原田ひ香は、お金や食べ物、家族を題材にした小説を多く書いている作家です。最初の1冊には、累計100万部を超えた『三千円の使いかた』がおすすめ。続編のあるシリーズは『ランチ酒』『古本食堂』『三人屋』『東京ロンダリング』『一橋桐子』の5つで、どれも1作目から刊行順に読みます。
2026年9月時点の最新刊は、9月25日に光文社から出た『あなたのいない世界で』です。この記事では主な作品を一覧にし、シリーズの読む順番、文庫で読めるかどうか、ドラマになった作品までを整理します。
原田ひ香のおすすめ小説一覧【2026年9月時点】
主な18作を、単行本が出た順に並べました。文庫の欄は、2026年9月時点で文庫が出ているかどうかです。シリーズの2作目以降は、次の「読む順番」の章にまとめています。
| 作品 | 刊行年 | 文庫 | 題材 |
| 東京ロンダリング | 2011年 | 集英社文庫 | 事故物件に住む仕事 |
| 三人屋 | 2015年 | 実業之日本社文庫 | 三姉妹が営む店 |
| ランチ酒 | 2017年 | 祥伝社文庫 | 夜勤明けのランチと酒 |
| 三千円の使いかた | 2018年 | 中公文庫 | 3世代の女性とお金 |
| DRY | 2019年 | 光文社文庫 | 困窮と隣人の秘密 |
| まずはこれ食べて | 2019年 | 双葉文庫 | 家政婦のご飯 |
| 口福のレシピ | 2020年 | 小学館文庫 | 料理学校と昭和の女中 |
| 一橋桐子(76)の犯罪日記 | 2020年 | 徳間文庫 | 76歳の老後 |
| 母親からの小包はなぜこんなにダサいのか | 2021年 | 中公文庫 | 実家から届く小包 |
| 古本食堂 | 2022年 | ハルキ文庫 | 神保町の古書店 |
| 財布は踊る | 2022年 | 新潮文庫 | 夫の借金と貯金 |
| 老人ホテル | 2022年 | 光文社文庫 | 老女に学ぶ蓄財 |
| 図書館のお夜食 | 2023年 | なし | 夜だけ開く図書館 |
| 喫茶おじさん | 2023年 | 小学館文庫 | 57歳の純喫茶巡り |
| 定食屋「雑」 | 2024年 | なし | 夫が通う定食屋 |
| 月収 | 2025年 | なし | 6人の女性の月収 |
| #台所のあるところ | 2026年 | なし | 台所をめぐる連作 |
| あなたのいない世界で | 2026年 | なし | 喪失をテーマにした作品集 |
原田ひ香とは|お金や食べ物、家族を描く小説家
原田ひ香は1970年、神奈川県生まれの小説家です。大妻女子大学を卒業し、2005年に第34回NHK創作ラジオドラマ脚本懸賞公募で最優秀作に選ばれました。2007年に「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞を受け、翌2008年1月、同作を収めた単行本(集英社)で小説家としてデビューしています(経歴は日本文学振興会の直木賞候補者紹介による)。
代表作の『三千円の使いかた』(2018年・中央公論新社)は、トーハンの2022年年間ベストセラーで文庫総合1位になり、2026年6月時点で累計100万部を超えています(文藝春秋の発表による)。第4回宮崎本大賞も受けました。2026年には『#台所のあるところ』が第175回直木賞の候補になっています。
原田ひ香の作品に多い3つの題材
作品の多くは、次の3つの題材のどれかに入ります。この記事の作品紹介も、この3つに分けています。
- お金と暮らし:『三千円の使いかた』『財布は踊る』『老人ホテル』『月収』
- 食べ物とお店:『ランチ酒』『古本食堂』『三人屋』『まずはこれ食べて』『口福のレシピ』『図書館のお夜食』『喫茶おじさん』『定食屋「雑」』
- 住まいと家族、老後:『東京ロンダリング』『一橋桐子(76)の犯罪日記』『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』『DRY』
原田ひ香の読む順番|単発の作品はどれからでも、シリーズは1作目から
原田ひ香の小説は、ほとんどが1冊で話が終わります。シリーズの外で登場人物が行き来する設定は、出版社の紹介からは確認できませんでした。単発の作品は刊行順を気にせず、題材で選んでかまいません。続編のある5つのシリーズだけは、1作目から刊行順に読みます。
最初の1冊の選び方
- 迷ったら:『三千円の使いかた』。1冊で完結し、累計100万部を超えた代表作
- 食べ物の出てくる小説が好きなら:『ランチ酒』。続編が3作あり、長く付き合える
- 本や古本屋が好きなら:『古本食堂』。神保町の古書店が舞台
