芥川龍之介「河童」のあらすじを簡単に紹介!登場人物・解説・考察も

2022年9月2日

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室内で本を読む女性

翠月あくび

25歳兼業ライター 金沢大学の文学部で近代文学を専攻していました。在学中の読書量は、年間約250作品を超えています。好きなジャンルは純文学とイヤミスで、作中から自分独自の解釈を生み出すことが私の読書の楽しみです。

みなさんは仕事や学校に疲れて、現実逃避したいと思った経験はありませんか。

そのようなときは旅行にいって、違う世界に飛び込んでみるのがいちばんですよね。

しかし、旅行から帰ってきてみると憂鬱な現実がますます際立って感じられるものです。

『河童』に登場する第23号も、きっとそのような経験をしたのかもしれません。

河童あらすじの前にチェック1. 作品概要

『河童』は、芥川龍之介が1927年に『改造』で発表した中編小説です。

1927年は芥川龍之介が自殺した年でもあり、このことから芥川の命日である7月24日は「河童忌」と呼ばれています。

『河童』は17個の短い章から構成されていて、「どうか Kappa と発音して下さい。」という副題がつけられていることも特徴の1つです。

河童あらすじの前にチェック2. 登場人物

家のソファで読書するおしゃれな日本人女性

『河童』は、“精神病院患者の第23号が話す河童の話を病院関係者の「僕」が書きとめたもの“という設定になっています。

主な登場人物は漁師のバッグ、医者のチャック、学生のラップ、詩人のトック、資本家のゲエル、哲学者のマッグの6匹の河童です。

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河童のあらすじ

河原で本を読む女性

ある精神病院に入院している患者第23号は、誰にでも河童の話をします。

これは、僕が彼の話を正確に書きとめたものです

3年前の夏、わたしが梓川の谷で昼食をとっていると、背後に突然河童が現れました。

わたしは河童を追いかけまわしている途中で大きな穴に落ちてしまい、そのまま気を失ってしまったのです。

目を開けると、わたしは仰向けに倒れたまま大勢の河童に囲まれていました。

どうやら河童の世界に迷い込んでしまったようです。

わたしはチャックという医者の河童の家に運び込まれ、1週間ほど過ごしました。

その間にバッグという漁師の河童とも親しくなり、彼に河童の言葉を教わったのです。

しばらくして、わたしは「特別保護住民」として河童の国に住むことになりました。

わたしはチャックやバッグのほかに、ラップという学生の河童に世話になりました。

ラップの紹介で詩人のトックとも親しくなり、たびたびトックの家へ遊びにいく仲になったのです。

わたしはガラス会社の社長であるゲエルにも好感を持っています。

ゲエルの話は哲学者のマッグのように深みこそなかったのですが、あたらしい世界を見せてくれました。

ある日トックの家から鋭いピストルの音が響きました。

トックの家に駆けつけると、トックは右手にピストルを握り、頭から血を流して倒れています。

マッグはトックの死骸を見つめたままぼんやりと立ちつくし、こういいました。

「我々河童はなんと言っても、河童の生活をまっとうするためには、とにかく我々河童以外の何ものかの力を信ずることですね。」

この事件以来、トックの家に幽霊が出るという噂が流れはじめました。

とうとうわたしはこの国にいるのが憂鬱になり、帰り道を探すことにしたのです。

そして、バッグが紹介してくれた河童のところから、人間の世界へ戻ってこられました。

この世界に戻ってきてから、わたしは精神病院に入院させられています。

入院中に、河童たちが何度も見舞いに来てくれました。

久しぶりに河童の言葉を使えることがとても嬉しく感じます。

わたしはS博士に精神病院患者と診断されました。

しかし、わたしからいわせれば精神病院患者なのは、S博士をはじめあなた方自身のほうなのです

河童の解説・考察

木目調のテーブルに置かれた白い本

「どうかKappaと発音してください。」という副題がついてる『河童』は、読者を不思議な河童の世界に誘ってくれます。

しかし、芥川龍之介は単純に読者をメルヘンな世界に連れていく意図で『河童』を書いたのではありません。

『河童』には人間社会と似たような職業や思想が存在しています。

また「河童 序」において、作者が「河童も正体を見極めれば、蛇や猪と同じように、やはり動物の一種である。」といっているように、河童というものに特別な意味を持たせているわけではないようです。

作者は河童の国を描きながら、大きな1つのコミュニティで生きる動物の有様を描いていると考えられます。

そして、それは人間の社会にも例外なく当てはまるのです。

新しい友人との出会い、心も体もおかしくなるような男女の関係、分かり合えない芸術、そして死を選ばざるを得ない憂鬱な世界。

第23号は人間の世界に戻ってからも河童たちの存在を信じ続けています。

しかし、河童が持ってきたという花束もトックが出版したという全集も、病室にはありません。

S博士から見た第23号は明らかに異常です。

しかし、第23号から見たS博士もまた、異常だったに違いありません。

1つのコミュニティの中でさえわかり合えない動物たちが、別のコミュニティのことを理解するのは限りなく不可能に近いのです。

河童のあらすじ:まとめ

『河童』は、河童の世界を通して我々人間の世界を映しだしている作品です。

『河童』が織りなす独特の世界観が気になる人は、チェックしてみてください。

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