るかです。

まずは「名著」とされる作品を読もう

長い歴史を持つミステリー小説。名著と呼ばれる作品だけでも数多く存在します。ミステリーの名著は、どの作品もあっと驚く仕掛けや鳥肌が立つような展開が楽しめることが特徴です。ぜひご一読ください。

初心者はジャンルで選ぶのもおすすめ

初心者の方は、王道の推理小説や読みやすい青春ミステリー、後味の悪さが尾を引くイヤミスなど、自分の気になるジャンルから選んでみましょう。それぞれに違った魅力があるので、興味のある本から気軽に手に取ってみてください。殺人の起きない穏やかなミステリーから入りたい人には「日常の謎をテーマにした小説10選」もおすすめです。

【おすすめ名作ミステリー】絶対読むべき至高の傑作

【おすすめ名作ミステリー】絶対読むべき至高の傑作

代表的なミステリー小説を紹介します。

「十角館の殺人」綾辻行人

1987年に刊行された作品です。日本のミステリー界に大きな影響を与えたと言われています。長年「実写化は不可」とされていましたが、2024年にドラマ化されて話題となりました。

絶海の孤島にある「十角館」に集まった7人の大学生。合宿が始まって3日目の朝、閉鎖された環境のなかで悲惨な殺人事件が発生します。次に殺されるのは誰なのか?犯人の目的とは?誰も予測できない至高の叙述トリックに多くの読者が虜になりました。日本中に衝撃を与えた、新本格ミステリーの金字塔です。

「占星術殺人事件」島田荘司

1981年に発表された、島田荘司のデビュー作です。2014年1月にイギリスの日刊紙ガーディアンが掲載した「世界の密室ミステリーベスト10」で第2位に選ばれました。選者はミステリー作家のエイドリアン・マッキンティで、第1位はジョン・ディクスン・カーの『三つの棺』です。

1936年、とある画家の奇怪な遺言が発見されます。それは、6人の若い女性の体がバラバラにされ、星座に従い「理想の女性」を作るという異常な怪事件・占星術殺人の幕開けでした。事件前に死亡している容疑者、全国で発見される遺体。迷宮入りの事件に、天才探偵・御手洗潔が挑みます。島田荘司の代表作にして、新本格ミステリーの原点とも言える作品です。

「オリエント急行の殺人」アガサ・クリスティ

1934年に発表された、アガサ・クリスティの代表作品です。発刊から現在まで世界中で高く評価されています。

イスタンブール発の寝台列車・オリエント急行で、乗客のアメリカ人実業家が刺殺される事件が発生。名探偵ポアロが捜査に乗り出しますが、すべての乗客に完璧なアリバイがありました。吹雪で閉ざされた列車は脱出不可。逃げ場のない密室状態の中、ポアロはやがて驚愕の真実に辿り着きます。クローズドサークルの傑作とされる作品です。

「すべてがFになる」森博嗣

1996年に発表された作品です。第1回メフィスト賞を受賞しています。

孤島の研究所に隔離された天才プログラマー・真賀田四季。人類のうちでもっとも神に近いとされている彼女の部屋から、ウェディング姿で手足が切断された遺体が発見されました。この不可思議な密室殺人に、N大助教授・犀川創平と女子学生の西之園萌絵が挑みます。理系的視点と緻密な論理が光る、現代本格ミステリの代表作品です。

「カササギ殺人事件」アンソニー・ホロヴィッツ

2016年にイギリスで刊行された、アンソニー・ホロヴィッツの代表作です。日本語版は2018年に創元推理文庫から出ています。

1955年7月、イギリスのとある田舎町では家政婦の葬儀がおこなわれていました。屋敷の階段下で発見された彼女の死は、単なる事故だったのか?その疑念は、やがて村の人々へ波紋を広げていき─…。古き良き王道ミステリーを楽しめる本作ですが、物語の特異な構成により、巧妙な現代ミステリーも味わえます。多くのミステリーファンから支持されている作品です。

「ハサミ男」殊能将之

1999年に発表された長編推理小説です。2005年に映画化されています。

主人公は、連続猟奇殺人犯の「ハサミ男」。計画していた3人目を殺害するはずが、標的の少女がすでに自分の手口を真似て何者かに殺されているのを発見してしまいます。いったい誰が犯人なのか、なぜ自分と同じ手口で殺人を犯したのか?巧妙な構成と叙述トリックが楽しめる作品です。

