日刊メルマガを始めました。毎日21時に、本の記事を1本お届け登録する

エッセイのおすすめ7選|小説との違いと読みたい気分からの選び方

先生の周りに集まる小学
  • URLをコピーしました!

エッセイとは、書き手が自分の体験や考えを、形式にとらわれず書いた散文のことです。小説との違いは、語り手が書き手自身であり、内容の土台が実体験にある点にあります。1編が数ページで完結するものが多く、途中で中断しても読み直しの負担が小さいため、読書の習慣が途切れている人が再開する形式としても選ばれます。

この記事では、エッセイの定義と小説・コラムとの違いを整理したうえで、読みたい気分から選べるおすすめのエッセイ7冊を紹介します。

次に読む一冊、迷っていませんか?

「雨音選書」は、2〜3分の読書タイプチェックをもとに、あなたに合う本をプロが選ぶパーソナル選書サービス。自分では出会えなかった一冊を、最短3日でご提案します。

まずは無料の読書タイプチェックだけでもOK

目次

エッセイとは|実体験をもとに自由な形式で書かれた散文

本を開いて読む様子

エッセイは、日常・趣味・旅先の出来事など身近な題材を、書き手が自分の言葉で自由に書いた文章です。語源は、16世紀フランスのミシェル・ド・モンテーニュが1580年に刊行した『エセー(Essais)』にさかのぼります。フランス語の essai は「試み」を意味し、結論を出すことより考えを試すことに重心があるジャンルとして始まりました。

日本語では「随筆」がほぼ同じ意味で使われます。『枕草子』『方丈記』『徒然草』は日本三大随筆と呼ばれ、いずれも書き手の見聞と考えを綴った文章です。現在は「随筆」が古典寄り、「エッセイ」が現代の刊行物に使われる、という程度の使い分けにとどまります。

エッセイ・随筆・コラム・小説の違い

似た言葉との違いを整理すると以下のようになります。

形式語り手内容の土台分量の目安
エッセイ書き手自身実体験・実感1編あたり数ページ
随筆書き手自身実体験・実感1編あたり数ページ
コラム書き手自身時事・論評が中心数百〜1,500字程度
小説作者と別人でよいフィクション制限なし

境界は厳密ではありません。同じ文章が本では「エッセイ」、新聞では「コラム」と呼ばれることもあります。判断の軸になるのは、書かれている「私」が書き手本人かどうかです。

エッセイの魅力|短い単位で読めて、書き手の考え方が見える

読書

エッセイを読む利点は、大きく3つに整理できます。

  • 書き手の素顔が見える…小説では作者と語り手が分かれるが、エッセイでは書き手本人の考え方や癖がそのまま出る
  • 短い単位で読める…1編が数ページで完結するため、中断しても筋を追い直す必要がない
  • 自分の生活に接続しやすい…扱われるのが日常の出来事なので、読んだ内容がそのまま自分の行動の材料になる

とくに2つ目は、読書が続かない人にとって大きい利点です。文化庁の「令和5年度 国語に関する世論調査」(2024年9月公表)によると、1か月に本を1冊も読まない人は62.6%にのぼります。長編を1冊読み切る前提で構えると挫折しやすいため、1編ずつ区切れるエッセイから再開するほうが現実的といえます。読書そのものが続かない理由については、読書が楽しい理由を分析した記事もあわせて参考にしてください。

エッセイの選び方|「読みたい気分」から逆算する

ノートパソコンを持つビジネスウーマン

エッセイは書き手の経験と生き方がそのまま出る形式です。そのためジャンル名で選ぶより、読み終えたあとにどうなっていたいかから逆算するほうが外れにくくなります。

読みたい気分選ぶ軸この記事の候補
笑いたいユーモア『もものかんづめ』『風と共にゆとりぬ』
家族について考えたい家族・記憶『父の詫び状』
旅した気分になりたい旅・土地『考えごとしたい旅』『仙台ぐらし』
暮らしを見直したい生活・食『一汁一菜でよいという提案』
本の話が読みたい読書『本は眺めたり触ったりが楽しい』