- ドラマを見てから読むなら:『一橋桐子(76)の犯罪日記』か『三千円の使いかた』
- いちばん新しい作品から読むなら:最新刊の『あなたのいない世界で』
ランチ酒シリーズの読む順番(全4作)
- 『ランチ酒』(2017年):バツイチでアラサーの「見守り屋」犬森祥子が、夜勤明けのランチと酒で一息つく
- 『ランチ酒 おかわり日和』(2019年):元夫が再婚してから会えていない娘に、祥子が会いに行く
- 『ランチ酒 今日もまんぷく』(2021年):久しぶりの恋に戸惑いながら、元気のない娘を気にかける
- 『あさ酒』(2024年):婚約破棄と失職が重なった26歳の恵麻が、祥子に誘われて見守り屋の見習いになる
『あさ酒』は主人公が恵麻に替わりますが、祥伝社は「『ランチ酒』シリーズの新章」と紹介しており、祥子も登場します。1〜3作目は祥伝社文庫で読めますが、『あさ酒』は2026年9月時点で単行本だけです。2024年2月からは、高田サンコ作画の漫画版がKADOKAWAから出ています(KADOKAWAのお知らせ)。
古本食堂シリーズの読む順番(全2作)
- 『古本食堂』(2022年):急逝した兄の神保町の古書店を継いだ珊瑚と、親戚の大学院生・美希喜の物語
- 『古本食堂 新装開店』(2024年):さまざまな事情を抱えて店に来る客たちの話。2026年7月15日にハルキ文庫になった
三人屋シリーズの読む順番(全2作)
- 『三人屋』(2015年):朝・昼・夜で三姉妹が業態を替えて営む店と、常連客の話
- 『サンドの女 三人屋』(2021年):実業之日本社が「待望の続編」と紹介する2作目。朝の店をやめたあと、玉子サンドが評判になっていく。単行本は出ず、最初から文庫で刊行された
東京ロンダリングシリーズの読む順番(全2作)
- 『東京ロンダリング』(2011年):事故物件に1か月だけ住んでは次へ移る「ロンダリング」の仕事をする、りさ子の話
- 『失踪.com 東京ロンダリング』(2016年):ルームロンダリングにまつわる8つの物語。文庫では『事故物件、いかがですか? 東京ロンダリング』という題になっている
一橋桐子シリーズの読む順番(全2作)
- 『一橋桐子(76)の犯罪日記』(2020年):孤独な老後に直面した76歳の桐子が「終の住処は刑務所に」と考え始める
- 『一橋桐子(79)の相談日記』(2025年):高齢化の進む団地で管理人になった79歳の桐子の話。2026年9月時点で単行本だけ
なお、『三千円の使いかた』に続編はありません。中央公論新社は2025年の『月収』を「『三千円の使いかた』と一緒に読んでほしい」作品として紹介していますが、続編という扱いではありません。
原田ひ香のおすすめ小説|お金と暮らしを描いた作品
代表作の『三千円の使いかた』をはじめ、お金の貯め方と使い方を題材にした作品です。三千円、毎月2万円、月収4万円と、題名や設定に具体的な金額が出てくるのが共通点です。
『三千円の使いかた』|3世代の女性とお金を描く家族小説(2018年)
御厨家の3世代の女性たちが、人生の節目やピンチを「どう貯めて、どう使うか」で乗り越えていく話です。中央公論新社は「節約家族小説」と紹介しています。2021年に中公文庫になり、2023年には葵わかな主演でドラマになりました。お金の使い方を見直したい人に向いた1冊です。
『財布は踊る』|夫の借金を知った専業主婦の話(2022年)
夢のために毎月2万円ずつ貯めてきた専業主婦が、夫の借金を知るところから始まります。新潮社から出た作品で、2024年12月に新潮文庫になりました。
『老人ホテル』|裕福な老女に蓄財を学ぶ元キャバ嬢の話(2022年)
元キャバ嬢の天使が、ホテルで暮らす裕福な老女・光子から、お金の貯め方を学んでいきます。2025年4月の光文社文庫版には、天使のその後を描いた短編が付いています。単行本には入っていないので、これから読むなら文庫版です。
『月収』|月収4万円から300万円まで6人の女性の話(2025年)
月収4万円の66歳から月収300万円の52歳まで、収入の違う6人の女性とお金の話です。2026年9月時点では中央公論新社の単行本だけで、文庫は出ていません。
原田ひ香のおすすめ小説|食べ物とお店を描いた作品
この記事で紹介する作品でいちばん多いのが、食事や店を中心に据えた小説です。シリーズの『ランチ酒』『古本食堂』『三人屋』もここに入ります。
『ランチ酒』|夜勤明けのランチと酒を描くグルメ小説(2017年)
