凪良ゆう(なぎら ゆう)は、本屋大賞を2度受賞した数少ない作家です。2020年に『流浪の月』、2023年に『汝、星のごとく』で受賞しています。
最初の1冊に選ぶなら『流浪の月』です。この記事では代表作5作をあらすじつきで紹介し、続編がある作品の読む順番、2026年5月刊行の最新刊、2026年10月公開予定の映画化情報までまとめます。
凪良ゆうの本屋大賞・受賞とノミネート歴
凪良ゆうは本屋大賞を2度受賞し、ほかに2作がノミネートされています。
| 回(年) | 作品 | 結果 |
|---|---|---|
| 第17回(2020年) | 流浪の月 | 大賞受賞 |
| 第18回(2021年) | 滅びの前のシャングリラ | ノミネート |
| 第20回(2023年) | 汝、星のごとく | 大賞受賞 |
| 第21回(2024年) | 星を編む | ノミネート |
本屋大賞は全国の書店員の投票で決まる賞です。2度の受賞は、一般文芸に転じてから短い期間で達成されています。
凪良ゆうとは|BLから一般文芸へ

凪良ゆうは滋賀県大津市の出身です。2007年11月刊行の『花嫁はマリッジブルー』(白泉社花丸文庫)でデビューし、BL(ボーイズラブ)作品を中心に活動してきました。
BL作品の代表作が『美しい彼』(2014年12月・キャラ文庫)です。番外編集を含めてシリーズが刊行され、2021年にはMBSでテレビドラマ化、2023年には劇場版も公開されています。
一般文芸に踏み出したのは2017年4月刊行の『神さまのビオトープ』(講談社タイガ)です。その2年後に発表した『流浪の月』が2020年の本屋大賞を受賞し、2022年には李相日監督で映画化されました。
凪良ゆう作品の特徴

凪良ゆうの小説には、次の3つの共通点があります。
- 世間の枠から外れた関係を描く…家族・恋人・友人のどれにも当てはまらない結びつきが主題になる
- 「正しさ」を疑う視点…周囲が善意で下す判断が、当人を追い詰める構造がくり返し出てくる
- 心理描写の密度が高い…出来事より、その人物がどう受け取ったかに紙幅が割かれる
読後感は明るいとは限りません。人間関係に息苦しさを感じている読者に届きやすい一方、後味のよさを求めて読むと期待とずれることがあります。
凪良ゆうのおすすめ小説5選