「方舟」夕木春央

2022年に刊行された作品です。物語の根底を覆す驚愕の結末に、大きな話題となりました。

地震により、地下建築に閉じ込められてしまった10人。脱出するには「誰か1人を犠牲にする必要がある」と判明した矢先、殺人事件が発生します。信じていた相手が敵かもしれない状況の中、犯人探しと脱出のための生贄を決める争いが繰り広げられることに…。極限状況での心理描写と緊迫感を味わえる、衝撃の作品です。

「葉桜の季節に君を想うということ」歌野晶午

2003年に発売された長編小説です。第57回日本推理作家協会賞や第4回本格ミステリ大賞など、多数の賞を受賞しています。

元私立探偵の主人公・将虎は、同じフィットネスクラブに通う女性から奇妙な相談を受けます。しかし、その事件の裏には複雑な陰謀が隠されていたのでした。いくつもの謎が絡み合った先で明かされる真実とは?「最後の1ページまで目が離せない恋愛活劇ミステリー」と謳われた作品です。同じ作者の他の作品は「歌野晶午作品おすすめ10選」でも紹介しています。

【人気の新作ミステリー】巧妙に仕組まれたトリックに脱帽

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近年発行された、話題のミステリー作品を紹介します。

「楽園の楽園」伊坂幸太郎

2025年1月22日に中央公論新社から刊行された、伊坂幸太郎のデビュー25周年記念の書き下ろし作品です。

大規模停電やウイルスの蔓延、航空機事故など連続する災害に見舞われた世界。原因は人工知能「天軸」の暴走とされ、それを止めたとされる開発者「先生」も姿を消してしまいます。選ばれた五十九彦、三瑚嬢、蝶八隗の3人は、先生が遺した水彩画・楽園を手がかりに、天軸と先生の行方を追う旅に出ることに。やがて彼らを待ち受けるのは、誰も予想しえない結末でした。SF要素を含んだ、壮大な作品です。

「あなたが誰かを殺した」東野圭吾

2023年に刊行された作品です。

2023年に刊行された、加賀恭一郎シリーズの長編です。

閑静な別荘地で行われた恒例のバーベキューパーティ。しかし参加者15人のうち5人が殺害され、1人が重傷を負う凄惨な事件が発生してしまいます。犯人は自首するも、動機や経緯は謎のままでした。真相を知りたい遺族たちは「検証会」を開催し、そこに長期休暇中の刑事・加賀恭一郎も参加することに。加賀はやがて、この事件が無差別ではなく、計画された犯行である可能性に迫っていきます。ミステリー初心者にもおすすめの作品です。

「世界でいちばん透きとおった物語」杉井光

2023年に新潮文庫nexから刊行された作品です。続編『世界でいちばん透きとおった物語2』が2025年1月29日に出ています。

大御所ミステリ作家の不貞の子である主人公の僕は、とあるきっかけで父の遺稿を探すことに。消えてしまった謎の小説、「世界でいちばん透きとおった物語」とは?徐々に明かされていく驚きの真実とは?予測不能の結末が待つ、衝撃の物語です。

「硝子の塔の殺人」知念実希人

2021年に刊行された作品です。2022年の本屋大賞にノミネートされ、話題となりました。

地上11階、地下1階からなる謎の建築物・硝子館。ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれます。しかし、美しく巨大なこの館を舞台に、次々と惨劇が起こってしまい…。数々の伏線と「読者への挑戦状」が仕掛けられた、読み応えのある作品です。

【海外ミステリー】古典の名作から現代モノも

【海外ミステリー】古典の名作から現代モノも

人気の海外作品を紹介します。

「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティ

1939年にイギリスで刊行された、アガサ・クリスティの代表作です。

謎の招待状により孤島に招かれた10人の男女。職業も年齢もさまざまな彼らは、全員「とある秘密」を抱えていました。やがて童謡の歌詞になぞらえて、1人、また1人と何者かに殺されていき…。クローズドサークルや見立て殺人といった、ミステリーの定番とされる設定を巧みに用いた傑作小説です。ぜひご一読ください。

「ゴーン・ガール」ギリアン・フリン

2012年に刊行された作品です。2014年に映画化されました。

完璧な夫婦のはずだったニックとエイミー。5回目の結婚記念日を迎えたある日、エイミーが突然失踪し、ニックは殺人の容疑をかけられます。無実を晴らすためエイミーを探すニックでしたが、徐々に妻の知られざる一面を知っていくことに…。夫婦双方の視点が重なるとき、やがて浮かび上がる衝撃の真実とは?大胆な仕掛けが施された作品です。