主人公はバツイチでアラサーの犬森祥子。「見守り屋」として夜に働き、仕事明けのランチと酒で一息つきます。祥伝社は、人間ドラマとグルメを合わせた小説と紹介しています。シリーズは『あさ酒』まで4作です。
『古本食堂』|神保町の古書店を継いだ女性の話(2022年)
急逝した兄が東京・神保町に残した古書店を、珊瑚が継ぐところから始まります。珊瑚と、親戚の大学院生・美希喜の2人の物語です。2023年にハルキ文庫になり、続編の『古本食堂 新装開店』も2026年7月に文庫で出ました。
『三人屋』|朝・昼・夜で業態を替える三姉妹の店(2015年)
三姉妹が、朝・昼・夜で業態を替えながら一つの店を営みます。その店と、店に通う常連客の話です。続編の『サンドの女 三人屋』は、単行本を経ずに文庫で出ました。
『まずはこれ食べて』|無愛想な家政婦のご飯をめぐる連作短編集(2019年)
殺伐としたベンチャー企業に、無愛想な家政婦が雇われます。彼女のつくる、ほっとするご飯が出てくる連作短編集です。2023年に双葉文庫になりました。
『口福のレシピ』|料理学校の娘と昭和の女中をつなぐ家族小説(2020年)
老舗料理学校の娘・留希子と、昭和2年に女中として働いていたしずえ。時代の違う2人を、一皿の隠し味がつなぎます。2023年に小学館文庫になりました。
『図書館のお夜食』|夜だけ開く図書館で働く女性の話(2023年)
書店の仕事を辞めかけていた乙葉が、夜だけ開く「夜の図書館」で働き始めます。ポプラ社から出た作品で、2026年9月時点では単行本だけです。
『喫茶おじさん』|純喫茶巡りを趣味にする57歳の話(2023年)
早期退職して仕事のない57歳の男性が、純喫茶を巡ることを趣味にします。2026年2月に小学館文庫になりました。
『定食屋「雑」』|夫が通う定食屋で働き始める妻の話(2024年)
夫に離婚を切り出された沙也加が、夫の通っていた定食屋でアルバイトを始めます。双葉社から出た作品で、2026年9月時点では単行本だけです。
原田ひ香のおすすめ小説|住まいと家族、老後を描いた作品
住む場所や家族、年を重ねてからの暮らしを描いた作品です。デビュー3年後の『東京ロンダリング』も、この題材に入ります。
『東京ロンダリング』|事故物件に1か月だけ住む女性の話(2011年)
りさ子の仕事は、事故物件に1か月だけ住んでは次の部屋へ移る「ロンダリング」です。続編の『失踪.com 東京ロンダリング』は、文庫で『事故物件、いかがですか? 東京ロンダリング』に題が変わりました。
『一橋桐子(76)の犯罪日記』|刑務所を終の住処に考える76歳の話(2020年)
孤独な老後に直面した76歳の一橋桐子が、「終の住処は刑務所に」と考え始めます。徳間書店は終活小説と紹介しています。2022年にNHKの土曜ドラマになり、松坂慶子が主演しました。続編は『一橋桐子(79)の相談日記』(2025年)です。
『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』|実家から届く小包をめぐる連作(2021年)
実家の母親から届く小包をめぐる連作です。2024年8月に中公文庫になりました。
『DRY』|実家に戻った女性と隣人の秘密を描くクライムノベル(2019年)
生活に困って実家に戻った藍が、隣に住む美代子と親しくなるうちに、ある秘密を知ります。光文社は「クライムノベル」に分類しており、お金や食べ物の小説とは違う原田ひ香を読みたい人に向いています。2022年に光文社文庫になりました。
原田ひ香の最新刊・新刊【2026年9月時点】
2026年9月時点の最新刊は、9月25日に出た『あなたのいない世界で』です。その前の5月に出た『#台所のあるところ』は、第175回直木賞の候補になりました。
『あなたのいない世界で』|喪失をテーマにした中短篇集(2026年)
2026年9月25日に光文社から出た中短篇集です。「喪失」をテーマにした作品を集め、未発表の2作も入っています。光文社はデビュー19年の作品集と紹介しており、460ページあります(光文社の作品ページ)。
『#台所のあるところ』|台所をめぐる6編の連作短編集(2026年)
2026年5月13日に文藝春秋から出た、台所をめぐる6編の連作短編集です。深夜に放送される30分のドラマ「台所のあるところ」が、各編の女性たちをつなぎます。第175回直木賞の候補になり、7月15日の選考会で受賞は朝倉かすみ『けんぐゎい』に決まりました。
最近文庫になった作品
文庫で読みたい人向けに、2025年以降に文庫になった作品を新しい順に挙げます。
- 『古本食堂 新装開店』:2026年7月15日・ハルキ文庫
- 『喫茶おじさん』:2026年2月6日・小学館文庫