もうひとつの軸が、書き手の本業です。小説家のエッセイは文章そのものの完成度が高く、料理研究家や翻訳家のように専門を持つ書き手のエッセイは、その分野の考え方をまるごと受け取れます。知識を体系的に入れたい場合は、教養が身につく本をまとめた記事のほうが目的に合うでしょう。

エッセイのおすすめ7選

書店に並ぶ本

ここからは、おすすめのエッセイ7冊を紹介します。刊行年と版元、収録内容もあわせて記載します。

『もものかんづめ』さくらももこ|笑いたいときの定番

集英社/1991年3月刊(集英社文庫は2001年)。漫画『ちびまる子ちゃん』の作者による初のエッセイ集で、単行本と文庫を合わせた発行部数は250万部を超えます。

水虫や親戚づきあいといった、ふつうなら書かずに済ませる出来事を正面から書いているのが特徴です。ほのぼのとした語り口の下に鋭い観察が置かれていて、日常のささいな場面が笑える形に切り出されていきます。

1編が短く、どこから読んでも成立します。エッセイを読んだことがない人の1冊目に選びやすい作品です。

『風と共にゆとりぬ』朝井リョウ|声を出して笑ってしまう1冊

文藝春秋/2017年6月刊(文春文庫あり)。著者は2013年、『何者』で第148回直木三十五賞を受賞した小説家です。

日本経済新聞の連載エッセイ「プロムナード」に、痔瘻の手術体験を綴った書き下ろし「肛門記」などを加えた1冊。深刻になりそうな題材をあえて深刻に扱わない書き方で、読んでいるうちに笑ってしまいます。

電車や図書館では読みづらいタイプのエッセイなので、家で読む用として持っておくと安心です。

『仙台ぐらし』伊坂幸太郎|土地と震災を書いたエッセイ

荒蝦夷/2012年2月刊(集英社文庫は2015年6月)。雑誌『仙台学』に2005年から2010年まで連載されたエッセイを全面改稿し、東日本大震災後に書かれた「いずれまた」「震災のあと」「震災のこと」を加えた構成です。

仙台に住む小説家の日常が、力の抜けた筆致で書かれています。ミステリー作品の印象とは違う、生活者としての視点が読めるのがこのエッセイの価値です。

宮城県沿岸を舞台にした書き下ろしの短編「ブックモビール」も収録されており、エッセイと小説の両方を1冊で読めます。

『父の詫び状』向田邦子|家族について考えたいとき

文藝春秋/1978年11月刊(文春文庫あり)。雑誌『銀座百点』に1976年2月号から1978年6月号まで連載された随筆をまとめたものです。著者は1980年、「花の名前」ほかで第83回直木賞を受賞しています。

父親との思い出を軸に、昭和の家庭と当時の暮らしが細部まで書き留められています。感傷に流れず、記憶の断片を積み上げて人物像を立ち上げる書き方が、エッセイの手本とされてきました。