「Xの悲劇」エラリー・クイーン

1932年にアメリカで発表された、エラリー・クイーンの長編推理小説です。

ニューヨークで起きた路面電車での毒殺事件を皮切りに、奇怪な連続殺人が発生。多数の容疑者がいる中、名探偵ドルリー・レーンが巧妙に仕組まれた犯行に挑みます。ダイイングメッセージの「X」が示す意味とは一体?本格ミステリの巨匠、エラリー・クイーンの代表作です。

「頬に哀しみを刻め」S・A・コスビー 

2023年2月にハーパーBOOKSから邦訳(加賀山卓朗訳)が出た作品です。『このミステリーがすごい!2024年版』の海外編で第1位を獲得しました。

過去に殺人を犯して服役していた、黒人のアイク。庭師として地道に働いていたある日、同性婚をしていた息子がその夫と共に殺害されたことを知ります。やがてアイクは、同じく被害者である息子の結婚相手の父・バディと手を組み、犯人を突き止めることに。息子を拒絶してきた2人の父親が、血と暴力の渦に呑まれながら、真相と自身の贖罪に向き合います。ジェンダーや人種差別問題にも触れている作品です。

「自由研究には向かない殺人」ホリー・ジャクソン

イギリスで大ベストセラーとなった謎解き青春ミステリーです。日本語版は2021年に創元推理文庫から出ており(服部京子訳)、2022年の本屋大賞 翻訳小説部門で第2位を獲得するなど、多数のランキングで上位になりました。

5年前に起こった少女失踪事件。彼女の交際相手の少年が遺体で発見されたことから、警察は少年が彼女を殺害して自殺したと発表しました。主人公の高校生・ピップは、殺人の容疑をかけられた亡き友人のため、独自に捜査を行うことに。やがて自由研究を口実にしたピップの調査で、次々に新事実が判明していき…。BBC制作のドラマでも話題になった作品です。

【青春ミステリー】学生から大人まで楽しめる

【青春ミステリー】学生から大人まで楽しめる

学校を舞台にした作品や、学生同士の謎解きが楽しめる「青春ミステリー」は、幅広い年代におすすめのジャンルです。この項では、青春ドラマを味わえる作品を紹介します。

「地雷グリコ」青崎有吾

2023年11月にKADOKAWAから刊行された作品です。「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリが読みたい!」「本格ミステリ・ベスト10」の4大ミステリランキングすべてで第1位を獲得。2024年には第37回山本周五郎賞・日本推理作家協会賞・第24回本格ミステリ大賞も受賞しています。

主人公の射守矢真兎は、勝負事にめっぽう強い女子高生。驚異的な頭脳を持った策略家である彼女が、風変わりな数々のゲームで強敵たちを打ち破ります。究極の頭脳戦の先にあるものとは?「ミステリ界の旗手が仕掛ける、本格頭脳バトル小説」と謳われた作品です。

「氷菓」米澤穂信

2001年に刊行された作品です。2012年にテレビアニメ化、2017年に実写映画化されています。

「何事にも積極的に関わらない」をモットーとする省エネ高校生の奉太郎が、好奇心旺盛な少女・えるによって事件の推理に巻き込まれる様子を描いた本作。青春の瑞々しさとほろ苦さを味わえる、学園ミステリーの傑作です。読書に慣れていない方や、ミステリー初心者にもおすすめの作品です。

「教室が、ひとりになるまで」浅倉秋成

2019年に刊行された作品です。本格ミステリ大賞と日本推理作家協会賞にダブルノミネートされ、話題となりました。

「全員が仲のいい最高のクラス」で突如起こった連続自殺。主人公の友弘は、幼馴染みの美月から“他人を自殺させる”という不可解な能力の存在を告げられます。証明不可能な罪を前に、一体どう立ち向かえばいいのか?不可解な能力の正体とは?高校生が抱える葛藤も丁寧に描かれている本作。新世代の傑作青春ミステリです。

「アヒルと鴨のコインロッカー」伊坂幸太郎

2003年に刊行された作品です。2007年に映画化されています。

大学生活を始めた椎名は、隣人の河崎に突然「一緒に本屋を襲おう」と誘われます。そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、気が付けばモデルガンを手に書店の裏口に立つ椎名。冗談のような出来事が、やがて過去の悲しい事件と結びついていき…。ユーモアと哀しみが絶妙に交差する、伊坂ワールド全開の一冊です。