- 『老人ホテル』:2025年4月10日・光文社文庫(文庫だけの短編を収録)
原田ひ香作品のドラマ化|原作と放送時期
2026年9月時点で連続ドラマになった原田ひ香の作品は、次の2作です。
| ドラマ | 放送 | 主演 | 原作 |
| 土曜ドラマ『一橋桐子の犯罪日記』 | 2022年10月8日〜11月5日(NHK総合・全5回) | 松坂慶子 | 『一橋桐子(76)の犯罪日記』 |
| 土ドラ『三千円の使いかた』 | 2023年1月7日から(東海テレビ・フジテレビ系) | 葵わかな | 『三千円の使いかた』 |
放送内容はNHKの番組ページと東海テレビの番組サイトで確認しました。『ランチ酒』はドラマではなく漫画になっています。
編集長のひとこと:原田ひ香は題材で選んでいい。本好きなら『古本食堂』から
田中寛大私は2019年から2022年にかけて、Amazonマーケットプレイスでオンライン古書店「NAUT BOOKS」を運営し、開業から約2年半で8,000冊超の中古本を販売しました。出品日の分かる2,986冊で見ると、出品から売れるまでの日数の中央値は37日。30日以内に45%、1年以内に97%が売れています。古書店運営の経験から言うと、古本は思っているより早く次の読み手に渡っていきます。
『古本食堂』は、古書店を舞台にした小説です。角川春樹事務所の紹介では、急逝した兄の神保町の古書店を継いだ珊瑚と、親戚の大学院生・美希喜の物語。本や古本屋が好きな人には、原田ひ香の入口としてこのシリーズをすすめています。
そのうえで、原田ひ香の小説はシリーズ以外なら刊行順に読む必要はありません。お金、食べ物、住まい、老後と題材がはっきりしているので、いま自分が気になっている題材の1冊から入るほうが、次の作品にも手が伸びやすいと考えています。
原田ひ香についてよくある質問
- 原田ひ香の小説で、最初に読むならどれですか?
-
『三千円の使いかた』です。1冊で話が終わり、2026年6月時点で累計100万部を超えた代表作です。シリーズものから入るなら『ランチ酒』、本が好きなら『古本食堂』から読むのもおすすめです。
- 原田ひ香の最新刊は何ですか?
-
2026年9月時点では、9月25日に光文社から出た『あなたのいない世界で』です。「喪失」をテーマにした中短篇集で、未発表の2作を含みます。その前の新刊は、5月に文藝春秋から出た『#台所のあるところ』(第175回直木賞候補)です。
- 原田ひ香の作品で、文庫になっていないのはどれですか?
-
2026年9月時点で、この記事で紹介した作品のうち単行本だけなのは『あさ酒』『一橋桐子(79)の相談日記』『図書館のお夜食』『定食屋「雑」』『月収』『#台所のあるところ』『あなたのいない世界で』です。『三千円の使いかた』『ランチ酒』『古本食堂』など、ほかの主な作品は文庫で読めます。
- 原田ひ香の作品でドラマ化されたのはどれですか?
-
『一橋桐子(76)の犯罪日記』(2022年・NHK土曜ドラマ、主演は松坂慶子)と、『三千円の使いかた』(2023年・東海テレビ・フジテレビ系の土ドラ、主演は葵わかな)の2作です。『ランチ酒』は漫画になっています。
- 原田ひ香と原田マハは関係がありますか?
-
名前が似ていますが、別の作家です。原田ひ香はお金や食べ物、家族を題材にした小説が多く、原田マハはアートを題材にした小説で知られています。原田マハの作品は原田マハのおすすめ小説15選で紹介しています。
- 『三千円の使いかた』に続編はありますか?
-
ありません。中央公論新社は2025年の『月収』を「『三千円の使いかた』と一緒に読んでほしい」作品として紹介していますが、続編ではありません。『月収』は、月収4万円から300万円まで、6人の女性とお金の話です。
まとめ|原田ひ香は『三千円の使いかた』から、シリーズは1作目から刊行順に
- 最初の1冊:『三千円の使いかた』(累計100万部超・2026年6月時点)
- シリーズ:『ランチ酒』(全4作)、『古本食堂』『三人屋』『東京ロンダリング』『一橋桐子』(各2作)は1作目から刊行順に
- 単発の作品:刊行順は気にせず、お金・食べ物・住まいと老後の題材から選ぶ
- 最新刊:『あなたのいない世界で』(2026年9月25日・光文社)
食べ物が出てくる小説をほかにも探すなら食べ物小説のおすすめ10選、日々の暮らしを描く作家なら寺地はるなの読む順番とおすすめ小説も参考にしてください。次に読む本を自分の好みに合わせて選んでほしい場合は、読書タイプチェックをもとに本を選ぶ選書サービス「雨音選書」もあります。