自分の家族について考え直したくなる1冊です。日本語の文章そのものを味わいたい人にも向いています。

『本は眺めたり触ったりが楽しい』青山南|読書について読む

ちくま文庫/2024年2月刊(絵・阿部真理子)。翻訳家・エッセイストによる、本そのものを扱ったエッセイ集です。

「読む」だけでなく「眺める」「触る」という関わり方から本を語ります。新刊の匂いや古本の手ざわりといった、内容とは別の次元の楽しみに焦点を当てた1冊です。

本好きなら共感する場面が多く、読書の意味を広げてくれます。

『考えごとしたい旅 フィンランドとシナモンロール』益田ミリ|旅した気分になりたいとき

幻冬舎/2020年12月刊・196ページ(幻冬舎文庫あり)。フィンランドをひとりで旅した記録です。

食べて、歩いて、考える。コーヒーとシナモンロールを前に通りを眺めながら、時間や人生や自分について考える時間がそのまま文章になっています。

観光案内ではなく、旅先で立ち止まった思考を追う本です。読み終えたあとに気持ちが静かになるタイプのエッセイといえます。

『一汁一菜でよいという提案』土井善晴|暮らしを見直したいとき

グラフィック社/2016年10月刊(新潮文庫あり)。料理研究家が「ご飯・味噌汁・漬物」を基本形とする食事のあり方を提案した1冊です。

毎食に品数を求める前提そのものを問い直す内容で、家庭料理を続けるための考え方が書かれています。レシピ本ではなく、食に対する構えを扱ったエッセイとして読めます。

料理が負担になっている人ほど、読後の変化が大きい本です。

編集長のひとこと:エッセイは「古さ」で外れにくい

田中寛大

オンライン古書店を運営していた時期に、出品日が特定できた2,986件を集計したところ、出品から売れるまでの中央値は37日でした。30日以内に45%、1年以内に97%が売れていて、動く本と動かない本ははっきり分かれます。

長く動き続けたのは、刊行から時間が経っても内容が古びない本でした。エッセイは時事より日常を書く形式なので、この条件に合いやすいジャンルだと感じています。初めて読むなら新刊にこだわらず、文庫になって残っている定番から入るほうが失敗しにくいでしょう。

エッセイと小説の違いは何ですか?

語り手が書き手自身かどうかです。エッセイは書き手本人の体験や考えが土台になりますが、小説は作者と別人の語り手を立てたフィクションです。エッセイにも構成や演出はありますが、書かれている「私」が書き手本人である点は変わりません。

エッセイと随筆はどう違いますか?

ほぼ同じ意味です。「随筆」は『枕草子』『方丈記』『徒然草』のような古典を含む伝統的な呼び方で、「エッセイ」は現代の刊行物に使われる傾向があります。内容の区分としての違いはありません。

エッセイ初心者はどれから読めばいいですか?

1編が短く、どこから読んでも成立する作品からです。この記事では『もものかんづめ』(さくらももこ)が該当します。1編あたり数ページなので、通勤中や寝る前など細切れの時間でも読み進められます。

エッセイは文庫と単行本のどちらで買うべきですか?

初めて読む書き手なら文庫がおすすめです。エッセイは時事に依存しない内容が多く、刊行から年数が経った文庫でも内容が古びにくいためです。文庫化されている作品は読者に支持されて版を重ねた作品でもあります。

面白いエッセイを見分ける方法はありますか?

最初の1〜2編を立ち読みして、書き手の語り口が合うかを確かめる方法が確実です。エッセイは筋書きではなく文体で読ませる形式なので、話題への興味より語り口との相性のほうが読み通せるかを左右します。

エッセイは1編ずつ区切れる形式|気分から1冊目を決める

エッセイは、書き手自身の体験と考えを自由な形式で書いた散文です。1編が数ページで完結するため、まとまった読書時間が取れないときでも読み進められます。笑いたいなら『もものかんづめ』、家族について考えたいなら『父の詫び状』、暮らしを見直したいなら『一汁一菜でよいという提案』。ジャンルではなく「読み終えたあとにどうなっていたいか」から1冊目を選んでみてください。

📚 読者アンケート(30秒で完了)

※回答内容は個人を特定できない統計情報として、当メディアの記事内で紹介させていただく場合があります。

広告掲載はこちら

  • Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています。
  • コンテンツ内で紹介した商品をご購入いただくと、売上の一部が運営会社(アマノート)に還元されることがあります。
  • 各商品の紹介文は、公式サイト等の情報を参照して作成しております。
  • 掲載情報は、アマノートが独自にリサーチした時点のものです。価格変動やその他の理由により、実際の情報と異なる場合があります。最新の価格、商品詳細、およびサービス内容については、各公式サイトでご確認ください。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次