「冷たい校舎の時は止まる」辻村深月

2004年に発行された作品です。第31回メフィスト賞を受賞しています。

ある冬の日、突然校舎に閉じ込められてしまった高校生の男女。自分たち以外の姿が見当たらない中、どうしても思い出せない「誰か」の存在に気がつきます。この8人のうち、1人が死んでいるのでは?彼らが忘れてしまった悲しい事件の記憶とは─…。高校生の心情をリアルに描いた、青春ミステリの傑作作品です。

「Another」綾辻行人

2009年に刊行された、『十角館の殺人』の著者・綾辻行人による学園ミステリーです。ホラーとサスペンスの要素も含まれています。漫画やテレビアニメ、映画など、さまざまな媒体でメディアミックスされました。

物語の舞台は1998年。転校生の恒一は、夜見山北中学3年3組で見崎鳴という謎の少女と出会います。しかしクラスでは彼女の存在が誰からも無視されており、異様な空気が漂っていました。やがて始まる連続する死。原因は、3年3組が秘めている「厄災」でした─…。運命に翻弄される少年少女から目が離せない作品です。

【イヤミス】深い心理描写と後味の悪さが特徴

【イヤミス】深い心理描写と後味の悪さが特徴

読んだ後にイヤな気持ちになる「イヤミス」。救いのない展開や不快感に、不思議と魅了されてしまう人気ジャンルです。

「告白」湊かなえ

2008年に刊行された、湊かなえのデビュー作です。2009年の本屋大賞で第1位を獲得し、2010年に実写映画化されました。

中学校の女性教師・森口は、愛娘を事故で失ったことをきっかけに退職を決意。3学期の終業式で、生徒たちに衝撃の事実を語ります。それは、娘の死は事故ではなく、クラスの生徒による殺人だったという“告白”でした―…。イヤミスの女王、湊かなえの原点となった作品です。

「ユリゴコロ」沼田まほかる

2011年に双葉社から刊行された作品です。2012年に第14回大藪春彦賞を受賞し、2017年に映画化されました。

婚約者の失踪、父の末期がん発覚、母の事故死と、立て続けに不幸に襲われた亮介。人生に絶望していた彼は、実家で「ユリゴコロ」と書かれた4冊のノートを発見します。そこには、人の死を「心の拠り所」にする女性の生々しい告白が書き記されていました。家族の愛と葛藤が交差する衝撃作です。ほかの作品は「沼田まほかるのおすすめ作品6選」にまとめています。

「ボトルネック」米澤穂信

2006年に刊行された作品です。

2006年に新潮社から刊行された作品です。

主人公のリョウは、恋人が転落死した東尋坊を訪れますが、自身も崖から転落してしまいます。やがて目覚めた場所は、自分が生まれていない別の平行世界でした。そこで出会う家族は別人のようで、周囲の人々も現実とは異なることに気付きます。違和感と向き合ううちに、リョウは自分自身の存在意義に直面していくことに…。青春イヤミスの傑作です。

「汚れた手をそこで拭かない」芦沢央

2020年に刊行された短編集です。直木賞の候補作に選ばれました。

日常に溢れる「綻び」を巧みに描いた5篇の短編が収録された本作。失敗を隠蔽しようとたり、嘘に嘘を重ねてしまったり、誰もが経験し得る事象をじわじわと綴っています。人間の持つ後ろめたさをこれでもかと突きつけられる作品です。イヤミス初心者にもおすすめ。

【バカミス】笑いと衝撃の「ありえない」展開

【バカミス】笑いと衝撃の「ありえない」展開

バカミスとは、「おバカなミステリー」や「ばかばかしいミステリー」の略称です。個性的で娯楽性が高いバカミスは、思わず「そんなバカな!」と言いたくなる展開が楽しめます。成り立ちや他の作品は「バカミスとは?おすすめの小説10選」で詳しく扱っています。

「六枚のとんかつ」蘇部健一

1997年に刊行された、蘇部健一のデビュー作です。第3回メフィスト賞を受賞し、「ギャグと謎解きの革命的コラボレーション」と謳われました。

保険会社の調査員である主人公がさまざまな事件を推理するショートショートが収録された作品です。名作ミステリーのオマージュもちりばめられています。一般的な短編よりもさらに短いので、サクッと読みたい方や読書に慣れていない方にもおすすめ。

「名探偵の掟」東野圭吾

1996年に刊行され、2009年にテレビドラマ化された作品です。

探偵・天下一大五郎が挑むのは、トリック満載のお決まりミステリー。しかし彼はその「お約束」に真っ向から反論し、犯人当てのルールに鋭いツッコミを入れていきます。密室、アリバイ、見立て殺人…探偵自身が掟に振り回される、パロディと風刺が効いた痛快推理短編集です。