一般文芸の代表作5作を、刊行順に紹介します。
神さまのビオトープ(一般文芸の第1作/2017年)
2017年4月に講談社タイガから刊行された、凪良ゆうにとって初の一般文芸作品です。
事故で亡くなった夫・鹿野くんの幽霊と暮らすうる波は、その事実を隠して生活していました。大学の後輩である佐々と千花に知られたあと、佐々が不可解な死を遂げます。
機械の親友を持つ少年、幼い子どもに献身する青年など、常識から外れた愛情を描く4編の連作短編集です。1編が短いため、凪良作品の手触りを確かめる目的にも向いています。
流浪の月(本屋大賞2020/最初の1冊におすすめ)
2019年に東京創元社から刊行され、2020年に第17回本屋大賞を受賞しました。2022年5月13日には李相日監督、広瀬すず・松坂桃李の出演で映画が公開されています。
幼い頃に「誘拐事件の被害者」とされた更紗と、「加害者」とされた文。15年後に再会した2人は、周囲が貼ったラベルと、当人たちが知っている事実との落差のなかで関係を結び直していきます。
凪良ゆうの主題である「世間の正しさと当事者の実感のずれ」が最も明確に出た作品です。最初の1冊を選ぶならこの作品をおすすめします。
わたしの美しい庭(2019年)
2019年12月にポプラ社から刊行された作品です。血のつながらない統理と百音が暮らすマンションの屋上には、縁切りの神様を祀る小さな神社があります。「縁切りさん」と呼ばれるこの場所には、断ち切りたい縁を抱えた人が訪れます。
ここで紹介する5作のなかでは、最も穏やかな読後感の作品です。凪良作品の重さが苦手な人や、連作短編で少しずつ読みたい人に向いています。
滅びの前のシャングリラ(本屋大賞ノミネート/2021年)
1か月後に小惑星が衝突し、地球が滅びると告げられた世界を描きます。学校でいじめを受ける友樹、人を殺めたヤクザの信士、恋人から逃げた静香を含む4人の視点による全4章構成です。
生きづらさを抱えていた人物たちが、終わりが決まったあとにどう過ごすかを描いた作品で、2021年の本屋大賞にノミネートされました。設定はSFですが、扱われているのは日常の関係です。
汝、星のごとく(本屋大賞2023/2026年映画化)
2022年8月に講談社から刊行され、2023年に第20回本屋大賞を受賞した、凪良ゆう2度目の受賞作です。
瀬戸内の島に転校してきた高校生・青埜櫂と、島で母と暮らす井上暁海。ともに家庭に恵まれない2人は互いを支えに惹かれ合いますが、それぞれの事情が選択を迫っていきます。
2023年11月には、同じ登場人物を別の視点から描いた続編『星を編む』(講談社)が刊行され、2024年の本屋大賞にノミネートされました。2作を続けて読むことで、片方だけでは見えない事情が補われます。
凪良ゆうを読む順番
凪良ゆうの一般文芸作品は基本的に1冊ずつ独立しています。刊行順に読む必要はありません。ただし『汝、星のごとく』と『星を編む』だけは続きものです。
- 『流浪の月』…作風がはっきり出ており、1冊で完結する
- 『わたしの美しい庭』…連作短編で読みやすい。重さを調整したいときに
- 『汝、星のごとく』→『星を編む』…この2作は必ずこの順で。間を空けずに読むのがおすすめ
- 『滅びの前のシャングリラ』『神さまのビオトープ』…設定に幅があるので、作風に慣れてから
凪良ゆうの新刊と映像化(2026年)
最新刊は『多類婚姻譚』(2026年5月)
2026年5月27日に、講談社から『多類婚姻譚』が刊行されました。セクシュアリティやジェンダー、金銭感覚、世代間の隔たりといった価値観の対立のなかで生きる人々を描く連作短編集です。
また2026年7月15日には『星を編む』の講談社文庫版が刊行されています。
映画『汝、星のごとく』は2026年10月9日公開
本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』の実写映画が、2026年10月9日に公開予定です。監督は藤井道人、青埜櫂を横浜流星、井上暁海を広瀬すずが演じるW主演で、脚本は安達奈緒子が担当します。
広瀬すずは2022年の映画『流浪の月』にも出演しており、凪良ゆう原作の映画に続けて主演することになります。原作を先に読むかどうか迷う場合、『汝、星のごとく』は登場人物の内面を追う構成のため、小説を先に読むほうが人物の判断を追いやすくなります。
監修者の視点:続編がある作品は間を空けずに読む
田中寛大本を読んできた経験からいうと、続編のある小説でいちばん損をするのは、1作目と2作目のあいだを空けすぎることです。人物の名前や関係を忘れた状態で続編に入ると、思い出す作業に気を取られて肝心の場面が流れていきます。
『汝、星のごとく』と『星を編む』は、同じ出来事を別の角度から見せる構成です。1作目を読み終えた記憶が残っているうちに2作目へ進むと、片方だけでは分からなかった事情がつながります。逆に、独立した作品が多い作家なので、それ以外は気になった1冊から読んで問題ありません。
凪良ゆうに関するよくある質問
- 凪良ゆうはどれから読むのがおすすめですか?
-
『流浪の月』です。2020年の本屋大賞受賞作で、1冊で完結し、凪良ゆうの主題である「世間の正しさと当事者の実感のずれ」が最もはっきり出ています。重さを抑えたい場合は連作短編の『わたしの美しい庭』から入る方法もあります。
- 凪良ゆうは本屋大賞を何回受賞していますか?
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2回です。2020年の第17回を『流浪の月』、2023年の第20回を『汝、星のごとく』で受賞しています。ほかに『滅びの前のシャングリラ』(第18回)と『星を編む』(第21回)がノミネートされました。
- 凪良ゆうの作品に読む順番はありますか?
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一般文芸作品は基本的に1冊ずつ独立しているため、順番は問いません。例外は『汝、星のごとく』と続編『星を編む』で、この2作は刊行順に読んでください。
- 凪良ゆうの2026年の新刊は何ですか?
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2026年5月27日に講談社から刊行された連作短編集『多類婚姻譚』です。あわせて2026年7月15日には『星を編む』の講談社文庫版も刊行されています。
- 『汝、星のごとく』は映画化されますか?
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2026年10月9日に公開予定です。監督は藤井道人、横浜流星と広瀬すずのW主演で、脚本は安達奈緒子が担当します。
- 凪良ゆうはBL作家ですか?
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2007年のデビュー以来BL作品を中心に書いてきた作家で、代表作に『美しい彼』があります。2017年の『神さまのビオトープ』以降は一般文芸でも作品を発表し、本屋大賞を2度受賞しました。現在は両方の分野で執筆しています。
まずは『流浪の月』から読んでみる
凪良ゆうは、世間が用意した枠に収まらない関係を書き続けている作家です。本屋大賞を2度受賞し、映像化も相次いでいるため、いま読み始めても話題を追いかけやすい書き手といえます。
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