「○○○○○○○○殺人事件」早坂吝

2014年9月に講談社ノベルスから刊行された、早坂吝のデビュー作です。第50回メフィスト賞を受賞しています。

仮面の男・黒沼が所有する孤島で開催された夏休み恒例のオフ会。楽しいはずのイベントが一転、メンバーの2人が突如失踪し、さらに殺人事件が起きてしまいます。いったい誰が犯人なのか?仕掛けられた秘密とは?タイトルに隠された謎が解けた時、笑いと驚愕の事実が待ち受けています。

編集長のひとこと:ミステリーは中古市場でも動きの速いジャンル

田中寛大

オンライン古書店を運営していた時期(2019〜2022年)に扱った本は、出品から売れるまでの中央値が37日でした。出品日が特定できた2,986件では30日以内に45%、90日以内に72%が売れています。読み終えて手元に置かない前提なら、中古で買って中古に戻す循環はミステリーと相性がよいジャンルだと感じています。

逆に言えば、半年動かない本はその後も動きにくい傾向が見受けられました。合わないと感じた作品を義務感で読み続ける必要はありません。6ジャンルのうち1つが合わなかっただけなら、別のジャンルの1冊へ移ったほうが早く当たりを引けます。

ミステリー小説に関するよくある質問(FAQ)

ミステリー小説を選ぶときや読み進めるときによく寄せられる疑問を、6つにまとめました。

「本格」と「新本格」のミステリーの違いは何ですか?

本格ミステリーは、論理的な謎解きやトリックの解明を物語の主軸に置いた伝統的な推理小説を指します。一方、新本格ミステリーは1980年代後半以降の日本で誕生したジャンルで、現実離れした舞台設定や大胆な叙述トリックなど、より自由な発想で読者を驚かせる仕掛けを重視している点に大きな特徴があります。

登場人物が多くて名前が覚えられません。読み方のコツはありますか?

ミステリー小説では冒頭に登場人物一覧が掲載されていることが多いため、しおりをそこに挟んでおき、いつでも確認できるようにしながら読み進めるのが一番のコツです。また、人物同士の相関図を簡単なメモに書き出しながら読むと、関係性が整理されてトリックや伏線をより深く理解しながら楽しむことができます。

ミステリー小説は犯人が分かった後でも楽しんで読めますか?

犯人やトリックを知った上で再読するのも、ミステリー小説の大きな醍醐味の一つです。結末を知っているからこそ、初回では見落としていた犯人のさりげない言動や巧妙な伏線に気づくことができ、作者の仕掛けた緻密な構成に感心するなど、初めて読んだ時とは全く違う新鮮な視点で物語の奥深さを存分に味わえます。

ミステリー小説の初心者は何から読むべきですか?

青春ミステリーか、短めの名作から入るのが無難です。学園を舞台にした『氷菓』(米澤穂信/2001年)は登場人物が少なく事件も穏やかで、読書に慣れていない人でも進めやすい1冊。トリックの驚きを最初に味わいたいなら『十角館の殺人』(綾辻行人/1987年)が定番です。いきなり長編の海外古典から入ると、人名と地名で止まりやすくなります。

イヤミスとバカミスの違いは何ですか?

読後感の方向が正反対です。イヤミスは読み終えたあとに嫌な気持ちが残る作品群で、『告白』(湊かなえ/2008年)や『ユリゴコロ』(沼田まほかる/2011年)が代表例。バカミスは「そんなばかな」と言いたくなる展開を楽しむ作品群で、『六枚のとんかつ』(蘇部健一/1997年)などが挙げられます。どちらも本格ミステリーの技法を土台にしている点は共通です。

文庫で読めるミステリーのおすすめはどれですか?

本記事で紹介した30作品のうち、刊行から数年が経った作品はほぼ文庫化されています。『十角館の殺人』は講談社文庫、『占星術殺人事件』は講談社文庫の改訂版、『氷菓』『ボトルネック』は角川文庫・新潮文庫、海外作品では『そして誰もいなくなった』がハヤカワ文庫で読めます。刊行が近い新作は単行本のみの場合があるため、上の一覧の刊行年を目安にしてください。

30作品は6ジャンルから1冊ずつ試すのが近道

ミステリー小説は作品数が多く、合う合わないが読者によって大きく分かれるジャンルです。名作・新作・海外・青春・イヤミス・バカミスの6ジャンルから気になったものを1冊ずつ試すと、自分が何に驚きたいのかがはっきりしてきます。まずは上の一覧で刊行年と著者を見比べて、1冊目を決めてみてください。

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